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2008年10月31日 (金)


菊池寛ショー

ディレクターの、ともおです。

第56回の菊池寛賞が発表になり、復刊ドットコムでも復刊をさせていただいている、偉大なアーティスト、安野光雅さんと、かこさとしさんが受賞されました。お二人とも文章も書かれますが、まずは画業ありきではないかと思っていたところ、この賞は、菊池寛氏が生前に、特に関係の深かった「文学、演劇、映画、新聞、放送、雑誌・出版、及び広く文化活動一般の分野において、その年度に最も清新かつ創造的な業績をあげた人、或いは団体を対象」にした賞であるとのことで、特に文章による文芸作品にこだわらないところなんですね。受賞おめでとうございます。

TVドラマの影響で、菊池寛氏の『真珠夫人』の復刊が新潮文庫からなされたのも、もう何年も前の話かと思います。復刊ドットコムでも多くの得票を集めた作品でした。大衆小説作品は、たとえ著名な文学者の筆によるものでも、出版流通の世界から消えていってしまうのは早いものです。僕も学生の頃には、昭和三十年代の角川文庫収録のものなどを古書店で探して、『青春国会』とか、それこそ氏の通俗的な作品も読んだことがありました。その作家の全作品のうち、だんだんとそぎ落とされて、一部の代表的作品だけが遺る、というのは過去のことで、現在は、青空文庫さんのようなネットアーカイブが、出版流通に寄らず、その作家の偉業を伝えてくれるのは嬉しいところです。『父帰る』や『恩讐の彼方に』にような代表作以外にも菊池寛作品を、もっと現在の若い世代が読んでくれると良いなと思っています。個人的に好きなのは『入れ札』という作品。捕り方から追われた国定忠治一門は逃げのがれるうちに、ついてきた子分たちも精鋭の10人程度となったが、件の「赤城山」を前にして他国へ逃げ延びるには少々、人数が多い、という状況。せいぜい二人しか連れていけない。そこで、忠治は、自分に誰がついてくるべきか、子分たちに問うのだが・・・。というところで、この忠治大好き子分たちの思惑が、それぞれに交錯する、男騒ぎの愛憎と嫉妬の好短編。太宰治の『駆けこみ訴え』における、キリストの使徒たちの、キリストの寵愛をめぐる愛憎劇のようでもあります。まあ男同士の愛と憎しみの関係性の複雑さもまたドキドキしたものに満ちていたりしますので、お若い方たちも是非、クラシックな文芸の世界に萌えどころを探していただきところです。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月30日 (木)


イベント盛りだくさん、その2

ディレクターの、ともおです。

復刊ドットコムゆかりのアーティストさんたちのイベントが盛りだくさんなので、さらにご紹介します。秋だから、文化祭の季節でもあるんですね。そういえば、11月3日(月)は文化の日なのでした。僕も11月1日(土)は、朝は神保町のブックフェスを手伝いに行って、昼から出版社ラピュータさんの加藤直之さんのイベントに行って、その後、児童文学同人誌「季節風」の全国大会に(行けたら)参加する予定でおります。

■スズキコージ LIVE PAINT 2008

 日時 2008年11月2日(日)13時~(約3時間~4時間/コージさん次第です。)
 場所 大阪デザイナー専門学校 1F 2号館アトリエ
    〒530-0003 大阪市北区堂島2-3-20  電話番号 06-6345-4676
 入場 無料(申し込み不要/観覧自由/出入り自由)

当日は、大きな画面でその日の時間内で完成させるライブペイントです。
またバンド演奏もあります。バンド演奏については即興での演奏となりますので、そちらもあわせてお楽しみください。

■味戸ケイコ 絵本原画展と小品展

日時 2008/11/8(土)~16(日) 12:00~19:00
場所 ギャラリーブロッケン 
※8日、16日にはギャラリーコンサートも開催。

味戸ケイコ先生の個展が開催されます。
絵本『うまれてきたんだよ』原画展と白鳥と少女をテーマにした小品展です。

色々なイベントに参加して、読書の秋、芸術の秋を、皆さん、どうぞお楽しみください。

投稿時刻: 午前 11:55
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2008年10月29日 (水)


イベント盛りだくさん

ディレクターの、ともおです。

読書週間ということもあるのか、諸々の催し物が開催されています。復刊ドットコムのメンバーは、運営会社のブッキングとして、11月1日(土)から「神保町ブックフェスティバル」に出展しております。これまでの復刊本の中から、汚破損等で通常販売できない商品をお値打ち価格でご提供いたしますので宜しければご来場ください。10月29号のメルマガで、ちょっとしたプレゼント企画も紹介しておりますので、そちらをご覧になってから行っていただけると、ささやかですが、良いことがあるかも。ということで、詳しくはメルマガをご覧ください。「神保町ブックフェスティバル」は、各出版社さんが、思わぬ商品を出品されてワゴンセールなどをされるイベントでもありますので、探されている絶版本なども見つかるかも知れません。秋の神保町で、是非、読書週間を満喫していただければ幸いです。

復刊ドットコムゆかりの著者の方々が登場されるイベントのご紹介①

■ 手塚治虫アカデミー 

開催期間:2008年11月2日~2008年11月3日
手塚治虫の生誕80周年を記念し、その功績を検証するシンポジウムを開催。

※第1期の(1)に藤子不二雄A先生、(3)に萩尾望都先生 里中満智子先生が
パネリストとして登場されます。

◆第1期◆
(1)「手塚エンターテインメント」 2008年11月2日(日)14:00~16:30
(2)「アトムの時代~SFか科学か」 2008年11月3日(月・祝)13:00~15:30
(3)「女性マンガの世界」 2008年11月3日(月・祝)16:30~19:00 

※手塚治虫先生といえば、あの『新宝島』のオリジナル版が、小学館クリエイティブさんから復刻されるということで話題になっておりますね。復刊ドットコムでも近々、予約を開始します。話題の一冊を是非、復刊ドットコムでご入手ください。

復刊ドットコムゆかりの著者の方々が登場されるイベントのご紹介②

■『薔薇族』伊藤文学編集長との新宿「文学」散歩

薔薇族の恩人であり、伊藤文学編集長の盟友でもあったイラストレーター・内藤ルネ氏一周忌によせた『内藤ルネ展“ロマンティック”よ、永遠に』が、10月29日~11月4日に伊勢丹新宿店で開催されます。薔薇族では11月1日(土)の午後のひととき、文学編集長と共にその展示を鑑賞した後、新宿の街を散策し、お茶を飲みながら語らうイベントを企画しています。ルネさんのこと、かつての新宿二丁目のこと、あれこれ聞いてみませんか。
会費は2,000円(お茶代等の実費は各自負担)。お申し込みは、こちらまでお願いします。

※ 僕は今回、参加できませんが、前回、下北沢での文学編集長の催し物には参加してきました。個性的な面々が集まる、とても刺激的な集いでしたよ。新しい知的興奮を求める方は、是非、ご参加ください。怖くない(多分)。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月28日 (火)


鵺の啼く夜は・・・

ディレクターの、ともおです。

「スタジオぬえ」の名前は、そういう「世代」であった、とはいうものの、僕のような、別段、マニアでもない人間でも知っているSF系企画製作会社です。「ぬえのようなメカ」という形容もどこかで見た記憶がありますが、それほどに「ぬえ」的なメカデザインは画期的で、日本のSF、アニメ史において大きな影響を及ぼしてきたものだったのです。ちょこっと調べていたら、その草創期の仕事として「ゼロテスター」があがっていて、なるほどと膝を打ちました(子ども心にも、なにか穏やかならないものを感じたのが「ゼロテスター」のメカデザインだったので)。「超時空要塞マクロス」や「聖戦士ダンバイン」、「天空のエスカフローネ」などの、デザインや企画、脚本等にいたるまで関与されてきた制作集団スタジオぬえは、その参加メンバーである、高千穂遥さん、宮武一貴さん、加藤直之さん、河森正治さん、他、ぞれぞれ著名なアーティストたちの活躍もあって、燦然とその名前を伝説に刻んできたわけです。で、そんな「スタジオぬえ」の幻の作品が、今回、思わぬ形で甦ることになりました。それが『機甲天使ガブリエル』の書籍化です。

『機甲天使ガブリエル』は「スタジオぬえ」が『マクロス』(1982年)制作の後、実写版ワードスーツの映像化を目指して企画された作品でありながら、完成されることなく、制作断念されたまま25年の歳月を経てしまったものでした。今回、これらの膨大な設定画をもとに加藤直之さんの描き下ろしイラストレーションと、宮武一貴さんのデザイン画解説を加えて、書籍化が図られました。SF画集や設定資料の人気が高い、復刊ドットコムでもこの作品の企画の面白さと稀少性から、是非にと、パワープッシュさせていただき、既にかなりの予約数をいただいております。現在も絶賛予約中です。そして、今回、この書籍の刊行を記念して、以下のイベントが開催されることになりましたので、お知らせします。

■『機甲天使ガブリエル』刊行記念 著者トークショー&サイン会のご案内

■日時:2008年11月1日(土)13:00~15:00(開場12:30~)
■参加費:無料 (ただし13~14時のトークショーご観覧は『機甲天使ガブリエル』ご予約の方、または当日お買い上げの方のみに限ります)
■参加:加藤直之、宮武一貴、ゲスト森田繁(スタジオぬえ)
■定員:先着60名(14:00からのサイン会はどなたも自由参加OK!)
■申込先:㈱ラピュータ「ガブリエル」イベント係
TEL.03-5956-4166 E-mail:post@laputa.ne.jp
氏名・連絡先・本書予約冊数をお知らせください
■場所:音楽堂アノアノ  
(東京都豊島区南大塚1-49-2ハイデルムンド1F TEL.03-6273-7024)
●JR山の手線「大塚駅」、都電荒川線「大塚駅前」より徒歩5分
大塚駅南口改札から出て右手へ、吉野屋を通り過ぎ信号を渡って右へ。パチンコ屋・CD本屋を通り過ぎ、サンクスを通り過ぎ、喫茶店コロラドを通り過ぎ左折。
●東京メトロ丸の内線「新大塚駅」より徒歩8分
番出口から地上に出て、南大塚通りをJR大塚駅方面へ。巣鴨信用金庫のある交差点を右へ。プラタナス通りを左、薬局の前を過ぎ、喫茶店コロラド手前を右折。

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ところで、ちょっと問題があるのは、こちらの製作、発送が、復刊ドットコムでご予約いただいても、このサイン会に商品到着が間にあわない、という状況です。既にご予約いただいた方にはご連絡済みですが、このような形で、この問題を解決します。

■ 復刊ドットコムでご予約いただいた方は、当日、サイン会会場で商品をお引渡しいたします。クレジット決済の方は、後日、引き落とし決済をいたします。代金引換の方は、その場で、代金を精算させていただきます。

※ 復刊ドットコムでご予約いただかなくても、当日、会場にて販売が行われておりますので、お買い求めいただくことは可能です。

□そして、復刊ドットコムでご予約いただいた皆さんにビックなお知らせです。

これまでにご予約いただいた方、また10月31日までに復刊ドットコムで『機甲天使ガブリエル』をご予約いただいた方、抽選で30名様に、『加藤直之特製バッジ3点セット』をプレゼントいたします。「SF画家加藤直之 時空間画抄」原画展(東京・三省堂神田本店、'07.4.22~5.2)用として加藤氏がデザインしたオリジナルのカンバッジセットです。現在の予約数を見ていると、これはかなり、当たる確率が高いと思いますよ。どうぞ、宜しくお願いいたします。

イベント当日は、復刊ドットコムスタッフが(というか僕ですが)会場におりますので、万難を排して商品の受け渡しを行わせていただきます。当日会場受け取りのご要望がございましたら、あらかじめ復刊ドットコム宛、メールをいただければ幸いです。

何卒、宜しくお願い申し上げます。

投稿時刻: 午前 10:59
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2008年10月27日 (月)


メルマガ(10/29号)予告補遺

ディレクターの、ともおです。

今日もあと少ししか残っていないわけですが、ギリギリのアップでなんとか間に合わせています。毎日、継続するブログ、とはいえ、追われてますね。メルマガ予告の続きです。メインテーマから、一回、外したのですが、本日、再度、入荷できることになったので、もう一度、テーマを戻しました。今回のメインテーマその①は、写真家、細江英公氏の『薔薇刑』、復刻版のご案内です。『薔薇刑』に関しては、先日も、展覧会用図版の『細江英公 展覧会のための写真集「抱擁」と「薔薇刑」』をご案内したばかりなのですが、今回は新装抄録版ではなく、完全な「復刻」版となります。古書市場では版によって40万円を超える値段がついている『薔薇刑』。世界の代表的な写真集のひとつとして「20世紀101冊の名作」にも選ばれたという作品です。カバーや段ボール外箱に至るまで「細部まで完璧に仕上げた」、今回の復刻は52,500円と高額ですが、日本版は限定500部という貴重なもので、復刊ドットコムも特別に仕入させていただきたいとお願いした上での今回の販売です。当初の10部が、あっという間に完売してしまい(五万円の本がそう簡単に・・・と思っていたので、正直、驚いています)、なんとか追加のお話が今日、成立しての販売再開です。世界写真史に残る一冊を、この機会に是非ご入手ください。メルマガライティングの富乃と話していると、彼女のような二十代は、なかなか三島作品に耽溺することや、また時代の寵児、トリックスターとして存在感を呈していたミシマを知ることもなく、『薔薇刑』の素材(モデル)としての「三島由紀夫」の捉え方も、随分と違うことに驚かされます。三島切腹は、僕も生まれていたとはいえ、物心がつく前で、逆に言えば、死後の三島伝説の勃興とともに年を重ねてきたので、逆に最も幻想的に三島を捉えている世代かも知れませんね。とりあえず、『金閣寺』と『仮面の告白』は読むべしと言っておきました。芸術的完成度の高い作品から『美しい星』や『夏子の冒険』のようなちょっとキワモノまで、振り幅の広い創作活動を行い、映画出演やモデル活動などもこなした三島由紀夫。その在りし日の姿を今に伝える伝説の一冊を、是非。

それと、先日、こちらにも書きました。クロスステッチ本も、テーマ②としてご用意しております。『イングリットプラムのデンマーククロスステッチ』の登場です。これは、現在、復刊リクエストを多数集めている『デンマークのクロステッチ』とは別の本で、まったくの本邦初訳による新刊です。クロスステッチ界の巨匠、ゲルダ・ベングトソンの愛弟子であり、現在デンマークで最も人気のあるクロスステッチ・デザイナーの一人、イングリット・プロムの刺繍本が、山梨幹子さんの訳・監修によって刊行されます。そして、巻末には仕上げのアイデアを満載した日本語版だけの特別付録ページ付。クロスステッチファンの皆さん、待望の一冊。本日より、復刊ドットコムでも予約を受け付けました。既に商品は完成しており、11月上旬にはすぐお送りできます。

ということで、メルマガ予告補遺でした。どうぞ、よろしくお願いいたします。

投稿時刻: 午後 11:24
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2008年10月26日 (日)


茶の花忌

ディレクターの、ともおです。

今日は「茶の花忌」です。あまり馴染みのない文学忌かとは思います。二十九歳の若さで夭折した詩人、八木重吉は、生涯に二千編の詩を遺し、一方で二冊の詩集を編んだのみで亡くなりました。今から八十一年前の今日のことです。重吉とは、どんな詩人であったのか。第一詩集、『秋の瞳』の序文には『私は、友が無くては、耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。』とあります。そして、続く彼の詩の数々は、とても清らかで優しく、心の澄んだ部分だけを集めた結晶のようなものなのです。清貧の詩集、ですね。美しすぎるのです。重吉の言葉は、ある種の人たちを引きつける魅力があって、逝去から八十年以上を重ねた今でも、多くのファンに支えられています。ご多分に漏れず、僕も十代の終わりに大いにハマったわけですが、まあ、重吉を読むのに最適な季節はあるかなと思うところです。先日、復刊ドットコムでも教科書収録作品のアンソロジーである光村ライブラリーのご紹介をいたしましたが、重吉の詩がいくつか収録されているので驚きました。彼の作品をご記憶ある方もいるかな。青空文庫でも、第一詩集第二詩集が収録されていますが、その他の詩篇の中にも良作があるので興味のある方は是非、ご覧になっていただければと思います。かつては創元社文庫と、旺文社文庫しか残されていなかった重吉の詩は、今や、色々な出版元から多数刊行されています。時代は、かならずしも良書を駆逐していくだけではなく、再評価によってその価値を広めてくれる場合があります。復刊ドットコムのような運動もインターネットが一般的に普及した西暦2000年にスタートしたわけですが、とくに「復刊」を意識して運動しなくても、どんなコンテンツでも簡単に入手できる時代がくるかも知れません。そういう未来もまたありうる。今、眠っている、知られていない良質な作品が甦り、世の中を席巻する未来も夢想してしまうのです。

全然、関係ありませんが、こちらのブログの裏で、児童文学やYA作品の紹介をするブログをやっておりました。こちらを、このたび閉鎖しました。いろいろと事情はありますが、当面、眠らせておこうという感じです。色々な季節はありますね。

投稿時刻: 午後 09:47
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2008年10月25日 (土)


メルマガ予告(10/29号)!

ディレクターの、ともおです。

メルマガの予告です。前回、10月22日号は、ジュリー・アンドリュースの『マンディ』をメインにお送りしました。沢田研二さんが「ジュリー」と呼ばれるのは、ジュリー・アンドリュースのファンだからだ、とネットでは書かれていますが、他に異説も見つからないので、そうなのでしょうか。「ピーター(池畑慎之介氏)」は「ピーター・パン」からついたそうですし、「チータ(水前寺清子氏)」は、「ちいさいタミコ(本名)」の略称だそうで、チーター(ネコ科の動物)ではないのですよ。芸能マメ知識はともかくとして、『マンディ』まだまだ予約中です。一緒に『偉大なるワンドゥードル最後の一匹』も売れております。さて、前回のメルマガで好評だったのは、SF系画集のご案内です。個人的に大正から昭和にいたる風俗史に興味があります。芸術系のアートならぬ通俗的な挿絵(イラスト)は、それこそ100年も前から、かたや抒情画があったり、童画があったり、華宵や彦造の隠微な少年画が出てきたりしながら、ついには、小松崎茂や武部本一郎の活躍の時代がきて、その後の百花繚乱があるのかと思うわけですが、日本イラストワークの100年史は、どの時代をとっても見るべきものがあって、時代感覚とともに楽しめる宝庫だなあ、とつくづく思ってしまいます。復刊ドットコムでもイラスト集・画集が毎度、高セールスを記録しております。これも受け継がれる文化の灯ですね。今後もドンドンと面白いものをご案内できれば良いなと思っております。

さて、29日のメルマガのご案内です。もう10月も最終号ですね。当初、予定していたメイン商品があっという間に売り切れてしまい、補充が難しそうなので、急きょ、メインテーマを変更することといたします。ということで、現時点では準備中で、詳しい内容情報が入ってきていないんですが、日本のクロスステッチ界を代表する山梨幹子先生関連の新刊をご紹介できる予定です。月曜日には商品ページオープンで、なんとか水曜日のメルマガに間に合うかなあ・・・。毎度、薄氷を踏む進行でお送りしております。Wiiのゲームで『プロゴルファー猿』が発売されることになったのを記念しまして、復刊ドットコムから甦った藤子不二雄Aランドを、シリーズ単位で紹介します。このゲームの出来が非常に良くないと評判(レビュー)がニュースになっておりますが、原作のせいじゃないのになあ、と反駁するところの姿勢を見せておきたいと。先日、このブログで魔太郎の紹介をしましたが、藤子不二雄A先生の「濃い」作品群にはあらためて注目して欲しいところです。その他、メルマガでは、11月の岩波文庫の主に復刊本の商品紹介。今回は、僕が内容情報をメルマガ用に要約していたのですが、11月も興味深い本、目白押しですね。紹介したい本が沢山ありました。『塵劫記』については、以前に書いた通りで、一番のプッシュです。石川啄木の『時代閉塞の現状』も出ます。啄木は歌人としては生前に評価されず、苦労の生活人として一生を終えたといわれますが、一方で放蕩の浪費癖があったとも言われ、その人物像の真相に多少ブレを感じています。啄木が生まれた明治19年から、亡くなった明治45年は、日清・日露戦争があったとはいえ、むしろ昭和元禄的な安泰の時代であったとの文章を読んだ記憶があります。だから彼のメンタリティは危機感や使命感のない太平の時代の凡庸さに辟易しているのだと。「時代閉塞の現状」を読むと、むしろ使命感をたぎらせることができない、現代にも通じる一見、安穏とした時代感覚に対する「閉塞感」を訴えているような気もします。なにかをしたくても、なにもできないような時代の不幸(本当は、なんでもはじめられるのに、という焦燥も裏腹にあるのかな)。『蟹工船』のように、現代の若者にも支持されたら面白いのですけれどね。などと、一冊、一冊についてお話しているとキリがないので、予告編はこの篇で、本編を是非、ご覧ください。

■そんなメルマガ、本編はこちらから。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月24日 (金)


心は孤独な狩人

ディレクターの、ともおです。

「薔薇族」の伊藤文学編集長からお電話で、行方不明になった人を探しているので協力して欲しいとのご連絡をいただきました。伊藤文学編集長の書かれる文章は、非常に味わい深いものがあって僕自身も好きなのですが、沢山のファンがいて、そうしたファン中の一人が行方不明になっているとのことでした。僕のような仕事をしていると伊藤文学さんのファンを公言してもなんら問題はないわけですが、その方は、ファン熱が高じて小冊子を作り配布したことで、(非常に堅い仕事であったために)職場に居辛くなり、無断で職場放棄をして消えてしまわれたそうなのです。とても良くネットを覧になっている方だそうなので、T・Yさん、もし、こちらをご覧になっていたら、編集長が心配されていますので、ご連絡をしてあげてください。

生きていると色々あるなと思います。今日の標題はカーソン・マッカラーズのデビュー作にして、代表作の『心は孤独な狩人』をあげてみたのですが、復刊ドットコムでもちょうど150票に到達した人気作品です。本の形での復刊というわけではないのですが、グーテンベルグ21さんで電子図書として読むこともできますので、興味のある方は、是非、ご覧になっていただきたいところです。哀切に満ちた物語ですね。色々な障壁のために、職場なり、家庭なり、人生の色々な局面で「孤独」を持て余している方は多く、場合によっては、世の中から消えてしまわなければならなくなる。文学とは、およそ、そうした孤独な人間のための糧なような気がするのですが、果たして、読書に救いはあるのかな。それにしても、『心は孤独な狩人』は惹かれるタイトルだなと思います。『如何なる星の下に』とか『眠られぬ夜のために』とか、ちょっといいなと思うタイトルの本はおよそ想像と違った内容であったりするこがあるのですけれど。それにしても、心が「孤独な狩人」だというのが、絶妙な表現でいいですね。カジュアルに小洒落た飲食店などで「きまぐれシェフのたっぷり魚介サラダ」みたいなメニューがありますが、「孤独な狩人の謝肉祭のためのパスタ」とかあったら、ウットリしてしまいますね。ないか。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月23日 (木)


コレデオシマイ

ディレクターの、ともおです。

得票は少ないのですが、このところPV(閲覧数)が急上昇して注目が集まっている本といえば『クララの明治日記』です。あらすじを抜書きすると『明治八年、商法講習所の教師として招かれた父親にしたがい、十四歳のクララは一家とともに来日する。のち勝海舟の三男・梅太郎と国際結婚、一男五女をもうけ、明治三十三年にアメリカへ帰国するまで、大小のノート十七冊に及ぶ日記を遺した。純粋な少女の目に映った当時の日本の風俗、勝海舟ら明治の礎を築いた人々の日常を生き生きと描写する』ということで、これは、かなり面白そうな本だなと思いました。急にPVが上昇するのは、例えばTVなどでその人物が紹介された場合なのですが、大河ドラマ『篤姫』の影響もあり、幕末関連に関心が集まっていることもあるから、歴史番組かお昼のワイドショーあたりで紹介されたのかも知れません。「勝海舟の嫁」というサブタイトルがついていますが、これは「勝海舟の息子の嫁」ということだったんですね。後にクララは勝梅太郎と離婚して、本国に帰るらしいのですが、子どもたちを連れており、おそらく今もアメリカには勝海舟の末裔がいらっしゃるのか、というのは、ちょっとした浪漫ですね。著名人だけではなく、色々な記録を残されている歴史の証人はいて、フラットな視線から眺められた世界に時代の実像を見ることもできるものかなと思います。

ところで、勝海舟と言えば、幕末を代表するリベラリスト、というようなイメージがありますね。幕臣側でありながらも、時代の趨勢を見て、平和裏に政権の交代を行わせた人物というのは史実の通り。歴史モノのドラマなどを見るに、勝海舟はべらんめえ調で外国通のさばけた人物というキャラクターで多く登場します。今年の大河ドラマ『篤姫』は北大路欣也氏でちょっと重厚な感じですが、『新撰組!』の時は、TVドラマには珍しく野田秀樹氏で、これはこれで面白いかなと思いました(羽場裕一さんとの競演場面などもあって、三谷氏の作為かと思ったぐらい)。幕末を舞台にしたSF的題材のタイムスリップ要素のある物語では、未来からやってきた人間が頼るべき人物として勝海舟が登場するものが多いような気がします。先進的気性を持った人物の代表格ということなのでしょうか。息子の嫁が外国人であっても、まったくノー問題だったろうなと思わせるのが勝海舟ですね。しかしながら、この本、読んでみたいなあ。

※ちなみに標題の「コレデオシマイ」は、勝海舟が最期に言い残した言葉だそうです。

投稿時刻: 午前 09:00
注目の本 | | トラックバック (0)

2008年10月22日 (水)


うらみはらさでおくべきか!

ディレクターの、ともおです。

どんな方でも一度や二度は「うらみはらさでおくべきか」と思ったことがあるのではないかと思います。復讐の物語は倍返し、三倍返しでギッタンギッタンにしてしまう残酷さがあって、やがて、心の荒野にひとり立ち尽くすという冷え冷えとした結末を迎えることもままあります。今、人気絶頂の漫画、アニメ化、映画化もされている『デトロイト・メタル・シティ』に「恨みはらさでおくべきか」という歌があります。主人公、根岸君は気弱な、おしゃれポップ大好きな青年ですが、意に沿わないままに狂気のデスメタルバンド、DMC(デトロイト・メタル・シティ)のギター兼ボーカリスト、ヨハネ・クラウザーⅡ世となり、過激なパフォーマンスで人気を博していくというお話。鬱屈した虚弱な青年が「うらみはらさでおくべきか!」と叫びながら、負のエネルギーを全開にしていくのもコミカルで、まあ、かなり突き抜けたギャク漫画として、笑えるところです。ところで「うらみはらさでおくべきか」と言えば、藤子不二雄A先生の怪作『魔太郎がくる!!』が原典です(「魔界転生」でも使われていますが、魔の世界の台詞なんですね)。主人公の浦見魔太郎クンは、暗くおとなしい人一倍気の弱い少年。そんな彼が、同級生たちから数々のイジメに遭い、その都度、呪いをかけたり、過激な方法で復讐していくという過度にブラックな漫画です。復讐される側が、再起不能や廃人になるまで魔太郎が徹底的に復讐するのが強烈すぎて、幾度かの単行本化の間で表現がカットされたり、自粛されていった経緯もあります。この魔太郎のキメ台詞が「うらみはらさでおくべきか!」なのですね。それにしても凄い雰囲気の漫画です。後半はホラーファンタジーになって、ぐっと物語性が強くなります。復刊ドットコムから甦った「藤子不二雄Aランド」の『魔太郎がくる!!』は全14巻、是非、この機会にご入手ください。

社会に出て働いていると、色々な場面に遭遇するもので、時として、激しい憤怒に焦がされることもあります。悔しさは残るものの「人を恨まば穴二つ」という言葉もあるぐらいですから、復讐は、よくよく考えてからにした方が良いですね。「復讐は計画的に」とCMでも流したいところです。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月21日 (火)


サナトリウム文学ではなく、温泉文学

ディレクターの、ともおです。

10月21日、今日は「直哉忌」です。そのままズバリ、作家・志賀直哉のご命日です。久しぶりに志賀直哉作品を読みたいなと思い、とりあえず青空文庫(著者の死後50年が経過して著作権が切れた作品をネット上にアップしてあるサイト)で探したのですが、ない。それもそのはずで、志賀直哉が亡くなったのは1971年で、まだ50年経ってないんですね。というか、まだ亡くなってから、37年しか経っていないということの方に驚きました。あの心境小説『城の崎にて』が発表されたのが1917年で、直哉34歳の時。それから亡くなるまで50年以上の歳月があったというのは、ちょっと感慨深いところです。印象として、あの小説は、もっと老境にあった人の晩年の物思いかと思っていたのですが、そうか、34歳であったのか。生と死を切実に意識してからの50年。それでは晩年が長すぎますね。それにしても「山の手線に跳ねられる」という冒頭の謎の状況や、城崎温泉での滞在生活(日本的ということではサナトリウム文学じゃなくて温泉文学なのでしょうな)、更に「脊椎カリエス」という、かつて難病も文学的メタファーを感じる床しさの『城の崎にて』なのですが、この「死」と「生」を意識した作品を時折、読みたくなる心境があるというのは、自分ながら年をとった感じがしますね。

志賀直哉に『赤西蠣太』という小品があります。この作品、なかなか楽しいエンタメ的な掌編です。1936年(昭和11年)に伊丹万作監督(伊丹十三のお父さんです)によって映画化されています(片岡千恵蔵主演でした。学生時代に「大井武蔵野館」あたりで見たはず。これも、時代感覚あふれる話ですなあ)。この作品には、前述した『シラノ・ド・ベルジュラック』と同種のペーソスがあるのではないか、と思っております。昭和文学の中に眠るロマンス溢れる短編のひとつですね。文字通り「教科書」通りに作家のイメージが記憶されてしまうと、こうした、作家の広い振り幅の部分が見られにくくなってしまう弊害はあると思います。太宰治が『如是我門』で、志賀直哉を徹底的にこき下ろしていますが、いや、志賀直哉ってもっと懐が広いんじゃないのかなあ、と反語を思わせるあたりも、太宰流レトリック芸なのか、どうか。

■『志賀直哉』復刊特集ページ

投稿時刻: 午前 10:40
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2008年10月20日 (月)


メルマガ予告(10/22号)!

ディレクターの、ともおです。

遅れがちですが、なんとか追いつこうとしています。先週は、みなもと太郎さんの『風雲児外伝16、冗談新撰組 油小路の血闘』がやはり一番人気でした。みなもと太郎人気は復刊ドットコムでは不動ですが、新撰組人気もまた確実なものがあります。何故、そこまで現代の人々の心を吸い寄せるのか新撰組。復刊ドットコムでも、かつて新人物往来社さんから発行されていた萩尾農氏の『散華 土方歳三』に272票の得票が集まり、五稜郭タワーさんから復刊された本もかなりの高セールスを記録しています。コミックの世界でも木原敏江さんや手塚治虫さんに始まり、現在でも、新撰組に材をとった『風光る』や『PEACE MAKER鐵』など、数多くの作品群は枚挙に暇もなく、自分にはなかなか追いつけないところです。復刊ドットコムでも高人気となった『京都守護職日誌』もやはり新撰組人気の派生でしょうし、小説から歴史的資料の再編集まで、数々の作品が読まれ続けています。児童文学の世界でも越水利江子さんが『月下花伝』他の作品で新撰組を描かれています。現代の小中学生への影響を考えると、新撰組愛好者はこれからも増え続けていくのだろうななどと思うことしきりです。惜しむらくは、吉村昭さんが新撰組正伝を遺していてくださったら、ということですね。吉村節に馴れていると司馬節はいささか饒舌すぎるような気もするのです。無論、燃えます。それは確かなので、新撰組入門の方は、やはり『燃えよ剣』からかなあ。諸々、余談ばかりでしたが、新撰組特集も是非、ご覧くださいませ。

今週のメルマガです。メインテーマは、ジュリーアンドリュースの『マンディ』の復刊のお知らせから。詳しくはこちら。そして、ラピュータさんから発行される新刊『機甲天使ガブリエル』をメインに、SFイラストレーションの作品世界を紹介します。さて『機甲天使ガブリエル』、この作品、画集・イラスト系のファンの皆さんだけに告知させていただいたら、あっという間に50冊も売れてしまった本で、今回はメインメルマガでの堂々のご紹介となります。あの「スタジオぬえ」が25年前に「実写版パワードスーツ」の映像化作品として企画していたものでありながら、制作断念されてしまったものです。この作品の膨大な設定画をもとに、加藤直之氏の描き下ろしイラストレーションで書籍化されたのが本書です。メルマガでは、加藤直之氏を始めとして、居並ぶ日本SFイラスト陣の作品で入手可能なものを一緒にご紹介したいと思っています。カジュアルでライトなイラストが幅を利かせつつありますが、重厚長大でロマンに溢れたSF画もまた健在であるというところに是非、瞠目ください。それと、ノーベル文学賞を受賞したル・クレジオ作品にPVが集まってきておりますので、ご紹介。今回を契機にして、各社、重版を進められるかどうか。ノーベル文学賞をとられる作家の作品であっても、絶版・品切となるのが現状ではありまして、こうしたところに集まった声に是非、ご注目ください。そして、河出書房新社さんの出版物から、ついに、あの池澤夏樹さんの個人編集による世界文学全集という、いい意味で偏った全集を復刊ドットコムでもご紹介です。更に、没後10年の須賀敦子さんもございます。これも感慨深いところですね。今週も盛りだくさんでお届けするメルマガです。じっくりと味のあるセレクトで、本の紹介をお送りしますので、興味のある方は、是非、覗いていただければ幸いです。

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投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月19日 (日)


コミックオンデマンド

ディレクターの、ともおです。

下北沢に演劇を見に行き、ついでと言ってはなんですが、ヴィレッジヴァンガードさんの下北沢店にも寄ってきました。今から十年程度前であったか、それ以前に『菊地君の本屋』という本を読んでいて、是非、行ってみたいと思っていた噂のヴィレッジヴァンガードさんの、東京進出した店舗を初めて見たのがこの下北沢店でした。当時は、その実験的な商品構成に驚いたものでしたが、今や、多くの店舗が東京にも根づき、ヴィレヴァン的なセレクトが多くの読者を魅了しているのではないかと思います(僕は倉橋ヨエ子さんのファンなのですが、こうしたインディーズレーベルの作品もヴィレヴァンさんで推されていたからこそ知ることができたのだと感謝しています)。久し振りに行った下北沢店はとても大きく拡張していて、店内も充実していたのですが、驚いたのはコミックパークさんのオンデマンドコミックが多く在庫され陳列されていたことです。コミックパークさんは、絶版になったコミックスのデータを数多く保管し、一冊から印刷して届けるビジネスを実践されている会社です。復刊ドットコムでも、ビジネスモデルの親和性から協力させていただいており、復刊実現のひとつの形として期待しているものでもあります。しかしながら、受注生産のオンデマンドコミックが、ネットならぬ店頭陳列で販売されることは、かなり思い切ったことではないかと。先進的な本の販売を志す企業の力が合わさった時、もっと面白いことが実現される可能性が見えてきますね。

ところで、復刊ドットコムのリクエストとも、つなげさせてもらいましたが、先立て亡くなられた氷室冴子さんの原作シリーズをコミック化した、みさきのあさんの『クララ白書』『アグネス白書』が、コミックパークさんよりオンデマンドコミックとして発売されております。個人的には、『クララ白書』シリーズについては活字で読むべし派、なのですが、コミックス版に愛着がある方たちも多くいらっしゃる作品でありますので、これもまた推させていただきます。注目作が続々登場する、コミックパークさんの今後のコミックオンデマンド復刊活動にも、是非、ご注目ください。

投稿時刻: 午後 09:05
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2008年10月18日 (土)


江戸時代の数学

ディレクターの、ともおです。

『塵劫記』の岩波文庫版が2008年11月後半に重刷されることになりました。日本数学事始めの一冊として記憶にある方もいらっしゃるかと思いますが、寛永四年(1627年)に初版が刊行されて以来、江戸時代の数学書のスタンダードとして読み継がれてきた本です(この文庫は寛永二十年版が底本として採用されています)。商業が発展し、築城などの建築も進んでいたことを考えれば、相応の「計算」が行われていた時代かと思いますが、この頃、「数学(和算)」という学問体系がどのように整理されていたのか、まとめられている本書は興味深い一冊ではないかと思います。現実には数え得なかったであろう巨大数や極小数などの「数の概念」を、江戸時代の人々がどのように捉えていたかなど、その思考を想像することでも楽しくなれます。盗人算、油算なども当時の生活感覚に根ざしたものであろうし、応用問題文も、「積み上げられた俵の数」の計算だったり、「百万騎の軍勢が特定の間隔で並んだ場合どのくらいの長さになるか」などと、時代感覚あふれる面白い例題があったりします。ということで、歴史的な一冊であることもさることながら、色々な意味で面白いので、未読の方は、今回の機会に是非、ご覧になっていただければと思います。

江戸時代の数学はその後どうなったか、ということも含めて、興味深い物語が『算法少女』です。「算法少女」は江戸時代に書かれた実際にあった本です。「数学を学ぶ少女」という本が江戸時代中期には町人の間で刊行されていたのです。この本のことを材にとって、遠藤寛子さんが、岩崎書店少年少女歴史小説の一冊として1973年に刊行された本が『算法少女』。安永四年(1775年)、江戸は神田銀町に住む町医者の娘、あき。父の桃三は世事に疎く、裕福でもないが、算法(数学)を趣味としていて、娘のあきにも算法の手ほどきをしています。浅草の観音さまのお祭りの日、遊びにきた、あきは、数学者たちが奉納した絵馬(算額)に間違いを見つけ出してしまいます。算額というのは、学問の技量向上の成果として、仏様に幾何の問題の証明を掲げるもの。結果として、年端のいかない少女にやり込められてしまった武家の数学者たちを怒らせることになります。とはいえ、そんな事件があったせいで、あきの数学の実力は世間に広まることになり、お城のお姫様の数学指南役として誘いを受けることになるのです。面白い物語は続きますが、当時、子どもたちは寺子屋でどんなことを勉強していたのか、また町人や武家の間でも趣味や教養として数学が修められていたことなども興味深く、大変、楽しめる一冊となっています。本書は絶版になっていましたが、06年に、ちくま学芸文庫から復刊されています。著者の新しいあとがきには復刊ドットコムで復刊運動が盛り上がっていたことも触れていただいておりますが、この本の価値と面白さを再び世に送り出してくださった出版社さんのご英断あっての一冊。『塵劫記』と併せて、こちらも是非、ご覧ください。余談ですが、岩崎書店さんの「少年少女歴史小説シリーズ」なかなか興味深いラインナップ。70年代の児童文学動向については更に詳しく調べてみたいなあと思うところです。

投稿時刻: 午後 08:01
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2008年10月17日 (金)


ジュリー・アンドリュース、最初の一冊

ディレクターの、ともおです。

ジュリー・アンドリュースは「十年遅かった女優である」という趣旨の文章を読んだ記憶があります。ジュリー・アンドリュースが映画女優として活躍したのは1960年代。1930年代のRKOを中心としたハリウッド・ミュージカル映画の歴史は、特定のスターの芸を見せる作品よりも、物語の中に歌や踊りを取り入れた大作ミュージカルが中心になっていた時代です。ジュリー・アンドリュースの代表作と言えば『メリーポピンズ』と『サウンドオブミュージック』が思い浮かぶかと思いますが、案外、『モダンミリー』のような楽しい小品の方が彼女の「芸」は生かされていたのではないかとも思っています。最近は動画サイトのおかげで、日本ではあまり放映されなかった「ジュリーアンドリュースアワー」なども見ることができるようになっていて、往年の芸に感心することしきりです。それにしても、あの「そうだ京都へ行こう」のCM曲である「私のお気に入り」のオリジナルを聞いたことがない人もいるようになってしまったのかな。大ミュージカル女優、ジュリー・アンドリュースの存在はあまりにも大きく、昭和後期に生まれ育った人には、その影響は少なからずあったのではないかと思います。最近だとディズニー映画『プリティ・プリンセス』で、主人公の祖母の女王役を演じられ女優としては活躍されていましたが、声帯の腫瘍摘出手術の失敗以降、以前のようには歌が歌えない状態であるとも聞き及んでおり、彼女の歌に耽溺してきた自分としては、やはり無念なことではあります。

女優・歌手として以外にも、ジュリー・アンドリュースには童話作家としての顔があります。つい先日、小学館さんより、『偉大なるワンドゥードル最後の一匹』が復刊されました。同書は、復刊ドットコムでも、557票もの大量得票を集めていた大人気作品です。新訳新装となりましたが、再び、ジュリーアンドリュースの作品が購入できる状態になったことは喜ばしいかぎりです。そして、続いて、彼女の作家デビュー作でもある『マンディ』も新訳新装復刊されるとの報が届きました。こちらも158票を集めている人気作品です。11月発売です。復刊ドットコムでも予約を開始いたしました。どうぞ、お楽しみに。

※ 最近リリースした新機能で、皆さんのコメント欄を単独ページとしてリンクが可能となりました。『マンディ』については、こんな声が集まっています・・・という感じで表示できますので、是非、ご活用ください。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月16日 (木)


異常の日常化

ディレクターの、ともおです。

子どもの頃の曖昧な記憶の中にあるものを突然、思い出すことがあります。なんとなく覚えているのだけれど、ディテールがわからなくなっていて、更に記憶の中で捻れてしまっている。ブログのネタがなくなってくると、良く記念日の一覧を見ているのですが10月14日は「鉄道の日」だったのですね。鉄道の日・・・ということで、子どもの頃の記憶の中の、あの薄暗い「交通博物館」と「カッパのバッチ」が浮かびました。カッパのバッチをつけていると、鉄道や色々な施設の入場料がタダになる日があった。でも、調べてみると「カッパのバッチ」は「鉄道の日」ではなく「都民の日」の関係のものだったのですね。つまり10月1日だったんだ。どうやら「カッパのバッチ」は東京都で子ども時代を過ごした人ではないと知らないアイテムで、しかも1990年代に無くなっているらしく、ある年代の特定の場所に育った人だけに通用する話題だったのです(てなことを全国区のネットで書くなという感じですが)。

子どもの頃はあたり前だったことが、実は結構、特別なことだと後で知ることになるのも多いものです。僕が育った1970年代の小学校には「光化学スモッグ」の探知装置が学校に配備されていて、校庭で遊んでいると、時折、警報が鳴って、校庭から避難しなければならないという状況がありました。雨が降ると、核実験の影響による放射能の雨だから、濡れると髪の気が抜けるぞ、とか、言っていた記憶があります。いつの未来だ、という感じですが、実は過去なんですね。台北に行った時にびっくりしたのは、地元の人がしているマスクで、バイクや自転車に乗る際には、排ガス避けのものが必備になっていることから、マスクが機能性だけではなく、ファッションとしてカジュアルに進化していたのを興味深く思った記憶がありますが、あれも異常なことなんだろうな。オゾンホールや温暖化も、過去の話になれば良いのですけれどね。今日は、とりとめがありませんでした。本についてのあいまいな記憶は、是非、復刊ドットコムの人気コーナー『あの本のタイトルが知りたい』掲示板までどうぞ。

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2008年10月15日 (水)


原典回帰(誤字じゃない)

ディレクターの、ともおです。

諸星大二郎さんの『西遊妖猿伝』が約10年ぶりにモーニングにて復活するそうです。手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞された作品でもあります。復刊ドットコムでも『西遊妖猿伝の世界』に多くの得票が集まっています。この作品は未読なのですが、竹熊健太郎さん、川崎ぶらさん(吉田戦車さんとの一連の本が面白い)の編集だそうで、その点だけでも興味深いかな。実は、本編の『西遊妖猿伝』を殆ど読んでおらず、いつか腰を据えてと思っていました。しかし、僕が諸星大二郎さんという漫画家から受けた影響はかなり大きなものがあります。あの『生物都市』のイメージもさることながら、小学生時代に植えつけられた『孔子暗黒伝』のインパクトというか、ショックはなかなか消えず、長じて単行本を再読した際にも、あまりの世界観に圧倒されました。たった10回の連載であるのに、1年間の製作日数をかけたという労作です。孔子とその一門を描いた伝奇歴史小説『陋巷に在り』の作者、酒見賢一氏も、この作品を中学生の時に読みインパクトを受けたそうで、『孔子暗黒伝』に出会わなかったら、孔子や顔回に興味を持ちえただろうか、と語られています。『孔子暗黒伝』(そして『陋巷に在り』)の場合、歴史学者、白川静氏の『孔子』に影響を受けているそうです。この本には、史実では謎である孔子の素性についての推測が寄せられており、その出自や政治的動向など『陋巷に在り』で詳らかになるものは、こうした考察を発展させたものであるようです。「学」の領域と「伝奇小説」や「ファンタジー」という作りごととの相克はあるかと思うのですが、学問的考察が、こうした物語の媒介となっていったことは面白いものですね。聖徳太子を「あんなふうに」描いた山岸涼子さんの『日出処の天子』も梅原猛氏の『隠された十字架』から着想を得たと聞いています。伝奇歴史作品の世界から、また色々な原典に遡っていくのも読書の楽しみがあるものと思います(結果として、『孔子』も『隠された十字架』も読んでしまいましたし)。『西遊妖猿伝』の原典は無論、西遊記なのでしょうけれど、考えてみると西遊記も子どもの頃にジュブナイル化されたものしか読んだことがなかったので、そのあたりも遡れる契機になると良いな。

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2008年10月14日 (火)


疑惑の銃弾

ディレクターの、ともおです。

ニュース報道等で御存知のことかと思いますが、三浦和義氏が突然、亡くなったことは、かなりショッキングな出来事でしたね。一連の事件が、延長戦の果てにここで終結、なのか、それとも、まだまだ続くのか。真相はこれから明らかになるのかどうか、人が一人亡くなられたという事実は厳粛に受け止め、御冥福をお祈りしつつも、これからの進展を色々と想像してしまいます。自分が十代で、「ロス疑惑」が毎週のように週刊誌の見出しを飾っていた頃、まさに「時代の寵児」であった三浦和義氏。あの最初の逮捕劇(1985年)も含めて、トリックスターとして記憶に残る人物ですね。逮捕後、三浦和義氏の拘束中に、ミステリー作家、島田荘司さんが『三浦和義事件』というドキュメントを出版され、三浦氏は果たして本当に犯人なのか?という提起をされ、とても驚いたことがあります。あの当時は、三浦氏が無罪になるなんて誰も思わなかったほど、マスメディアの風潮は疑惑の犯人を、犯人とみなしていたと思います。ところが、二審、三審と無罪になり、釈放されたこともまた事実。今年の米国での逮捕から、今回のロスでの突然の死に至るというのは、この事件の終局としては、非常に運命劇的な因縁を感じるものです。でも、まだこれが第一章の終わりにすぎなかったりするのかも。さて、この『三浦和義事件』、現在は品切れとなっており、amazonでも古書として高額で取引されています。文庫本の方が更にプレミア(文庫なのに一万円近い)がついているのは、増補されているのでしょうか(僕は単行本の方で読んだので、文庫は未読でした)。現在のところ復刊リクエストはないようですが、重版されるのでしょうかね。他に三浦和義氏関係のリクエストがあがっていないかな、と思いましたが、ありませんでした。しかたがないので、景山民夫さんの特集をくっつけておきます。・・・すいません、わかりにくいネタで。そういえば、景山民夫さんも謎の死を遂げられたのでしたね。色々な運命に翻弄される人生があるのだと思います。

■『景山民夫』復刊特集ページ

投稿時刻: 午後 05:31
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2008年10月13日 (月)


あきらめたらそこが終点さ

ディレクターの、ともおです。

昨日は映画館で、ただ今、大ヒット上映中(現在、ランキング2位だったか)の映画『さらば仮面ライダー電王』を見て、その後、引き続き、今回の映画の電王のイベントの衛星生中継を見てきました。生イベントを全国の映画館で衛星中継するという画期的な試みで、配信先の各映画館でも特別な趣向があったりして、なかなか楽しめる催しでした。電王は、昨年放送されていた仮面ライダーシリーズの一作品ですが、今回で3度目の映画化という破格の人気を誇る作品です。どうしてこんなに人気があるのか、というと、テレビシリーズの秀逸な作品性から、僕のようないい年をした大人もハマっていることがひとつの例ではあるのですが、やはり絶大な女性人気を集める「サムシング」があるからですね。イベント参加者も95%は女性でした。平成ライダーは、カッコいい男性俳優が出演することで、子どもたちよりも若いお母さん人気を集めたと言われていますが、電王はそこを更に一歩進めた「キャラクター人気」が中心です。「時間を超える」「電車で移動する」「怪人(イマジン)がライダーに憑依する」など特色はいくつもありますが、弱すぎてふがいないヒーロー「電王」の味方についた怪人(イマジン)たちが、衝突したり、叱咤激励しあいながら、「電王」を盛り上げ一緒に「成長」していく、その「関係性」が魅力なのです。その個性的な怪人(イマジン)たちを演じる、コスチュームアクターと声優たちの芸達者ぶりも見事です。人気声優たちが配されていることもありますし、実にウィットに富んだ脚本が、登場人物たちの個性を際立たせ、物語の中でのキャラクターを忘れ難いものにしてくれました。今回で終わり、と銘打たれていますが、まだまだ続けて欲しいシリーズではあります。とはいえ、映画とイベントを見ていて、主演の佐藤健君があまりにも成長しすぎてしまったなあという実感もありました。存在感ありすぎましたね。立派になったなあ、という気がしました。弱くて強い、そんな逆説的なヒーローが、名実ともに強くなってしまった。「成長」を見届けたいと思うものの、成長しきってしまうと、少し寂しい、ものですね。

原作者の石ノ森章太郎さんが亡くなっても、延々と続いていく仮面ライダーシリーズですが、もはや、面影は「変身」「バイク」「仮面」程度にしか残されていない気がします。それでも、最初に「初代仮面ライダー」ありきなのだと思うところです。石ノ森先生の偉業は、完結も近い「石ノ森章太郎萬画大全集」で詳らかになっています。復刊ドットコムでも現在では、ご予約の方以外、通期入手ができないのですが、まだバラで在庫があるものもございますので、宜しければ是非、ご覧ください。

投稿時刻: 午後 08:17
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2008年10月12日 (日)


メルマガ予告(10/15号)!

ディレクターの、ともおです。

メルマガの振り返りと予定です。今度の月曜日がお休みなのでタイトな進行です。その他もろもろの業務都合もあるので、果たして、火曜中にFIXして送信できるのか、などと考えているところでもあります。まあ、今までなんとかなってきたので、なんとかなるでしょう。先週のメルマガでは、注目のリクエストとして紹介した『ガマ王子対ザリガニ魔人』の反響が大きく、20数票だったものが既に100票を超える状況となりました。SNS等でも話題になっておりますが、この本を入手したいができない、という悲痛な声が多数上がっています。オークションや古書の販売価格が、かなり高額になっており、重版を望む声が多いのですが、特殊な造りでもあることから出版社様でも重版未定であるのが現状のようです。復刊ドットコムでも多くの要望が寄せられており、皆さんのコメントは、現状分析も含めて、後日、発行元出版社様にお送りします。30~40代の女性が中心にリクエストが集まっていますが、きっとお子さんたちが欲しがっているのでしょうね。実際、数千部からの部数でなければ重版できないものかも知れませんし、高額本であるがゆえに、リスクは相当大きいのではないかと考えられます。復刊ドットコムとしても、皆さんのお役に立てるよう努力をして参りたいと思っております。それにしても、稀少本を融通しあう友好な関係ではなく、高額な転売で利を稼ぐための買占めが横行するようになるのは、由々しい問題ですね。需要と供給のバランスが崩れている商品が直ぐに見つけ出せるようになってしまったネット時代の功罪でもあるのかも知れません。それと、先週は、懐かしのアニメの原作特集が好評でした。お蔵だしの『魔女っ子メグちゃん』も完売いたしました。どうもありがとうございます。

さて、10月15日のメルマガは、目玉が、みなもと太郎さんの『風雲児外伝16』の販売のお知らせです。一般書店で販売されている『風雲児たち』ではなく、毎年、コミケで新作が発表されている同人誌作品である、外伝の方を復刊ドットコムでは取り扱いさせていただいております。今回は、幕末篇、しかも「冗談新撰組」の「油小路の決闘」なのですよ。みなもと先生の「冗談新撰組」は、大河ドラマ『新撰組!』の脚本を書かれた三谷幸喜氏も影響を受けていると公言されている、ちょっとしたレジェンドなのです。復刊ドットコムでの扱いが遅れまして、お待たせしましたとお詫びも申し上げつつ、みなもと太郎作品特集で参りますので、何卒、ご期待ください。イチオシ特集は『榎田尤利』&『木原音瀬』というBL上級生に人気のお二人をご案内。BL界は、現在、もっとも活性化していて生々流転が激しい世界なので、復刊ドットコムにも広く浅く票が集まっているのですが、著者特集としてはともかく、BL特集としては不完全な状態で、なんとかせねばと思っているところです。「耽美・同性愛」の方が、まだ充実しているあたりが復刊ドットコムの甲羅を経ているところです。それと、時事ネタ。ノーベル賞がらみで、物理と化学関連のものをご紹介。『八百長 相撲協会一刀両断』というリクエストにも注目が集まっているのも時事的ですね。そんなこんなで、参ります。なんとか、間に合いますように。

■間に合っているであろう、メルマガの購読はこちらから。

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2008年10月11日 (土)


やって来たのは、ガスコン兵

ディレクターの、ともおです。

土曜日はふだんはお休みなのですが、本日は出勤です。経理も担当しているので、決算対応が忙しいのです。プロデューサーもいなくなられてしまったので、マルチタスクは更に加速して、どんどこ業務が増える予定です。まったく種類の違う分野の仕事を同時にこなして、高い精度を維持する、というのは、なかなか難しいものがあります。しかし、専門職ではないゼネラリスト事務系会社員は、クリエイティブから、数字作りから、営業的交渉から、たまにプログラム製作までなんでもやらねばならぬのです。でも、小さい会社の方が面白いと思えるのは、逆になんでもやれるチャンスがあるということですね。などとポジティブなシンキングで日々を送っております。ところで、例の光文社さんの古典新訳文庫、11月の新刊ではロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』が刊行される模様です。そう、あの鼻のシラノです(学生の頃、僕は無名塾の上演で見た記憶があります。仲代達也さんが鼻をつけてました)。実在の人物、シラノ・ド・ベルジュラックをモデルにしたこの有名戯曲は、まあ、なんというかペーソスのカタマリなのですが、それというのもこのシラノという登場人物の見事なキャラクターが際立っているからと言えるでしょう。哲学者にして音楽家、剣客にして詩人、怖いもの知らずの猛き武人にして、繊細な文人。その巨大な鼻のために、己の容貌を卑下して、憧れの女性に恋心をうちあけることができないまま、恋敵の恋愛の成就に手を貸してラブレターの代筆まで行うシラノ。現代に舞台を置き換えて映画化されたり、色々な作品で例証されたりする有名なストーリーは、新訳で更に読みやすく、楽しめるものになっているのではないかと期待しています。「詩人の顔と、労働者の身体を持ちたい」という誰かの言葉の記憶がありますが、いかつい顔の裏に、繊細な魂が宿っていることもままあります。しかしながら、労働者としても、詩人としても才覚を発揮するマルチぶりが求められているのが現代の会社ですね。そして仕事をこなしたらこなしたで器用貧乏とか言われるのです。いいとこなしだな。うーむ。

「やって来たのは、ガスコン兵」でもお馴染みのガスコン(いや、誰にお馴染みなのか?)。勇猛にして果敢、猪突猛進、熱血をもって知られるガスコーニュ人(ガスコン)気質。シラノはこのガスコンの代表格ですが、もう一人、ガスコンで知られる人と言えば、そう、大デュマの『三銃士』のダルタニャンです。ダルタニャンも実在の人物をモデルにしていると言われていますが、ダルタニャンとシラノは実は同時代人でもある。佐藤賢一さんの『二人のガスコン』は、そんな二人が出会っていたら、という奇想の物語。ダルタニャンは第一部が終わってから何年かたったあたり、シラノは軍人を退役して作家に専念しているところという設定だったかな。こうした物語を楽しむにも、まずは原典に目を通したいところ。ということで、ながながとした宣伝でした。復刊ドットコムからよみがえった『ダルタニャン物語』、現在も発売中です。

投稿時刻: 午後 01:13
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2008年10月10日 (金)


ギヨエテとは誰か?

ディレクターの、ともおです。

今朝、通勤電車で新潮文庫の車内刷広告で「R・ブラウン」という名前を見かけました。誰だっけR・ブラウン、と思ったのですが、『私たちがやったこと』の文庫化を知らせるものだったので、ああ、レベッカ・ブラウンか、と腑に落ちました。『私たちがやったこと』は、あの人気を博した『体の贈り物』に比べると、破調の作品が集まっている短編集なのですが、『よき友』という一篇が凄く好きだったなあ、と思い出しました。末期のエイズ患者の話なのですが、この作品はお薦めです。いや、今日の本題はそんなことではないのです。不思議なもので、名字だけでも通る作家名もあれば、名字と名前が揃わないと誰だかわからない作家名もあります。一昨日のブログで「ヘンリー・ジェイムス」の名前を挙げたのですが、ヘンリーでも、ジェイムスでもなく、ヘンリー・ジェイムスと言わないと通じにくいですね。H・ジェイムスという標記も、いまひとつわかりにくい。逆に、略称の方が通っている作家の場合、略されないとビックリしますね。ジェローム・デーヴィッド・サリンジャーって誰だ、という感じです。ハーバート・ジョージ・ウェルズとかね。マルケスも、以前はG・G・マルケスと標記されていた気がするんですが、いつの間にか、ガルシア・マルケスの方が通りが良くなりましたね。ちなみに最初のGは、ガブリエルだとか。ジェイムズ・P・ホーガンの真ん中のPはパトリックなんだ、とか、まあ、色々とあります。D・R・クーンツは、いつの間にか、Rが消えていましたね。それはまた別の話か。

略称も含めて、外国人の名前をどのように日本語で標記するか、これは問題です。オンライン書店が全盛になってきてからは、実際の本に付されている作家名と書誌データベース上の作家名の乖離が問題になっていました。これ、検索にひっかからないんですね。例えば、楽天だとこう、アマゾンだとこうなっています。さて、この作家は誰でしょう、という感じです。こうした同一人として検索できないパターンを解決するための試行錯誤は、日本オンライン書店史に刻まれた苦労話なのですが、それもまたまた別の話。主要な外国人著者名一覧を別途用意していたオンライン書店もありましたな。復刊ドットコムの場合、そもそも書誌データベースを噛ませておらず、登録者が、個人の記録や記憶から入力しています。本の発行年や出版元などにより、個人名の標記にはかなりブレがあります。ということで、著者の串刺し検索が難しくなってしまうのです。そこでの苦肉の策が「著者特集」というもので、同一著者を関連付けていただいて、同一人物として見られるようにしているのです。「ギヨエテとは俺のことかとゲーテ言い」という有名な川柳がありますが、ギヨエテもゲーテも「ゲーテ特集」でまとめてしまう、というのが復刊ドットコムの懐の深さです。

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2008年10月 9日 (木)


シャランラ!

ディレクターの、ともおです。

『魔女っ子メグちゃん』のコミック単行本が売れています。復刊ではなく、出版社さんの残在庫を特別にお蔵出ししていただいた稀少なものです。30冊キープしたのですが、メルマガの懐かしのアニメ原作特集でも紹介させていただいたので、あっという間に売り切れてしまいそうな感じです(これ書いている時点で、残り8冊)。原作コミックの方は読んだことはないのですが、自分の世代にとっては、1975年に放映されていたアニメは懐かしい作品です。諸々の解説によると、この作品が東映アニメの魔法少女ものの第七弾となるそう。『魔法使いサリー』(66年)『ひみつのアッコちゃん』(69年)『魔法のマコちゃん』(70年)『さるとびエッちゃん』(71年)『魔法使いチャッピー』(72年)『ミラクル少女リミットちゃん』(73年)と来て、『魔女っ子メグちゃん』(75年)の登場となるのです。この後、『魔女っ子チックル』(78年)『花の子ルンルン』(79年)『魔法少女ララベル』(80年)と続いています。ああ、『ミラクル少女リミットちゃん』ってあったよなあ、とか、記憶の隙間に眠っていたものが、急に甦りました。永島慎二さんのキャラクター設定だったそうで、これもビックリです。サイボーグ、という設定だったんだなあ。自分にとっては、こうした魔女っ子モノのアニメなどを見るのは『魔女っ子メグちゃん』が分岐点になっています。これ以降の魔女っ子アニメを見た記憶がない。・・・いや、『ミンキーモモ』は見た(笑)。あの「初回放送版」だけは非常に作品性が高くて驚いたんですが、あのあたりからマニアックというか、オタク臭が漂ってくるところではありますね。

その昔から「二級天使」モノというジャンルがあって、天界から未熟な天使が地上に降りてきて、修行を積んで、再度、天界に戻るというストーリーパターンがあります。魔女っ子モノも、文学史?上、そうした系譜の中に位置づけられているはずです。『魔女っ子メグちゃん』の場合、たしか女王候補生かなにかで、ライバルと張り合いながら、下界で修行生活を送っているのではなかったかな。伝承やファンタジーにしても欧米世界における「魔女」の描き方には、宗教的な禁忌の存在であるということも含めてイメージされるところがあるのですが、日本製の「魔女」は、そういうところから完全に逃れて、自由に創作されている気がします。逆に、日本では「巫女」を題材にした「巫女っ子」みたいのは難しいと思うんですね。きっと、抵抗があると思う。そう思うのです。何故だろう。

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2008年10月 8日 (水)


エドガーとアラン、そして、あの一族

ディレクターの、ともおです。

昨日は「ミステリー記念日」だったそうです。何故、10月7日になったのかということですが、これは作家のエドガー・アラン・ポーが亡くなった日だったんですね。エドガー・アラン・ポー。この名前を知るきっかけが江戸川乱歩から、というのが代表的日本人かも知れません。ポーが生み出した作品世界がミステリーというジャンルの扉をあけたと言われています。改めて文学史の年表を見ると面白いのですが、ポーの代表作『モルグ街の殺人』が発表されたのが1845年。19世紀アメリカ文学は、ホーソン、ポー、メルヴィル、マーク・トウェイン、ヘンリー・ジェイムスという並びで続いているのが有名どころ。同じ19世紀でも、前期のポーと後期のヘンリー・ジェイムスを比べると、「小説の進化」ということを意識させられます。しかし、日本で言うと江戸時代で、あの大飢饉や、水野忠邦の改革などがあった天保年間の終わった翌年に書かれた作品が『モルグ街の殺人』なのだと思うと、これはこれで感慨深いですね。高校生の時、英語のリーダーのテキストがポーの作品集で楽しかった記憶があります。どの作品も「ここで終わりか?」という、投げっぱなしの結末にかなり衝撃を受けました。当時、『モルグ街の殺人』の、あまりのオチ、というか犯人に「はあ?」と呆れた記憶があるのですが、この作品が書かれた時代における、こうした結末の「ミステリー的な斬新さ」に、むしろ感嘆するべきだったのだと今は思うのです。小説の進化の先端にいる我々にとっては、新しいものを求める楽しみもあれば、ジャンルの原点に戻っていく読書にもまた、清新な発見があるのではないかと思うのです。古典もどんどん復刊されるし、読まねば。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月 7日 (火)


教科書に載っていたお話

ディレクターの、ともおです。

復刊ドットコムには「学級文庫の思い出」的なリクエストがとても多く寄せられています。江國香織さんの絵本に関するエッセイ『絵本を抱えて 部屋のすみへ』の中に、自分が学級文庫に提供した大好きな絵本を、同じクラスの男の子が借りて読んでいる表情をじっと観察しながら、今、あのページを読んでいるに違いあるまい、と、その男の子が気持ちを動かされる瞬間を捉えようとしていた、というエピソードがありました。自分ならず、人の気持ちを類推して楽しんでいた、というあたり、後年の作家として素養が垣間見えます。「子ども時代の心の動き」は、なんというか、深く刻まれたものがありますね。他人ならぬ自分が感動した瞬間や、インパクトを受けたもの。昔読んだ、本を再度読むことで、その記憶のタイムカプセルが解き放たれるということもある。とまあ、復刊ドットコムは、特に、あのトラウマ系と言われる、衝撃の度合いの強かった作品を多く復刊に結びつけてきましたし、そのリクエストに寄せられた、どこか別の場所で同じようにその本にインパクトを受けた同志がネット上で出会うというドラマも作ってきたように思います。私は一人ではなかったのだ、という感じですね。

学級文庫よりも、より強制的に記憶に刻まれた本、といえば、やはり「教科書」の中の大話です。Gooのランキングに『想い出に残る、国語の教科書に載っていた話ランキング』というのがあって面白いので見ておりましたが、なるほどねー、という感じでした。男性女性総合ともに『ごんぎつね』がトップ。僕は、子ども時代に、教科書でも絵本でもこの本を読んだことがなく、長じてから新美南吉集などで読んだ作品です。『ごんぎつね』は、あの結末をどう考えるのか、などと思ってしまいますね。衝撃は大きいですよね、あの終わり方は。児童文学としての余韻を持った魅力がある作品が多くあがっているのが嬉しいところです。教科書的、という言葉は「道徳的に正しい落しどころを求める」ものだという印象があるのですが、意外と、教科書は「投げっぱなし」な文学的余韻を持った作品が多いのだと改めて思うところです。復刊ドットコムでも先日、光村図書出版さんの教科書に載せられた作品から厳選されたアンソロジー『光村ライブラリー』をご案内しましたが、もう一度、読み返して、記憶のタイムカプセルを開くも良し、大人目線で考えるも良し、というところですね。僕の記憶に残る最も鮮烈な教科書の思い出は乙骨淑子さんの『砂に消えたタンネさん』という作品。発明家のタンネさんが、人のストレスを砂に変換する機械を発明して、町の人たちを楽にしていくけれど、その機械を増産するためにタンネさんは過労でヘトヘトになり、自分で発明した機械を自分で使うと膨大な砂が発生して、その中に消えていってしまうというブラックなものでした。この話を、どう考えたらいいのか。小学校時代読んだ本が心の中に占めているウエイトは、その後の読書量に関わらず根深いものではないかと思います。復刊ドットコムにはそんな想いが沢山集まっておりますので、記憶に残る教科書の作品なども、検索して見ていただければ幸いです。

投稿時刻: 午後 01:08
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2008年10月 6日 (月)


メルマガ予告(10/08号)!

ディレクターの、ともおです。

メルマガ予告を今週も月曜にしてしまいました。社内の体制が諸々変わっているところで、また組み直しをしながら走っている感じです。先週のメルマガで紹介した商品では、原書房さんの『艦砲射撃の歴史』が人気でした。もともと復刊リクエストを59票集めていたものの復刊です。出版社さんからいただいた内容によると『日本海軍において赫々たる功績を挙げた海軍軍人である著者が書く、大砲射撃における人智と兵器の発達史。射撃方式の大革新、遠距離砲・戦術の考案、偏弾射撃法などの全容を網羅した唯一の書』とのことです。戦争に使われる破壊兵器を礼賛する気はないのですが、メカニックの発達史としては、個人的にも興味を惹かれるところがあります。以前に「アームストロング砲」という歴史小説を読んだ記憶がありましたが、武器だけでなく、築城の技術者の出てくる歴史小説なども興味深く、戦争が発達させたものと、その裏で技術を支えてきた人々の矜持には関心を持ってしまいますね。

さて、今週のメルマガは、先日もお知らせしましたが、8年間に渡る復刊ドットコムを支え続けてきたIプロデューサーから、今般の異動に伴い、最期のご挨拶がございます。このサイトを立ち上げ、ここまで成長させてきたのもIプロデューサーの手腕です。残された我々スタッフとしては、この後のサイト運営をどのように行っていくべきか、大いに戸惑っているところなのですが、Iプロデューサーの志を引き継いでいきたいと思っております。続いて、注目のリクエスト。これがPV(閲覧数)はぶっちぎりの週間トップで、今年の9月23日に登録されたばかりの現在22票。そもそも刊行されたのが、今年の8月という本なのです。つまり、絶版ではないのですが、品切状態で、出版社さんに確認したところ重版未定となっている作品に、もうリクエストが集まっているのです。古書価格は既に2万円を超えています。これは何かと申しますと、ただ今、絶賛公開中の映画『パコと魔法の絵本』の中で用いられてる作品、『ガマ王子対ザリガニ魔人』なのです。1日しか記憶が残せない女の子パコのために、大人たちが彼女の愛読書のお芝居を演じるという話の、その愛読書がこの作品。予告篇だけ映画館で見ましたが、CGを駆使した極彩色の異色の映画のようですね。ところで『ガマ王子対ザリガニ魔人』というタイトルで思い出したのが、エイモス・チュツオーラの『甲羅男にカブト虫女』です。「サンダ対ガイラ」とか「ゴジラ対ヘドラ」とか怪獣モノのイメージではなく、この作品が想起されたのは、やはり甲殻類のイメージが共通するところでしょうか。一時期話題になったマジックリアリズム作品ですね。一応、文学、として語られるチェツオーラですが、単純に面白いので未読の方にはお薦めです。余談でした。それと、アニメ化作品の原作本特集。今、メルマガを書いている富乃に「キャプテン・フューチャーってアニメ化されていたんですか?」と聞かれ、NHKで「未来少年コナン」が最初に放送された時の後番組で、などという説明をしておりました。しかしながら、二十五年以上前の話ですね。近々に再放送もされた記憶がないので、二十代の富乃には遠い話です。しかし、あの頃、エドモンド・ハミルトン作品をアニメ化したのは英断だったなあ。NHKアニメは、その後に「ニルスの不思議な旅」という児童文学大国スウェーデンを代表する作品がくるわけで、このふり幅の広さには、今さらながら感心するというか、そうした作品に自分が情緒的に養われて、色々なことに興味を広げてもらえたのだなという気もしてます。そして、岩波の児童文学復刊ラッシュで、なんと、こちらはヴァジニア・ハミルトンが三作品も出ます。児童文学ファンの方は良くご存知のところですが、焦がされ続ける少年少女の内面と葛藤、そして救い。人種問題も含めたアメリカの子どもたちの内的世界を描く重厚な作品群が、こうしてちゃんと甦って、また多くの方たちの手に渡るのは嬉しいところです。他にも盛りだくさんでお送りする、今回のメルマガ。是非、ご覧ください。

■ということで、メルマガの登録はこちらから。

投稿時刻: 午後 12:11
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2008年10月 5日 (日)


読書にとって課題とは何か

ディレクターの、ともおです。

右腕が上がらなくなりました。春には、首が廻らなくなりましたし、今年は色々と変調が多いのです。恐らく、年齢的な問題だろうなと思います。働き盛りだが、気持ちは折れている、という昨今で、余力で動いている感じです。だったら、こうしたブログも休むなり、止めるなりすれば良いと言われているのですが、まだもう少しだけ続けます。遠からず終わりはくるので、その時までは頑張って書き続けてみようと思っています。存在価値はあまりない、とはいえ、存在しているだけでも誰かに見てもらえることもあります。サイトもそうなのですが、ブログの方も、レギュラーで見ていただいている方は僅かで、おおよそは検索エンジンから入ってこられる方たちが主です。今年の八月は、おまけでやっていた児童文学の読書感想ブログが、全然、更新していないのにPVが伸び続けていたので、なんだろうなあ、と思っていたら、「課題図書」の作品の紹介をしていたところに、検索から入ってこられる方が多かったようです。「課題図書」とは、今年54回目を迎える「青少年読書感想文全国コンクール」の課題の本のことです。おそらく夏休みの読書感想文の宿題にされている学校も多いのではなかったでしょうか。子どもたちか、保護者の方々かわからないのですが、一応、ネットで検索して他の人の書いた感想文などを参考にして見る、というアクションが一般的になったのだなと自分の学生時代を思えば隔世の感があります。今回は事前に感想を書いていた作品、あれこれが選ばれたのを、後から知りました。読書感想文が終わったと思ったら、今度は、読書感想画の波がきます。「読書感想画中央コンクール」です。こちらもすでに、これこれを載せていたので、PVが増えるかなと期待しています、というか多少なりとも誰かの役に立てば嬉しいです。ちなみにこちらは「課題図書」ではなく「指定図書」と言うのです。この微妙な違い方が何かに似ている気がしましたが、「預金」と「貯金」の違いでしょうか。

投稿時刻: 午後 10:27
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2008年10月 4日 (土)


D坂のこと

ディレクターの、ともおです。

街歩きのテレビ番組を見ていたら、団子坂が出てきました。江戸川乱歩ファンの方なら、あの「D坂」のモデルになったところとして記憶されている場所かと思います。以前に、乱歩自身が住み、古書店を開いていた場所でもあったそう。この作品が、探偵、明智小五郎登場の第一作となります。僕の明智小五郎体験は、世代感あふれることに『BD7』で、少年探偵団の後見役として、怪人二十面相と闘う、落ち着いた渋い男性という感じでした。その後、天智茂さん演じる、ナイスミドル明智探偵シリーズをTVで見てイメージを抱いていたものですから、「D坂」に登場した明智青年のイメージにかなりギャップを覚えたものです。書生姿でボサボサの髪、なんて、これは、金田一探偵じゃないのかと。少年向けではない乱歩に出会った時の、そのなんというか、ちょっと猥雑でさえある、あのキワのところの魅力にはかなりびっくりしたものです。「新青年」の傑作選などで、大正、昭和初期の探偵小説を読むと、時代の空気が更に理解できるところですが、ミステリーならぬ「探偵小説」の、あの時代の通俗性は、ちょっといけない読書感覚にあふれていますね。面白いです。TVだと『人間椅子』だって、明智探偵モノにしてしたしなあ、色々と演出されてしまうのですね(一方で、本格モノ再評価以前には、あえて「探偵抜き」で探偵ものがドラマ化されていたこともあったらしいのですが、これはまた別の話。時代のモードの変遷というのは、面白いものです)。先入観を持たず、原典にあたることで発見できるものもあるところです。そういえば、今度、金城武さん主演で二十面相を主役とした映画ができるそう。映画館で予告編だけ見ましたが、時代感覚あふれるセットなどけっこう興味深い感じでした。

ところで、復刊ドットコムでは、今度、沖積舎さんから刊行される『江戸川乱歩全集』のご案内をしているところです。「昭和36〜38年発行の桃源社版全集全18巻を、外函と外カバーを付して復刻」したもの。乱歩未体験の方にも、是非、興味を持っていただきたいところですが、これは、やはりマニア向けではあるところでしょうか。僕ら世代にはポプラ社さんの少年探偵江戸川乱歩全集が懐かしいところです。かつての劇画調の表紙と、黄金仮面マークにはドキドキしてしまうところですが、現在は装丁が変わってしまっているのですね。ああ、どうでもいい話ですが、僕は、高校生の時、乱歩の『芋虫』を、『ジョニーは戦場に行った』と一緒に「反戦小説」として教えられました。先生、間違ってます。

投稿時刻: 午後 10:17
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2008年10月 3日 (金)


海に出るつもりだったり、なかったり

ディレクターの、ともおです。

このところ、復刊ドットコムでアーサー・ランサム全集が売れています。というか、売れてしまいました。現在、在庫切れとなっています。各巻ごとには個別に入手できるようなので、絶版・品切れではないのですが、復刊ドットコムとしての扱い分は終了した状況です。復刊ドットコム的には、アーサー・ラッカムではないのか、などと思っていたら、アーサー・ランサム人気もまた高く、かつて書店品切れだった際に集まったリクエストコメントにも、かなり熱いものがあります。『ツバメ号とアマゾン号』からはじまる全12巻の全集は、湖畔でのヨット操舵に興じる少年少女たちの伸びやかな物語。児童書文学関係の方には、ランサムファンを標榜する方たちが多く、インドアな読書好きな方たちのアウトドアへの憧憬もあるのかなあ、なんて感じていました。僕は、実は、もうひとつノレなかった口で、途中までしか読んでいないのですが、ランサム的なものもまた、良質な児童文学の代表格ですね。

アーサー・ランサム全集もそうなのですが、岩波書店さんの箱入りの大判読み物がズラっと並んでいるところは、かなり壮観だなあと思っています。ああした大型サイズの読み物って、ちょっといいですね。よほどの大型書店の児童書売場か、専門店でもないと遭遇できない光景ですが「なにか面白い物語がつまっている」本が並べられているのはワクワクするのです。ちょっとクラシックで「秘密めいた」蔵書があってこその書店。こないだ倉庫に「復刊ドットコム」の商品在庫を確認しに行ってきましたが、こんな棚のリアル書店があったら、ユニークで面白いのになあ、というぐらいの異色さでした。復刊、復刻本が多いので、集めると独特の雰囲気を醸してしまうのです。

投稿時刻: 午後 03:45
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2008年10月 2日 (木)


涅槃からの四半世紀

ディレクターの、ともおです。

このところ、急速にPV(閲覧数)が集まっているのが『真相 沖雅也』という本です。書かれたのは、俳優、沖雅也さんの養父であった日景忠男氏。日景氏主観による「沖雅也」伝だそうで、それはかなり内容に興味を惹かれる、魅力的な本であるなと思っていました。それにしても、どうしてこの本に急に注目が集まっているのか、と調べたところ、先日、日景氏が逮捕されたとのニュースがあったことを知りました。沖雅也さんが自殺された時の衝撃の会見や、その後、バラエティ番組などでも活躍されている姿を記憶しているわけですが、あの日景氏も既に70代になられていたんですね。「おやじ、涅槃でまっている」という遺書の言葉が、ちょっとしたブームになったのは1983年。この時、沖雅也さんは、まだ31歳だったのです。当時は、クールな役柄をこなす俳優さんになっていたため、落ち着いた印象があったのですが、そうか、まだ31歳だったんだ。もしご存命なら、56歳。どんな渋い俳優になられていたろうかと思います。で、今回、そうしたことを調べているうちに、沖雅也さんの遺書の公表されている全文を見たのですが(自宅に残されていたという分も含めて)、考えてみると、僕は、あの最期のフレーズのみしか記憶しておらず、いや、あれだけが遺書なのだと思っていました。実際は、かなり長いものだったのですね。この心境に至るまで、どのような心の軌跡があったのか気になります。そして、あの沖雅也さんが亡くなった時の、日景氏の「慟哭する姿」というのは、かなり深く印象に刻まれています。大切な人を失った時の悲しみの姿として、あれほど、取り乱し、泣き崩れる様が、会見という場所で報じられた記憶はあまりないのです。誰かを永久に失ってしまった悲しみの姿。今回、日景氏が起こした事件について詳しくは知りませんし、犯罪は犯罪として断罪されるべきなのですが、沖雅也さんが亡くなってからの四半世紀を、日景氏はどう生きたのだろう、と感慨深く思っていました。

投稿時刻: 午後 03:24
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2008年10月 1日 (水)


青天の霹靂

ディレクターの、ともおです。

10月1日となりました。会社的には下半期のスタートです。突然ですが、本日付で復刊ドットコムのIプロデューサーが異動することとなりました。親会社からの出向が解かれ、復刊ドットコム運営会社のブッキング自体から離れることになったのです。唯一、残っていた創業メンバーで、復刊ドットコムを立ち上げ、揺籃期から現在にいたるまで支え続けてきたIプロデューサーが急にいなくなることで、残されたスタッフの動揺は隠せませんが、昨日突然に辞令を聞かされた本人自身が一番、戸惑っている状況かと思います。辞令ひとつで、まったく違う部署や、違う業務に従事するのが会社員の宿命とはいえ、なかなか、厳しいものがあります。自分自身も、明日には違うところで働くことになるかも知れず、この業務をいつまで続けていられるかわからないところですが、状況が許す限りがんばりたいと思います。人が代わっても、復刊ドットコムのスピリットは生き続ける。そう信じたいものです。ともかく、体制を整えなおして、ユーザーの皆さんや関係取引先各位にはご迷惑をおかけしないようにしていきたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

投稿時刻: 午前 10:56
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