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2008年7月21日 (月)


時をかける『時をかける少女』

ディレクターの、ともおです。

先週の土曜日にフジテレビ系で、二年前に製作された『時をかける少女』のアニメ版がオンエアされていました。ロードショーの時には、今更「時かけ」?と思ったものでしたが、同時期に上映されていた、鳴り物入りの『ゲド戦記』をはるかにしのぐ評価を得て、スマッシュヒットとなったことは記憶に新しいところです。復刊ドットコムでもこの作品の背景画集の販売をさせていただきましたが、大変、好評でした。第一線のスタッフたちよるリメイクは、懐かしい作品にあらたな息吹を吹き込み、新しい世界が創造されたのです。というか、今回のリメイクは原作の名残を探すほうが難しい。むしろ高畑京一郎さんの『タイムリープ』を想起してしまったぐらいです。つまり、SFジュブナイルというよりはラノベ感覚、ということでしょうか。ただし「実験室」は健在でした。これは「時をかける少女」には欠かせないマストアイテムですね。

筒井康隆さん作による『時をかける少女』は、1965年に書かれた、シニカルなエスプリにあふれた筒井作品としてはむしろ異色のジュブナイルです。ふとしたきっかけで時間跳躍をする能力をもってしまった少女が不思議な体験をする物語。事件を経て、ちゃんと「ふりだしに戻る」物語性が秀逸なタイムファンタジーです。最初の映像化は72年のNHK少年ドラマシリーズ、『タイムトラベラー』(なつかしのケンソゴルですよ)。もっとも有名なのは、83年の大林宣彦監督版、原田知世さん主演の映画版ですね。抒情的な仕上がりの作品で、原作にプラスされたものや、その後の『時をかける少女』へ与えた影響は大きかったのではないかと思います。その後、中川勝彦さん(翔子さんのお父さん)が出演されていたものや、内田有紀さん主演のドラマもありましたね。原作が書かれてから40年以上、数々の解釈が加えられながら、今回のアニメ化作品にいたるのですが、果たして、『伊豆の踊り子』の映像化とどっちが多いのか、と思わせるところです。しかも新解釈の振り幅が広い。まあ、スタンダードな文芸作品になったということですね。

復刊ドットコムでは、NHK少年ドラマシリーズの『タイムトラベラー』を書かれた石山透さんの脚本集や、その続編であり、原作を離れ石山さんが創作された『続タイムトラベラー』に得票が集まっています。石山透さんは、人気の人形劇『新八犬伝』の脚本家でもあり(このノベライズも高得票を集め、ブッキングから昨年、全三巻で復刊されました)、当時のNHKの夕方の時間帯で数多く活躍されていたんですね。第一世代から、アニメ版の背景画集までをカバーする復刊ドットコムのファン層の広さに、驚かされるところです。

投稿時刻: 午前 10:00
日本文芸 |

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