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2011年10月26日 (水)

「バイキンです よろしく」第十三回

《おはなし》
ロクロの話では……
ゆうべわいた千びきのバイキンは、とてもひどいらんぼうをしているというんだ。
ひげをそれ。
あたらしいぼうしを買ってこい。
さかだちしてみろ。
そんなめいれいにちょっとでもさからった子どもたちは、みんなだきつかれて、とかされてしまったというんだ。
ミリの家にやってきたバイキンが、いちばん、おとなしいバイキンだというんだ。
だから、子どもたちはみんな、夜、バイキンがねつくのを待って、町をにげだそうとしいてるんだ。
ロクロはこごえでいった。
「きみ、あのまま、ほうっておくと、夜中になって、あいつ、子どもを生むよ。いっぺんに二億も、三億も生むよ。」
「ほんとか!」
「バイキンは、おとうさんとおかあさんがいなくたって、ちゃんと、子どもをつくれるんだよ。ちょっと、あったまればね。朝になると、そいつらがまた、おとなのバイキンになるんだ。そうしたら、こんな家の千や二千、ピシャピシャふみつぶされちやうぞ。
あっ、こうしちゃいられないんだ。
じゃ、早くこいよ。
みんな、こわがってるから、待っててくれないよ。」
と、いって、ロクロはあわてていってしまった。

ミリは大いそぎで、カバンの中に、いろいろなものをつめはじめた。
タオル。歯ブラシと歯みがき粉。さいふ。スケッチブック。クレヨン。えんぴつ。けしごむ。石けん。パン。チーズ。
――そこで手をとめた。
待て、ミリ。

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2011年10月19日 (水)

「バイキンです よろしく」第十二回

《おはなし》
「おねがいだよ! かえって!
ぼくをくるしめないで!
かえってったら、かえって!」
ロクロはミリのいうことをどうしてもきかなかった。
ミリは、すごすごと、かえらなくてはならなかった。
あーあ、どくやくもだめか!

「ミリ、夕はんはカレーライスにしろ!」
と、バイキンがめいれいした。
ミリはだまって、なべに、カレー粉を二十三かんあけた。それから、コショーを大さじに百四十六ぱいと、トンガラシを大さじに、百八十九はいあけた。それで、カレー粉も、コショーも、トンガラシもからになった。
バイキンのやつが、死ななくても、からくて、からくて、とびあがればいい。
そうしたら、うんとわらってやる!
――ところが、バイキンはからだのいろを、ほんのすこし、ももいろにそめたきりだった。
カレーライスをたべおわると、バイキンは、
「ちょっとからいが、とてもうまかったよ。」
と、いって、まださらについていたのこりを、手みたいなとんがりにすくっては、ペロペロなめた。
チェッ、にぶいやつ!
夜になると、バイキンはいった。
「ちょっとさむいから、ストーブをたいてくれ。」
石油ストーブに火をつけてやると、バイキンはあんしんして、ねむった。
そこへクスリやのロクロがやってきて、ドアをたたいた。ロクロはミリを外によびたして、いった。
「さっきはごめん。
きみ、町では今、みんなヘリコプターにのって、にけだすところだよ。きみもにもつをまとめて、すぐ公園にこいよ。」
あわてていこうとするロクロをひきとめてきいたみた。

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2011年10月12日 (水)

「バイキンです よろしく」第十一回

《おはなし》
ミリは思わずさけんだ。
「やったぜ、ベイビー!」
――ところが、バイキンはヒューッと長いためいきをついていったんだ。
「日なたぼっこなんて、なれないことをするもんじゃない! おお、しみる! こんなぬるま湯なのに!」
バイキンは「こんなぬるま湯」といったんだ。
そう、水は百どよりあつくはならない。
……とすると、このバイキンはいつも、ドロドロにとけた鉄のふろにでもはいっているのかな。
ミリはがっかりした。

本のおわりにはこう、書いてあった。
「しかし、
バイキンを殺すには
なんといっても、
どくやくにかぎる!」
ミリはさっそく、クスリやへとんでいった。
けれども、クスリやのロクロは、どうしてもミリにどくやくを売ってくれなかった。
どうしてかというと……

ロクロはいうんだ。
「ぼく、こわいんだよ。バイキンが。
もし、ぼくがきみにどくやくを売ったことがバイキンにわかったら、どうなる?
バイキンはきっと、ぼくを殺しにくるよ!」
「だからそのまえに、ぼくがバイキンを殺してしまうんだよ!」
「きみ、バイキンはこの町だけで、ひとばんに、千びきもわいたんだ。そいつらは、みんなひみつでんわや、ひみつむせんでれんらくしているんだよ。今、ぼくがきみとこんな話をしているんだって、きかれているんだよ、きっと。」
「でも、ゆうきをださないと、いつかは、ぼくら、ぜんぶ、バイキンにやられてしまうよ。」
すると、ロクロは、まっ青になって、地面にすわりこんだ。

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2011年10月 5日 (水)

「バイキンです よろしく」第十回

《おはなし》
日光をあびると、バイキンはちょっとたちどまった。
いすにかけた。
「日なたぼっこしているとね、からだがいたくなるんだ。
でも、それはからだの中のバイキンが死んでいくしょうこだから、じっとしていなくちゃいけないよ。」
と、ミリはちゅういして、家にはいり、ドアをしめ、まどから、じっと、バイキンのようすを見まもった。
いまに、きっとあの強い日光がからだの中にしみこんで、くるしみだすぞ!
ざまあみろ!
――ところが、ミリのけいかくは、かんぜんしっぱいだった。いくらまっても、くるしむどころか、かえって、いいきもちでねこんでしまった。
ゆうがた、ちょうど海水浴からかえった人のように、ひふをココアいろにやかれて、バイキンはごきげんでもどってきた。

本には、
「バイキンはねつに弱い。」
とも書いてあった。
よし、こんどはこれでゆこう。
すぐミリはおふろをたいた。
湯がグラグラと、にえたった。

ミリはその湯で、たまごを一こゆでてから、バイキンにいった。
「バイキンさん。おふろがわいたからさきにはいって。」
「ふろだって! 今、ふろをたけといおうと思っていたところだ。気がきくぞ、チビ。」
バイキンはふくをぬがないから、かんたんだ。
バイキンはいきなりジャブンとふろにとびこんだ。
「あっちっちっちっちっ……。」
と、バイキンが苦しみだした。

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