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2008年9月30日 (火)


棚卸の日

ディレクターの、ともおです。

本日は、9月末日の仮決算日で、棚卸の実施日でもあります。その影響で商品出荷を一旦止めており、ご購入いただいた皆様には、ご迷惑をおかけしております。明日より、速やかに、出荷を再開いたします。どうぞ、宜しくお願い申し上げます。

ということで、今日は総出で倉庫に出かけて在庫品の棚卸の最終チェック作業を行ってきます。社会人になってから、ずっと本の仕事をしているのですが、なんらかの形で「棚卸」に関わってきました。取次を軸足にして、書店、出版社と経験してきて、担当業務的にもグルグルと変わっていますが、年に二回は棚卸で本を数えてきたのです。社会人になってから簿記を勉強して、実際、経理業務も担当してきたのですが、「売上原価確定のための期末在庫金額算出」という理屈を勉強して財務諸表を作成することと、営業活動を行い、商品を販売し、期末には在庫をカウントするということを、両方、体感してみると、なんとなく会社ってどうやって儲かっているのかというのが見えてきます。構造はわかるが、なかなか儲けはあがらない。そのあたり問題だなあ、といつもながら思います。来年は、どんな仕事をしているかわかりませんが、それでも期末には棚卸で本を数えているのだろうか。何の仕事をしていても、棚卸に参加できるぐらい元気でいたいと思います。

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2008年9月29日 (月)


メルマガ予告(10/01号)!

ディレクターのともおです。

南の方に行っていた休暇から戻ってきて、再び、仕事に邁進せねばと思っているところです。久しぶりに長いお休みをもらって休んだ、という実感です。価値観がちょっと変わりますね。そうしたものが、また仕事にプラスで生かされれば良いのですが。てなことで、先週の9月24日のメルマガの反響はどうだったのか、現場にいないとわからないことはわからなかったり、今週(もう10月になってしまうのですね)のメルマガがどうなるのか、もろもろ追いつけておりません。旅先から富乃と携帯メールでやりとりをしていて、多少、方向性やら内容やらの決めごとはしていましたが、やっぱり、こればっかりは職場にいないと難しいと思う部分もあります。先週の紹介商品では、復刊した『マッキンダーの地政学』が好評でした。伝説の名著『デモクラシーの理想と現実』の改題新装版(内容はそのまま)です。『デモクラシー~』は古書価をずっと見ていますが、大分、落ちてきましたね。最近は、ネット上で「プレミアのついた本」を確認し、市場で安く見つけてきて、古書店やオークションで高く売り利ざやを稼ぐ、「ネットせどり」の方たちも多くおられるようで、復刊ドットコムでの人気を確認されることもあるよう。こうしたところに、本職の古物商ではない、目利きの方たちが参入されてくるのも情報化時代の新しい書籍流通のかたちです。情報に敏くないと、売り逃し、買い逃しもあるであろうスピードの速い世界ですね。古書価が高い本ほど、復刊された本は部数が伸び、古書価は急落します。概して復刊本は部数も少ないため、新版となると高額にならざるを得ないのですが、それでもプレミア付きの古書よりは入手しやすい。逆に言えば、「高額でもニーズがある状態」がキープされているプレミア付きの本ならば、復刊の可能性が高い、ということになります。実際、数百部程度の需要しかない本が多い一方、印刷費の現況を考えると数千部単位でないと採算があわないのが「紙の出版」事業です。こうしたせめぎ合いの中、本の価格が決まり市場で取引されるのですが、どんな「多数派ではない嗜好」にも安価で本が提供される世界は全ての書誌の電子化が行われないかぎりは難しいですね(コンテンツデータの価格付けという観点でもまた険しそうですね)。余談ばかりですいません。

今週のメルマガは、広井てつおさんの『W1ララバイ』の復刊をお知らせします。今年の8月28日に、まだ57歳の若さで夭逝された広井先生には、バイク漫画と先生の作風を愛する多くのファンの方たちがいて、117票を集めた投票コメントにも、そうした気持ちが漲っています。少年画報社さんより『バイクフリークの間では復刊を強く望まれていた著者の代表作をメモリアルコミックとして刊行』として、今回のご逝去を受けての復刊となりました。慎んでご冥福をお祈りしながら、この作品の復刊を多くの方たちにお伝えできればと思っています。そして、手塚治虫さんの『手塚治虫・あかしや書房傑作選シリーズ』のご紹介。あかしや書房から昭和三十年代に発行されていた作品の復刻版ですね。オークション等では高額で取引されている貸本時代の稀少な本がシリーズで復刻され、全巻集めると、他社の全集にも入っていない「復刻特別稀少単行本」を全員プレゼント、という企画もございます。これがポプラ社さんからの刊行というのが、意外な感じですね。このところ『花とあらくれ』『おもしろブックス版 ライオンブックス』など、小学館クリエイティブさんから刊行された手塚治虫さんの復刻を紹介しておりますが、全集版に入っている作品でも、ファンの方からは、描き直しのない原典を入手したいという希望も多く、こうした「復刻版」に対する要望が強いのですね。僕も後に色々な発行形態での「火の鳥」の単行本を読んでいるのですが、子どもの時に最初に読んだ、あの朝日ソノラマさんのA4判の感触は忘れがたいものがあります。後に編まれた全集等で読んで、え、こんな場面あったっけ、とか、あの場面がなくなっている、ということも、ままあることではあって、作者の思惑はともかく、読者にとっては自分が読んだオリジナルこそが、本当に読みたいバージョンということもあるんですね。復刊、ならぬ、復刻には、そうした思い入れもあるのです。更に先週、『マッキンダーの地政学』が好評だった原書房さんの特集で、新たに復刊本二冊のご紹介もあります。どうぞ、今週のメルマガも宜しくお願いいたします。

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2008年9月24日 (水)


オーバードライブ

ディレクターの、ともおです。

ヨーロッパの文化的起源は、古代ギリシアで『イリアス』や『オデッセイア』が「作られた」ことのみならず、アテナイの書籍市で、そうした語り継がれた韻文の写本が作られ、「売られた」販売システムにこそある、というような記述がカール・ポパーの本にありました。「書籍」という形で、民衆の手に「写本」が渡る状況、「市場でも買える」状況自体こそが、「文化」なのだということなのでしょう。例えばアンシャンレジーム期に自由民権思想が流布されたのも「印刷物」の「流通」のたまものであり、それがフランス革命に少なからぬ影響を与えたという観点から、数量的モデルを用いて事実を検証していく歴史学派もありました。思想の広がり方などの頒布状況を、書籍販売業者の販売実績から定量的に示せるのですね。個としての作品の絶対的価値よりも、それがどのように「頒布」されたかが、文化影響の指標として重要なのです。「良い書籍販売業者のいない町は、魂のない肉体と同じだ」というのも、ある出版学の本で読んだ言葉ですが、出版流通のシステムが運ぶものは、物ならぬ本であり、製品ならぬ志そのものだったりもします。「精神はいかに流通されるのか」という命題を考えれば、出版業は複雑な相を持っています。例えば、現代日本の児童書の世界など、書店店売だけでなく、色々な販社ルートがあり、学校等への巡回などのシステムもできあがっていて大きなシェアを持っています。短期的には企業としての流通チャネルの差が出版物としての成否を分けているところもあります。つまり子どもの精神的基盤を養う児童書のセレクトが流通事情の影響を大きく受けているわけです。何を急に大仰なことを書き出したのか、という感じですが、太古の昔から、文化というモードが作り出される上で流通のファクターは大きかったのです。逆に言えば、流通からつまはじきにされることで、命を絶たれた「文化の萌芽」もまたある。そこに、ネットという情報流通が介在して、なんとか影響力を持つようになってきたここ十数年の状況は、将来、出版学の歴史からひとつのエポックとして語られることになるのだろうな、とそんなふうに思うのです。

復刊ドットコムの復刊リクエスト登録点数も、もうすぐ四万点になろうとしています。年間約七万点の新刊書籍が発行される日本では、流通可能状態になっている書籍の点数(おそらく百万点強ぐらいでしょうか)の数倍の絶版書籍が既にあり、その中のごくごく一部の本に対する、個人の「想い」をここにつなぎとめた、という程度にすぎません。ロングテールの尻尾が途絶えた後に、その姿を偲ぼうという、ささやかな試みなのです。流通を勝ち抜いたものは、ひとつの文化として誉れの名を歴史に刻み、一方で、忘れさられていくものもある。「売れたら文化がついてくる」という主張もありましたが、かつては売れたものもまた、栄枯盛衰の潮流の中で、歴史の断片として消えていってしまいます。人類の叡智の全てのアーカイブを遺せる「バベルの図書館」があったとしても、誰にも読まれないまま保存されているだけ、というのは、なかなか寂しいものです。半永久的に省みられない記録に意味があるのか。実に、諸行無常なものです。そこで、書物が甦る象徴的な行為として「復刊」があります。それは、今は失われたなんらかの志が、ここに甦ることです。ということで、復刊ドットコムに一票を投じるアクションは、それは人類の歴史と文化にアクセスする大きな意味を持つのです、というのは過言です。過言ではあるのですが、たまには、気持ちを大きく持ってみましょうか。視点ひとつで世界の見え方は違ってくる。いや、日々、目の前の悩み事や、煩瑣な作業に追われていて、ああ、そろそろオレも限界かなあ、なんて思っている気弱なこの頃です。カッコイイことなんて何一つなくて、みっともないことばかりなのですが、ささやかな虚勢をはりたいのです。てなことを、ウツラウツラ考えていました。出版歴史学はもうちょっと勉強してみたいんですが、余裕もない日々です。

今日から、三日間ほど夏休みをいただきます。正直な弱音としては、色々とあって、色々とくたびれたこのところで、ちょっと気分転換を図ってきたいな(久しぶりに連泊の旅行をしよう)、と思ったのです。目先の商売のことだけでなく、アテナイの書籍市に想いを馳せつつ、少しは広がりのあるビジョンを持てるようになれるといいかな。こちらのブログも(もともとこれは息抜きなんですけれど)、書き溜めておけば良いんだけれど、これもすっぱりとお休みすることにしました。メルマガ予告から復帰します。ということで、宜しくお願いいたします。

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2008年9月23日 (火)


七瀬なんどめ?

ディレクターの、ともおです。

NHKで筒井康隆氏原作の『七瀬ふたたび』がドラマ化されるそうです。この、NHKで、というところがポイントで、かつて数々の伝説を生んだ「少年ドラマシリーズ」で、多岐川由美さん主演で1979年にドラマ化されていたことがあり、ふたたびNHKでドラマ化されるということが、更に「ふたたび」感アップというところのようです。『七瀬ふたたび』は、超能力者、火田七瀬を主人公にした三部作の第二作にあたる作品ですが、もっともアクティブでドラマティックな作品であったかと思います。いわゆる筒井康隆氏のブラックユーモアや実験的な作品ではなく、ストレートに物語を見せてくれるもの。ジュブナイルなら『時をかける少女』のような、一般小説なら『おれの血は他人の血』のような、ストーリーを持った作品です。ここには共通する、普通の人にはない特殊能力を持ってしまった人間の悲しみ、があります。人の考えていることがわかってしまう、という超能力を持っている少女、七瀬が遭遇する事件。さて現代を舞台にしてどのように七瀬がよみがえるか、楽しみにしたいところです。

僕はかつての『七瀬ふたたび』のドラマを見ていないのですが、堀ちえみさん主演で『家族八景』がドラマ化されていたものは見たことがあって、「七瀬のイメージじゃないなあ」と思った記憶があります。というぐらい、小説の中の火田七瀬というキャラクターは、存在感があるのですね。梶尾真治さんの小説、『おもいでエマノン』を読んだ際に、時間を超えて存在する女性、エマノンというキャラクターと、七瀬の印象がカブりました。『おもいでエマノン』も現在は復刊版で再登場していますが、エマノンに思い入れがあったという人気イラストレーター鶴田謙二さんが装画や挿絵も書かれています(後にコミック化もされているよう)。そういえば七瀬もコミック化されていましたね(ストーリーは別モノだったと思います)。小説のキャラクターのビジュアルは解釈次第のところがあるのですが、それでもなんなく、実在の人物のような不思議な存在感をたたえている場合もあります。何十年か前に読んだ小説の中の人を覚えている、なんて不思議な感じもしますね。

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2008年9月22日 (月)


孤児院の日

ディレクターの、ともおです。

9月22日は、「孤児院の日」だそうです。僕は「孤児院の日」の存在さえ知りませんでした。江戸時代の日本には捨て子の互助システムのようなものが自治体にあったとの記憶があるのですが、日本にはじめて孤児院ができたとされているのは、1887年(明治20年)の9月22日。岡山県の医師、当時まだ22歳だった石井十次氏が、お寺の本堂の一部を借り受け、孤児院を開いたのが日本初であったという故事により、記念日が設定されたそうです。ヨーロッパでは、コーラム養育院という孤児施設が18世紀前葉に設立されていたようですが、それにまつわる物語を読み、当時の子どもたちの置かれていた状況に震撼させられたものがあります。孤児院、というと不幸そうなイメージがありますが、そこに収容された孤児はまだ幸運だったのだと、当時の社会状況を考えると思えてくるのです。

「孤児院」は、沢山の物語の題材として描かれてきました。文芸史的に見れば、修道院に拾われた捨て子的な題材から孤児収容施設モノはあるのですが、孤児が集まる専属の場所としての「孤児院」が出てくるものとなると、思い出されるのは、まず『あしながおじさん』でしょうね。個人的には『続あしながおじさん』の方が好きですし(わりと同じ意見の方も多いよう)、こちらの方が「孤児院」を中心とした話なんですよね。『アニー』や『キャンディキャンディ』や『タイガーマスク』も思い出されます。児童文学の世界だと『ヘブンアイズ』という作品が、近年のものであったことを思い出しましたが、物語の主役になるのは、やはり孤児院からの「はみだしっ子」たちですね。孤児院は理想郷ではなくて、そこから出ていって、自分の家庭を見つける場所、という位置づけなのかな。孤児モノは、もう枚挙に暇がないので省略しますが、貧しい孤児、ミーツ、お金持ち、の図式がパターンとして確立していますね。社会的な「格差」を前提として、それがどんなふうに乗りこえられていくのか。貧しいけれどハートを持っている孤児、という設定は、しかしながら、現代でも通用するのかな。あらかじめ「温かい家庭」を失われた存在である「孤児たちの喪失感」が埋められていく過程にこそ、物語のカタルシスはあるのですね。

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2008年9月21日 (日)


共産党宣言!

ディレクターの、ともおです。

マルクス、エンゲルスによる『共産党宣言』の幸徳秋水・堺利彦訳版が復刊される模様です。例の小林多喜二の『蟹工船』のブームや、共産党への入党者が一万人増えたことを背景にして、さらに出版社さんの強い意気込みもあっての復刊のようです。刊行すること、それが売れること、そこに政治的な意味を読み取られてしまう一冊ではないのかと思いますが、この訳版の「復刊」にはさてどんな時代の要請があったのか。現在は、流通効率の中でジワリと存在が失われて絶版となるものが主ですが、本が禁書として焚書された時代や、讒謗律などの言論統制の時代には、政治的な出版弾圧が本の命を絶ってきました。本どころか、作家である小林多喜二氏もああした形(官憲による拷問)で命を落すことなったわけです。僕のような昭和四十年代生まれは、いたってノンポリに政治的なものに触れることが禁忌でもあるかのような感覚で、バブルな学生時代をすごしてきたものが一般的かと思います。『共産党宣言』も、岩波版を、それこそ「教養の一環」として読んだぐらいです。プロレタリア文学についても、『蟹工船』はともかく、葉山嘉樹の『セメント樽の中の手紙』なんて、ちょっとしたロマンスと思っていました。細井和喜蔵の『女工哀史』の「女工さん」たちへの愛情に溢れた視点などは、これは社会的なルポというよりも、私情あふれすぎで詩情すら感じたりもしていました。まあ、秀逸な作品というのは社会的メッセージを主としたものだとしても、同時に文芸性を保持しているものかも知れません。児童文学の世界でも、大正期にプロレタリア児童文学というのが勃興していますが、正直言って作品的にどうかと思うもので、現在に名作として遺されているものはありません。文芸的な作品性こそが時代を超える力だと思っていたのですが、どうもこのところは、力強いメッセージや意志こそが復活しつつあるというのも、昨今の時代の緊迫感なのかも知れませんね。

『共産党宣言』を訳した幸徳秋水と言えば、「大逆事件」で処刑された政治犯、というのが、歴史年表上での記憶です。彼の人物像は、関川夏央+谷口ジローの秀逸な文芸コミック「坊ちゃんの時代」の第四巻、『明治流星雨』に詳しく、僕の中では、あの飄々としたキャラクターが印象深いところです。「反戦」か「主戦」か、新聞社として戦争を支持するかどうかで、秋水や内村鑑三らが『万朝報』を退社したくだりも、あのコミックでは描かれていましたが、信じるところのものを貫く「言論」への想いと、それがまた命がけであった時代の過酷さを思います。復刊ドットコムでも、先日、『雪の下の炎』という、弾圧されたチベット僧の手記の復刊が成立いたしました。これは現在のチベット問題に関心を持たれている方たちによる復刊運動が契機になっています。趣味嗜好だけではなく、「祈り」や「願い」としての「復刊」というものもあるのだと考えさせられたところです。この復刊版『共産党宣言』は、刊行元出版社アルファベータ社長の中川氏の祖父が、かつて日本共産党の創立メンバーであり左翼系出版社を興されていたたことも重要なファクターとなっているようです。誰かの出版にいたる志を継ぎ、「復刊」をさせるという行為にもまた、漲る想いがあるのですね。

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2008年9月20日 (土)


メルマガ予告(09/24号)!

ディレクターの、ともおです。

メルマガ金曜日です。一日少ないと、一週間も早いですね。来週のメルマガを考える金曜日。9月17日号は、フラメンコに関する幻の名作、二作の刊行の報をお届けしました。思いのほか販売に結びつき、実は、フラメンコの中でも、かなりコアな本であったため、意外に思っているというのがスタッフの感想です(売れるとビックリするというこの体質がいけないのですが)。日本はスペインにつぐフラメンコ人口を誇る国だと言われるそうですが、一般に広がったものではなく、より深いフラメンコの真髄というものが存在します。本書の著者であるドン・E・ポーレン氏は、商業的なフラメンコではない、伝統的なフラメンコにこだわる、真のフラメンコの伝道者であるとのことです。とくに『ひとつの生き方』の中で彼が紹介している伝説のギタリスト、ディエゴ・ガストールなど、ほとんど神様的な存在だとのこと。というのは、フラメンコの心酔する編集担当の受け売りですが、こうした映像を見ると、自分も詳しくないなりに気持ちを惹きつけられるものがありましたよ。マニアックで小さなニーズにも、色々とお応えしている復刊ドットコムの真骨頂でお届けしております。あとは松涛と表参道で開催されておりました、それぞれの展覧会の図録のご紹介。これも、一般的な流通から離れたもので、企画として面白かったですね。復刊ドットコムならでは、にこだわった商品紹介ができれば良いなと思っている昨今です。

さて、今度の9月24日のメルマガの内容紹介です。悩んでいたのですが、光文社さんの「古典新訳文庫」を一挙にご紹介して、復刊ドットコムでも販売を開始することといたします。このところの「復刊ブーム」ではかならず話題となる選集であり、とくに『カラマーゾフの兄弟』が、全巻累計で100万部を突破したということでもニュースになっていました。取り扱いのタイミングを考えていたのですが、創刊2周年ということでラインナップも揃ってきたところで一気にご紹介となりました。現在まで七十冊近い本が刊行されていますが、「古典」とはいうものの、本邦初訳の本もあり、わりと「意外」な本も入っているなというのが、個人的感想です。スタンダードな名作文学もひととおり揃っている感じですが、それこそクラークのSF作品である『幼年期の終わり』や、所謂、児童文学枠の作品も入っています(キプリングを金原瑞人さん+三辺律子さん訳でというのは、児童文学ファンとしては見逃せないところ)。以前に読んだことがある人も、これから読む人も、セレクトされた文学全集として面白いのではないでしょうか。ムージルの『寄宿生テルレスの混乱』が気になります。ムージルについては(以前は、ムジールって言ってましたよね)、学生の頃に西洋小説史で習って、いつか『特性のない男』を読もうと思いつつ忘れていた文学史上に刻まれた名前です。読んでないままの作家って結構いるんですね。そして、このラインナップの中に、正直に言うと、かつて途中で投げ出した本もあるんです。読みやすい「新訳」で再挑戦すべきか、と思っているところです。ともかく話題の「古典新訳文庫」を、是非、この機会に手にとっていただければ幸いです。そして、地政学の祖、マッキンダーの『デモクラシーの理想と現実』が、原書房さんから新装版で『マッキンダーの地政学』として復刊されたご案内をいたします。復刊ドットコムでも119票のリクエストを集めている待望の名著の復刊です。日本でこの本が原書房さんから、最初に刊行されたのは1985年。原書は1919年の発行。革命以降の共産主義体制下でのロシアの官僚独裁や、ドイツ軍国主義の台頭を懸念した本書は、二次大戦中にアメリカの戦略家たちに大きく注目されたと言います。地理学者であり、政治家であったマッキンダーは、地政学の先達者として評価されている人物。「自然の要因」を踏まえた上で「戦略」をいかに練るべきか、デモクラシーの世界の平和を守るための実践的な計画としての「地政学」がある。明日のブログで共産主義の方の名著復刊の紹介をする予定だったのですが、こうした、それぞれの思想史の流れの中にある重要な本たちがまた現代に復刊される意味を考えることも大切かと思っています。世の中の潮流は「復古」を求めているのか、それとも「温故知新」ということなのか。積み上げられた知の蓄積が我々にはあり、それが本の形で遺されているものの、多くのものは日々、失われていってしまいます。つなぎとめるべき価値のあるものを、つなぎとめるために、是非、復刊ドットコムに一票を投じていただければ幸いです。

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2008年9月19日 (金)


角川文庫創刊60周年記念

ディレクターの、ともおです。

各出版社さんが文庫復刊の様々なムーブを起こされていて、ブームになりつつある昨今ですが、角川書店さんは、そうした中で、角川文庫創刊60周年記念として、著名な作家さんを月別に編集長に迎え、復刊を中心としたフェアをなさっています。4月からはじまったこの企画は、森絵都さん東野圭吾さん京極夏彦さん重松清さん恩田陸さん、と続いていますが、それぞれの作家さんたちの提案で復刊された本のラインナップがなかなか興味深いものです。例えば、森絵都さんの6冊は、『遠い海から来たCOO』(景山民夫)、『愛』(井上靖)、『恋愛論』(吉行淳之介)、『お菓子と麦酒』(S・モーム)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万理)、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(エルネスト・チェ・ゲバラ)。森絵都さんらしい、かどうかはわからないところですが、作家に与えた読書の精神的影響というものが見えて面白いものですね。それぞれの作家さんたちのリンクも参照していただくと、かなり面白いものがあります。しかしながら、これが、岩波文庫や、新潮文庫ではなく「角川文庫」である、というところがポイントです。角川文庫から与えられた「影響」は、角川文庫というものの個性と大きく関わってくると思います。他の文芸系出版社にはない違ったカラーを文庫に取り入れてきた先駆的存在だからこその「影響」もまたありますね。

さて、発行点数は一万点を超え、近年は色々なレーベルにも細分化された角川文庫のイメージを、皆さんは、どう捉えられているでしょうか。初期の角川文庫にも文芸系のみならず、戦前の大衆小説作品などがけっこう入っていて(まだカバーがなく帯の時代です)、純文学ではないこうした通俗作品と古書店で遭遇することで、岩波、新潮にはない、それこそ春陽堂チックなトキメキを感じたものです。海外文芸関係の渋いところもあったり、角川マイディアなんてシリーズは家庭小説ファンにはたまらない選集でしたね。70年代以降は、あのメディアミックスされた「角川」の時代が到来しますので、また別の感慨があるのですが、昭和の文化史に与えた影響は実に大きいかと思います。復刊ドットコムにも、数多くの角川文庫作品への復刊リクエストが集まっています。まだ復刊されていないところで、ランキング上位をご紹介すると、『リーンの翼(全6巻)』(富野由悠季)、『わたしたちができるまで』(岩館真理子、小椋冬美、大島弓子)、『続お登勢』(船山馨)、『太陽の世界(全18巻)』(半村良)、『青い玉』(銀色夏生)、『冥界の門シリーズ』(マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン)、『碧の迷宮』(氷室冴子)、『だんだんわかった』(仲井戸麗市)、『星のカンタータ 』(三木卓)、となっております。ファンタジー、時代小説、ロック本、児童文学、とバラエティに富んでいるのが、角川文庫らしいところでしょうか。『太陽の世界』など、懐かしいですね(ちなみに『幻魔大戦』の角川文庫版も現在は流通していないんですね。うーむ)。一万点というのは、個人の人生では読みきれない点数です。ひとつの出版社の仕事として、その積み上げられたものに羨望の眼差しを送ってしまいます。

ちなみに、僕が角川文庫を6冊復刊をさせていただけるのなら(妄想)、完全に個人的趣味だけれど、『悦ちゃん』(獅子文六)、『棄児のフランソワ』(ジョルジュ・サンド)、『十五歳』(ポール・シンデル)、『脱走と追跡のサンバ』(筒井康隆)、『押絵の奇蹟』(夢野久作)、『愛と苦悩の手紙』(太宰治・亀井勝一郎)・・・となります。皆さん、文庫には、それぞれの想いがあるのだろうな。そんな想いを、是非、復刊ドットコムにぶつけていただければ幸いです。

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2008年9月18日 (木)


指、痛い

ディクレターの、ともおです。

包丁で指先を切ってしまい(爪もざっくり割りまして)、キーボードがとても打ちにくい状況です。ケガをした左手の人差し指を使わないようにしようと思うと、普段、その指がカバーしている六つのキーを別の指で打たなければならないわけで、これはかなりストレスが溜まります。タッチメソッドで打っているので、普段は指の動きをあまり考えずにいたのですが、こうなると、いやでも意識させられます。そういえば、特定の指が使えないことが「謎解き」につながるミステリーがあったような記憶があります。タイプライターの特定のキーが打てないとか、楽器の特定の音が出せないとか。指を失くしたピアニストが弾く音の欠けたピアノ曲の悲しみ、みたいなものもまた物語的題材ですね。ミステリーではないのだけれど、薄井ゆうじさんの『星の感触』という作品も、そうした「指使い」のエピソードがお話のキーになっていた記憶があります。ワープロの特定の文字を打てなくなることが、何か物語の主題につながるんじゃなかったかな。懐かしくなって調べたら、復刊リクエスト投票が始まっていました。品切れ状態なんですね。好きな作品だったので、ちょっと惜しい気がします。

薄井ゆうじさん、から思い出したところですが、以前は積極的に活躍されていたので良く読んでいたけれど、このところ、どうされているのだろうか、と思う作家さんたちがいます。以前ほど頻繁に新刊を刊行されていないため、近況を知りたいと思う方たちもいます。完全な純文学でもなくミステリーでもない男性作家の場合、そうした薄れがちな印象の中に何人かいて、薄井ゆうじさん、新井千裕さん、上野歩さん、伊井直行さん、村上政彦さん・・・芦原すなおさんも、そのイメージでしょうか。このところの新作を知らないだけかも知れないのですが(などと書くと、ファンの方に、オマエは勉強不足だと怒られてしまうわけですが)、なかなか近況を追えていません。浅田次郎さん、重松清さん、荻原浩さんあたりがこのジャンルのトップランナーで、活躍されていることを思うと複雑です。復刊ドットコム、という場所は、流通上から消えてしまった本のうち、まだ人の記憶の中で熱く生きている本が支持される場所なのですが、ファンとしては、ここで再会できることを喜んでいいのやら、どうなのやらとも思います。ところで、森雅裕さんの2作品が、熱狂的なファンのリクエストによって復刊ドットコムから甦っています。「東野圭吾さんと乱歩賞を同時受賞」されたという経歴から、明暗が分かれたような印象を受けがちですが、濃いファンが何をもって作家を評価するか、流通上での融通とは一致しないものです。知られていないとファンが増えない、という悪循環もあるので現役感は必要かも知れませんが。是非、復刊ドットコムで、あまり、現在の書店にはならんでいない作家さんを見つけ出して、新しいファンになっていただけたらな、とも思います。

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2008年9月17日 (水)


燃えよレオ

ディレクターの、ともおです。

自分がリアルタイムで経験した「時代」は、年表上だけのものとは違って、多くの主観が入り込んだ上でイメージが作り上げられています。同じ江戸時代でも元禄と化政や、享保と寛永の気質の違いは、そういうものなんだ、と歴史書を読んで納得するぐらいですが、70年代と80年代や、90年代の違いは、実感を持って理解しているため、もう少し深く感じとっている気がします。ちょうど復刊ドットコムで、ジュネオンさんの『ウルトラマンレオ 1974』という商品をご案内したところですが、このシリーズ、単に一作品を紹介するにとどまらず、その放送された時代(この本の場合1974年)をも視野に入れてあり、『あの時代のムードを満載した画期的な一冊』だそうで、まあ硬く言って「時代という文脈の中で作品を読み解く」ことができるものなのかと期待しています。いや、なんというか、レオに対しては、複雑な感情があるので、解明して欲しいのですね。それまでのウルトラマンシリーズに感じていた手放しな礼賛ではないものが、自分の中に芽生えはじめた頃のヒーローなので。これは製作スタッフの「設定」や「表現」の問題なのか、それとも、あの「時代(1974年)」の作品であることに起因する違和感であったのか。もしくは、自分の年齢がひとつあがったことが大きいのかも知れません。例えば、60年代後半~70年代の児童文学作品には独特の「異質さ」があったと考えているのですが、それは単に作家の個性なのか。時代がそうした作家のパーソナリティーを容認したとするならば、そこにも功罪が問われるものです。さらに、そこに読者個人の心の成長史がクロスするところが「本の思い出」の複雑なところですね。皆さんが復刊ドットコムに寄せられる多様なコメントを見るたびに、思い出の本というものは、作品と時代と個人の思惑がクロスしたところに結ばれる像であり、そうした位相を踏まえて、現代に復刊させる意味が掛け算で加わるのではないか、と思ってしまうのです。

ところで、昨年の「電王」に引き続き、今年も仮面ライダーの新シリーズ「キバ」を見ているのですが、自分の感受性はほぼ成長停止していることを考えると、気になるのは脚本家さんの手腕とセンスです。それとも、この一年で「時代」は大きく動いたのか。リアルタイムだとシームレスすぎてモードの変遷が見えないですね。これもまた十年後ぐらいに俯瞰して、検証してみたいテーマではあります。

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2008年9月16日 (火)


ちくわとかまぼこ、ちょうだいな

ディレクターの、ともおです。

中島らもさんの『啓蒙かまぼこ新聞』が復刊されました、と書こうとしてよく調べてみたら、もとの単行本版も未だ健在で流通していて、今回、新潮文庫から刊行されたのは、「文庫化」されました、というトピックなのでした。とはいえ、懐かしい本があらためて再デビューしたことには変わらず、新しい読者の方が、この本を手にとられることになる機会が増えたことはうれしく思います。単行本版に比べるとあのマンガも小さくなってしまい、かつて80年代後半に「ぴあ」などの1ページ広告で見かけた「かまぼこ新聞」とは多少、イメージが異なります。とはいえ、中島らも、という稀代のアーティストの名前を世に知らしめた原点を是非、ご覧になっていただきたいところです。カネテツフーズの広告であったはずの「かまぼこ新聞」は、「かまぼこ」の広告をはるかに超えた「読み物」となり、二十年以上経過した現在にも膾炙していることは感慨深いですね。朝日新聞に掲載されていた『明るい悩み相談室』も、旧来の「悩み相談」の常識を超えた内容に驚かされた記憶がありますが、今にして思えば、あの中島らもという才能の爆発前夜、という気がします。80年代、90年代を駆け抜けた才気を、今さらながら、偲びたいところです。

復刊ドットコムと中島らもさんは、必ず親和性があるはず、と思って調べたところ、意外にも、「復刊リクエスト」があがっていないのです。それはつまり「絶版になっている本が少ない」ということなんですね。主要作品が現役ということでは、椎名誠さんもそうですが、糸井重里さん、いとうせいこうさんなどの同時期のサブカルチャー系の奇才たちよりも、より「時代を跳躍する」力があった、ということかと思います。たしかデビューエッセイだったはずの『頭の中がカユいんだ』も集英社文庫から今年、再発されていますが、エッセイ集として秀逸な『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』や、また、どれも面白い長編小説、『今夜、すべてのバーで 』『ガダラの豚』『永遠も半ばも過ぎて』などすべてが健在。あの非常に恐ろしいホラー系の短編集なども揃っていますね。あらためてラインナップを拝見していて、自分も主要な作品は読んでいるものの、まだ読み逃している作品が多数あり、こうした作品が、まだ文庫で手に入ることをありがたく思いました。中島らもさんが亡くなられて、すでに4年が経過しました。あの最盛期の中島らもさんの創作における輝くばかりの才気と、エッセイ集に見る、あまりにも凡庸で親近感を持ってしまうナイーブさ。夭逝されたことはとても残念ですが、最期まで「中島らも」らしさを失わなかった姿勢に、複雑な感慨を抱いたりしています。

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2008年9月15日 (月)


失われた名作を求めて

ディレクターの、ともおです。

時々、本棚からひっぱりだしてきて参照している本に、青弓社から出ていた岩男淳一郎さんの『絶版文庫発掘ノート』があります。この本を僕が手にいれたのも15年以上前のことですが、初版は1983年発行ですので、25年前の本になります。もう四半世紀前ですね。この本が書かれた当時、絶版になっていた国内、海外文芸書を惜しみつつ解説する本なのですが、ブックガイドとしてかなり秀逸で、この本を入手して以降の読書生活に与えられた影響は大きかったかと思います。プルーストの『失われた時を求めて』が絶版になっている現状を憂い、そのプルーストに影響を与えたゴーティエの『キャピテン・フラカス』の絶版に言及していく。流れるように本を紹介していくその博識と気概に、とても興奮を覚えた一冊です。この本で知っていたおかげで、『キャピテン・フラカス』が岩波文庫リクエスト復刊で甦ったときなど快哉を叫んだものです。そして、読んでみて、想像を超える面白さに驚きもしました。その後も岩波文庫のリクエスト復刊がある時には参照して、買い逃しがないようにしていたものです。この本自体、絶版になっている現状ではあるのですが、こうした読書指針となってもらえるガイドブックに出会えたことで、どれほど読書生活が豊かになるかは、読書好きの方にはわかっていただけるかと思います。

さて、面白いのは、この25年前に絶版を嘆かれていた作品が、思いのほか復刊されているという事実です。『失われた時を求めて』なども、「あの頃」よりも現在の方が、文学書として価値の高いものとして扱われ、各社、競って刊行している感じすらするのです。この本で紹介されている中でも、フィッツジェラルドの『夜はやさし』や、スタニフラフスキーの『芸術におけるわが生涯』、森田たまの『もめん随筆』などが、このところ復刊されているのは記憶に新しいところです。コクトーの『山師トマ』や、ミュッセの『ミュッセ小説集』なども新刊で購入できる状態になっています。現在、例の新訳『カラマーゾフの兄弟』がちょっとしたブームで話題になっていますが、実際、こうした「文芸のメインストリートというほどでもないあたり」に存在する本が、確実に「復刊」されている事実の方に注目してもらいたいと思うのです。要は静かに「復刊」というものが現在の出版界の中で息づいているということですね。隠れた名作を、隠したままにしない心意気が出版界にはあるのです。一方で、僕もずっと読みたいと思っている(図書館でも読めない)ビョルンソンの『日向丘の少女』など、かなりの古書価になってしまっています(復刊ドットコムでも『少女世界文学選 全36巻』の収録作品としてリクエストが入っています。この全集のラインナップ、訳者、かなり魅力的ですね)。プルーストに影響を与えたと言われるゴーティエは復活したものの、これも、大きな影響を与えているはずのサンドの『棄子のフランソワ』は、かなりの入手困難本(所蔵している図書館も少ない)。ということで、まだまだ息づいている「ちいさな声」を集めて、次代につないでいくことが重要ですね。この四半世紀の中で、出版界の良心は、多くの名作を復刊させてきたのです。現在は無理だとしても、また四半世紀先にも甦る可能性を求めて、復刊ドットコムは、読者が名作を求める声を集めていきたいと思うのです。

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2008年9月14日 (日)


花登筺を、どう読むか。

ディレクターの、ともおです。

花登筺を、サッと「はなとこばこ」と読めるのは、ある程度のご年齢の方だとは思います。多少なりとも、昭和という時代に生きたことがある方ではないと、なかなか難しいのではないかな。ご存知ない方は人名だとさえ思わないでしょうが、「花登筺」さんは、昭和時代に活躍された作家であり、脚本家です。復刊ドットコムでPV(ページ閲覧数)がずっと高めで安定しているリクエストとして花登筺さんの『ぬかるみの女』があります。どうしてこんなにPVが高いのだろうか、と調べたところ、順繰りに地方のTV局でドラマの再放送が行われているからなのですね。それで興味をもって検索されて、ここに辿りつかれる方が多いのか。『ぬかるみの女』は、1980年に製作された、花登筺夫人でもある星由里子さん主演のドラマです。最近もCMなどで「銭の花」というフレーズが使われていましたが、あの『銭の花は白い、けれど、その根は血のように赤い』で知られる有名なTVドラマ『細腕繁盛記』もまた花登筺作品。『あかんたれ』『どてらい男』などのドラマもそうです。「商売根性成長モノ」というか、色々な意地悪などに耐えながら、主人公が苦節の上に成功していく物語には、それなりのカタルシスもあって、現在でも充分、見ごたえのある作品ではないかなと思うところです。個人的に好きだったのは『氷山のごとく』。名古屋の商家を舞台にした丁稚モノですが、これはなかなかロマンに溢れている作品でした。腹黒い番頭夫妻に店を乗っ取られ、商家の二階に暮らしている病弱なお嬢様は店の本当の継承者。店で奉公する丁稚の少年は、「隠居」と呼ばれて幽閉同然の暮らしをしているお嬢様の存在を知ってしまい、やがて彼女に店をとりもどさせるため、商売の才覚を発揮していく、というお話(だったと思います。昔見たっきりの記憶なので)。復刊リクエストもあがっておりましたが、この作品が21世紀に入ってからもちゃんと復刊されていて、丁稚モノ健在、を嬉しく思っておりました。

意外な花登筺原作作品としては、アニメになった『アパッチ野球軍』があります。この作品、かなり見るのが辛い。『教師が不良生徒をまとめ上げ、野球を通して友情を深めていく』という作品説明は、最近ドラマ化された某野球マンガを思い出されるかも知れませんが、この生徒たちが、かなり強烈です。「不良」というよりも、ただただ「貧しい」んですね。貧しくて、愚かしいので、悲しくなってしまうんです。この高度成長期の過疎の村の貧しさのリアリティがたまらない。そして、今、放送するには、きっと「何かに抵触する」であろう予感が漲っています。「放送しちゃいけない感じ」にあふれています。ともかくインパクト大ですので、機会があったら、是非、アニメ原作ともに、ご覧ください。それにしても、これだけ得票数が高い人気作品が揃っているわけですが、花登筺さんの全集は刊行されなかったのかなあ(今のところ、確認できておらず)。

■『花登筐』 復刊特集ページ

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2008年9月13日 (土)


メルマガ予告(09/17号)!

ディレクターの、ともおです。

金曜日、メルマガライティングの富乃がお休みで、月曜日も祝日の関係で、ちょっとハードな日程で作成が進んでおります9月17日号のメルマガです。なるべく旬な情報をお届けしたいので、ギリギリまで情報を待っているところもあって、作り溜めできないのが、厳しいところ。まずは、前回号の振り返りですが、『MOTHER2』の復刊、というか重版の決定のご一報をお届けしました。当初、500冊の予約が集まったら、という形で進行していたのですが、300冊を超えてからのペースがとても速いので、先に決定を出してしまいました。というのは、通常、仮予約規定数ラインより製作数の方が上になるケースが多いのですが(規定数1000冊で、1500冊製作とか)、今回の場合、500冊キッカリしか作れないのです。つまり、予約完了=以降品切れという状態になる本だったのです。ということで、現在の残在庫100冊ちょっとは、このところのペースだと、この後、4~5日で品切れになります。こうした復刊企画が再度、成立しなければ、当面、手に入らない本となりますので、決まってから買う派の方にも多少配慮した形になります。その他、 『MOTER』関連本も復刊ドットコムでなければ手に入らないものが多数ありますので、どうぞ特集をご覧になってください。ところで、『MOTER』と言えば、糸井重里さんですね。『MOTER』というゲーム自体に僕は触れることはなかったのですが、糸井さんは、僕らの世代にとって、というか、元ハウサー(死語)とか、えーと、ちょっと恥ずかしい時代を生きたモノにとっては、やはり特別な存在です。このラインナップを見ていると、やはり切なくなるものがありますね。

さて、次回、9月17日のメルマガのご案内です。話題のリクエストということで、先週、NHKの「新日曜美術館」でも紹介された絵本作家、大道あやさんの「ねこのごんごん」のご紹介をします。渋谷の松涛美術館での、大道あやさんの展覧会もあとわずか、ということで、復刊ドットコムではこの展覧会の図録を特別に販売させてもらっておりますので、そちらも合わせてご紹介します。展覧会の図録、といえば、もう一つ、細江英公さんの現在、開催中の個展『Eikoh Hosoe  細江英公人間写真展 「抱擁」と「薔薇刑」』の図録『細江英公 展覧会のための写真集「抱擁」と「薔薇刑」』をご紹介します。こちらは、表参道のギャラリーなので、地理的には近い場所でやっている二つの展覧会の図録の紹介となります。そういえば、今回のメルマガで紹介するわけではありませんが、復刊ドットコムでも大人気の山本タカトさんの展覧会も、四会場で趣向を変えて行われるようです。ネットは全国区なので申し訳ないのですが、東京に暮らしているとこうしたものに触れられる機会は多く、やはり恵まれている感はありますね。そして、フラメンコファンに吉報、ということで、仮予約銘柄であった『フラメンコの芸術』『ひとつの生きかた』の発売決定をお知らせします。当初予定よりも、価格を下げてのご提供となりました。こちらは規定数より多少、余裕をもって製作しておりますので、在庫があります。どうぞ、お早めに。そして、出版社さんのパワープッシュは、東京創元社さんと、創元社さんの作品をご案内。東京創元社さんは、創元社さんから分かれて出来た会社ですが、ミステリー、SF、児童文学のジャンルで魅力的な作品を刊行し続ける、老舗の出版社さんとなっています。このたびの復刊フェアでは、バラードやハインラインの名作を復刊。復刊リクエストも集まっていた、クトゥルフ神話作家の一人としても知られるC・A・スミスの『イルーニュの巨人』にも人気が集まっています。一方、創元社さんの作品の紹介は『戦闘技術の歴史』『世界の古代遺跡』『世界の大宮殿』など、ロマン溢れる歴史書をご案内します。中でも『地図と絵画で読む 聖書大百科 Biblicaビブリカ』は、注目の本です。死海文書の解読が可能になったなどのニュースもあって、聖書の原典に注目が集まる昨今ですが、聖書の壮大な世界をビジュアルをふんだんに用いた「新しい洞察と深い理解に満ちた画期的な“1冊”」だそう。是非、ご覧ください。東京創元社が出来たのはもう50年以上前のことなのですね、それぞれに進化を続けて、現在の姿があり、双方が第一線の出版社さんとして活躍されています。さて東京創元社さんといえば、『ダーコーヴァ年代記』が海外文芸のリクエストトップを独走中なのですが、あれは、未開の惑星に不時着した地球人移民たちの末裔が、独自の文化を築き、すっかり自分たちが地球人だったことも忘れ去られた二千年後に、再び、地球文明と再会するというお話でした。両社の歴史を拝見していて、ふいにそんな相似形を思い出しておりました。

■ということで、大慌てで作っているメルマガ、是非、ご登録ください。

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2008年9月12日 (金)


アウトラインだけの紹介

ディレクターの、ともおです。

ある出版社さんが作られた、これから刊行される作家さんの全集のカタログを拝見しています。この全集は、絶対、復刊ドットコムでご案内したい、と思っているものです。このカタログ自体の力の入り方が凄い。まず、この「著者」の作品を推奨している著名人たちの文章が多数、集められているのですが、そのメンバーが中井英夫澁澤龍彦実相寺昭雄塚本邦雄山田風太郎となると、一体、この著者は何者、という感じになるかと思います。鬼籍に入られた方たちのみならず、今回の全集のために新たに集められたコメントも橋本治、堀江敏幸、中野美代子というのも、ほほうという感じです。唯一若手で三浦しをんさんが入られているのが、ちょっと異色を加えているかなという程度で、「ある種の趣味」に貫かれています。優れた審美眼を持つ人たちによって薦められる本にはそれだけでもサムシングがありますね。ということで、もう少ししたら、この全集をご案内したいと思います。いましばらくお待ちください。さて、この著者とは一体、誰なのか。ヒントとしては、日本三大奇書の作家さんたちにニアリーですが、違う人です。

先日、高い見識を持たれている先達の児童書専門書店の方から、今、「本を薦めてくれる」人として、今、子どもたちに最も影響があるのは誰か、というお話を伺いました。それは学校の先生でも学校図書館の司書でもなく、学習塾だというのです。ちょっと虚を突かれた感じはあるのですが、面白い話だなと思いました。ちょっと亜流の場所にいる方が薦める方が効くんですね、というかそれだけ信望を集めているということでしょうか。その昔、小泉今日子さんがエンデの『モモ』を推奨されて、小ブームが巻き起こるということがありました。あれはラジオでの発信だったのかな。昨今、「兄貴的DJ」は存在するのかどうかわかりませんが、信じられるオピニオンリーダー的な人がいるというのは良いですね。われわれも復刊ドットコムが薦めている本だから面白いに違いない、なんて思ってもらえるぐらいに審美眼を磨かなければならないなと思っているところです。

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2008年9月11日 (木)


新刊のご案内

ディレクターの、ともおです。

復刊ドットコムでは復刊のみならず、新刊のご案内もしております。事実上、復刊や重版であっても、復刊リクエストが入っていない商品をすべて「新刊」と呼んでいるのです。つまり、復刊ドットコムでリクエストの入っている四万点弱のタイトル以外は全部「新刊」となるわけです。関連がないといえばないわけですが、一応、復刊ドットコムユーザーの嗜好に合いそうなもののみセレクトしてご案内しています。これがまあ、かなり偏りのあるラインナップで、それがまた復刊ドットコムらしさ、ではないかとも思っています。このところご案内している中で、個人的に気になっている「新刊」をいくつかピックアップします。

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■『メアリー・スチュアート』――――――――――――――――――――――――――――――――――
【著者】アレクサンドル・デュマ/著 田房直子/訳
【発行】作品社
【定価】2,520円(税込み)
【発送時期】9月中旬
文豪大デュマの知られざる初期作品、本邦初訳!
三度の不幸な結婚とたび重なる政争、十九年に及ぶ監禁生活の果てに、エリザベス一世に処刑されたスコットランド女王メアリー。悲劇の運命とカトリックの教えに殉じた、孤高の生と死。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

大デュマの初期作品の初訳です。メアリースチュアートというと、同名の作家もおられますが、実在したスコットランドの「悲劇の女王」です。その波乱の人生がどのように小説化されているのかは興味深いですね。エリザベス1世との王位継承権争いから、謀反の疑いをかけられ、最期には断頭台で処刑された女王メアリー。児童文学ファンタジーの傑作『時の旅人』で、メアリーが有罪となったバビントン事件の背景が扱われており、興味を持っていました。歴史ドキュメントとしてその事実関係を追うだけでも充分興味深い事件なのですが、果たして『ダルタニャン物語』のデュマの筆は、どんなメアリーを見せてくれるのか、楽しみな一冊です。

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■『図書館 愛書家の楽園』――――――――――――――――――――――――――――――――――
【著者】 アルベルト・マングェル著/野中 邦子 訳
【発行】白水社
【定価】3,570円(税込み)
【発送時期】9月下旬
古代アレクサンドリア図書館、ネモ船長の図書室、ヒトラーの蔵書、ボルヘスの自宅の書棚など、古今東西の実在あるいは架空の図書館を通して、書物と人の物語を縦横無尽に語る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

僕は愛書家でもビブロマニアでもないのですが、「秘密めいた本」にまつわる物語にはとても惹かれるのです。また、図書館という舞台にも興味があります。開架された本棚ではなく、むしろ閉架書庫の中にはどんな本が眠っているのか。実は「開かれていない図書館」の方に魅力を感じてしまうのです。『薔薇の名前』であるとか、最近の本では『風の影』であるとか、書物をめぐるミステリーにはどきどきするものがありますね。アレクサンドリア図書館の女性司書について触れられていたSF作品があって、ちょっと興味も持っていました。おおよそ、妄想をふくらませているだけに過ぎないのですが、過去の「図書館」へのロマンは尽きないところです。

■『今週の新刊』へはこちらから。

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2008年9月10日 (水)


自民党総裁選とは何か?

ディレクターの、ともおです。

9月10日(水)は自民党総裁選の公示日です。ちょうど復刊ドットコムでは、『自民党総裁選』という本を皆さんにご紹介しようとしていたところでした。この本は、作家であり、ドキュメントライターでもあった小堺昭三氏によって、1986年に発行された同タイトルの文庫版を元に復刊されたドキュメント作品です。平成七年に亡くなられた小堺昭三氏の遺志を受け、ご子息の正記氏が編まれている小堺昭三全集の第二巻となります。昭和三十九年の佐藤栄作の第五代総裁選任に始まり、昭和五十九年の中曽根総裁再任をめぐっての攻防までを扱う、「三木おろし」「角福戦争」など昭和の政治史を飾ったキーワードが散りばめられた二十年の自民党総裁選の物語。非常に考えさせられる内容です。政治家というものの一局面を描いているものだとは思いますが、権力に執着した男たちの金権腐敗の政治的状況は愚かしくも嘆かわしい。とはいえ、こうしたパワーシフトを制してこその政治であり、その先に国策や立法があるのかも知れませんが、果たして政治的理想はどこに行ってしまったのかは、考えてしまうところです。

本書の解説で作家の北川晃二氏が『策謀、陰謀、暗闘、死闘が渦巻き、札束が乱れとぶ。あくまでも党内の選挙である総裁公選には「公職選挙法」は適用されないのだ。人間の嫌らしさ、虚しさが余すところなく露呈されるのである』と本書で描かれた自民党総裁選について書かれています。だからこそ、小堺氏は本書で政治の深層を描き、国民による監視を訴えているのだと。この本が書かれてから、二十年以上たった今、それはどのように変わったのでしょうね。過去へのまなざしが、現代の認識を深めます。これからはじまる自民党総裁選を見る目が変わる一冊です。

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2008年9月 9日 (火)


イケメン作家列伝

ディレクターの、ともおです。

作家のビジュアルについてあまり関心がないのですが、漠然としたイメージとして心に浮かんでいる、それぞれなりの像があります。作品のイメージや、字面で、この人はきっと美しい面立ちをしているのではないか、などと思ってしまう作家さんもいます。例えば、堀辰雄、福永武彦、日夏耿之介、大手拓次、あたりそんなイメージですね。詩人は往々にして、美的なイメージがありますが、僕が好きな詩人の八木重吉などは、ちょっと鈍重なイメージがあるので、一概に言えないかな。実際は、ほとんど近現代作家の顔を知らなかったりします。新潮社さんの文学アルバムも「太宰治」と「川端康成」ぐらいしか持っていません。よっぽど好きじゃないと、そこまで知らなくても良いかと思っているぐらいなのです。ところで、gooのランキングで『イケメンだと思う日本の文豪ランキング』というのがありました。ぶっちぎり芥川龍之介で、漱石、三島、太宰、中也、と続きます。「イケメン」の基準が良くわからんところですが、教科書に載っていた囲み写真のイメージなのかなあ。舞台や映画で演じた人のイメージもありますね。中原中也を三上博さんが演じられていたドラマがあって、もともと似ていることもあって刺激的でした。菊池寛氏の自伝映画を渥美清さんが演じられていたものも印象深くて、もう自分の中ではかなりイメージがダブっています。林真理子さんの役を原田知世さんがというのもありましたが、文学史上の人物になるぐらいまで歴史を経ないとダブらせるにはハードルが高い・・・場合もあるようです。ちなみに、先ほどあげた作家さんたちのビジュアルはというと、堀辰雄福永武彦日夏耿之介大手拓次、というリンク先参照です。文士めくカッコ良さに溢れているのは、内側から光るものがあるからですね。

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2008年9月 8日 (月)


細江英公氏の凄い話

ディレクターの、ともおです。

三島由紀夫をモデルにした『薔薇刑』や、土方巽をモデルにした『鎌鼬』などの作品で知られる写真家の細江英公氏。復刊ドットコムでも多大な人気を博している、日本写真界を代表するアーティストです。その細井英公氏の写真展、ならびにイベントが以下のように行われますので、お知らせします。

□『Eikoh Hosoe  細江英公人間写真展 「抱擁」と「薔薇刑」』

開催日: 2008年8月29日~10月26日
場 所: ギャラリー ホワイト ルーム トウキョウ

概要:
・銀塩プリントに人一倍のこだわりを持つ細江英公氏が、ピグメントプリントを使用して『抱擁』を大判作品にリメイク。
・『抱擁』のシリーズを新たに大判のピグメント作品に限りエディション化。細江作品がエディション化されたことはこれまでに無く、世界初。
・今回の展示会のために制作されるホワイトルームの写真集『細江英公 展覧会のための写真集「抱擁」と「薔薇刑」』の販売。

更に、スペシャル・トークイベントがあります。

□『写真家・細江英公氏と詩人・高橋睦郎氏を迎えて、ギャラリートーク』

開催日:2008年9月27日(土) 18:00 - 20:00 (17:30より受付開始)
会 場:ギャラリー ホワイト ルーム トウキョウ / フロントルーム


ということで、これはかなりのファン垂涎の企画ではないかと思います。写真展も無論、興味深いものではあるのですが、細江英公×高橋睦郎のトークイベントは凄いですね。以前(学生の頃だったので、随分と以前ですが)、高橋睦郎さんのワークショップを見に行ったことがあるのですが、朗読される声の実に素敵だったこと。写真やイベントを是非、間近でで目に耳にしていただきたいと思います。

そして、更に復刊ドットコムユーザーの皆さんに特別なお知らせです。
この写真展のために作られた図録が、復刊ドットコムで購入可能となりました。

■展覧会図録『細江英公 展覧会のための写真集「抱擁」と「薔薇刑」』 

サ イ ズ: w 297mm x h 210mm 装丁: 上製本カバー付き
ページ数: 110ページ 
価  格: ¥6,300(税込)
内  容:シリーズ「抱擁」とシリーズ「薔薇刑」の各作品からそれぞれ20作品をセレクトして収録。この写真集は、1971年に発表された『抱擁』と、1963年に発表された『薔薇刑』、それぞれのシリーズを初めて一冊の本にまとめたものであり、小説家 三島由紀夫氏の序文も原文のまま掲載されています。1000部限定。シリアルナンバーと直筆のサインが添付されます。

『抱擁』『薔薇刑』のリンク先をご覧にいただくとわかるのですが、現在の古書価格の凄いこと、びっくりしてしまいます。抄録版ではありますが、どれほど今回の展覧会用の写真集が貴重な本かお分かりいただけるのではないかと思います。

ね、凄いでしょ。

■『細江英公』復刊特集ページ

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2008年9月 7日 (日)


メルマガ予告(9/10号)!

ディレクターの、ともおです。

まだ、えいやっと気持を奮い立たせなくてはならない感じがあるのですが、まあ、がんばります。まずは、先週のメルマガの振り返りです。9/3(水)のメルマガでいくつか表記上のミスがありました。すみません。チェックミスです。「イースト・プレス」さんを「イートス・プレス」と書いてしまったのみならず、同社の『幻の性資料』シリーズのリンクを『性の心理』に貼っておりました(性しか合っていない)。あらためて、別の機会に、イースト・プレスさんの『幻の性資料』の告知をメルマガで行いたいと思います。誤った情報をお伝えしまして、誠に申し訳ございませんでした。昨日、プレスリリースを掲載した『雪の下の炎』の予約も開始させていただきました。復刊の詳しい経緯についてはこちらをご覧ください。たくさんの方たちの想いが集まって結実した復刊です。もしこの問題に、多少でも興味をお持ちの方がいらっしゃったら、是非、手にとっていただきたい一冊です。忍者VS仙人は、忍者に軍配が上がりました。『萬川集海』他、忍者関係の書物を紹介させていただきましたが、このところの忍者人気は、高齢の男性ではなく、実は若い女性の皆さんが支えているのですね。『忍たま乱太郎』の人気が著しく、その影響で忍者に興味を持つ方たちが多いらしいとも聞いています。調査して、掘り下げてみないとわからないことは多いものですが、先入観やイメージに捉われないことが、真相に至る近道かも知れませんね。

さて、次回のメルマガの予告です。中心となる案件については、まだ検討中で、ゴーできるかどうかわからないところもあるので保留。その他の案件として、まずは、これまで復刊ドットコムで企画してきたブッキングの小規模オンデマンド復刊の本を、常時、購入できるようにしたことのお知らせです。「オンデマンド」という言葉を復刊ドットコムでは良く使います。これはプリント・オン・デマンドの略称です。「需要に応じて印刷する」ということです。一般に流通している出版物は、活版時代を経て現在はオフセット印刷が主流です。これには印刷用の版の製作が必要となり、最低でも一回に数千冊単位の部数で刷らないと1冊あたりのコストが跳ね上がってしまいます。一方、オンデマンドは、比較的割高ですが1冊から製作することができます。700冊前後を境として、1冊単位で見れば、オンデマンドの方が単価を抑えられるので、100冊~300冊程度の小規模復刊にはこちらを用いてきました。とはいえ、これも百単位で作ってなんとか原価を下げている状況で、ニーズが集約されるまで、往々に品切れを起こしてきました。今回、ブッキングがお世話になっている印刷会社のオーピーエスさんのご厚意で、更に小規模のオンデマンドを提供していただき、欲しい時にすぐ買える状態を実現しました。『キノコキノコ』『ピコラピコラ』『オヨネコぶ~にゃん』など、復刻コミックセットを常時入手できるようになったことをお知らせをいたします(まずは予約となりますが、10月以降、常時在庫できるはずです)。オンデマンドは小リスクで復刊を実現できる方法ですので、是非、復刊をご検討中の出版社様、著者の皆様は復刊ドットコムにお声がけいただければ、お手伝いできるかと思っております。最新のスキャニング技術と組み合わせれば、原本が一冊あれば「一冊からの復刻」が実現します。すいません。宣伝めいてしまいましたが、もっと多くの本の復刊を実現するために、復刊ドットコムとしても、この方法の斡旋と普及を行いたいと思っています。脱線しました。今回、創刊15周年を迎えた「平凡社ライブラリー」の記念復刊本をまとめて紹介いたします。15周年にかけてということなのか、15冊が今回復刊されますので、ご希望の本がないかどうかご確認くださいね。また、このところフェアが続いている早川書房さんが、昨年亡くなったカート・ヴォネガット(ジュニア)の新刊『追憶のハルマゲドン』を刊行されるのを機に、品切になっていた作品が一気に重版されましたので、そのご紹介。ヴォネガット特集です。メルマガ等で復刊リクエストのある復刊本を紹介する際に投票者の方のコメントを引用させていただいております。前回のフェアでヴォネガット作品を紹介した際に使用したコメントは、メルマガ担当の冨乃が無作為に選んだものでしたが、実はブッキング営業担当のkyoが書いていたものでした(本人が後ほど自己申告)。うちのような本関連の会社でも、隣の席の誰かがどんな作家を好きかなんて詳しくは知らないもので、へえー、とか思ったものです。意外な人が投じている意外な一票が集まって大きな力となる。復刊ドットコムはそんな感じで成り立っております。いろいろな趣味の断片を、寄せてもらえれば幸いです。

■そんな意外な復刊ドットコムのメルマガ購読はこちらから。

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2008年9月 6日 (土)


『雪の下の炎』 のプレスリリースをしました。

ディレクターの、ともおです。

メルマガ予告の日だったのですが、ちょっと予定を変更しまして、昨日、プレスリリース(報道関係へのリリース)した『雪の下の炎』の紹介文です。「復刊を応援」するという、いたって政治的にはフラットな立場で仕事をしているわけですが、先般に復刊させていただいた『収容所群島』しかり、民衆が虐げられる政治的状況については、やはり思うところがあります。「復刊リクエスト」は、単に絶版の本を復活させるということとのみならず、その本の持つ意義をメッセージとして社会に伝えたい、というリクエスト者たちの祈りがあるのだ、という文意にしたつもりだったのですが、多少なりとも伝わるところがあれば良いな、などと思っています。

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報道関係者 各位

◆『雪の下の炎』 復刊決定◆

□中国政府に三十年間拘束されたチベット僧侶の悲痛な叫び□

現代に甦るべき貴重な証言を記した本が復刊されます。チベット僧侶である著者バルデン・ギャツォ氏の想像を絶する苦難と忍耐の記録である本書『雪の下の炎』が、絶版になった書籍の復刊を応援するインターネットサイト・復刊ドットコムで、多くの読者の支持を受け、復刊されることが決定しました。

平和の祭典、北京オリンピックの饗宴の裏で、大きな火種を抱えたままくすぶっていた中国政府とチベット自治区の紛争が、また大きな騒乱を生み出したのは記憶に新しいところです。1950年の中国政府によるチベットへの侵攻以降、強化される支配に対して、統治下にあったチベット民衆は過激な抵抗を試み続けてきました。武力と暴力の衝突。繰り返される悲劇。そして激しくなる圧政下では、無実の人間にも不幸がもたらされました。1961年、まだ28歳だったチベット僧ギャツォ氏は、身に覚えのない容疑で中国政府に逮捕、投獄されます。強制労働や飢餓、そして残忍な拷問など、いつ終わるとも知れぬ苛酷な責め苦を受け続け、それでも強靭な精神力により決して屈することのなかった著者は、三十年以上の投獄生活を経て中国占領下のチベットを脱出し、国際舞台でチベットと世界平和のために力を尽くしていきます。著者バルデン・ギャツォ氏の苦闘の記録である、本書『雪の下の炎』は、1998年に新潮社より刊行され、その後、絶版となっていました。今、再び、時代の要請に応えて本書の復刊が行われます。

本書の復刊を求める声は、2008年4月に復刊ドットコムに登録され投票が始まり、同5月には100票を突破。得票数はその後も伸び続け、現在、171票を集めています。今春、世界中の耳目を集めた中国政府とチベット自治区の紛争の波紋が広がるにつれ、本書の存在が同問題に関心を持つ方たちの間でささやかれ、この貴重な記録の復活を求める声が盛り上がりました。中国政府から弾圧を受けたチベット人個人の証言が形となっている本は稀少であり、本書が、再び多くの人たちに読まれることで、世界平和を求めようとする人たちのブログやmixi等、ネットを通じた応援運動も始まりました。復刊ドットコムを運営する出版社ブッキングでは、同書の短期間での著しい復刊投票の伸びを鑑み、今、まさに時宜に適ったものとして、同書の復刊を計画し、このたび実現いたしました。

■書  名 : 『雪の下の炎』
■著  者 :  パルデン・ギャツォ 著  檜垣嗣子 訳 
■発  行 : ブッキング
■サ イ ズ : 四六判 222頁 
■定  価 : 2,625円(税込)
■発売予定 : 2008年10月下旬
■ISBN : ISBN:978-4-8354-4398-0
■内  容 :
28歳のチベット僧はある日、身に覚えのない容疑で中国政府に逮捕、投獄される。それは、強制労働や飢餓そして残忍な拷問など、いつ終わるとも知れぬ、想像を絶したおぞましい日々の始まりであった……。30年以上もの長きにわたる苛酷な獄中生活にもかかわらず、強靭な精神力により決して屈することなく生き延びた著者の、苦難と忍耐の物語。

■著者略歴 :
1933年生まれ。28歳のときに中国政府により逮捕。1992年、じつに31年間にもおよぶ獄中生活の後に釈放。同年、中国占領下のチベットより脱出。チベット亡命政権のあるインド北部ダラムサラを拠点に各国を訪問。国連人権委員会で証言を行うなど、チベットと世界の平和のために精力的な活動を続けている。

復刊ドットコムは、さまざまな理由で書籍流通市場から消えてしまった本を、読者の声を集めることで復刊に結びつけるサイトとして2000年に始動いたしました。8年間の活動の中で、登録書籍は3万6千点に上り、5000点以上の作品が、本サイトでの投票を契機にして復刊されています。インターネットを通じて、同じ志向性を持つ読者のニーズが投票という形で集められ、復刊されることへの有形、無形のムーブを作りだしています。今回の『雪の下の炎』は、現在は社会的関心を集める事件を扱った本でありながら、発行後、数年を経て、当初の発行元では、ニーズが小さいため重版できる要件を満たさないまま流通市場から消えてしまっていたものです。復刊ドットコムは、こうした事例を救い上げ、あらためて復刊本として世に送り出すことで、社会に一石を投じようとしています。今回、ネットを通じて、復刊活動に参画された方たちの思いにもまた、こうした形で社会に向けてメッセージを発信したいという希望が託されていました。

■投票者コメントより

この本を絶版にすることは、チベットの方々が受けている虐殺を黙殺することと同じです。国籍や人種関係なく、命の大切さ、文化の素晴らしさは平等に尊重されるべきものです。それを伝えてくれる大切な本だと思うからです。

チベット問題について興味があり、少しでも多くのチベットに関する情報や知識を得、そして何よりチベットで何が起きているかを知りたいと思い、復刊を希望いたします。
どうかよろしくお願いいたします。

いま、チベットをめぐる政治情勢が厳しい局面を迎える中で、個々のチベット人がこれまでどのように行動してきたのかを具体的に知ることは、事態の理解と前向きな進展を図る上で、重要な意義を持つと信じます。一人でも多くの読者諸氏がこの本を手にできることを切に希望します。

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只今、絶賛、予約受付中です。よろしくお願いいたします。

投稿時刻: 午前 11:42
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2008年9月 5日 (金)


絵本作家、大道あやさんがTVで紹介されます。

ディレクターの、ともおです。

青息吐息ですが、なんとかやっています。以前にこの場所でも紹介いたしました、画家、絵本画家の大道あやさんが、TV番組で紹介されますので、皆さんにもお知らせします。


放送時間:2008年9月7日(日) 朝 9~10時 「再放送」 夜 8~9時
NHK教育、新日曜美術館にて 
『母と娘 咲き誇るいのち 丸木スマ・大道あや』
が放送されます。

大道あやさんと、お母さんで画家である丸木スマさんのことが特集されます。再放送もありますので、是非、皆さんにご覧になっていただきたいと思います。

また、渋谷の松涛美術館にて9月21日(日)まで『おてんば作家 大道あや展』が開催されています。この後、高浜市、田川市、沖縄、呉市での開催も予定されていますので、お近くの方は、是非、お立ち寄りください。

また復刊ドットコムでは、この美術展でしか手に入らない、図版を特別に販売させていただいております。この機会に、是非、ご入手ください。

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■『生誕 100年記念 けとばし山のおてんば画家 大道あや展 カタログ』
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【著者】
【発行】大道あや展
【定価】1,300円(税込み)
【発送時期】3~6日後
美容師を26年、花火師となり、60歳にして独学で絵を描き始めた異色の画家、絵本作家、大道あや。その生誕100周年を記念した初の本格的な回顧展が2008年8月より全国3カ所で開催されます。

このカタログは、その展覧会会場でのみしか購入できない、貴重な一冊です。
大道あや人気の高い復刊ドットコムでのみ、販売を許可していただきました。この好機に是非、ご入手ください。現在、多くの作品が品切のため、入手できる本が少ない大道あやの、エネルギッシュに自然の躍動を描く絵の図版が多数収められたカタログです。是非、ご覧ください。


■『生誕 100年記念 けとばし山のおてんば画家 大道あや展』
 開催情報は、こちらをご覧ください。
 

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■『絵本』 復刊特集ページ


■『大道あや』 復刊特集ページ

投稿時刻: 午後 06:20
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2008年9月 1日 (月)


ちょっとお暇をいただきます。ちょっとだけです。

ディレクターの、ともおです。

7月になって、復刊ドットコムのディレクターになったのですが、少なくとも、このブログだけは、毎日、続けていこうと思っていました。復刊ドットコムとは何か、ということを常に意識して、そうしたことを考え、まとめながらサイトを運営していくことができればと思っていたのです。運営体制自体は、まだ揺れていて、今後もどうなるかわからない部分もあり、また改善に着手したばかりで、表立って目につく変更点は少ないと思います。今、僕の考えている路線が正しいのかどうかは良くわかりません。でも、やっていきたいことの理想はあって、なんとか進めてはいますし、そうしたことの中核として、このブログは進行していきます。そうしたこととは、一切、関係なしに、ちょっとこのブログの更新のお休みをいただきたいと思います。今週末ぐらいまで。メルマガ予告で復帰しようかと思います。理由は、私事です。すいません。昨日、育てている猫が亡くなりました。まだ八歳の若さでした。自分にとって本当に大切な存在あったことをつくづく実感しているところです。喪失感や、あの時、ああしておけばという後悔にさいなまれています。そうしたことはありながらも仕事は仕事でガンバリます、なんですが、ちょっと、精神エネルギーが切れてしまいまして、いましばらく充電するために、しばしのお暇をください。

とりかえしのつかないこと、はありますね。戻ってこないこともある。とはいえ、思い出の中にある大切な作品をもう一度、復活させたいという皆さんの想いを応援するのが復刊ドットコムです。このところは、ある程度の規定数を設けさせていただいた仮予約方式でロットにしたり、多少、高価にはなりますがオンデマンドの少量生産などを利用して、復刊実現のお手伝いをしてきました。一度、書店流通から消えた本を、再度、オフセット大量生産するのは無理があり、代替手段を用いることが多くなってきます。支援していただけるファンの方たちと、もう一度、本を復刊させ、流通させたいという著者さんや、出版社さんとの橋渡しを行いたいと思っています。もっと開かれた場所として、復刊ドットコムを利用してもらえるような企画をいろいろと立ち上げたいと思いますので、今度とも、どうぞ、よろしくお願いします。

投稿時刻: 午後 05:24
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