ギャリコ復刊
ディレクターの、ともおです。
ポール・ギャリコの『七つの人形の恋物語』が角川文庫版で復刊します。以前にも角川文庫から出ていましたが絶版状態で、その後、王国社さんからも刊行されています。今度の新しい角川版はギャリコの代表作『スノーグース』も弊録されるそうで、なかなかお値打ちな復刊となるようです。この作品もまたギャリコの一面を伝える、実にロマンあふれる、痛々しい作品なので、是非、未読のギャリコファンの方にはご一読いただきたいところです。身寄りのない女の子が、お祭りなんかで公演しているドサまわりの小さな人形劇団に拾われるのですが、この劇団で、一人、人形を操っている親方が実に粗暴な男で、ひどく女の子をイジメるわけです。そんな彼女を慰めるのは、劇団で活躍する人形たち。彼らのおかげで、女の子は笑顔をとりもどしていくのですが、ところで、この人形たちを操っているのは誰なんだ?って、この「構造的矛盾」が、なかなか泣かせるところです。気持ちを素直に伝えることができない男の悲しみが冴えわたる傑作ですね。このストーリーでハリウッド映画の『リリー』を思い出される方もいるかと思います。大分、イメージは違いますが、あの作品の原作なのです。映画は往年のミュージカルなので、大分、原作よりもソフトな物語になっています。主人公の女の子を演じたのは『巴里のアメリカ人』
などの大作ミュージカルにも出演していたレスリーキャロン。でも小品の『リリー』の方が魅力的だった印象があります。『リリー』
は日本でも舞台化されていて、荻野目慶子さんが若かりし頃、演じられていました。今後、『七つの人形の恋物語』のタイトルで、音楽座で舞台化されます。今回の復刊は、この舞台化に呼応したものなのかな。音楽座なら、土居裕子さんが主演か、などと思っていた自分は、かなり時代から取り残されていたようです。最近、また少し見に行くようになりましたけれど、地味な会社員生活を続けていると、舞台の世界にはかなり距離を感じますねー(いいんだけれど)。
ギャリコの意外な映像化作品としては『ポセイドンアドベンチャー』のようなサスペンスもあげられますが、年配の方には1960年代に放送されていた『ハイラム君乾杯』というテレビシリーズが懐かしいところかも知れません。『ハイラム君乾杯』はギャリコの初期作品、『The Adventures of Hiranm Holiday』の主人公、ハイラム氏のキャラクターそのままに、時代設定を変えてアレンジされた作品。この原作も永い間、絶版になっていましたが、昨年、復刊ドットコムのリクエスト投票から甦り、ブッキングが発行いたしました。新装・新訳です。そんな『ハイラム・ホリデーの大冒険』も、是非、一緒にお楽しみください。
投稿時刻: 午前 09:00
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