« みを先生からのクリスマス・プレゼント | トップページ | 「イモヅル式」発売イベント続々! »

2006年1月11日 (水)


国立駅舎(長文注意)

このところ、おおの藻梨以先生から何度かメールを頂いておりました。それは「くにたち物語」の舞台であるJR中央線の国立駅のシンボルである駅舎が取り壊されるという情報でした。もちろん国立市民の方々も保存運動などなさっているようですが、既に市議会では駅ビル着工、旧駅舎取り壊しに向けて着々と進行しているそうです。おおの先生は実際に市議会も傍聴したそうですが、その実況中継を断腸の思いで携帯メールから下さるのです。私としても残念ですが「読者の心の中に、駅舎のシーンはいつまでも残りますよ」とくらいしか、慰めの言葉が申し上げられません。ちなみにおおの先生には、メール内容を転載して下さいと申し付かっておりますが、ちょっと長くなりますが、一部を以下に転載いたします(実名が入っている部分などは手を入れさせて頂きました)。

◆◆もうニュースや新聞で見ましたか?結論から言うと…残念ながら12月20日の市議会で【国立駅舎保存】は天変地異的奇跡でも起きない限り不可能…という結果になりました。でも…私的には…無駄足では無かったし、行って良かった…良い経験になったと思います。
◆◆今回の懸案は…市民派の市長が国立駅舎保存のためにはこの方法しか無い…と“駅舎を曳き家によって一時円形公園へ移設するための設計費の予算”案を、野党(自民・公明・その他)が《戻るための場所確保(JRからの土地買収)の確約も無いまま見切り発車するのは如何なものか…。つまり、片道切符しかないのに市民の血税を使う事はできない》…という理由で反対している訳です。こう聞くと…「はいはい…それはそれは…言う事ごもっともですね…。」と言うしかないのですが…。
◆◆12月20日、朝起きた時点では、市議会傍聴に行くつもりなど微塵も無かったのです。10時の時報を聞き「ああ…市議会始まったなァ…14対8なんてくつがえらないよなァ…きっと市民の気持ちなど関係無く、あの三角屋根は取り壊され、無機質な駅ビルになっちゃうんだろうなァ…うだうだ~うだうだ~…」と考えてる内に、なんかウズウズソワソワしてきて(私が行ったところで何も変わらないだろうけど…)と思いながら(これだけ入れ込んでる【国立駅舎の存続の是非】を決める最後の議会だ。結果的に失くなる運命だとしても…知ってしまった以上、その運命の決まる現場に居たい…居なくちゃいけない。)…と妙な使命感に洗脳されてしまった訳です。
◆◆10時40分頃、自転車で市役所に向かう。内心…市民が沢山詰め掛けているのじゃないかしら?もしかしてTV局とかも来てるかも?市役所周辺は騒然としてるのじゃないかしら?と考えながらペダルを踏む。市役所に着くと、周辺は予想……に反して閑散。でもッ!!市議会ライブTVのあるロビーは……閑散。TV前の丸テーブルに40~60代のご婦人達が4人。離れた長椅子に男性が3人。(へ…?たったこれだけ…?)
とにかく…私は長椅子に座った。そうか…平日のこの時間じゃ、仕事を持つ人は来たくても来れないか…。私も《駅舎好き》だけじゃ、こんなに積極的に動いたかどうかは分からない。やはり《仕事の利害が絡む》から気になるのだ。
◆◆しばらく議会ライブを見ていたが、論じられてる事はチンプンカンプン。【国立駅舎】という言葉は一向に聞こえて来ない。時間は11時ちょっと過ぎ。(もしかして…もう終わっちゃった?)と思い、丸テーブルの婦人達の一人に訊いた。「すみません…【駅舎問題】はもう終わってしまいましたか?」すると…今日の議事日程表を見せてくれて「今は今日の議案の4番目…【駅舎問題】は6番目。ぼちぼち議会が1時間経過で15分休憩に入ると思うから…少なくとも11時半以降じゃないかしら。」「ありがとうございます。」(スゴイッ!!慣れてらっしゃるッ!!)私は今まで興味を持たず、関わらずに来た世界だけど、こういう事に積極的に関わっている人もいるんだな…と新鮮な驚きでした。ふと…あの大学通りの《Mマンション裁判》の時も、こんな風に議会で論じられ、その議会を見据える市民達がいたのかな…と思った。(ご苦労様です~。)
◆◆ライブに目を戻すと調度5番目の議案に移った。何やら議員さんが書類を読み上げる。議長が早口で「それでは採決を取ります。第56議案…国立市市税賦課徴収条例の一部を改正する条例案に賛成…反対…」22人の議員は迅速な挙手。「賛成多数で第56議案は…」「は――ッ!?」と余りの早さに戦慄が走った。マジに背中がツ――…と冷たくなった。ショックで思わず丸テーブルの一番年配に見える婦人に「あのあの…今今見ててビビビックリしたんですけど…【国立駅舎】の議題もこんな風に…賛成、反対、手を上げて…で決まっちゃうんですかッ!?」と訊いた。(大袈裟でなくマジにどもってた)「あ…今日のメインは【駅舎問題】だから。他の議案はほとんど決まってるからもめないのよ。【駅舎問題】はもめるよ~。」
◆◆「もめる…?」また議事日程表を見せてもらうと議案は裏ページまで19項目あった。「あの…これ…全部…今日中にやっつけるんですか?」60代くらいのご婦人に訊くと「そう。夜中や明け方までやる事もあるけど…、次に持ち越す事は滅多に無いのよ。」「夜中や明け方?」「いるのよ~。ゴネてゴネて引き延ばす議員さんがッ!!」「???」この時点で、私はこの言葉の意味を理解していなかった。
◆◆その時をきっかけに私は婦人達に名乗りをあげた。《国立を舞台に漫画を描いてる者で、先日駅前の署名運動で今日の事を知った》という事を告げた。すると、そのご婦人達が署名運動していたその人達だったのだ。彼女達は女性だけのボランティア組織で、市民から議員を送り込む運動もしているらしい。中には絵をたしなむ方もいて、昔はお教室を持ってたそうな。その上7~8年議員をやってたそうでリーダーっぽい。駅舎保存に賛成の8人の内の2人もここから送り込んだ議員さんだ。15分休憩が終わると彼女たちから「じゃ…そろそろ行きますか。」と席を立った。「どこへ行くんですか…?」「会議室。」あ…生で傍聴できるんだ……ダヨネ。
◆◆会議室に行くと傍聴席は3分の2くらいがうまっていた。けっこう来てたんだ……ダヨネ。9割がたがご年配の方だ。やはり三角屋根に思い入れが強いのは、沢山歴史を刻んだ人達なのだろう。
◆◆6番目の議案【駅舎問題】に入ったらしい。最初は前回の議会(役員会?)の議事録のような物を3人の議員さんが長々と読み上げていた。早口で何を言ってるか解らない人、つっかえてばっかりで内容が伝わってこない人…専門用語なのか?初めて聞く言葉は意味不明。(漢字なら雰囲気解るのに…テロップが欲しい…)と思う。初めての事でどのように議事進行されるのかも分からず。(いつ…採決が始まるんだ?)とドキドキしていた。
◆◆【駅舎問題】に入って一時間になんなんとする頃には質疑応答に移っていて、議論も佳境に入り白熱してくる。ぼんやりとだが、どの議員が駅舎【保存派】で、どの議員が【解体派】かが見えてきた。ああ…本当に【保存派】は8人しかいないんだ…と実感させられる。発言する人もだいたい決まってるようだ。与党は3名、野党も3名。そして…発言しない野党はやじ専門だ。そんな頃、傍聴席の最前列の真ん中辺りに人だかりができ、市の職員らしき人が慌ただしく行き来している。何やら事件が起きたらしい。
◆◆議長が怪訝そうに目を向ける。背を向けてる議員達も傍聴席の異変に気付きわらわらと振り返る。議会が寸断してしまった。60代後半と見えるおばあさんが気分が悪くなり、救急車を呼んだらしい。議長はこれを調度…と1時間の昼休憩に入った。少しして、おばあさんは狭い通路を数人の男性に抱えられて会議室を出て行った。野党議員達も退室しながら傍聴席を見ている。それに対し元議員さんは「こんな話し合い見せられたら気分も悪くなるわッ!!」と吐き捨てた。

◆◆約1時間のインターバルの間に、私は自宅に帰り、朝の野菜スープの残りでカンタンお昼。『くにたち物語』の文庫本を持って市役所に戻った。傍聴席に行き、さっきのご婦人達に本を見せて「今日…どんな結果が出ようと、皆さんが何らかの運動を続けるなら、私にできる事があれば協力させて頂きます。」と連絡先の交換をした。
◆◆1時半…議会再開。延々と【保存派】【解体派】の質疑応答が続く。【保存派】が意見を述べている時の野党のやじは国会のそれとなんら変わらないが、私が保存派に思い入れている分聞いていて腹が立つ。はらわたが煮えくり返る。「人の発言を邪魔するなッ!!手を上げて発言しろよッ!!いい年の大人が……小学校で教わらなかったのか?馬鹿野郎ッ!!」…と……頭の中で叫び続ける。不思議なのは議長の采配が片側寄りに思えてならない。国会討論を見ていてもこんな感じを受けた事は無い。議長というのは中立であるべきだと思うのだが…。更に…野党の発言は《市長がこうした…市長がやらなかった…市長が…市長が…市長が…》と悪い事は全て市長のせいにしたいようだ。どうなってんだ?何なんだ…この議会は?。なんにしても議論の内容から、【保存派】が不利である事はひしひしと分かる。そうこうしてる内に1時間が過ぎ、また15分休憩に入った。
◆◆15分…20分…30分??どうした事か…議員達は席に戻らず、議会が始まらない。傍聴席がざわつく。私はメールを確かめに(会議中は電源切ってるから)席を離れ、5分ほどで戻ると…保存派議員がさきほどのご婦人方と話しながら笑っている。議会が再開されない訳…状況説明をしていたようだ。後で説明されたが、発言頻度の高かった議員が「失言があるので、それを議事録から外して欲しい」とゴネているらしいのだ。余りにお粗末で笑ってしまう。老婦人が気分が悪いと傍聴席が騒然としてた頃に、その議員は《旧国立駅舎は取っ払い、上をマンションにした高層駅ビルの構想があるらしいコトを吐露してしまったようだ。他にも幾つかヤバイ事を言っていて、それらを議事録からカットするしないでもめているのだ。その間に私は、ずーっと気になっていた《議長》の事を訊いた。「議長って中立な立場のはずですよね?あの議長さんは野党寄りに思えてならないんですけど…。」
「ああ…あれはタヌキの親分だもの。」…そうなんだ。
「テレビ国会見てても、こんなあからさまなのは見た事無いんですけど…。」
「地方(自治体?)ではよくある事なのよ。」そ・そ・そ・そうなんだ…。
「それと…野党は何かにつけ《市長が…市長が…》って…まるでイジメのようにやりだまに上げてるみたいに見えるんですけど。」
「野党だからよ。大きな政党を薙ぎ倒して勝ち取った市民派女性市長だから。野党…特に国政政権を担う党は市長のやる事全てにケチつけたい訳よ。【曳き家】に反対なんじゃなくて【市長が決めた事だから反対(ジャマ)したい】の。《Mマンション裁判》で逆に市が訴えられたのも、市長がやり過ぎたせい。次期市長選のために、悪い事は全部市長のせいにしたい訳だ…。おかしいよね?」うん…変だ…変ッ!!
◆◆結局…休憩は1時間に及び3時40分頃に議事再開(議事録がカットされたかどうかは定かではない)。しばらくすると、最終討論に入り、一人づつの意見のアピールが始まる。【保存派】の発言には相変わらず野党のやじが飛ぶ。ムカツク。【保存派】議員は特に発言が長かったので、やじもえげつない。発言が聞こえないほどやじが続く。はらわた煮えくりくりくり返るッ!!私は決意した。議員の発言が終わったら拍手してやる。絶対拍手してやる。
議員の発言が終わった…その瞬間先頭をきって拍手した。すると他の傍聴市民達も続いて拍手。議長はキッと私に目をやり「拍手は禁止されてる行為です。ルールを守れないのなら退室させますよ。」怒られた。すかさず「泣くのは禁止されてないよね。いいんだよねッ!?」「そうだそうだッ!!拍手を注意するならあのえげつないやじもなんとかしろよッ!ひいき議長ッ!!!。!!うっせ~んだよッ!!」…と頭の中で叫ぶ。
◆◆そして運命の採決の時が来た。
やはり…14対8。
「ウエ―――ンッ!!」
みんなで泣きまねをする。そして、休憩に入りわらわらと退室していく野党議員に捨てぜりふをぶつける。
「あんた達覚えてなさいよ。駅舎が壊される時、あんた達をレプリカにして貼付けてやるからねッ!!」
議員…失笑しながら退室して行く。
保存派議員がこちらに「まだまだ…これからだから…」とガッツポーズ。
「まだまだ…これから…って、何か秘策があるんですか?」と訊く。
「ない。ああは言ってるけど、今は無い。この結果でJRの結論も出てしまうし。高架工事のための都の助成金は白紙になってしまうし…。」
なんか乾いた悲しさが胸に広がる。
◆◆保存派の聴講者の人達と会議室を出て、ロビーのTV前テーブルに腰掛けた。皆さん一様に疲れた顔をしている…が「この事をとにかく市民に報せなくてはね。」…と、ビラの相談を始めた。結局暗くなった7時近くに市役所で解散した。うち1名は私の家の近所なので一緒に帰った。長い一日だった……。
◆◆今日(22日)、同志の方々から「ビラを作るのに『くにたち物語』の中の絵を使わせて欲しい。」という電話をもらい、文庫本をお貸しした。今晩駅前で配るらしい。
◆◆今回の事…国立駅舎の事は残念でならない。…が、普通の…一般市民と違う観点から国立を考える人達と知り合えた事は大きい。《おばあちゃんの智恵袋》を得たような気分だ。例え国立駅舎が無くなったとしても、私は『くにたち物語』は描くのだ。こうなった以上、描かなくてはいけないのだ。具体的に高架工事が始まる来年8月までは国立駅舎は存在する。存在してる間は…最後の瞬間までは…奇跡を信じていようと思う。とにかく、今私にできる…すべき事は…早く『くにたち物語』を世に出し、世間の注目を出来得る限り集める事なんだな…うん。長くなりました。
◆◆そんな訳で私は『くにたち物語』でがんばるしかないのです。ではでは。

投稿時刻: 午前 01:00
アニメ・コミック |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/117834/7998280

この記事へのトラックバック一覧です: 国立駅舎(長文注意):

» 国立駅舎、封鎖 トラックバック red-ocean.org:junction
赤い三角屋根が印象的な、JR中央線・国立駅の南口駅舎が、2006年10月8日23時30分頃をもって駅舎としての役割を終えた。翌日には仮駅舎の供用が開始され、人々に親しまれてきた木造駅舎は、白い板で囲われ封鎖されてしまった。 (駅舎写真は本サイト内にあり。[国立駅舎1]/[国立駅舎2]) 最終日には多くの人々が集まり、駅周辺は混み合った。夕方には、市が企画した記念撮影会が行われたほか、閉鎖の時間が近づいた夜以降は、駅舎の保存活動をしていた「ティームくにたち」による突発的な(?)映像上映のほ... 続きを読む

受信: 2006/10/11 1:20:15

コメント

コメントを書く