ブログ、停止します。
ディレクターの、ともおです。
色々とありまして、こちらのブログをお休みすることにいたしました。自粛です。ちょうど、他の業務も切羽詰ってきているところですので、そちらに専心したいと思います。復刊情報については、復刊活動レポートでご案内していきますので、ご参照ください。宜しくお願いします。
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ディレクターの、ともおです。
となりの会社の人間が全員、異次元人にすり替わっているから気をつけなさい、と十代の頃の冨田靖子さんに警告されるという不思議な夢を見て目が覚めました。たしかに、異次元人の侵攻には注意が必要です(そうか?)。先日、「二次元キャラと法的に結婚したい」という署名運動が盛り上がっているということがニュースにもなりましたが、現時点ではまだ3,000人に満たないようなのでもうひと頑張りですね。どうせなら、もっと高次元を目指そうということで、今回、おすすめしたいのが、L・P・デービスの『四次元世界の秘密』(あかね書房、少年少女世界SF文学全集収録)と、さらに上の次元を行く『五次元世界のぼうけん』(あかね書房、国際児童文学賞全集収録)です。この二作品、復刊ドットコムの未復刊児童書リクエストの中では、かなり高位にランキングされているものです。1960年代の終わりから70年代初頭の児童文学全集は、かなりグレードの高い本が目白押しなわけですが、今、そのラインナップを見ていても、やるなあ、と思ってしまいます。児童向けSF作品全集は、岩崎書店さんのものは新装復刊されていますし、国土社さんのものは、復刊ドットコムから復刻で甦りました。まだまだ、注目すべき濃い作品は残されていますので、少年少女時代の異次元ロマンに胸を躍らせてみるのも一興です。
『四次元世界の秘密』は、わりとスタンダードなジュニアSFですね。少年たちが消えた科学者の謎を追って(これは黄金パターンですね)、強力な地場発生装置を通り、四次元世界に到達するとそこには・・・という感じ。イラストも物々しく、解説でも不思議な四次元がらみの失踪事件などを詳細に紹介していたりと、時代感覚も含め、実にそれっぽい作品です。一方、『五次元世界のぼうけん』は、児童文学の著名な賞であるニューベリー賞を受賞した作品。こちらは児童文学系ファンタジーですね。『惑星カマゾツ』(サンリオ発行)というタイトルでも翻訳されてもいます。ちょっと変わり者の姉弟が主人公で、やはり失踪してしまった科学者のお父さんを追って、空間と時間を跳躍する五次元運動を用いて、惑星カマゾツに到達するとそこには・・・と、パターン通りですが、児童文学系である妙味は、姉の複雑な心理状態や屈折感ですね。ちょっとした天才児なんだけれど、周囲からは低能児と思われて浮いてしまっている姉弟の設定が良いんですね。『氷の海のガレオン』もそうでしたが、こう、先に進みすぎていて学校の同級生には受け入れてもらえないタイプの子どもという像は、作品のモチーフであり続けますね。こういう主人公って、読書するタイプの子どもたちにとって共感があるのかも知れません。同じ教室の中にいながら、一人だけ別次元にいるような、ちょっとした疎外感と優越感を同時に感じている、そんな子どもなのだから。さびしんぼー。
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ディレクターの、ともおです。
怒りや憤りというのが、日々を生きる糧ではあったりするのですが、できれば、穏やかに過ごしたものです。とはいえ、まあ、当たり前の理屈が通らないようなことに対面した時に、果たして、どこまで穏やかでいられるかは、人間の度量なのでしょうか。いい加減、大人なのですが、大人らしくもしていられないこともままあるのが会社員です。などと、不穏さを抱えつつ、先週のメルマガの振り返りから。先週は、『エスパークス 20周年記念BOX限定版(スペシャルブックレット付)』の予約開始でしたが、既にかなりの受注をいただいております。文具キャラクター「エスパークス」のノートは最盛期には数十万部の販売数を誇り、当時の小学生を中心に、まさに一大ブームであったと聞いています。長い年月がたっても、これだけ「エスパークス」の復活に快哉が叫ばれるのは、その作品世界に現代に通じる面白さがあるからなのでしょう。他にも『リボンの騎士』の復刻版BOXの人気が高かったです。これも子ども時代の思い出のうちにある作品でしょうが、幅広い年代に受け入れられているのは、アニメ化もされ息の長い展開をした作品であるからですね。同じ現代での復刊でありながらも、そのバックボーンの違いを良く考えなければならないのは、復刊ビジネスの難しいところです。
さて、今週のメルマガなのですが、メインテーマがまだちょっと揺れていて、現時点で、ちゃんとご報告できないのが辛いところ。復刊ドットコムでは、大人気のエディシオントレヴィルさんからの吉報をお伝えすることになるのは、決まっているのですが・・・。これは、楽しみにしていただければ、幸いです。話題のリクエストは、得票はまだボチボチなのですが、PV(閲覧数)が急上昇している、ホビージャパンさんの『ダイナマイトナース』&『ダイナマイトナース2』についてご紹介します。オークションなどで、非常に古書価が急騰していることもあって(僕が見かけたものでは、最終的に5万円程度で落札されていました)、もう少し得票があがったら、多少、高額になっても小部数重版が可能かどうか検討をご依頼したいと思っているものです。ということで、応援、よろしくお願いします。そして嬉しいニュースとしては、『グレースのお菓子の時間、紅茶の時間をどうぞ』の復刊を案内。これも古書価がかなり高騰していた本でした。復刊ドットコムでの復刊を求める皆さんの声も参考にしていただいて、出版社様が重版を決めてくださった本です。是非、販売の方にも、皆さんのお力を貸していただければ、と思っています。復刊本が売れると出版社さんも喜ばれるので、復刊リクエストの信憑性が高まって、今後、更に、復刊が実現できる可能性も高まるんじゃないかと、そういう好循環を実現できればと思っております。いや、最近、復刊本の高セールスが続いていて、次につながっていくケースが多いのですよ。これも皆さんのおかげと感謝しています。原書房さんからは、また復刊銘柄の『軍人と国家』も刊行されます、これもこうした良い流れのひとつですね。そして、復刊ではありませんが、復刊ドットコムユーザーの皆さんに親和性が高いところで、河出書房新社さんの良質な文藝シリーズ、KAWADE道の手帖の新作で、安藤鶴夫、吉屋信子、鶴見俊輔という、また濃い並びをご紹介。アンツルさんについては、以前にもこのブログで書きましたので、ちょっと省略。吉屋信子先生は、怒涛の少女趣味が現代のゴスロリ的なものに通じるという観点なのか、再評価きたかなあ、という感じですね。僕は国書刊行会さんの復刻本を沢山買い集めたクチで、そのうち吉屋信子についてはお話できる機会があれば、と思っているファンなのです。鶴見俊輔さんは、むしろ自分たちの時代の思想家という意識もあり、多年にわたりその文章から影響を受けてきた人だと思います。先日、『寄生獣』の完全版の単行本読んでいたら、なんと鶴見俊輔さんが解説で、自分が八十年以上生きてきて読んだコミックの中でこんなに面白かったものはない、というようなことを書かれていて、ビックリしました。いや『寄生獣』はたしかに面白いのだけれど、鶴見さんほどの識者に評価されるというのは・・・と思ってしまうほどの、鶴見俊輔さんなわけですよ。いや、今週も興味深い本ばかりご紹介できる、盛り沢山のメルマガです。怒りとともに書き始めた、今日のブログですが、本の話をしていると、気持ちが穏やかになるものですね。もっと、純粋に仕事ができたら良いな、と思います。
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投稿時刻: 午後 11:45
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ディレクターの、ともおです。
復刊ドットコムでは、復刊、復刻にまつわる色々な本をセレクトしているのですが、これはかなり興味深いぞ、というあたりをまたひとつご紹介します。来年の一月下旬に発売される『不思議の国のアリス ~明治・大正・昭和初期邦訳本復刻集成(全4巻)』です。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』が本家イギリスで出版されたのは1865年(慶応元年)、ということで、ぎりぎり江戸時代だったのですね。その『不思議の国のアリス』は、どのように日本に流入され、普及したのか。これは、面白いテーマです。日本上陸はともかく、アリスが翻訳読み物としてデビューしたのは、明治も終わりに近い1910年(明治43年)、丸山英観訳の『愛ちやんの夢物語』でした。アリスが「愛ちゃん」と置きかえられているなどの変更点があったり、翻訳としての難点はあるらしいものの、完全訳出による本邦初のアリスの登場となるようです。その後も翻案されたり、「まりちゃん」になったり、色々あって、1927年(昭和2年)には、芥川龍之介が『アリス物語』として訳を手がけてもいるようです(芥川の死後、菊池寛がまとめたものだと、どこかで読みましたが)。このアリス翻訳史を山梨県立大学教授の千森幹子氏が編集・解説される『明治・大正期の翻訳文学や比較文学研究、そして児童文学や日本近代の出版史研究にも貴重な復刻文献集』なのです。是非、ご家庭に一セット、というのは、なかなか難しいお値段ですが、大学の研究室や、図書館には是非、必備を。
学生の時、シェイクスピアのハムレットの翻訳比較をレポートで書いた記憶があります。その時、参考文献にした一冊で、河村登志夫氏の『日本のハムレット』という本がありました。これもまた、明治時代初期に河竹黙阿弥が翻案したものから始まって、じゃあそれが、どのように舞台で演じられたか、ということも踏まえられるあたりが、戯曲であるハムレットの面白いところ。当初、ハムレットは「葉村麻呂」、オフェーリアは「折枝」だったりして、明快な仇討ち物語として流入されたものが、どのようにして形而上的命題を思案する苦悩の青年の運命を受容できるようになったかというあたりが興味深い。ちょうど、このレポートを書いていた時期に、蜷川幸雄氏演出で『ハムレット』が上演されていて、これが、明治期の坪内逍遥訳と、当時最新の小田島雄志訳を、両方役者に渡して、好きなように台詞を選ばせるという変わった試みの舞台で、そんなことも踏まえてレポートを書きました。外国文学が、どのように日本に入ってきたという歴史は面白いですね。原書と翻訳の狭間に「翻案」というものがあり、読者に受け入れやすいように、日本的工夫を凝らした加工もまた、当時の文化を知るものとしては面白いものです。そういえば学生の頃に森田思軒の名調子を探して読んだりして、グフグフ言っておりました(オレの学生時代は一体、なんだったんだと今更ながら思うわけですが)。
しかしながら、『不思議の国のアリス』って、やっぱり狂気の沙汰の物語だと思っています。というか、あのぐらいの狂気が平気で物語として容認されていたわけで、現代の物語として書かれたらどうであろうか、という気もします(『ハイドランド』という小説もありましたがな)。先日は、アリスをテニスンの挿絵の彩色愛蔵版でアリスを読んでいて、不気味さ倍増でした。復刊ドットコム的には、ラッカムのファンの方が多いかな。ところで、最近の日本のアリスは、こうなんだ、というのも、ひとつの文化的現状を表象していますね。いや、こういうのもちゃんと出版されるんだから、一概には言えないけれど。
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ディレクターの、ともおです。
沼正三だと言われる、天野哲夫氏が亡くなられました。沼正三は、覆面作家のペンネームであり、その正体が誰か、ということがずっと取沙汰されてきた名前でした。共同ペンネームなのだとか、ニセ物であるとか、諸説ささやかれていたようですが、『家畜人ヤプー』に、天野哲夫氏が執筆した部分があることは確かであり、そうした意味では、沼正三のひとりである天野哲夫氏が亡くなった、ということになるのかも知れません。ある意味、そうした周囲の騒動も含めて、沼正三が書かれた『家畜人ヤプー』という奇書の、奇書たる幻想をもりあげているような気もします。戦後のベストセラー史の中でも有名な『日本人とユダヤ人』を書いた(ユダヤ人)作家、イザヤ・ベンダサンも、日本人作家、山本七平氏である、というのが、ほぼ確定の状況ですが、こうした謎めいた覆面作家の存在も、読書世界を彩るスパイスなのかとも思います。未だに東洲齋写楽論争にも決着がつかないところですが、いつか歴史上の大発見があって、答えは出るのものなのでしょうかね。こうしたことは、謎のままにしておいても良いかな、と思えるこの頃です。
さて『家畜人ヤプー』という作品。日本人男性が最下級の奴隷として白人女性に奉仕し続ける、遥か未来社会に連れ去られた現代の日本人青年の話だったな、と記憶しています。なにより「家畜人」というインパクトのある言葉には気おされます。翻案されて、石の森章太郎氏の手でコミック化もされていますが(復刊ドットコムでもリクエストが多数集まっています)、まあ、実に嗜虐的な内容の物語です。これがSFというよりは、幻想小説として、文学的に評価されているのは、ひとえに三島由紀夫氏がこの作品に極度に惚れ込んでしまったことが要因となっています。これは、文学者たちによるマルキド・サドの再評価に近いものがあるやも知れません(両方とも澁澤龍彦氏が推しているということもあるな)。
そういえば『愛の処刑』という三島由紀夫氏が書いたと噂されている小説(これ、中学の男子教師が男子生徒の前で切腹して見せるという同性愛小説なんですが、文学的完成度としてはどうなのかなあ、という印象でした)があり、ついには三島本人が書いたものと確定したというのも記憶にあるところです。覆面作家の覆面の下がバレバレだったというケースだったわけですが、詳しくは、伊藤文学さんのブログでどうぞ。
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ディレクターの、ともおです。
手塚治虫さん生誕80周年を記念して、イベントや記念復刊が相次いでいます。おそらく、来年の春に復刻される昭和22年の『新宝島』がメインイベントになるかとは思いますが、各社、こうした復刊企画が目白押しです。なぜか、今『まんが道』にハマった弊社メルマガ担当の富乃も「手塚先生は神さまだ!」と確信するという、良くわからない影響を受けているのですが、そうです。おそらく、神さまです。復刊ドットコムでも、1日に講談社さんの復刻版『リボンの騎士』をご案内したところ、あっという間に100部の受注をいただき、その人気の高さに、目を見張っているところでした。『この「講談社の漫画文庫」版の最終ページは、雑誌掲載版および現在入手できる手塚治虫全集版と異なっています』とのことですので『完全復刻版 リボンの騎士(少女クラブ版) スペシャルBOX』、是非、ご予約いただければ幸いです。こうした復刻版以外にも、例えば、ゴマブックスさんから刊行された『手塚治虫WORLD』は、手塚漫画の最終回を一挙掲載したもので、しかも、みなもと太郎先生による解説という企画本です。手塚漫画はどのように「描き直し」されているかについても、比較、言及しているというユニークな本です。そういえば、僕も先日、火の鳥の単行本を読んでいて、その昔、読んで記憶にあった場面がなく、逆に、こんな場面あったかな、部分が挿入されているのにビックリしたのですが、手塚漫画にはいくつかの修正ヴァージョンがあるのですね。このあたりを、詳しく研究されている方たちも多いよう。音楽の生演奏なら色々なテイクがあるのも当然かも知れませんが、こうした創作物にヴァージョンがあるのも興味深いところ。ただ、作者の意図としては、最新版が暫定決定版なのかも知れませんね。昨今はディレクターズカット版や私家版みたいなものがあとから出てくるのが当然みたいな状況になっているのですが、モンタージュの魅力というのは、切り捨てたものを一切見ることができないという前提の上になりたっているのではないかとも思います。キューブリックは、映画が出来たら一切の設定資料も棄ててしまい、映画そのもの以外は残らないようにしたとか。ファン心理としては、その裏側も、もっと知りたいと思ってしまうところですが、なんともいえないところですね。
さて、『リボンの騎士』と言えば、僕は、アニメの再放送で見た世代です。前半は非常に冗漫だなあと思っていたのですが、王女サファイアが「リボンの騎士」として活躍するあたりから、冒険モノとしての魅力が全開になってきてワクワクさせられるところ。女の子なのに、間違えて、男の子の魂を与えられてしまった、という、今だと「性同一性障害の人」のような設定なわけですが、ファンタジーに昇華されているのは、時代のおかげでしょうか。むしろイメージとしては、シェイクスピアの『十二夜』の双子かなあ。実際は宝塚歌劇団の影響を受けて描かれたとも聞いております。個人的に、あのアニメ版のテーマは手塚アニメベスト3ぐらいには入る好きな曲で(あとは『ふしぎなメルモ』と『ジャングル大帝レオ(レオのうた)』、次点は『ミクロイドS』と『マリンエクスプレス』)、音楽も含めて、手塚アニメ作品は総合的に楽しめるところが多いですね。あと、すっごくどうでもいい話なんですが、今、ふいにアニメ『リボンの騎士』のフランツ王子の声は、『いちにのさんすう』のタップくんと同じだよなあ、とか思ってネット検索で調べたら、やっぱりそうでした。声優の喜多道枝さん。こうやって、なんでもすぐに氷解してしまうので、「積年の疑問」が溜まらない時代なんですよね。
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ディレクターの、ともおです。
復刊ドットコムをご覧になっている方から教えていただきました。「全国の自称ー書店員と本好きの為の情報&意見交換サイト」という『ブックマンカインド』さんです。業務の参考に復刊ドットコムをご覧になっている書店員さんも多いと聞いておりますので、復刊ドットコムとの親和性もあるかも知れません。こちらのサイトは、掲示板を中心にして、匿名で本や出版業界の話をできる場所なのですが、(いま書店員)とか、(出版業界のひと)とか、(読書好き)であるとか、属性を明示できるところがヒネられているところではあります。「業界の人」が多く参加されていて、立場を明示されているというところが、通常の読書コミュニティとは違うところですね。ここから新しい出版業界でのムーブを作り出すことを目指されているのかも知れません。ということで、色々なトピックが立っていますので、是非、興味のある方はご覧になっていただければ幸いです。
僕は、取次を軸足にして、書店(オンライン)、出版社、と本に関する仕事をしてきましたが、個人的には、どうも業界的な感じ、が苦手です。読書について話をすることは好きですし、仕事上の立場のおかげで、知りえない情報を知ったり、なかなか関われないような方たちとも話をさせていただいたこともありますが、なんとなく、業界的なオトナの世界とは未だに線を引いている自分がいます。ビジネスならビジネスとして割り切れるのですが、読書、という個人的行為との切れ目が良くわからないところがあって困ってしまうのです。僕自身が趣味を仕事にしてしまったことの功罪でもあります。復刊ドットコムも、読者の気持ちをビジネスにつなげる試みなのか、読者の気持ちに純粋に応えるための場所なのか。そのあたりの塩梅が難しいところです。読者の方たちとの交歓があってこその本の仕事だとは思うのですけれど、そうした場所を維持するための経営的課題もまた重要です。そのあたりの曖昧さが厳しいところですね。「僕に会員資格を与えるクラブには入りたくない」というのは有名なジョークらしいのだけれど、「僕をギョーカイ人にする業界には入りたくない」というのが僕のジョークです。いや、本当は社交能力がなくて、どの業界筋のお付き合いにも出て行く根性がないというのが真実なのですが。いや、実に社交界へのデビューは難しいものです。個人的に、ささやかな読書ポータルを作って、ちまちまと好きな本の話をしていたいという、ご隠居モードを準備中のこのごろです。
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ディレクターの、ともおです。
復刊ドットコムの人気コーナーである「あの本のタイトルが知りたい」掲示板を見ていると、この本は面白そうだな、などと思い、読んでみたくなる本が沢山、あります。今年の七月に投稿されていた『25~30年くらい前の児童書で、女の子が自宅の電話から自宅の電話にかけると、違う世界の自分が出ておしゃべりをする』お話は何かという質問がありました。即座に、質問を解決してくださる方がいて、この作品が、初期の講談社青い鳥文庫の一冊である手島悠介さんの『わたしがふたりいた話』であることが判明しました。「かぎばあさん」で知られる手島悠介さんにこんな本があったのか、ということを知り、調べたところ、復刊ドットコムでもリクエストが集まっている入手不可能本でした。皆さんの声も熱いですね。興味を持ったので、図書館で借りて読んでみました。30年も前の本になってしまうと、図書館でも開架されておらず、「書庫」にしまわれています。書庫しまわれてしまった本を「どうやって知るのか」は、実は、なかなか難しいものはあって、これが語り継がれている定評のある作品ならまだしも、当時のスマッシュヒット程度だと、書誌DBには記録があっても、文献に名をとどめていないのですね。それでも、誰かの記憶には、こうして生きている。かなり変則的なブックガイドではありますが、他では知りようのない本を知ることができるのも、復刊ドットコムの魅力のひとつです。各リクエストページや、「あの本のタイトルが知りたい」掲示板には、是非、ご注目ください。
さて、この『わたしがふたりいた話』、とても良くできている児童文学作品です。自宅の電話から、自宅の電話番号に電話をかけるとどうなるか・・・。おそらく誰しもが、子ども時代に試したことではないのでしょうか。果たして、電話の向こうでつながったのは、もうひとつの世界に住んでいる自分だったので、小学生の、みどりは驚きます。やがて二人(一人)は、打ち解けていき、色々な相談をしたり、同じ経験をわかちあっていきます。微妙にズレがある世界を生きている二人は、どうにかして会いたいと思うのですが、この自宅の電話で、しかも特定のタイミングでしかつながらないホットラインは、途切れがちになっていくのです。ね、面白そうでしょう。この作品にかぎらず、電話を小道具につかい、思いも寄らないような相手と話をすることをモチーフにした作品は沢山あります。復刊ドットコムで人気を集めて復刊された『もしもしニコラ!』もそんな一冊。パリに住む女の子リーズが、ある眠れない夜、共働きの両親もおらず、怖くなって、思わず、メチャクチャな番号に電話をかけると、その電話に出たのは、はるか田舎に住んでいる同い年の少年、ニコラ。顔の知らない二人が、電話で友情を育んでいく、なかなか素敵なお話なのです。他にも、未来の自分と電話がつながる話や、話し相手が実は動物だったりするような、電話の向こうの顔の見えない相手だからこその、魅力的な物語は沢山ありますね。とはいえ、これも牧歌的な時代のお話ではあって、ネットやケータイ万能時代になって、こうした「見えない相手」とつながることの危険性が指摘されることの方が多いですよね。先日、父から電話がかかってきて、さっき僕からかかってきた電話がどうも変だった、などというのです。僕は電話をしていないので、詳しく聞いたところ、僕を名乗る何者かが、電話をかけていたらしい。なんと、僕もふたりいたのか。ではなく、振り込め詐欺のたぐいかと思います。けっこうあるんですね。ご自宅にいて、もし、ご自分から電話がかかってくるようなことがあったら、要注意ですね。
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ディレクターの、ともおです。
このメッセージブログのエントリーも、今回で1,000件目となります。もともとは左田野専務(当時)の連載コラムを、2005年7月1日から、こちらのシステムに移行させたものです。そこから数えて、ちょうど1,000件の記事が続いたことになります。2005年7月というと、ちょうど僕がブッキングに正式着任した頃でした。ココログのプラットフォームを利用していますが、こちらの記事に書かれているように、スタイルシートを親会社の日販のシステム部の方たちに作成していただき、色々とサポートしてもらった記憶があります。当時、手伝っていただいた日販システム部の今西さんが現在は鬼籍に入られていることは痛恨の極みです。歴代のこのブログの書き手たちも、復刊ドットコムならびにブッキングを去っていき、残されたメンバーで、最後の灯を守っています。現在の復刊ドットコムは、ディレクターとはいえ、専任ではない僕や、ブッキング編集部が多少、手伝いをしながら、なんとかアルバイト二名が運営してくれている現状です。リクエストサイトということでは、サイトを運営する原資にはならず、書籍販売を並行することで、なんとか収益を得て、細々と命脈を保っています。「復刊を応援するサイト」としての存在意義はあると自分たちは信じているところですが、理想とビジネスの狭間で、何をするべきか、をもっと明確にしていかなくてはならない時期にきているようです。このブログ自体も、担当者がやめていく度に何度も閉鎖しようとの話をしていたのですが、なんとなく続いています。このまま続くかどうかは今後の担当者次第ではありますが、どうぞごひいきにと申し上げつつ、1,000件目の節目のご報告とさせていただきたいと思います。
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