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2008年8月31日 (日)


さいはんばいだ ビィー

ディレクターの、ともおです。

一時期、復刊界(あるのか?)で話題になっていた『たべるトンちゃん』の復刊ドットコムでの販売を再開します。一般書店での販売も継続されていますが、異色の高額本であり、なかなか普通の絵本売り場には置かれないだろうな、と思う一冊です。昭和十二年(1937年)のクリスマスに発売されたという豪華絵本を、2005年に、よるひるプロさんが復刊された本。検印までも精巧に復刻した、もの作り感覚は、よるひるプロさんならではのこだわりです。作者の初山滋さんは、昭和初期のモダンアートを代表する人であり、抒情画の世界でも中原淳一、松本かつじ、とともに活躍された画家であると個人的には認識しておりました。なので『たべるトンちゃん』を初めて見た時の衝撃は、初山滋という画家に対する先入観からも、かなり驚くべきものがありました。あまりにもシュールな物語とモダンセンス溢れるデザイン。ポップでかわいらしく、そして、かなり変わっている。「変でカワイイ」スタイリッシュなプレゼントにも最適かと思います。是非、お手にとってお楽しみください。

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『たべるトンちゃん』
発行:よるひるプロ
作絵:初山滋
判型:B5判 上製函入り
定価:2,415円(税込)



昭和十二年というと、既に大陸では戦火が上がっていた頃です。この年の七月には、盧溝橋事件が起き、ついに日中戦争が始まり、昭和二十年の終戦まで続きます。その前年には軍事クーデターのニ・二六事件が起きています。なんとなく、軍事政権が台頭しはじめた暗い時代、という気もするのですが、当時の風俗を見ていると、まだ庶民の生活はわりと自由で、明るいものもあったようです。その当時に書かれた獅子文六の新聞小説などを読むと、かなりモダンでポップな生活感覚に溢れているんですね。その当時の子どもたち(今、恐らくは七十代後半から八十代になられている皆さん)は、『たべるトンちゃん』を、どんなふうに読み、楽しんだのだろうか、と想像してします。復刻本は、そんな感覚の遊びも楽しめますね。

とうでもいい話ですが、僕は名前が「ともお」なので、子どもの頃は「トンちゃん」と呼ばれていました。『たべもの を たべられる とき が いちばん すきだ』なんてセリフにも、やたらと親近感があります。ビィー。

■『よるひるプロ』復刊特集ページ    ※異色作揃いですよ。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月30日 (土)


メルマガ予告(9/03号)!

ディレクターの、ともおです。

金曜日です。メルマガ製作をやっています。昨晩の豪雨は、大変な被害が出た模様ですが、皆さんの地域ではいかがだったでしょうか。こちらは幸い通勤電車に多少の影響が出たくらいで、難を逃れることができました。とはいえ、いつどんな災禍に遭うかどうかわからないものということを、ニュースを見ながら実感しているところです。被災者の皆さんのご本復をお祈りしております。さて、復刊ドットコムのメルマガ、8月最終号は、このたび復刊が決まった『カメラ修理のABC』の予約開始をご案内させていただきました。カメラ関連の復刊投票では高得票を集めていた著名な本で、「クラシックカメラから現代カメラまで、原理を知って自分で直す」という、このジャンルでの類書もないため、ファンの皆さんから、早速、沢山のご予約をいただきました。ありがとうございます。デジタルカメラ全盛の現在とはいえ、旧来のカメラを好まれる方たちがいて、壊れたカメラを再び修理して甦らせたいという皆さんには心強い味方となる一冊が再登場しようとしています。旧版を更にパワーアップしておりますので(沢山の加筆があります)、お持ちの方も是非、読み比べていただければ幸いです。ただ今、編集部が、著者の中一訓先生と一緒に、鋭意、製作を行っておりますので、商品到着まで今しばらくお待ちください。

さて、次回のメルマガは、9/3(水)号は、またまた復刊決定した書籍のお知らせができる予定となっております。時事的な話題の本の復刊でもあるので、プレスリリースとタイミングを合わせてお送りしますので、またここではタイトルを伏せておきます。しかし、非常に興味深い内容の本ではあるので、その存在を知らなかった方も、内容をお知りになったら、読みたいと思われるんではないのかと期待しております。その復刊発表が大きい案件のため、メルマガの件名となりますが、そうじゃなければ『忍者VS仙人』というタイトルでいきたいと思っておりました。「忍者」は、先日、このブログでもお伝えしましたが、『万川集海』他、忍術秘術書のご案内が中心。『忍者』特集他にリクエストをくださっている皆さんには先んじてご案内しましたが、あの八万円を超える高額の原書復刻版を既に何件か購入くださった方たちもいて、その人気の高さが伺えるところです。その他、忍者関係の商品やリクエスト等もご紹介します。衰えぬ忍者人気の火に、更に油を注ぐ企画を投入するのです。一方、「仙人」は、国書刊行会さんの『仙人の世界』『日本の仙人』のご案内。「仙人の世界を発祥から説き起こし、仙人とは何か、修行と神通力、 仙薬・神薬・霊薬、日本の仙草までを詳論」というもの。鬼や天狗の研究で知られる著者、千切光歳さんの世界は、かなり興味深いですね。これは『天狗の研究』という本を二分冊した内容なのだそうです。ちょっと脱線しますが、僕は児童文学のファンで、児童書の世界は、特にこまかく注視しているのですが、「天狗」を扱った作品が、頻繁に出版されています。近年だと、佐藤さとるさんの『本朝奇談天狗童子』や、たかしよいちさんの『天狗』なども良かったな。何故、そんなにまで「天狗」なのか。少女コミックですが『町でうわさの天狗の子』もタイトルだけで気になっています。マイ天狗ブームはしばらく続くようです。そして、話題のリクエストのピックアップは、票数はまだまだですが、PV(閲覧数)が突出している『さち子と白いきつね』をご紹介します。ポプラ社さんから刊行されていた堤亮二さんの児童文学作品です。画像がないのでわからないのですが、狩野富貴子さんが絵を描かれているというので、美しいイメージが想像される本ですね。「天狗」以上に「きつね」は、児童文学の世界では頻出します。以前に趣味で「きつね」ものアンケートをとってみたことがあったのですが、まだまだかなり未知の良作はありそうです。そんな皆さんからのリクエストも相変わらずお待ちしております、復刊ドットコムです。ああ、8月も終わりですね。「24時間テレビ」の頃になると、夏休みの宿題のことがやんわりと気になってくるものでしたが(遅すぎます)、今年はオリンピックのためか放送が遅いんですね。夏休みの感想文用の本探しは、是非、復刊ドットコムで。では、またまた。

■残暑に負けないメルマガ【復刊info】、ご購読はこちらから。

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2008年8月29日 (金)


台所おばあちゃんの諸事情

ディクレターの、ともおです。

料理研究家、永島トヨさんの『台所おばあちゃんのお料理秘伝』に、急激にPV(閲覧数)が集まっています。どうやら永島トヨさんご自身のことがTVで紹介されたことが要因のようです。TV番組では、NHKの料理番組などにも出演されていた料理研究家としての活躍のみならず、永島トヨさんが77歳の時に21歳年下の男性と結婚したことがピックアップされていたようです。そのあたりの「結婚事情」が詳らかになっている本としては、『台所おばあちゃんの結婚』『おばあちゃんの恋文』があります。絶版になっている『台所おばあちゃんお料理秘伝』にまで影響が出ている現状は、よほどインパクトのある紹介だったということなんでしょうね。70代まで料理研究家として仕事一筋で独身のままにいた(つまり、おばあちゃんと呼ばれているけれど、孫どころか結婚されてもいなかったわけです)、そんな永島トヨさんの元に届いた一通のファンレター。そこからはじまる結婚へ道なわけですが、この本を紹介したサイトがありましたので、詳しくはこちらをご覧ください(このサイト、セカンドライフを応援するポータルなんですね)。色々と想うところはありますね。女性の方がかなり年齢が上、の恋愛モノとしては、舞台作品として有名な『ハロルドとモード』があります。昨年発行された野中ともそさんが書かれた『チェリー』もそうしたお話でした。ともに少年と老婆の恋を描いたものです。それほどのギャップではないけれど『ぼくの美しい人だから』という作品もありましたね。今回の永島トヨさんの件は、そのTV番組を見た方たちの、ちょっとした熱狂が伝わってくるのですが、ロマンスに対する憧れがあるのかも知れません。

ついでに復刊ドットコムで人気の料理本につきましてご紹介します。

Photo 『私の洋風料理ノート』

佐藤雅子 著
発 行:文化出版局
発 売:ブッキング
サイズ:B5変形判 
ページ:200ページ 
定 価:税込2,625円

小林カツ代さんをはじめとして、現在、人気の料理研究家たちがリスペクトする元祖カリスマ主婦、佐藤雅子さん(元人事院総裁故佐藤達夫氏夫人)による家庭料理本の古典で、文化出版局さんから発行されていた本が復刊されたものです。洋風家庭料理のレシピとしてだけではなく、家族への思いやりと愛情にあふれた気持ちが伝わるってくる一冊で、是非、娘に持たせたいなどとの声も多数、寄せられています。最近、佐藤雅子さんの『私の保存食ノート―いちごのシロップから梅干しまで』が文化出版局さんで重版されたこともあって、人気が再沸騰している感じです。お母さんや、おしゅうとめさんから受け継いだ知恵に、創意を加えて料理本を集成される方というと、現代では、栗原はるみさんが代表格ですね。ムックを買い損ねた方たちが、復刊を希望されているリクエストがあがっています。ベーシックな素材に独自の創意を閃かせるということでは、有元葉子さんがあげられますが、僕が個人的に一番好きな本は『娘に贈るわたしのレシピ』、これも料理を娘に伝える、という、受け継ぐこと、が主題になっていますね。単にレシピを説明するだけではなく、家庭料理とはなんぞやのスピリットがこめられているところに家庭料理本の世界の奥深さはあります。一方で、丸元淑生さんのハードボイルドな一人料理の世界なんかもドキドキします。料理本の話は尽きないので、また別の機会にでも。

■『クッキング』復刊特集ページ ※マドモアゼルいくこさんが人気ですよ。

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2008年8月28日 (木)


夕陽が照らしているからね♪

ディレクターの、ともおです。

先日、下北沢でKKP公演(小林賢太郎プロデュース公演)の『triumph』を観てきました。ついこないだ、三軒茶屋で小林賢太郎ソロプロジェクトの『Drop』を観たばかりだと思っていたら、あっという間のことで、その短い期間に舞台の作・構成、演出、出演をこなし続ける小林賢太郎さんの創意には驚くべきものがあります。瞬殺の薄氷を踏むがごときチケット争奪戦を勝ち抜かねば観られない小林賢太郎さんの公演を、続けて観られたのはラッキーだったのですが、願わくば最大の難関、肝心要のラーメンズ本公演をなんとか勝ち取りたいと思うところです。というわけで、巷では小林賢太郎さん+片桐仁さんのラーメンズ人気大爆発ですが、復刊ドットコムでも600票近い復刊リクエストを集め、エンターテイメントジャンルのトップ得票を独走しているのが、あの『ラーメンズかるた?』なのです。この商品、元の定価は約4,000円なのですが、オークション等では数万円の値段がついて取引されている状態です。できれば正価に近い値段で、欲しい人が入手できる状態を実現したい、という思いを復刊ドットコムは持っていて、鋭意、復刊してもらえる可能性の調査を行っておりますが、未だ、もどかしい足踏み状態が続いています。なにせ、現物がレアで入手できていなくて、情報に乏しいというのが実情です。元々の発行元さんにお願いして、復刊が可能かどうか、お願いすることが第一なのですが、まだその中核にすら辿り着けていない状態です。権利の関係もありますし、書籍ではなく、かるた、という商品特性の問題もあります。このあたり、多々クリアをしながらお願いを続けていきたいとは思いますが、なかなか難しい状況です。本件、ご協力いただける方がおられましたら、情報の提供をどうぞ宜しくお願いいたします。

小林賢太郎さんのソロプロジェクトに登場する「アナグラムの穴」では、言葉遊びの感覚に溢れた見事なカードさばきが披露されています。かるた?の概要がわかっていないので、なんなのですが、ああした作品を見ていると、かるた?に対しての期待が高まってしまいますね。個人的にもファンではあるので、少しでも先に進められたら良いなと思っている案件です。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月27日 (水)


お米屋さんで売ってます。

ディレクターの、ともおです。

プラッシーは、お米の研ぎ汁から出来ている、というのは都市伝説ですが、これは、プラッシーがお米屋さんで販売していた飲料だからこそ派生したデマですね。僕が子どもの頃、お米を買うとクーポン券をもらえて、それが貯まるとプラッシーと引き換えられるというサービスがありました。・・・などと、書きはじめてみたものの、昨今は「お米屋さんで米を購入する」こと自体が稀になっているのではないかという懸念があります。それ以前に「米を研ぐ」という行為が、無洗米の拡大で減ってきているのではないか、という気もします。そもそもプラッシーって一体、なんですか、という人も多いはずです。プラッシーはジュースです。ミリンダほどマイナーではないものの、あの時代とともにあった飲み物ではないかという印象です。しかしながら、昨今の復刻ブームは、いろいろな商品に光を当てるもので、過去の飲み物とはいえ、なかなか侮れないところではあります。プラッシーも生誕50周年だそうですが、新装版も登場しているんですね。ほお、という感じです。

視覚よりも、味や匂いや感触で記憶を遡らされることはあります。あのマドレーヌの故事を引き合いに出すまでもなく、そうした刺激で、突然、感覚だけトリップしてしまう瞬間を迎えることがありますね。最近、復刻パッケージの食物を多く見かけることがあるのですが、「味」も本当に、そのままなのだろうか、と食べてみたいような、ちょっと恐いような気もしています。三角パックの牛乳は、昨今はプラパックになっていますが、やはり、あれも紙のヤツだったら、その触感で過去にさかのぼれるのではないか、という気もしてしまうのです。過去の感覚とのシンクロで時間を越える。タイムスリップの方法論としては、ジャック・フィニィ的です。復刊ドットコムという運動体は過去に目を向けるだけのものではなく、その本が現在にも生きる価値があるということを見出そうとするものです。ただの回顧だけに終わらない復古がここに実現することが理想です。古きを知ることで、今ある世界のまた違った新しさを感じられるようになるのではないか、そんなふうに思っています。

投稿時刻: 午後 01:31
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2008年8月26日 (火)


こんなとき忍者ならどうする?

ディレクターの、ともおです。

リクエスト、PV(閲覧数)の上昇で、復刊ドットコムスタッフも注目していた『万川集海』ですが、ようやく概要がわかり、情報提供できる状態になりました。『万川集海』は、徳川四代将軍家綱の時代に、藤林保義によって書かれた忍術の諸流を集大成した書物です。藤林氏は、百地・服部両氏とならぶ伊賀忍者の名家であるわけですが、ただ藤林氏の住まいは甲賀境に近く、甲賀側では、藤林保義は甲賀であると主張されているそうです。つまり、この『万川集海』は両派共通の秘書なのだということのようです。こちらの写本は現代にも残され、その復刻版が刊行されています。この本、江戸時代に書かれたものですから文章は漢文です。カナ混じりで、読み下しやすいものなので、多少の漢文と古文の素養があれば読めるかも知れませんが、辞書首っ引きになる覚悟は必要です。さて、この本を、一般の人にもわかりやすく、現代語訳のポケット版にしたものが、1971年(昭和56年)に刊行されていました。当初の構想としては、以下の八巻で刊行され、『万川集海』の全容を伝える「予定」だったようです。

『現代語 万川集海』全8巻 監修 石田善人 B6版 並製本
第一巻 総論篇 
第二巻 正心篇
第三巻 将知篇
第四巻 陽忍篇*
第五巻 陰忍篇*
第六巻 天時篇
第七巻 忍器篇*
第八巻 別巻軍用引

ところが、実際に刊行されたのは、四巻、五巻、七巻のみだったのです。つまり、このリクエストは絶版になった部分と、未刊行の部分とを合わせて「全八巻で刊行して欲しい」という希望だったのですね。今回、発行元の誠秀堂さんとコンタクトをとらせていただき、諸事情をお伺いいたしました。刊行途中で途切れてしまったものの、全巻として発行したいご意志はおありになるようなのですが、監修の石田善人さんも鬼籍に入られており、難しい状況のようです。復刊ドットコムでの人気が更に高まれば、ひとつのムーブとして山を動かせるのではないか、とも思うのですが(少なくとも既刊の絶版になっているものの復刻等には結びつけられるのではないかと)、忍者ファンの方たちの力が結集されることを期待しております。

さて、今回、このような形で、誠秀堂さんとお話をさせていただき、現在、在庫があるものを、復刊ドットコムの忍者ファンの皆さんに販売させていただく好機を得ました。甲賀の里、忍術村で販売されている、誠秀堂さんの『万川集海』関連本、及び、忍術に関する本を、ここで一挙にご紹介します。在庫に限りもございますので、お早めにどうぞ。


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『万川集海』第四巻 陽忍篇
※現在、唯一入手可能な『現代語訳 万川集海』の一冊です。
監修:石田善人
訳 :柚木俊一郎
定価:1,029円(税込)。
ちなみに、古書相場は1万円近い現状です。



                    

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『萬川集海 原書復刻版』

萬川集海の残された写本のうち、保存状態の良い「大原勝井家」本を元に復刻された豪華限定本です。
外 函:B5判変形クロス張り
本文冊:B5判変形 和装本仕立10帖、和紙袋綴、解説書1冊(別巻、軍用引)
定価:89,250円(税込)


Photo_15 『甲賀の歳月』
著者:柚木踏草
内容:古い甲賀地方の記録や伝承民話を収集し年代順に記事を整理。壬申の乱、南北朝、戦国時代、を生き抜いた甲賀の歴史。甲賀武士が武術を練り、安土桃山時代に完成した甲賀流忍術。万川集海現代語訳の訳者、柚木俊一郎氏のご尊父、踏草氏が記す甲賀武術史です。
定価:4,200円(税込)

                     

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『老談集』

形 状:巻物(一巻)
内 容:『万川集海』を記した藤林保義の祖先である藤林保豊に忍術を伝授された、武田信玄の軍師として知られる山本勘介が伝えたとされる秘術書「老談集」。この巻物には幕末に集成された「老談集」から抜粋された忍具の図版が掲載されています。
定価:10,500円(税込)

ということで、お宝を一挙に大公開という感じです。発送は9月中旬を予定しておりますが、この機会に、貴重な忍術関連書をご入手いただければ幸いです。『現代語訳 万川集海(陽忍篇)』をお借りして、こちらでも拝見しているのですが、素人の僕が読んでみても、なかなか興味深い内容です。陽忍とは、謀策、計略の知恵と思慮をもって、その姿を顕しながら敵中へ入り込む術を言うそうです(陰忍とは姿を隠して忍び込む術です)。その中で用いられる妖術(変装術かな)では、化ける際には、形だけではなく、いかにその真相に近づくべきかというような記述があります。虚無僧に化ける時には『尺八を良く習い、禅話を学ぶべき』とか。時代劇では良く見ますが、本当に虚無僧に化けたのですね。親しき者同士でも忍者であることをけっして口にしていけないのは、乱世にあっては、いつ誰が敵となり味方となるかわかないからであるとか。常に名と芸を深く隠せ、など、老子や孫子なども引用して、その心構えが説かれています。まるで『葉隠』『風姿花伝』を読むような感覚ですが、現代にも通じるところがあるかも知れない「忍者道」を習得できるかも知れませんね。いや、今回は、なかなか面白いものを紹介できました。これも、復刊ドットコムに皆さんが寄せてくださった反響のおかげなのです。

■ 『忍者』復刊特集ページ

投稿時刻: 午後 03:18
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2008年8月25日 (月)


シビレちゃった、シビレちゃった。

ディレクターの、ともおです。

「ハナ肇とクレイジーキャッツ」は、昭和のエンタメ史を語る上では避けて通れない名前です。しかし、メンバーもご存命の方が少なくなってしまい、ちょっと寂しく感じていたところでした。昨年、植木等さんが亡くなった時に、植木さんがご自身のお父さんについて書かれた『夢を食い続けた男』という本(名著と言われているようです)の、復刊ドットコムのリクエストページにPV(閲覧数)が多数集まりました。訃報が届くと、ネット検索をされて復刊ドットコムに辿り着かれる方たちも多いのですね。いつも起こる現象ですが、皆さん、いろいろな形で故人を偲ばれるようです。ミュージシャンであり、コメディアンの素養も持ったクレイジー・キャッツのメンバーたちは、その後、俳優として多彩な活動をされていますが、やはり、本業の「音楽活動」には注目したいところです。今度、クレイジーキャッツ、及び、植木等さんのLP時代のレコードが、紙ジャケ復刻版で初CD化され、生産数限定でリリースされるとのこと。ファンの方は是非、ご注目ください。

・『クレイジー・キャッツ・デラックス(紙ジャケット仕様)』(クレイジー・キャッツ)

・『クレイジー大作戦(紙ジャケット仕様)』(クレイジー・キャッツ)

・『新録音盤(紙ジャケット仕様)』(クレイジー・キャッツ)

・『ハイお呼びです!!(紙ジャケット仕様)』 (植木等)

・『女の世界(紙ジャケット仕様)』 (植木等)

僕は、全盛期のことはリアルタイムでは知らないのですが、それこそ『若い季節』から『会社物語』まで、クレイジーキャッツの出演作品を随分と映画で見た記憶があります。無論、高度成長期の愉快な映画も楽しいのですが、市川準監督の静かにハードな『会社物語』なんて何度も繰り返し見てしまいました。遺されたアーカイブから故人を偲ぶ、なんてことはやめて、パーッといきましょう、てな感じですね。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月24日 (日)


あの寺山修司のサンダルが!

ディレクターの、ともおです。

今年は寺山修司没後二十五周年です。もう二十五年も経ってしまったのかと驚くとともに、四半世紀という時間が、人を伝説に変えてしまうのだなあとしみじみ思ったりもしています。森茉莉さんも、田中小実昌さんも、林家三平師匠だって、70年代に活躍したトリックスターたちは、生前のイメージと死後の評価がかなり異なっているような気がするんですが、経年というフィルターを通して濾過されたものが、実は実相だったりするのかな。人が死して遺すものとはなんなのか。まあ、そんなふうなことを考えるこの頃です。

というようなわけで、アニバーサリーでもあるので、このところ寺山作品の復刊が続いていますね。戯曲『毛皮のマリー』や『あゝ荒野』が再版されるなどの報も届いています。僕が小劇場演劇を見はじめたのは高校生の頃で、世代的には小劇場演劇第三世代隆盛の、第一世代ギリギリの時期でした(それこそ唐十郎氏が追悼寺山修司的に書かれた『ジャガーの眼』が状況劇場の初見だったりするぐらいなので)。結局、未見のままに終わった寺山氏の劇団「天井桟敷」の名前には、レジェンドとしてかなりの憧憬を抱いていました。ご多分に漏れず、十代後半に活字の上で寺山修司にどっぷりと浸り、大いに影響を与えられた口ですが、八十年代というのは逆に寺山本が入手しずらい時期でもあり、現在の方が手に取りやすいのではないかと思ってしまうぐらいです。それはつまり、ずっと評価され続けているということなんですね。いや「寺山修司とは何か」というのは、ここで語るべきテーマとしては大きすぎて、手にあまるところですので、また機会がありましたら。角川文庫の寺山選集も、いつの間にか林静一さんの装画ではなく、あの噂の文学少女、華惠さんになっているのでした。これも時代ですね。うーむ。

■ 『寺山修司』復刊特集ページ

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2008年8月23日 (土)


メルマガ予告(8/27号)!

ディレクターの、ともおです。

メルマガ製作準備中です。前号は、やはり早川書房さんの特集の反響が大きかったです。復刊リクエストを集めていた復刊本でのだんとつ人気は、フレデリック・ブラウンの『天の光はすべて星』でした。実は、僕はフレデリック・ブラウンは未読だったので、是非、読んでみたいと思っていました(『火星人ゴーホーム』も『天使と宇宙船』も評判が良いので、何から読もうか迷うところです)。早川書房さんの『SFハンドブック』を座右の書にしており、ことあるごとに参照しています。この本から教えてもらった作品で、随分と楽しい読書時間を持つことができました。SFはトリップできますね。ときどきSFを読みたくなる時期があって、またこの本を首っ引きで探すのですが、いやSF世界は、とても広い大海で、片っ端からというわけにもいかず、復刊ドットコムでの人気を目安に本を探すことも多いのです。優れた名作であっても、品切・重版未定になっていることは多いもので、そうした意味では、復刊ドットコムを皆さんの本探しの指針にしていただけると嬉しいなと思います。復刊リクエストはなかったものの、『時計じかけのオレンジ(完全版)』も人気が高かったですね。キューブリック監督の映画の原作としても有名な作品ですが、最初にアメリカで発行された版は、作家の意思に反して最終章が削除されてしまっていたらしく、これまで日本で刊行されていた文庫本もその版の翻訳でした。今回、最終章を加えた形での文庫版の刊行ということで注目が集まっています。僕は中学生の時にあの映画を見て、あまりの内容に相当なショックを覚え(今だったらR16指定とかなのではないのかなあ)、すかさず原作も手にとった記憶があります。最終章がつくとかなり印象が変わるというのですが、どうなのでしょうね。早川書房さんの復刊フェアがなかなか好評なところですが、東京創元社さんのミステリー系の復刊の報も入ってきておりますので、これもまた紹介をしていきたいと思っております。

さて、来週のメルマガは、300票を越えるリクエストを集めていた本の復刊のお知らせ&予約開始をお伝えできるのではないかと思っております。現在はない出版社さんなので、ブッキングからの復刊になりますが、編集部が鋭意製作中です。9月にはお届けできる予定も立っています。ということで、是非、ご期待ください、って、なんの本なんだ一体、という感じですが、進行上、発表がもうちょっと後日になるので、いましばらくお待ちください。そして、日本児童文学ファンタジーの金字塔『光車よ、まわれ!』がジャイブさんから文庫化されたことを記念しまして、天沢退二郎特集をお送りします。『光車よ、まわれ!』については、詳しくはこちらをご覧ください。ファンサイトなどでも今回の新装文庫化については、賛否両論のようですが、まずは現物を手にしてから、何度も甦る名作『光車よ、まわれ!』の時代に負けない真価を感じとっていただければと思います。それから、童心社さんの絵本「若い人の絵本」シリーズのご紹介です。このシリーズ、半数以上が、いわさきちひろさんの絵によるものです。現在人気の絵本画家である酒井駒子さんにも影響を与えたであろう、淡い色彩とデリケートなタッチで子どもたちを描き、昭和を彩った、いわさきちひろさん。宮沢賢治、小川未明、樋口一葉などの名文と美しい絵のハーモニーを是非、ご堪能ください。中でも小川未明の『赤い蝋燭と人魚』は、ちひろ絶筆の本とのことです。ちなみに、ちひろ美術館では10月から原画展も行われる模様です。大学生の時だったか、デパートの催事で、いわさきちひろ展を見て、何がツボだったかわからないのだけれど、途中で涙がとまらなくなってしまい困ったことがあります。未だに理由不明です。更に、今回、このシリーズの、小川未明童話に茂田井武さんの絵による『野ばら』が復刊されます。もとは1954年に新潮社から刊行された本を、童心社さんが復活させ、その後、また絶版状態になっていた本です。山本夏彦さんが、親しかったという茂田井武さんについて触れられている解説がついておりますので、山本夏彦さんのファンの方にも是非、おすすめしたいところです。ということで、こんな感じでお送りする予定の8月最後のメルマガ。ようやく涼しくなってきて、やっと一息つけるかな、という感じです。そろそろ、本を読むにも良い季節になります。復刊ドットコムのメルマガ【復刊info】でユニークな本の情報をゲットしてください。登録は以下から。是非、ご覧になっていただければ幸いです。

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2008年8月22日 (金)


新井素子さんを囲むお茶会の叫び

えっと、ディレクターの、ともおです。

高校生SF作家としてデビューした新井素子さんも40代の坂道を下りつつあるこの頃。1970年代後半から80年代に精力的に活躍された新井先生ですが、今年、作家生活30周年を迎えられ、ここ数年は復刊や再刊が続き、現在の若い読者にも手にとりやすい状況にあるのではないかと思っています。一部に「ライトノベルの祖」として語られることも多い新井先生ですが、ライトな文体とSF的世界観を融合させた作風の系譜は、岬兄悟さんや、菅浩江さんをすっとばして、現在、人気の有川浩さんに受け継がれている気がします(有川作品を読んでいると新井素子テイストを感じますね。最近、新井素子さんが、有川作品の解説も書かれていたようです)。さらに新井素子さんには、なんだろう、読書的教養や、不思議な趣向性など、ご本人のパーソナリティーが作品と混ざり合っていて、そうした床しさが、新井素子という宇宙を、構成していたような気もするのです。なので、熱狂的な固定ファンは多い。実は復刊ドットコムの中でも、ユーザー支持率、第11位の作家さんであり(ちなみに12位が谷山浩子さんというも親和性のある話で)、復刊リクエストが結実して、ブッキングで『季節のお話』を復刊(あとがきには、なんと新規書き下ろしを収録)させていただいた経緯もあり、復刊ドットコム、イチオシの作家さんなのです。

そんな新井素子さんが、SFの夏を彩る日本SF大会で、イベントを行われますので、応援告知をします。

47回日本SF大会「DAICON7」にて、
・ 新井素子さん&眉村卓さん によるトーク企画『モトコの碁』が開催されます。
日時:2008年8月24日 午前10時~
※ 同日、新井素子さんを囲む「ちいさなお茶会」もあるとか。

そして、復刊の方では、ついに、あの『『ひでおと素子の愛の交換日記』が改版で登場します。新井さんが、まだ大学生だった頃、あの懐かしい、バラエティ(角川書店)という雑誌に連載されていた、吾妻ひでおさんとのコラボ日記です。結構、時代感覚あふれる内容だったので、今読むとどうなのかな。さて、復刊ドットコムの現在の新井素子作品のリクエスト状況ですが、未復刊でトップを飾っているのは『ぬいぐるみ殺人事件』(600票)です。これもまた懐かしい「漫画の手帖」に掲載されたリレー漫画を単行本化したもの。冒頭を、新井素子さんが書かれています(イラストは、ふくやまけいこさんでしたね。この単行本、ふくやまさんの描き下ろし表紙がとても良いのです。リレー漫画ならでは無茶苦茶なストーリー展開でしたが)。あのマニアックな漫画家メンバーに混じっても違和感がないところが、新井素子さんならではですね。つづいて『星へ行く船』の続編である『星から来た船』(142票)です。コバルト文庫時代の作品もアニバーサリーで復刊してもらえると嬉しいのだけれど。個人的にお薦めとしては、一風変わったビルディングロマンですが『二分割幽霊奇譚』か、「新井素子」のインナースペースを描く『・・・絶句!』ですね。ちょっと懐かしすぎるかな。ファンの皆さんは、是非、投票状況もご覧になってください。

■『新井素子』復刊特集ページ

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2008年8月21日 (木)


真夜中のカウボーイ・ビバップ

ディレクターの、ともおです。

西暦2000年にTV放映されていたサンライズアニメ『カウボーイ・ビバップ』は、21世紀末を舞台にしたSF作品でありながら、あの影のある渋い雰囲気が数多くのファンを魅了し、今でも絶大な人気を誇っています。このたび、2010年にハリウッドで実写映画化という報が届き、ますますその人気は続くことになりそうです。魅力のひとつには、人気の作曲家、菅野よう子さんらが担当した、ジャズを基調にした音楽があげられます。これがなかなかカッコ良くクールで『カウボーイ・ビバップ』の世界観を支える大きな要素になっています。復刊ドットコムでは、この作品の音楽のバンドスコア(バンド用譜面集)に700票を超えるリクエストが集まり、発行元のムービックさんとの共同復刊企画でCOWBOY BEBOP BAND SCORE Three,Two,One,Let's Jam!の復刊が実現しました(復刊ドットコムほぼ専売で、在庫まだあります)。とまれ、非常に人気の高い作品であり、その音楽も評価されているのですよ。

『カウボーイ・ビバップ』は、サイバーパンク風のダークな未来世界を舞台に、賞金稼ぎの男性二人組を主人公にした物語です。無頼のアウトローたちのクールな仕事ぶり。舞台を未来に移しているものの、通底する感覚は最初にアニメ化された際の『ルパン三世』ですね。更にあのイメージの原典をたどっていくと、ギャビン・ライアルの冒険小説『深夜プラスワン』であるとか、アメリカンニューシネマのいくつかの作品にぶつかるような気がします。共通するのは、主人公とはタイプの違う、寡黙な「相棒」とのコンビネーションです。復刊ドットコムでも静かに票が集まっているテリーホワイトの『真夜中の相棒』もそうですね。このあたりの作品の匂いというのがわりと好きなのですが、調べてみると、こうした作品は「バディ(相棒)もの」と総称されているようで、それぞれの個性と、その個性同士が関わるところに生まれる「関係性」の散らすスパークを愛するファンが多いジャンルのようです。信頼、反目、嫉妬、友愛、尊敬、愛憎、のような様々な思惑が、口数の少ない会話と沈黙のうちに語られていくところに「バディもの」の妙味はあるのかも知れません。

■ 『カウボーイ・ビバップ』復刊特集ページ

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2008年8月20日 (水)


イライラの衣良と申せましょう。

ディレクターの、ともおです。

大島弓子さんの『グーグーだって猫である』が実写映画化されたとのことで、もうすぐ公開となります。しかし、これを純粋に楽しみにしている大島弓子さんのファンはどのくらいいるのだろうか、と、いきなりキラーなことを書き始めましたが、これまでにも何作か大島弓子作品の実写映像化はあり、果たして、原作以上にファンに支持された作品はあったか、というのは疑問として残るところです。無論、広い層向けに作られている映像作品ではあるので、原作とはまた違った趣もあり、原作ファンだけにおもねるところのものではないのだと、擁護したいわけですが、まあ、原作の作品世界が非常に繊細なものだけに、難しいですね。映画化作品だと『四月怪談』『毎日が夏休み』金髪の草原』、TVドラマだと『秋日子かく語りき』などが、実写化されているわけですが、果たして、今度、公開される『グーグー~』はどんな出来なのでしょうか。物語作品ではなく、エッセイ漫画が原作ではあるので、大幅に手が加えられているのだろうし、大島弓子作品がいろいろと作中で登場する、らしいので、むしろ大島弓子作品ガイド的なニュアンスもあるのでしょう。ということで、今度、角川さんから、発行される、こちらの本をご紹介します。

『大島弓子セレクション セブンストーリーズ』 (8月末発売)

内容:(出版社HPより)
大島弓子原作の映画『グーグーだって猫である』(2008年)の劇中に登場する、『綿の国星1』『バナナブレッドのプディング』『8月に生まれる子供』など大島作品7本を完全収録。

代表作品を収録したアンソロジーですね。他に何が入っているんだろう。『秋日子かく語りき』 がドラマ化された時にも記念的に本が刊行されましたが(この本には『わたしたちができるまで』に収録されていた吉本ばななさんから大島さんへの一問一答インタビューが再録されています)、実写化があるとこうしたイベント的な刊行があって嬉しいですね。『CREA』の今月号が読書特集ですが、中に、『グーグー~』映画化で主役を演じる小泉今日子さんと共演の上野樹里さんが大島作品を語る、という対談がありました。小泉さんは、ヘビーな大島弓子ファンで、小さい頃から何度も大島作品を読み返してきて、自分なりの確固たる解釈があるので、もし普通の大島作品の実写化であるならこの仕事は引き受けなかっただろうと言われています。どうやら本を読むのが苦手らしい上野樹里さんに小泉さんが薦めたのは、以下の5作品。現在、絶版中のイラスト詩集『小幻想』、あとは入手可能な白泉社文庫の『ダリアの帯』 『つるばらつるばら』 『ロストハウス』 『ロングロングケーキ』 。少女マンガ度の強くない後期の作品をあえて選んだというチョイスですが、これは、男子の自分なども、すんなりと「読めた」、というか、かなり好きな作品のラインナップですね。たしか『ダリアの帯』は、よしもとばななさんもベストに選ばれていた作品です。大島弓子作品をなかなか手にとれない男子の方も、まずはとりあえず、読んでみるべしです。

復刊ドットコムでは、これまでにも青池保子さん、萩尾望都さん、山岸涼子さんなどの、現役にしてレジェンドの少女漫画家作品の復刊を実現してきました。同世代である大島弓子作品にも、ファンの皆さんが沢山、集まっています。是非、どんなリクエストが集まっているか、ご覧になってください。

■ 『大島弓子』復刊特集ページ

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2008年8月19日 (火)


伊藤文学さんがイベントを開催されます。

ディレクターの、ともおです。

復刊ドットコムとは浅からぬご縁のある伊藤文学さんがイベントを開催されます。

『どんなお宝がとび出すか! 伊藤文学のコレクション展』
開催日:2008年8月22日(金)~9月2日(火) 12:00~21:00
場 所:ONE LOVE BOOKS 東京都世田谷区下北沢2-1-3

復刊ドットコムは、あの一代ブームを巻き起こしたコミック、山川純一さん(ヤマジュン)の『ウホッ!いい男たち』の刊行に際して、発行元である伊藤文学さん主宰の第二書房のお手伝いさせていただいた経緯から、ご友誼をいただくことになりました。昭和、裏出版界の伝説の巨人。男性同性愛誌として知られる『薔薇族』の創設者にして編集長、伊藤文学氏。伊藤氏が書かれた本を何冊か拝見しているのですが、一番最初に『薔薇を散らせはしまい』という、素敵すぎるタイトルの本を読んだ時の衝撃はとても大きかったですね。あえて口さがなく、ズバリ言ってしまって「ホモのエロ雑誌」であるところの『薔薇族』。そこに連載されていた伊藤文学氏の二十二年にわたるエッセイを集成した本書は、異端者であるがために辛い思いをしている「読者」たちを擁護し、真摯な言葉を掛け続ける、こんなに温かくも優しい「編集後記」があったのか、と驚くばかりの一冊でした。読者からの手紙が数多く紹介されているのですが、同性愛であることを隠し続け、孤独に生きてきた人たちがこの雑誌を発見し、この雑誌のもとに集っていく様は、ちょっと感動的ですらありました。まだネットがなく、遠隔地にあってマイナリティーであるための孤独に苛まれ、また同性愛者であるがゆえに迫害されてきた「読者」たち。彼らを慰める優しさや、とくに80年代中盤以降は、エイズの問題がクローズアップされてくるため、強く無軌道な性行為を叱咤し、警鐘を鳴らし続ける姿勢。誰かを励ますことの力強さが伝わってくる本です。文章は限りなく優しく、人が人を思いやることの美しい力に満ち溢れていて、理由は不明なのですが、なんだか勇気がわいてきます。この伊藤文学氏のイベント、8月23日(土)にはオープニングパーティーも開催されるそうですので、皆さんも、是非、お出かけになっていただければ幸いです(僕も、行ってみようかとは思っております)。

藤野千夜さんの芥川賞受賞作『夏の約束』の中で、主人公(の一人)が同性愛者であることが発覚して会社の男子寮を追い出されるくだりがありました。失笑とともに「ホモがバレた」と乱暴に混ぜっ返されてしまうような事件なのですが、決してコミカルなエピソードではありません。ご自身もトランスジェンダーである藤野千夜さんの作品には、「異端の人たち」が、違和感のある世界を漫然と受け入れながら、淡々と生きている様が描かれています。当事者にとっては一大事のはずなのに、真正面からの攻撃を、ゆるやかにいなすような感情の機微が微妙です。ごく一部分の嗜好は異なっていても、それ以外は、普通の人と同じ、普通の感覚があるがゆえに、自分が普通ではないことの世間とのきしみを、普通以上に感じているではないかと想像してしまうのです。藤野作品の軽妙な語り口と、希薄さ、の裏にある、語り得ない余白にこそ文学的余韻は響いているのだとはいえ、悲痛な思いを抱えて日々を生きる人たちの、静かな諦念や、内面の葛藤みたいなものは、もう少し言葉として聞いてみたいような気もしていました。一方で『ウホッ!いい男たち』には、そうした同性愛者の陰りが一切ない、あけっぴろげで解放された楽天的な世界が展開されています。ゲイコミックである本書は、常識を超越した破天荒な展開と、想像を絶するあからさまな性描写に、度肝を抜かれたまま硬直状態に陥ってしまう衝撃の一冊です。山川純一描く端正な「いい男」たちが謳歌する「歓びの世界」には、後ろ暗さなど皆無。さあ「このコミックの中に集まろう」、その時、世界はどんな輝きを持って貴方のたましいを解放するのでしょうか。とはいえ、絶賛発売中ですが成人指定ですし、やはり、一部の嗜好の方にしかおすすめできないことはお断りしておきます。

■『山川純一』 復刊特集ページ

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2008年8月18日 (月)


文学と少女と

ディレクターの、ともおです。

8月13日は、作家、福永武彦さんのご命日でした。かつては文学少女が耽溺して、マストで押えている作家さん、というイメージでしたが、昨今はBL上級生たちが『草の花』『夢見る少年の昼と夜』あたりをレジェンドとしてチェックしている感じでしょうか。「文学少女」と「少女文学」の社会史、という題で長めの論文も書けそうですが、忙しい会社員としては退職後の愉しみにとっておきます(ところで、この頃はケータイ小説論が沢山出版されていて盛んですね。作品論というよりは文化論になっているみたいですが)。さて、同じ8月13日にSDP文庫の創刊イベントがあり、ニュースになっていたのでその存在を知りました。大手芸能事務所であるスターダストプロモーションの関連会社、スターダストピクチャーズは話題作(「フラガール」「タイヨウのうた」「嫌われ松子の一生」「子ぎつねヘレン」、そして「デトロイト・メタル・シティ」など)を続々製作されている会社として有名ですが、SDP出版として、出版活動も行われています。そのSDP出版が創刊された文庫は、トラッドな「文学」だったのです。ポイントは人気の美少女タレントによって表紙と巻頭グラビアが飾られたものであること。出版社HPによると『文学作品とイメージショットを融合させた、文庫の新しいかたちです。 文学への親しみ、文学を理解する楽しさを伝えることで、読者に文学への興味を持ってもらうことをテーマに創刊』されたものだそうです。著者が没して50年以上たった著作権保護期間が切れた作品を各社が趣向を凝らして発行されることはままあります。同じ『伊豆の踊り子』でも、集英社版はこうだし、新潮社版はこうとか、話題の『蟹工船』も、新潮社版はこうで、今度刊行される角川版はこうです。多くの出版社から刊行されている『注文の多い料理店』に参入するSDP文庫はこうなんですね。モデルは、テレビでも良く見かける夏帆さん。細かい収録作品までは不明なので、果たしてイメージにあっているかどうかわからないのですが(賢治作品は少年のイメージですよね?)、少なくともタイトルの『注文の多い料理店』には距離がありますね。SDP文庫の四作品で『たけくらべ』だけは、女の子が表紙でも違和感はないのですが他は難しいかな。それとも、こうした「文学少女」が読むイメージを小説に付加している感じでしょうかね。これしかない、のではなく、こういうものもある、というバリエーションが増えたわけなので、本を手にとってもらう機会が増えるのは良いかなと思っています。

大正期、昭和初期の少女雑誌では、美少女画+抒情詩というのは、お決まりのコンテンツで、詩画集なども多く作られ、竹下夢二や中原淳一などの抒情画家がスターだった時代もあります。そうした意味での「少女趣味」的なるもの復権、とは、これは完全に別次元なんだろうけれども、なにか新しいハーモニーが生まれたら良いなと思いますね。ところで、福永武彦さんについて経歴を確認していたら、長男の池澤夏樹さんの娘さん、つまりお孫さんの池澤春菜さんは声優として活躍中なのだとか。漫画家のしまおまほさんが、島尾敏雄さんの孫、というのもビックリしましたが、色々とありますね。

■ 『福永武彦』特集ページ

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2008年8月17日 (日)


ふたつの『アンドルー・ラング童話集』

ディレクターの、ともおです。

民話昔話を採集、整理し、本のかたちで出版された学者や文学者たちの偉業が数多くあります。口頭で伝わってきた「お話」を人から聞き出す、「採集」という作業の大変さは想像に難くないところです。まさにフィールドワークのたまものですね。中国映画『黄色い大地』は農民たちが謡いついできた「民歌」を採集するよう命じられた青年のお話でしたが、なかなか彼に心を開かない農村の老人から、最後に歌を教えてもらえるようになるまでのプロセスが感動的で、また、その娘との交流が静かに描かれた傑作でした。イエイツも柳田国男もそんな苦労を沢山したのかしらんと考えてしまうところです。復刊ドットコムでリクエストを集め、復刊されることになった『世界の民話館』(全10巻)はルース・マニング・サンダーズ氏によるものですし、シャルル・ペローやジェイコブズ、それこそ代表格のグリム兄弟などの童話集も思い出されます。更に採集された民話を、編纂して紹介される文学者たちの努力があって、スタンダードな「昔話よみもの」が形成されていったという過程は興味深いところですね。子どもの頃は、創作童話と収集童話の区別もついていなかったのですが、やはり語り継がれてきた本物の昔話のパワーには、より突き動かされるものがあります。民衆の共同幻想云々などと分析的なことを言い出す前に、まずは、そのネイティブなパワーに触れることをお薦めします。さて、本日は話題の『アンドルー・ラング童話集』について、現在、二社から刊行されており、その違いがとても「わかりにくい」というご意見が多々ありましたので、少し説明させていただきます。

英国の古典学者、民俗学者であるラング氏により、『あおいろの童話集』他、それぞれ色の名前が冠された『童話集』は、世界各地の伝承や作者が特定できる童話も含めて収集再話されて編纂されました。1889年、ヴィクトリア時代の英国で刊行がはじまったもので、1910年までに12冊の童話集が出版されています。日本では1958年に川端康成閲、野上彰訳で、東京創元社から全12巻で刊行され、その後、1963年にポプラ社から28話が追加されて全15巻で刊行されています。元の東京創元社版に準拠して、それを更に再編纂したものが、1977年に偕成社から偕成社文庫で刊行されています。復刊ドットコムでは、このポプラ社版と、偕成社文庫版に復刊のリクエストをいただいておりました。

2008年1月より、東京創元社から、新たに『アンドルー・ラング世界童話』(全12巻)の刊行が始まりました。気鋭の若手翻訳者たちによる訳と、『魔法使いハウルと火の悪魔』などの翻訳でも知られる西村醇子さんの監修で、新訳・新装丁での作品となりました。復刊ドットコムでは、この本の刊行時に新装復刊として上記のポプラ社版、偕成社版の投票者の皆さんにご案内をさしあげています。一方で、2008年5月から、偕成社文庫から、アンドルー・ラング童話集の「改訂版」での刊行が始まりました。ただし、内容はもともと刊行されていた川端康成・野上彰版です。復刊ドットコムでは、こちらの作品については、混乱を避けるため、これまでご案内をさしあげておりませんでした。整理すると以下のようになります。

■東京創元社版

翻訳:西村醇子監修、田中亜希子、宮坂宏美他、十三名の翻訳者。
挿絵:英国での最初の刊行時のものを収録(ヘンリー・J・フォード他)
編集:原書タイトル(色)の中の収録作品から選択し、同タイトルの日本語版とする全12巻。

刊行順:
①あおいろの童話集(刊行中)The Blue Fairy Book
②あかいろの童話集 (刊行中)The Red Fairy Book
③みどりいろの童話集 (刊行中)The Green Fairy Book
④きいろの童話集 (刊行中)The Yellow Fairy Book
⑤ももいろの童話集(刊行間際) The Pink Fairy Book
⑥はいいろの童話集 (2008年9月刊行予定)The Grey Fairy Book
⑦むらさきいろの童話集 (2008年11月刊行予定)The Violet Fairy Book
⑧べにいろの童話集 (2009年1月刊行予定)The Crimson Fairy Book
⑨ちゃいろの童話集 (2009年3月刊行予定)The Brown Fairy Book
⑩だいだいいろの童話集 (2009年5月刊行予定)The Orange Fairy Book
⑪くさいろの童話集 (2009年7月刊行予定)The Olive Fairy Book
⑫ふじいろの童話集(2009年9月刊行予定)The Lilac Fairy Book

■偕成社文庫版(改訂版)

翻訳:川端康成監修、野上彰翻訳。
挿絵:佐竹美保、西村香英ら日本人イラストレーターによる新規描きおろし。
編集:日本独自の編集による全12巻(原書とは違うランダムな構成)。

刊行順:
①みどりいろの童話集 (刊行中)
②ばらいろの童話集 (刊行中)
③そらいろの童話集
④きいろの童話集
⑤くさいろの童話集
⑥ちゃいろの童話集
⑦ねずみいろの童話集
⑧あかいろの童話集
⑨みずいろの童話集
⑩むらさきいろの童話集
⑪さくらいろの童話集
⑫くじゃくいろの童話集

同じ『みどりいろの童話集』のタイトルを冠している両社の本が既に刊行されていますが、収録内容はまったく違っています(東京創元社版の方が、原書の『みどりいろの童話集』に沿っているものと思われます)。そういった構成なので、どちらかのシリーズで読むことで、ダブリがなく読むことができるわけです。逆に、原書から、互いの版にない作品を収録しているものもあるので、両方読むことで補完しあえるものもあるようです。後、復刊ドットコムでは両作品をご案内していくことになるものと思いますが、両者はこのように違っている、ということをご了承いただければ幸いです。

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2008年8月16日 (土)


メルマガ予告(8/20号)!

ディレクターの、ともおです。

お盆ですが、ずっと仕事で会社でした。電車はわりと空いていて良かったかな。運送会社さんや倉庫がお休みになってしまうので、出荷はできなかったのですが、復刊ドットコムのサイト自体は年中無休なのです。たまにメンテナンスで止まることはあるものの、基本的に開きっぱなしです。以前に別のオンライン書店で仕事をしていましたが、その時は、二年連続で元旦出勤になりました。いや、情熱が続くうちは仕事ができるんでけれども、だんだん精神力がついていかなくなりますね。平均余命三年ぐらいの仕事というのもままあるものだと思います。ネット系の仕事の担当になって通算八年ぐらいになります。いや、休日返上しているぐらいの忙しさがあるうちが華かな。さて、8月13日(水)にもメルマガを発行していたのですが、果たして、皆さん、この時期に、ネットなどご覧になっているのだろうか、と思いきや、わりと好反応をいただきました。特に、この一週間強、トップ掲示で押してきた、『あなたの子どもを加害者にしないために』の予約は、当初300冊初回発行の予定を倍増させなければならないほどの盛況ぶりです。6月の秋葉原の通り魔事件の反響から、「酒鬼薔薇」事件を取りあつかい、また親の育て方が与える子どもへの精神的影響を解いた本書には多くの関心が寄せられていました。復刊が決まってからは、復刊リクエスト数をはるかに超える数の予約が寄せられています。この問題に関心がある方は是非、ご予約ください。弊社にも一名、ちょうど「酒鬼薔薇」世代の青年がおります。あの時、十四歳だった、同い年の少年たちも今や社会人となって働いているのですね。そして、秋葉原事件の犯人もまた。偶然といえば偶然ですが、現代という時代が、彼らの世代に何を与えてしまったのか、これは考えるべきテーマですね。

さて、次回、8月20日(水)のメルマガも盛り沢山の内容でお送りします。なんといっても待望の「復刊」が目白押しなのは、リクエストをされていた皆さんにとっても嬉しいところでしょう。まずは藤子F不二雄さんの『T・Pぼん』716票ものリクエストを集めていた未収録話を含んだスペシャル版の刊行のご案内。そして、ハヤカワ書房さんの秋のフェア『ハヤカワ文庫の100冊』から、よりぬきで復刊本のご案内をいたします。復刊ドットコムユーザーにはお待ちかねの復刊本が揃っていますよ。ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリングの『ディファレンス・エンジン』(132票)、フレドリック・ブラウンの『天の光はすべて星』(186票)、スタニスワフ・レムの『宇宙飛行士ピルクス物語』(56票)、タニス・リーの平たい地球シリーズ(145票)の『闇の公子』(31票)など、高リクエストのSFは、まだほんの一部。新潮社さんから出ていた『シャドー81』(3票)も、今回、早川書房さんから復刊になります。また、復刊リクエストはありませんでしたが、あのキューブリック監督作品としても知られている『時計じかけのオレンジ』が完全版となって再刊されるのもニュースですね(あの幻の最終章がつくのです)。ということで、驚きのラインナップになっていますので、メルマガでは皆さんの熱いリクエストコメントともに紹介したいと思っています。それから、岩波書店さんから数学書の復刊がありますので、これもご紹介。復刊ドットコムには「数学」ジャンルに興味のある方が多いんです。それから、光村図書出版さんから、『光村ライブラリー』のご案内。光村図書さんといえば、国語の教科書の出版社さんでもありますが、小学校、中学校の国語の教科書というのは、なかなか素敵なアンソロジーでもあるんですよね。その中で人気の高い作品を集めて本にした選集をご紹介します。復刊ドットコムの名物掲示板『あの本のタイトルが知りたい』にも教科書で読んだ本をさがしています、という質問が良く寄せられています。これとかこれとかこれとか。子どもの頃って、教科書作品のタイトルとか作家名とかあまり気にしないものですものね。僕は小学四年生の時に教科書に載っていてインパクトを受けた作品を、大人になって好きになった作家さんの全集で見つけて驚いたことがあります。感受性って、子どもの頃から確実に反応しているものなんですね。そして最後に、文遊社さんの『鈴木いづみコレクション』『鈴木いづみセカンドコレクション』他のご案内。「鈴木いづみ」さんのファンが多い、なんていうのも、いかにも復刊ドットコム的です。しかしメルマガライティング担当の若い冨乃からは「鈴木いづみ」とは何か、という難しい質問が寄せられました。いや「鈴木いづみとは何か」というのは「昭和とは何か」みたいな命題の小スケールです。そのわりに「小指を切った人ですね」などという知識はあるのが不思議です。各世代のマニアック文化がクロスオーバーする復刊ドットコムのメルマガを、是非、お楽しみください。

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2008年8月15日 (金)


トラウマ!

ディレクターの、ともおです。

このところまた注目が集まっているようなので、復刊ドットコムから甦った二大作家の「トラウマ作品」のご紹介をしたいと思っております。トラウマ作品と言っても「心の傷」というよりは、幼い頃に読み、少なからずインパクトを受けて、その後の成長に影響を及ぼしたものというものの総称という感じです。条理を超えた「わけのわからない」作品であったために、未消化のまま心に残り、大人になっても、あの不気味な作品はなんだったのか?夢で読んだ本だったのか?と記憶の中でくすぶっている。そのモヤモヤした感じを確かめたくて、もう一度、あの本を手にしたい、という多くのリクエストが復刊ドットコムには寄せられていました。1960年代後半から70年代前半、昭和で言うと40年代というのは、児童文学読み物の「魔の領域」ではないかと個人的には思っています。1960年代、山中恒さんの作品に代表される「戦後児童文学」や、佐藤さとるさんの和製ファンタジー、そして斉藤隆介さん、松谷みよ子さんの創作民話などが登場し、やがて古田足日さんを経て、灰谷健次郎さんが登場する70年代に受け継がれる「児童文学正史」がある一方で、爛熟しはじめた児童文学出版は、かなりきわだった異色の作品を許容する土壌を持つようにもなっていました。こうした児童文学のアナザーサイドは、その後、時代に淘汰されてしまったために、二十一世紀まで残されることはなかったわけですが、当時、そうした作品を読んだ子どもたちには、しっかりと、あの異色作品の記憶が刷り込まれていたのです。

その代表格が大海赫(おおうみあかし)さんです。独特の世界観をもつ物語と、版画や点描画などの技法を駆使した強烈なイラストで、人気を博していた児童文学作家、大海赫。多くの作品を発表し、1970年代には多数の単行本が発行されていましたが、その後、長らく品切れ、絶版状態が続いていました。復刊ドットコムには、かつて大海作品に衝撃を受けた人々が集まり、『ビビを見た!』の復刊が実現。ファン代表として吉本ばななさんの応援もあって、『ビビを見た!』は好調な再デビューを果たし、その後、新刊を含む十作品が刊行され、児童文学作家、大海赫は完全に復活を果たしたのです。

Photo 『ビビを見た!』
著  者:大海赫
出版社:ブッキング
サイズ :A5変形判 上製
定価   :1,890円(税込)

詳しい物語はこちらから


もう一人が、佐野美津男さん。戦災孤児としての経験や、子どもに対しての独自の視線と表現力を持つことで知られる児童文学作家です。「子ども学」に代表される評論にも定評があります。復刊ドットコムから甦った『ピカピカのぎろちょん』は、佐野美津男作品の中でも、特に異色度が高く、ひとつの伝説として語られていた作品でした。当時の社会情勢が孕んでいた空気が児童文学作品に持ち込まれ、不条理な雰囲気に満ちあふれています。現代の視点であらためて読み直されるべき快作であり、怪作です。他にも、復刊ドットコムからは、国土社さんの『創作子どもSF全集』の中で『だけどぼくは海を見た』 『犬の学校』が復刊しています。個人的には『にいちゃん根性』みたいな、ちょっと山中恒風作品も好みだったりしますが、あれも破調と言えば破調で、考えて見ると破調以外の作品を読んだことがない、そんな作家さんです。

Photo_2 『ピカピカのぎろちょん』
著  者:佐野美津男
出版社:ブッキング
サイズ : A5変形判 上製
定価   :1,890円(税込)

詳しい物語はこちらから


先日、ご紹介しました『光車よ、まわれ!』もそうですが、異色児童文学作品の復刊を復刊ドットコムは実現して参りました。さあ、次は、岩本敏男さんか、金重剛二さんか、なんて思ったら、リクエストすら入っていないなあ、という現状だったりして。アナザーサイド児童文学の世界はまだまだ深く濃いところにあるようです。僕も自分で立てたリクエストはあるのですが、なかなか票が集まらなかったりして、切ない思いをしております。皆さんも、是非、記憶に眠る一冊を呼び起こしてみましょう。

■ 『大海赫』復刊特集ページ
(大海先生と吉本ばななさんの対談も掲載されています)

■ 『佐野美津男』復刊特集ページ

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2008年8月14日 (木)


奥が深いビックリマンの世界

ディレクターの、ともおです。

本日はビックリマンの話題です。何故、急にビックマンなのかというと、最近サイトがオープンした『ビックリマンニャンダー』に衝撃を受けてしまったからなのです。昨年30周年を迎えた『ビックリマン』とは、1977年にロッテから発売されたお菓子、あるいは、そのシールのキャラクターです。あれ、77年なら、僕は直撃世代でもおかしくないはずなのに全然ひっかかってないな、と思って調べたところ、あのブームになったのはシリーズの10代目、つまり10年目の1987年の「悪魔VS天使」編だそうで、なるほど、さすがに十代後半ではビックリマンシールに興じていないわなあ、と納得しました。個人的には、あの「曼荼羅のような階層化された組織図めいたもの」という印象としかなかったビックリマンでしたが、ここには広い神話的な世界観があって、そのストーリー性やゲーム性が、当時の少年たちを虜にしたらしい、というのは聞き及んでいるところです。ビックリマンもまた、お菓子のキャラクターに留まらず、そこから漫画やアニメなどの作品世界が展開されていきました。しかし時が経ち、子どもたちも大人になり、そうした作品もまた、世の中に流通されなくなっていきます。毎度おなじみ復刊ドットコムには、かつての少年たちの思い入れみなぎる作品にリクエストが集まり、ブッキングを通じて、ビックリマン関連の二作品の復刊が実現されました。

ひとつは、どちらかというと少年向けであったビックリマンにあって、異色の少女向け作品、雑誌「ぴょんぴょん」と「ちゃお」で連載されいた藤井みどりさんの『ビックリマン 愛の戦士ヘッドコロロ』(全三巻)。もうひとつが、「コロコロコミック」に連作された、おちよしひこさんの『スーパービックリマン』(全二巻)、こちらはアニメ化もされています。ヘッドロココは、そろそろ在庫切れが間近に迫っているものですから、ファンの方はお早めのご入手をおすすめいたします。

それにしても、『ビックリマンニャンダー』。これは、かなり思い切ったなあという感じです。『あらいぐまラスカル』(復刊ドットコムからは原作が復刊されています)が、新しい『ラスカル』になったぐらいのインパクトがありました。似て異なるもの、というよりは、完全に違うものですね。ビックリマンは、キャラクターやスタイルを替えながら進化してきた歴史があるようで、これもまた時代への挑戦なのかも知れません。

■『ビックリマン』復刊特集ページ

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2008年8月13日 (水)


『トランクの中の日本』の注目UP

ディレクターの、ともおです。

『トランクの中の日本』という本に再度、注目が集まっています。去年の8月9日に亡くなられたアメリカ人カメラマンのジョー・オダネル氏の記録である本書は、小学館さんから1995年に刊行されたものの、しばらく絶版状態で品切れを続け、復刊ドットコムではリクエストも投じられていました。現在は重版され、入手が可能となっています。ここ数日、この本へのPVが軒並み増えているのは、8月6日にNHKのBSの『原爆の夏 遠い日の少年~元米軍カメラマンが心奪われた一瞬の出会い~』や、8月7日のNHKスペシャル『解かれた封印~米軍カメラマンが見たNAGASAKI~』で、オダネル氏のドキュメントが放送されたことによる影響のようです。戦後、占領軍として原爆投下後の長崎に入り、その惨状を目にしたカメラマンのオダネル氏は、軍には内密に、私的なカメラで、その惨状を伝える「非公式」写真を撮り、自宅のトランクの中に43年間封印していました。しかし、思いの募るところがあって、やがて周囲の批判も省みず、アメリカ人として原爆の悲劇を告発していかれたそうなのです。『原爆の夏~』は、まだオダネル氏が生前に作られたドキュメント作品の再放送で、氏が再度、現代の長崎を訪問されて、当時、写真をとった子どもたちと再会する、という企画で、テレビ放送の各賞を受賞された秀逸なドキュメントだったそうです。復刊ドットコムにも、以前にこの番組をご覧になって、当時、品切れ状態だったこの本への一票を投じられた方もいらっしゃいました。復刊ドットコムには、レビュー機能はないのですが、リクエストコメントはずっと残っておりますので、こうした機会にその本への想いが寄せられた言葉が読まれ、そして、その本が手にとられる契機になればと思っています。実に、興味深い内容ですね。

戦争について考える夏、を迎えて、先週のメルマガでも、戦争関連の特集やリクエストをご紹介しています。その中でも触れましたが、ちょうど手元に、資料でお借りしてきた、ほるぷ出版の『ほるぷ平和漫画シリーズ』があります。豪華執筆陣による第二次世界大戦下の日本人を描いた作品(里中満智子さんの巻には、ベトナム戦争下のアメリカ人の話もあります)。このシリーズを読んでいると、まあ、おおいに気持ちが凹みます。いや、ここで凹む感受性を持っていないとならない、と思います。すべての戦争を描いた作品は、平和を訴えたものである、というわけでもないのですが、平和とは何かを考える契機が、ここそこに見られる八月ですね。

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2008年8月12日 (火)


そして「光車」は、回り続ける。

ディレクターの、ともおです。

天沢退二郎さんの『光車よ、まわれ!』は、昭和児童文学ファンタジーの代表格のように思われながらも、ちょっと不思議な位置づけにある作品だと思っています。仏文学者、宮澤賢治研究者、そして詩人である、天沢退二郎さんが1973年に上梓された『光車よ、まわれ!』は、絶版・品切れとなっても、伝説の児童文学ファンタジーとして語り継がれ、僕が記憶する限りでも、1990年代になって勃興したネットでの読書系「会議室」(というのはパソ通時代、古いですねー)や、その後の「掲示板」でも、思い出の「凄い本」を語る時、必ず登場する名前であったかと思います。2000年に誕生した復刊ドットコムは、こうした、ささやかれ続けてきた諸々の伝説を具体的な要望としてまとめ、復刊に結びつけるサイトとして活動してきましたが、『光車よ、まわれ!』の復刊は、その中でも、かなり大きな事件ではなかったかと思うのです。1960年代後半から70年代前半と言えば、眉村卓さんなど日本SF第一世代陣が描くジュブナイルSFが活性化していた時代ですが、「文学者」サイドからの児童ファンタジーへのアプローチは、SFや、また当時の「児童文学」とも異種のものを、少年読み物の世界に持ち込みました。「ちくま少年文学館」は、小松左京さんなどSFフィールドの作家さんも入ってはいたものの、文学者カラーの強い作家さんによる読みもの選集で、先んじて、辻邦生さんの『ユリアと魔法の都』もこのレーベルから刊行されています。『光車よ、まわれ!』は、より子どもたちの生活感に密着した「日常」に忍び寄る闇のフィールドを描いたゾクゾクするような感覚を持っていて、同じように学校を舞台にしたジュブナイルSFでは得られないような世界観を見せてくれました。この蟲惑的な作品世界に感応してしまった人たちが、後に、復刊へのリクエストを投じてくださって、更に、天沢先生の『オレンジ党』シリーズも刊行され、天沢ワールドの復活が実現されていくことになります。

さて、このたび、『光車よ、まわれ!』が、文庫化されることが決まりました。復刊ドットコムを運営するブッキングからではなく、良質なYA作品を文庫化することで知られているジャイブさんのピュアフル文庫の一冊に収められるのです。ブッキング版は、復刻として司修さんのイラストもそのままに復刊されていますが、文庫版『光車よ、まわれ!』は、ぐんと趣を変えて、新装、新しい挿絵、三浦しをんさんによる解説など、若い読者に広く手にとってもらえるような体裁となっているようです(内容的にも、現代的ではない部分があるのは、どうしているのかなあ、と思うところなのですが)。ブッキングとしても、天沢先生の世界が、再度、広く読者に認知されることを願っておりますので、今回の文庫化を楽しみにしていました。旧版をお持ちの方も、是非、新しい文庫版を手にとっていただければ幸いです。ジャイブさんからいただいたリリースに、『二十世紀少年』や『電脳コイル』にハマった方は是非、との担当編集者さんのコメントがあるのもまた新しい視点です。なるほど。回顧趣味ではなく、現代の、それこそ『電脳コイル』世代に、「光車」が果たして、どのように読まれるのか、これは楽しみですね。9月上旬発売予定、ただ今、予約中です。

以前、天沢先生が、講演の中でフィリップ・ブルマンのライラシリーズの、あの第三部に登場する冥府に言及し、「光車」の中の闇の世界との比較をされていて、とても興味深く思ったものです。ある機会に、天沢先生とお話をさせていただいた時、現在の日本のファンタジーで注目されている作品はありますか、とお尋ねしたところ、この世(サグ)と異世界(ナユグ)の表裏を行き来する、例の物語をあげてくださいました(極秘情報)。なるほど、あそこにも「光と影」の二重性は存在したのです。煌々と輝く光車に照らされて、暗黒の世界は、より深い闇をたたえます。いや、闇の世界が描かれるからこそ、この世の光が輝くのですね。さて、文庫として甦る、新しい『光車よ、まわれ!』の魅力的な世界を、是非、お楽しみください。

Hikariguruma 『光車よ、まわれ!』
著者:天沢退ニ郎
カバーイラスト、挿画:スカイエマ
カバーデザイン:飯田武伸
解説:三浦しをん
A6判 304ページ 693円(税込)



■『天沢退二郎』復刊特集ページ

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2008年8月10日 (日)


グインサーガ、アニメ化決定!

ディレクターの、ともおです。

あの空前の超大河長編小説、栗本薫さんの『グイン・サーガ』のテレビ・アニメ化が決定したそうです。2009年春公開。コミック化はされていたし、OVAもあったので、そう遠くない話だなと思っていたのですが、ついに来たか、という感じです。しかしながら、30年にも渡る長期の執筆で、原作は既に120巻を越えている現状で、果たして、連続アニメ化するにしても、終わりようがあるのかなあ、とも思います(更に外伝もあったりするのです)。冒頭から最初の5巻だけでもいいような気もしますが・・・。そもそも個人的には、あの80巻あたりで物語自体が終わっても良かったのではないかと思っているのですね。まあ、それでも新刊が出るたびに、楽しみに読み続けているのです。ご存知ない方たちに簡単にお話を説明します(本当にごくごく簡単に)。『グイン・サーガ』は、「中原」と呼ばれる世界が舞台となっています。ここはヨーロッパの中世ぐらいの文化レベルで、まだ機械や科学文明は発達していないのですが、一方で「魔道」と呼ばれる超科学を修めた「魔道師」たちも暗躍しています。まあ、剣と魔法が幅を利かせるファンタジーワールドなのです。中原の国同士が互いに牽制しあい保たれていた政治的均衡は、ある時、新興のモンゴール公国が、文化大国パロに侵攻を行うことによって崩されます。国王は惨殺されましたが、パロの双子の王子と王女は、パロに伝わる「古代機械」によって「転送」され、九死に一生を得ます。ただし、二人が「転送」された場所は、奇怪な怪物たちが跋扈するルードの森。モンゴールの追っ手にも追われる二人を救ったのは、どこからか現れた、豹頭の仮面を被った巨漢、グイン。しかしグインはそれまでの記憶を失ったまま、この森に突然あられたのです。何故、自分が豹の頭をしているのかも知らない・・・ということで、このグインを巡る壮大な物語が始まりまして、色々あって120巻以上、続くのです。この世界の根源にある「何か」がだんだんとハッキリしてくるしてくるあたり確実に面白いく、ファンタジーとSFの入れ子構造が、実にユニークな構成になっています。まずは最初の5巻だけでも読んでいただけると、この世界にどっぷりハマってしまうのではないかなと思いますよ。何よりもこのグインという大人物が魅力的です。一体何者なのだ、グイン。それはグイン自身、知らないこと。剣に長け、屈強で知略に富み、包容力があって、なにかとすぐに人望を集めてしまう豹頭の男。個人的にはアニメ化よりも、実写化して欲しいですね。キャスト希望としては、グイン=中村吉右衛門(鬼平というより弁慶のイメージですね)、イシュトバーン=中村獅童(外見はともかくキャラ的に)、あるいは、今だと小栗旬君かな。ナリス様=堺雅人、は文句なし。いや、異論はあるでしょうが。ヴァレリウス=鈴木拓(ドランクドラゴンの)・・・というのも、えーと。

復刊ドットコム的には、グインの世界を彩るイラストレーター陣の人気が高いので、そのあたりのリクエストがあるので、関連商品を紹介させていただいたりしています。グイン歴代の装画・挿絵画家は、加藤直之天野喜孝末弥純丹野忍という、堂々の黄金メンバーです。日本の「SF画」のアートワークって、世界に誇れるよなあ、とつくづく思ってしまうのでした。

■ 『グイン・サーガ』復刊特集ページ

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2008年8月 9日 (土)


メルマガ予告(8/13号)!

ディレクターの、ともおです。

毎度、大慌ての金曜日のメルマガ製作です。それにしても暑いですね。通勤だけで、かなりエネルギーを吸い取られてしまいます。会社についたら、ひたすら事務ワークなので、パソコンに向かって、数字を集めたり、情報を確認したり、文章を書いたり、資料を作ったり、会議で相談したり、メールを書いたり、諸々の繰り返しで、年中やっていることは一緒なのですが、外の気候が違うと、気分も変わって、多少は夏めくものですね。片手間ディレクションで復刊ドットコムも担当しておりますが、こうしたアウトプットの場所があると、「気分」を仕事に反映させることができるのは楽しいところです。それはともかく、まずは先週のメルマガの振り返りから。先週で特筆すべきは、このところPVやリクエストが伸びている『万川集海』をご紹介したところ、更に皆さんの注目が集まったことですね。うちの方でも色々と調査をしている本で、出版社様に確認を行ってもいるのですが、どうも良くわからない点が多いのです。「万川集海」自体は、江戸時代に伊賀の国の郷士が書いた忍術兵法書で、それこそ、万の川が集まり海となるように、忍術の諸流を集大成した書物です。この本は一部が現代語訳されていますが(発行元の出版者様によると、3冊発行され、現在2冊が絶版だそう)、このリクエストで求められている「全訳」が、出版物として本当にあったのか(例えば他の出版社様でとか)は確認したけれどまだわからないところなのです。全訳の企画を試みられている方たちもいらっしゃるようですが、もし何か情報がございましたら、教えていただきたいと思っています。それにしても、皆さんの反応があまりにも熱く、「忍者」人気の高さに驚かされたところです。反応が早かったですね。そういえば、僕も小学生の頃に学研の『忍術・手品のひみつ』という、例の「ひみつシリーズ」の一冊を読んで、かなり入れ込んだ覚えもあります。水蜘蛛とか、本当に水の上を歩けるのか知らん、と今でも思っていたりして。ところで、最近の「ひみつシリーズ」には目をみはるものがありますね。「コンビニのひみつ」とか「宅配ピザのひみつ」とか、かなりびっくりしますよ。

さて、今週のメルマガです。トップページにも現在掲示中ですが、『あなたの子どもを加害者にしないために』の復刊を広くお知らせしたいと思っています。復刊の経緯については、こちらでも紹介しておりますが、現在、予約が殺到中です。「時代の要請に応える」ということがどれほどできたかなと思うところですが、復刊ドットコムの役割として、こうした企画を実現できたのは嬉しかったですね。それと、ちょっと変わった商品ですが『モクモク村のけんちゃん』というCD―ROMを紹介しています。この本、日本ブリタニカさんから30年以上前に作られた子ども向けの英語教材なのですが、わりと特殊な商品でありながらも、復刊ドットコムにも多数のリクエストが集まっていました。紙芝居とカセット、という商品だったものを、現代的に甦らせ今回、CD-ROM化されたわけなのですが、この絵をご覧になって、懐かしい、という方たちも沢山いらっしゃるかと思います。パソコンで見る形となり(無論、プリントアウトすれば紙芝居もできるわけですが)、たとえハードは変わっても、ソフトは永続していくのだなと感慨深く思うところです。現時点ではメーカーサイトと復刊ドットコムでしか取り扱っていない商品です。キャンペーン期間中は値引きされておりますので、お早めにどうそ。そして、メルマガでは、ノーベル文学賞受賞作家、ソルジェニーツィン氏の訃報もお伝えします。現在、多くの書店様からも問合せをいただいていますが、復刊ドットコムから甦った、氏の代表作である「収容所群島」を、この機会に是非、読んでいただきたいと思います(小説ではないし、とても読みにくい作品ではありますが、ここに書かれているものに、是非、瞠目していただきたいのです)。そんな感じで、暑いさなかに熱いメルマガをお送りする予定ですので、どうぞ、よろしくお願いします。

各方面から色々と復刊の企画情報もいただいております。復刊ドットコムでも全力をあげてサイト、メルマガなどでプッシュした参りますので、出版社様、著者様、どうぞ、こちらまでご連絡いただければ幸いです。皆さんからの情報もお待ちしております。現代という時代からこぼれおちてしまったニーズを拾い集め、もう一度、よみがえらせていくムーブのポータルサイトになれればと思っています。どうぞ、今後もご注目いただければ幸いです。随時、復刊のニュースをお伝えしたいと思います。ので、ルマガ未読の皆さんは是非、ご登録ください。

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2008年8月 8日 (金)


ギャリコ復刊

ディレクターの、ともおです。

ポール・ギャリコの『七つの人形の恋物語』が角川文庫版で復刊します。以前にも角川文庫から出ていましたが絶版状態で、その後、王国社さんからも刊行されています。今度の新しい角川版はギャリコの代表作『スノーグース』も弊録されるそうで、なかなかお値打ちな復刊となるようです。この作品もまたギャリコの一面を伝える、実にロマンあふれる、痛々しい作品なので、是非、未読のギャリコファンの方にはご一読いただきたいところです。身寄りのない女の子が、お祭りなんかで公演しているドサまわりの小さな人形劇団に拾われるのですが、この劇団で、一人、人形を操っている親方が実に粗暴な男で、ひどく女の子をイジメるわけです。そんな彼女を慰めるのは、劇団で活躍する人形たち。彼らのおかげで、女の子は笑顔をとりもどしていくのですが、ところで、この人形たちを操っているのは誰なんだ?って、この「構造的矛盾」が、なかなか泣かせるところです。気持ちを素直に伝えることができない男の悲しみが冴えわたる傑作ですね。このストーリーでハリウッド映画の『リリー』を思い出される方もいるかと思います。大分、イメージは違いますが、あの作品の原作なのです。映画は往年のミュージカルなので、大分、原作よりもソフトな物語になっています。主人公の女の子を演じたのは『巴里のアメリカ人』などの大作ミュージカルにも出演していたレスリーキャロン。でも小品の『リリー』の方が魅力的だった印象があります。『リリー』は日本でも舞台化されていて、荻野目慶子さんが若かりし頃、演じられていました。今後、『七つの人形の恋物語』のタイトルで、音楽座で舞台化されます。今回の復刊は、この舞台化に呼応したものなのかな。音楽座なら、土居裕子さんが主演か、などと思っていた自分は、かなり時代から取り残されていたようです。最近、また少し見に行くようになりましたけれど、地味な会社員生活を続けていると、舞台の世界にはかなり距離を感じますねー(いいんだけれど)。

ギャリコの意外な映像化作品としては『ポセイドンアドベンチャー』のようなサスペンスもあげられますが、年配の方には1960年代に放送されていた『ハイラム君乾杯』というテレビシリーズが懐かしいところかも知れません。『ハイラム君乾杯』はギャリコの初期作品、『The Adventures of Hiranm Holiday』の主人公、ハイラム氏のキャラクターそのままに、時代設定を変えてアレンジされた作品。この原作も永い間、絶版になっていましたが、昨年、復刊ドットコムのリクエスト投票から甦り、ブッキングが発行いたしました。新装・新訳です。そんな『ハイラム・ホリデーの大冒険』も、是非、一緒にお楽しみください。

◆『ポール・ギャリコ』復刊特集ページ

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2008年8月 7日 (木)


『あなたの子どもを加害者にしないために』のために

ディレクターの、ともおです。

昨日、書いておいたブログがいつの間にか消えていました。保存を忘れていたのかと思うんですが、結構、ショックですね。ということで(どういうことで?)、以下に、昨日、作成しましたプレスリリース(マスコミ向けの告知)をダイジェストで掲載させていただきます。標記にもありますが『あなたの子どもを加害者にしないために』という、鮮烈なタイトルの本の復刊が決定しました。昨日から予約を開始しているのですが、この時点で135冊ぐらい予約が入っています。好調です。復刊の経緯と内容につきましては、以下をご覧くださいませ。

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◆時代の要請に応え、『あなたの子どもを加害者にしないために』復刊決定◆

あの秋葉原の無差別大量殺傷事件の衝撃が、この本の復活を求める時代の声を集めました。絶版になった書籍の復刊を応援するインターネットサイト復刊ドットコムは、この度、中尾英司氏の『あなたの子どもを加害者にしないために』の復刊いたします。

同書は、2005年7月に生活情報センターより刊行されましたが、同センターの解散に伴い絶版。本書は、2007年6月に復刊ドットコムに登録され投票が始まり、2008年6月8日の秋葉原無差別大量殺傷事件以降、急速に票が伸び、同17日には100票を突破。得票数はその後も伸び続け、8月5日現在、286票を集めています。秋葉原の事件以降、事件を模倣した子どもによる犯罪予告が相次ぎ、また十代の事件もニュースをにぎわし続けています。本書の内容の時事性と重要性は口コミで広がり、本書を必要としている読者の要望の高まりは、復刊運動を結実させました。

もとの発行元が解散していたため、復刊ドットコムでは、同サイトの運営会社である出版社ブッキングの発行により、少部数受注生産のオンデマンド方式(協力:株式会社オーピーエス)で本書の復刊を行うことといたしました。同社の、原書をスキャニングし再生する同方式を用いることで、早期に本の制作、印刷、発行を行い、読者のニーズに応えることが可能となりました。
  
当初は300部の発行を行い、今後は読者の要望に応じ、随時、受注発行を行う予定です。販売は当面、復刊ドットコムでの読者直販のみとし、8月6日より予約を開始いたします。

復刊ドットコムは、さまざまな理由で書籍流通市場から消えてしまった本を、読者の声を集めることで復刊に結びつけるサイトとして2000年に始動いたしました。8年間の活動の中で、登録書籍は3万6千点に上り、5000点以上の作品が、本サイトでの投票を契機にして復刊されています。インターネットを通じて、同じ趣向を持つ読者のニーズが投票という形で集められ、復刊されることへの有形、無形のムーブを作りだしています。今回、『あなたの子どもを加害者にしないために』には、秋葉原事件に触発された子どもを持つ親たちの関心が著しく(投票者は30代、40代の女性が全体の80%以上を占めています)、多くの熱意あるコメントが寄せられています。こうした真摯なコメントがさらに読者の関心を集め、得票数の増加に結びつきました。

今後も復刊ドットコムでは、このように読者ニーズがありながらも、流通事情により埋もれてしまった作品の復刊を応援して参ります。発行元の各出版社様に対して、読者の復刊ニーズについての情報提供と販売協力を行い、失われた良書が、再び、欲しい読者の手に渡るよう、日本の出版文化普及の一翼を担って参ります。

■書  名 : 『あなたの子どもを加害者にしないために』―思いやりと共感力を育てる17の法則―
■著  者 : 中尾英司
■発  行 : ブッキング
■サ イ ズ : 四六判    224頁 
■定  価 : 2,100円(税込)
■予約開始 : 2008年8月6日(復刊ドットコムのみ専売)
■発 売 日 :  2008年9月中旬

■内 容:

ごく普通の家庭で育ったかのように見える子ども達が起こす、残虐な事件。その背景には子どものSOSに気づかず、無意識にわが子の人生を奪ってしまう親の姿があった―。
親が子どもを追いつめる「信念の罠」、共感力に乏しい親が陥る「心理的ネグレクト」、子どもを操り人形にする「ダブルバインド」、子どもを成長させない「家族カプセル」、良かれと思いつつも子どもの生きる力を奪ってしまう「お膳立て症候群」……。本書では少年Aが起こした“神戸連続児童殺傷事件”をひも解きながら、親がわが子を育てる上で外してはならない「子育ての法則」を提示する。

復刊投票コメントより抜粋(一部)

●『私も子どもを持つ母親です。子どもを育てながら、たくさんのことを考えさせられ、また、世の中を騒がす事件は、他人事ではないと思っています。報道では事件の一部始終を争うように伝えてもその事件が起きた本当の原因についてはほとんど触れず、むしろ見当違いだったり・・・事件を起こす加害者も家庭の中で育ってきている。事件の責任は加害者だけでなく、私たち大人、社会全体の責任なのではないでしょうか?』

●『日本がなんとなくおかしくなっている。毎日のように起こる殺人事件。特に子供達や若い青年の犯罪はとても哀しい。何故防げなかったのかと事件が起こる度に考え込んでしまう。この本の著者はその原因のひとつ「家族関係」にスポットをあて、今の日本がおかしくなった原因を的確に分析している。子供がいる親の立場として非常に読みたい一冊です。いや「読みたい」ではない「読まねばならない」と思う。ぜひ復刊していただきたい。』

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というような感じでお届けしてみました。ただ今、絶賛、予約中です。

投稿時刻: 午後 12:56
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2008年8月 6日 (水)


押井守監督のこだわり

ディレクターの、ともおです。

8月4日(月)夜、NHKで『映画監督・押井守のメッセージ』という番組が放送されていました。アニメ監督として知られる押井守さんのドキュメントで、3年ぶりの新作『スカイクロラ』の製作過程を追いつつ、押井監督のアニメ製作哲学を紐解いていくという趣向の番組。なかなか興味深い内容でした。いつの間にか押井監督は、世界から注目される大巨匠になってしまったのだ、ということに驚きを感じるのは、自分が中学生の頃からリアルタイムで活躍され、どんどんと有名になっていった方だからですね。TVアニメ版の『うる星やつら』が、どうも変、と思った感触は、映画版第二作『うる星やつら2ビューティフルドリーマー』で確実なものになり、あの原作を逸脱した「奇妙な感覚」が押井監督のテーストなのだと体感していったものです。どうも変で、すごくいい。「メガネ」=千葉茂さんの魅力の引き出し方などインパクトがありましたね。千葉さん主演の『紅い眼鏡』なんてチープな実写作品も懐かしいところ。当時としても、ビンビンと才能を感じさせられていましたが、まだカルト的な人気の人であって、現在のような世界的な評価を得ることになろうとは思ってもみませんでした。「ルパン三世」も押井監督で製作されるとかしないとか、あの当時、話題になっていましたが、その頃のインタビューで押井監督が語るルパン論なんてなかなか興味深いものもありました。当時から作品への思想を前面に打ち出してくる人、という印象がありましたね。ということで、そのTVドキュメントは、更に進化した押井守の世界と、今度の作品の持つテーマやアニメ作品の可能性を考えさせてくれるものになっていましたよ。再放送があれば、是非、ご覧になってください。

時代は変わって、アニメもアートとして世の中に認知されるようになってきています。復刊ドットコムでは、押井守監督のアニメ映画『パトレイバー2』の演出ノートである『Methods―パトレイバー2』を角川書店さんと共同復刊し、復刊ドットコムだけの限定発売を行っているのですが、専門学校から「教科書として採用」されるなどの大口のお申し出もあったりして、美術系の大学でもアニメ芸術論が科目になる時代ではあるので、不思議はないのですが、既に「教材」の粋にまで達しているのだなと驚いたりしています。アニメ製作を目指す専門の方たちだけではなく、一般のファンにとっても、各カットにつけられた詳細な解説は作品の理解をより深めてくれるものと思います。そして、なんと今回、押井守演出ノート『Methods―イノセンス』も在庫確保して参りましたよ(やったぞ、仕入チーム)。こちらも是非、ご覧ください。

■『押井守』復刊特集ページ

どうでもいい話ですが、押井さんの娘さんと作家の乙一さんがご結婚されたとか。義理の父子になられたんですね。押井+乙一作品ってあったのか、ないですよね。あったら、面白そうですね。

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2008年8月 5日 (火)


ソルジェニーツィン氏のご逝去を悼んで

ディレクターの、ともおです。

昨日、亡くなられたソルジェニーツィン氏を悼んで、『旧ソ連 ロシア 東欧』『政治学 政治史 政治思想』『ノーベル賞受賞者』、そして『ソルジェニーツィン』 復刊特集にリクエストをいただいた皆様に、氏のご逝去をお知らせするメールをお送りしておりますが、こちらのブログにも、同内容の文章を掲載しておきたいと思います。

日本時間8月4日早朝、モスクワの自宅にて、ノーベル賞文学作家のアレクサンドル・ソルジェニーツィン氏が逝去されました。89歳でした。『イワン・デニーソヴィッチの1日』や『ガン病棟』などの作品や、旧ソ連のスターリン体制の批判により告発され、強制収容所に送られ、過酷な生活を送られたことでも知られています。

復刊ドットコムでの復刊リクエスト投票から、2006年にソルジェニーツィン氏の、絶版になっていた代表作『収容所群島』の復刊が実現しブッキングより出版が行われました。この日本での復刊に際して、当時、高齢で体調が良くないとされていた氏から、メッセージを寄せていただき、また、原文にも手直しを加えていただいたものが、ブッキング版『収容所群島』(全6巻)には反映されています。

このたびの氏の逝去を悼み、あらためて、ソルジェニーツィン氏特集他、関連特集にリクエストをいただいた復刊ドットコムユーザーの皆様に向けて、多くの皆様の力を得て復刊ドットコムから甦ったブッキング版『収容所群島』へのメッセージを再掲してお届けしたいと思います。残忍で非人間的な政治支配と、そうした過酷な試練がどこの国もふりかかる可能性があることを、残虐で過酷な強制収容所での生活に耐えながら、世界に向け警告したソルジェニーツィン氏。その志を、是非、心に刻んでいただければ幸いです。

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『本書は自分の良心に忠実であるか、道徳的に屈するか、その選択を人がしなければならない深刻な危機状況を描き出している。読者が前者の道を選ぶたび、私の努力は報われる』(ソルジェニーツィン氏の『収容所群島』復刊へのメッセージより)
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■『収容所群島 1918-1956 文学的考察』(最終得票数 113 票)(全6巻)
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=2396#cart&tr=s
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【著者】ソルジェニーツィン著 木村浩訳
【発行】ブッキング
【定価】各3,675円(税込み)
【発送時期】3~6日後
【内容】
苦しみ、死の恐怖、様々な思いの交差するソ連の収容所の現実を生々しい
ほどに描いた名作。共産主義を唱え、労働者の天国であると宣言したソビ
エト社会主義人民共和国。しかし、その裏で国家に反抗した人間たちを収
容所に送り、苦しめた。長らく入手困難だった名作がついに復刊されました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

慎んで、ソルジェニーツィン氏のご逝去を悼みたいと思います。

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2008年8月 4日 (月)


枯葉散る白いテラスの午後三時

ディレクターの、ともおです。

赤塚不二夫さんが亡くなってしまいました。新聞によると、2002年に脳内出血で倒れて以降、意識不明で、回復することのないまま、2008年8月2日、肺炎で亡くなられたそうです。72歳。僕は、漫画よりもアニメ化された『天才バカボン』『ひみつのアッコちゃん』『もーれつア太郎』などの影響を受けた世代なので、なんというかスタンダードを生みだした方、という印象で、それゆえに昭和がまたひとつ終わった感もあります。後年、漫画で原作の『天才バカボン』を読んだ時にそのブラックぶりに衝撃を受け、毒を抜かれていない本物の世界に驚きもしました。ちょうど、今、小学館クリエイティブさんの復刻漫画を多く取り扱っておりまして、その中に赤塚不二夫さんの貸本マンガ時代のデビュー作である『嵐をこえて』が入っていたものですから、ああこれも貴重な一作だなあ、などと思っていたのが、つい先日で、これもまたびっくりでした(すぐさまトップページに出しました)。昨年、『天才バカボン』と『もーれつア太郎』が、40周年を迎えたという記事を目にしていました。たしかバカボンのパパは、設定の上では41歳。今年は41周年だから×2で、82歳になるんだ。そんな高齢になったとしても、パパはパパらしくあるのだろうな。自分もいつの間にか、バカボンのパパの年齢に近づきつつあり、それは、大人げなく生きていていい上限のような気もしていて、ちょっと抵抗の高い壁ではあります。「これでいいのか?」と思ってばかりの毎日ですが、「これでいいのだ」の全肯定のスピリットを刷り込んでくれた赤塚作品には感謝があります。ラミパス、ラミパス、ルルルル。赤塚不二夫先生のご冥福をお祈りしたいと思います。

■ 『赤塚不二雄』復刊特集ページへ

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2008年8月 3日 (日)


あらためての所信など

ディレクターの、ともおです。

僕が復刊ドットコムの担当をするようなって一か月ぐらいがたちます。普通に動いている業務に途中参加してディレクションする、というのは、走っている車に飛び乗ってハンドルを握るようなものです。まずは、どこにブレーキがあってどこにアクセルがあるか探ってみないとならないといけない。まあ、そうした人事異動後にありがちな個人的混乱は、なるべく人様にはお目にかけないように努力すべし、と会社員諸氏は思われるでしょう。まだまだ精進が足りません。数字を見ながら考えるべきことと、復刊ドットコムで実現したいこと、を天秤にかけながらですが、もう少し先に進めていければと思っています。

ブッキングという会社の中で、復刊ドットコムというサイトは先期まで30%ぐらいの比重で行っていた業務なのですが、今期は50%ぐらいの力を入れる陣容になっています。ただ、復刊ドットコム専任の社員はいません。僕自身、現時点での業務パートは、会社としてのブッキングの経理と総務の課長であって、財務諸表をにらみつつ、資金繰りやら計数管理やらをしながら、また出版社としてのブッキングの営業実務を色々とこなしつつ(販促系はさすがに手放しましたが)、さらに復刊ドットコムの表側のディレクション諸々やら、裏側の事務改善やら管理云々を行いながらで、まあ、ひとつに注力できない状態で仕事をしています。小さい会社なので、個人の素養でどれぐらい実務をこなせるかが、業務の生産量を左右するんですね。マルチタスクなんて当たり前じゃん、と、これも会社員諸氏は思われるところでしょう。経営を成り立たせるために、なんとかこなさなくてはならないことは多いのです。ただ、復刊ドットコムの理想はあって、その灯はなんとか守りたいのです。今、言えることは、ガンバリます、ということです。今後の流れの中で、色々な形で皆さんにご協力をお願いしなければならないだろうなと思っています。その際には、是非、宜しくお願いします。なかなか腰をすえてゆっくり本も読めないなあ、という日々です。本に対する気持ちがネジを捲いてくれる仕事ですので、本末転倒を感じますが、それでもガンバレと自分を叱咤しつつ進みますよ。おう。

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2008年8月 2日 (土)


メルマガ予告(8/06号)!

ディクレターの、ともおです。

もう金曜日、ということで、メルマガ案を作らねば週末を越せない状況です。ちょっといろいろな仕事に追われすぎで余裕がない感じですが、なんとかやっています。先週は、早川書房さんのフェアに乗じた復刊のご案内でしたが、さすが復刊ドットコムユーザーには海外SFファンが多いことを実感する反応でした。現在は、全国に1万人いないと言われるSFファンですが(と某ラノベ評論家が言っていたのですけれど)、全国180万人を越える「ひきこもり」人口や、200万人を越える「盗聴マニア」人口にも、局地的には引けをとらないと思うところです。ところで、ファンタジー系児童書文学は現在も刊行が続いていますが、SF系児童文学は、最近、あまり見かけなくなっています。SFジュブナイル、というものの魅力は確実にあるかと思います。鳴り物入りの『トンネル』など、まあ、久々に、そんな感じでしたが(続編も出ましたよ。あのまま終わりだったら・・・絶句してしまうところだったので、ちょっと安心)。先週のメルマガでは『残された人びと』の重版予約もお知らせしましたが、これは「未来少年コナン」の原作というだけでなく、かつて隆盛を迎えていたSFジュブナイルのひとつとしてその魅力を味わっていただけると良いかなとも思っています。1970年前後は、各社から刊行されていた児童文学系SF全集も魅力的なものが多く、復刊ドットコムから復刊された国土社さんの『創作子どもSF全集』や、新装復刊された岩崎書店さんの『SFロマン文庫』、今もリクエストが増えている、同じく岩崎書店さんの『エスエフ世界の名作』や、あかね書房さんの『少年少女世界SF文学全集』など、当時における「SF」のメジャー感というものを感じてしまうものです。あの頃はSFファンを育てる土壌が、児童書の中にもあった、ということなのかな。昨今の児童書ファンタジーブームで、将来の読者地図はどのように変わっていくのか、これはけっこう楽しみだったります。果たして、完結したハリポタの次に、少年少女は、何を読むのでしょうね。

さて、次回のメルマガは、ぐっとカラーを変えまして、渋めの出版社さんの企画をプッシュします。まずは、貴重本刊行会さんの刊行物のいろいろ。多くの方が、歴史の教科書で、資料として見たことがあるであろう「絵巻物」ばかりを集めた特集です。監修は歴史研究家の家永三郎氏(教科書裁判でも知られる方です。僕の父は学生の頃、家永先生に教えを受けていたそうです)。『源氏物語絵巻』や『蒙古襲来絵詞』など、全編を通して、あらためてじっくりと鑑賞したい本が揃っています。つづいて、京都の出版社、光村推古書院さんの紹介。こちらの「MAPシリーズ」がなかなか興味深い。例えば『京都時代MAP 幕末・維新編』は「幕末の京都の地図に半透明の紙に印刷された現在地図を重ねて構成した」という、幕末ファンにはかなり興味深いであろう一冊となっています。最近、復刊ドットコムでも『京都守護職日誌』(会津藩の松平容保公が守護職になった時期を、各種資料から編纂した架空日誌)が人気を博したのですが、いまだに新撰組や坂本龍馬が闊歩したであろう幕末の京都は、殺伐としながらも、多くのロマンを感じられている方が多いようですね(復刊ドットコム内の新撰組特集なども活況を呈しています)。それ以外にも、光村推古書院さんの、これは、と思われる本をチョイスして紹介しています。更に、河出書房新社さんの8月の新刊ご紹介します。復刊ドットコムのユーザーの皆さんの趣向に合うものが多い、こうした出版社さんの出版物をご紹介するのが、今回のメイン企画です。

復刊リクエストのご連絡から、いろいろなご縁もできて、復刊ドットコムユーザーの皆さんに喜んでもらえるような商品をご紹介いただく機会も増えてまいりました。ついでにこの場を借りて、出版社様にお願いがございます。復刊や重版情報や、復刊ドットコム向きの企画がございましたら、是非、ご連絡をいただければ幸いです。多くの熱心な読者の方たちが集まっているこの場所を、もっと活性化できたら嬉しいと思っています。どうぞ、宜しくお願いします。メルマガにつきましては、その他、もり沢山の構成でお送りします。プレゼントは、8月後半に開催される広島に場所を移した『赤毛のアン展』のご招待券を沢山、ゲットしましたので、是非、そちらにもチャレンジしていただければ幸いです。では、お楽しみに~。

★ぜひ、メルマガをご購読ください。

投稿時刻: 午前 08:00
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2008年8月 1日 (金)


ピーターパンの前編や続編

ディレクターの、ともおです。

舞台ミュージカルのピーターパンが1400回目の公演を迎えた、とのニュースが報じられておりました。榊原郁恵さん主演で1981年にはじまったこの舞台は毎年、夏に上演され、、キャストを替えながら、現在も続いており、めでたく1400回、だそうです。主役のピーターパンも9代目になるとのこと。個人的にはフック船長の変遷が気になるところで、金田龍之介さんから始まり、もっぱら体格の良い俳優や声楽家がキャスティングされていた当初から、だんだんと偏向していくのが面白いところ。1998年からの古田新太さんや、2000年のROLLY(ローリー寺西)さんあたりになると、随分と路線の変更が感じられるところです。現在は、鶴見辰吾さんですが、これもまた意外か。それにしても、ピーターパンを、毎度、ボーイッシュな女の子が演じる、というのは「少年っぽさ」の演出なのでしょうね。僕は、ピーターパンは少年っぽいというより、ムチャクチャな人という印象なので、むしろROLLYさんに演じて欲しい気がします。そのラインで言うと、以前に『星の王子さま』の舞台を市村正親さんの「操縦士」で上演されたそうですが、これも、むしろ市村さんが王子様の方が、王子のムチャっぷりが表現されて良いと思うんですが、どうか。

この舞台化されている『ピーターパン』は、バリイの原作では続編にあたる『ピーターとウェンディ』の方のストーリーです。ディズニーのアニメもそうですね。現在、いろいろなところで刊行されている『ピーターパン』は、おおよそこの作品です。その前編にあたる『ケンジントン公園のピーターパン』(これも日本で刊行されていた時には『ピーターパン』というタイトルだったので、ややこしいのですが)は、現在、絶版となっているようで、復刊投票も行われております(復刊ドットコムでも人気のアーサー・ラッカムの挿絵なので、その魅力もありますね)。両者は物語としては随分と印象が違いますし、冒険譚としては続編の方が面白いですね。どちらかというと、前者は、よりファンタジックで幻想的な色合いが濃い。『ピーターパンとウェンディ』の方は、なんといっても、フック船長という、トラウマとコンプレックスに苛まれ続ける、心の複雑骨折した人物の屈折ぶりが実にいとおしく、是非、大人の読者の方にあらためて読んで欲しいと思っています。また、その公式続編に選ばれたジュラルディン・. マコックランの『ピーターパンインスカーレット』に僕はもうひとつノレず、むしろ映画の『フック』の方が良かったよなあ、という印象もあるのですが、皆さんはどうでしょうか。

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