「バイキンです よろしく」第十三回
《おはなし》
ロクロの話では……
ゆうべわいた千びきのバイキンは、とてもひどいらんぼうをしているというんだ。
ひげをそれ。
あたらしいぼうしを買ってこい。
さかだちしてみろ。
そんなめいれいにちょっとでもさからった子どもたちは、みんなだきつかれて、とかされてしまったというんだ。
ミリの家にやってきたバイキンが、いちばん、おとなしいバイキンだというんだ。
だから、子どもたちはみんな、夜、バイキンがねつくのを待って、町をにげだそうとしいてるんだ。
ロクロはこごえでいった。
「きみ、あのまま、ほうっておくと、夜中になって、あいつ、子どもを生むよ。いっぺんに二億も、三億も生むよ。」
「ほんとか!」
「バイキンは、おとうさんとおかあさんがいなくたって、ちゃんと、子どもをつくれるんだよ。ちょっと、あったまればね。朝になると、そいつらがまた、おとなのバイキンになるんだ。そうしたら、こんな家の千や二千、ピシャピシャふみつぶされちやうぞ。
あっ、こうしちゃいられないんだ。
じゃ、早くこいよ。
みんな、こわがってるから、待っててくれないよ。」
と、いって、ロクロはあわてていってしまった。
ミリは大いそぎで、カバンの中に、いろいろなものをつめはじめた。
タオル。歯ブラシと歯みがき粉。さいふ。スケッチブック。クレヨン。えんぴつ。けしごむ。石けん。パン。チーズ。
――そこで手をとめた。
待て、ミリ。
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