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2010年7月14日 (水)

「オーバコが原のノホホン人たち」第一回


 オーバコが原は、昔オーバコという草で、一面におおわれていました。が、いつのまにか、使い捨てのがらくたでうまっていました。
 ここに、ノホホン人という、小人達が、七百人ぐらい、がらくたのかげで、のんきにくらしていました。
 小人達にとって、大敵は、なんといっても大きな人間、それに野鳥でしたが、ここにかくれていれば、まず安全でした。ひしゃげたスプーンや、くさった本や、ばらばらのテレビなど、人間も鳥も見向きもしません。けれども、そんながらくたを生活に入用な道具に作りかえれば、けっこう住み心地をよくしてくれました。

 この数十年、ノホホン人達は、外からの敵におそわれる事もなく、まずまず幸せでした。
 ノホホン人は、背の高さが、おとなでも十センチほどでした。中でも一番背が高かったのは、床屋のロロで、十二センチもありました。ロロは、「ぼくは世界で一番背の高い小人なのだ」といいたげに、鼻の頭を空に向けて、ゆうゆうと生きていました。
 ほかの小人達にとって、ロロのそんなとくい顔を見るのは、気もちのいいものではありませんでした。ロロにかみの毛をかってもらうのをやめる小人さえいました。

 さて、ある日の事、ブラブラブヨといって、人の血を吸う小さな虫が、おおさわぎしていました。
「世界で一番背の高い小人は、トトだぞ!」
 トトというのは、オーバコが原のはずれに、あるフキの林にひとりぼっちで住んでいる、植物の研究家です。日ごろは村人と出会ってもあいさつもしなかったので、皆もトトを「つむじまがり」といって、相手にしませんでした。
 けれども、こんなニュースが飛び回っていては、だまっていられません。ノホホン人達は、よるとさわると、この話題でもちきりでした。
「だってさ、ブラブラブヨが、いっているだろ?」
「いくらあいつらがさわいだって!」
「そうよ。急に背がのびるわけがない。」
「一番背が高いのは、ロロにきまってる!」
「トトが、ロロをねたんで、変なうわさをまきちらしているんだ。」
「誰だって、ロロをねたまないといったら、うそになるもんな。」
「背くらべすれば、わかるさ。」
「ロロに『トトと背くらべしてくれ』っていったら、なんていうかな?」
「おこるわよ、きっと。」
「うん、おこる、おこる。『おれをあんなちんちくりんといっしょにする気か? ばかにするな!』ってね。」
「あいつ、おこらせると、手がつけられないから・・・。」
じゃあ、どうする?」
「・・・・・・。」
 皆にも、さしあたって、いいちえが浮かびませんでした。

 ロロが、小屋の前に、いすと、小さいかがみをおいて、歌手のイーコエのひげをそっていると、一ぴきのブラブラブヨがやって来て、耳元でいいました。
「世界で一番背の高い小人は、トトだぞ!」
「なんだと? もう一度いってみろ!」
 ロロは、かみつくように、いいました。
 イーコエは、きょとんとして、いいました。「ぼく、何かいいました?」
「いったじゃないか! 『世界で一番背の高い小人は、お前じゃない』ってな。」
「いいません、ぜったいに。」
「・・・気のせいかな?」

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コメント

皆さま

お待たせしました。
待望の新作「オーバコが原のノホホン人たち」がはじまりました。

ただいま世の中的には「アリエッティ」一色ですが、同じ小人繋がりとなるこの「ノホホン人」も負けじと頑張っていきます!

いきなりの背比べからはじまった彼らは今後どうなってしまうのか…次回第二回は7/21(水)公開予定です。お楽しみに。

投稿: 復刊ドットコム熊野 | 2010年7月14日 (水) 13時15分

おおおnote
小人の背くらべがこれからどのような事件を繰り出してくれるのでしょうかhappy01note

楽しみですhappy02

投稿: シルル | 2010年7月14日 (水) 17時42分

おお、今回のお話は小人の村ですか…
化粧瓶と同じくらいの大きさなんですね。

投稿: ネーチャン | 2010年7月15日 (木) 00時27分

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