2010年6月 9日 (水)


復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
本日配信のメルマガを読んでビックリされた方も多いのではないですか?
幻の名著といわれた、あの『横井軍平ゲーム館』(327票)が“Returns”として堂々の復刊決定です!
横井軍平さんといえば、90年代までのゲームファンにはおなじみのカリスマ・ゲームクリエイターですよね。思いがけぬ発想を軸に誕生した携帯型液晶ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」の大ヒットにはじまり、「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」「ゲームボーイ」など、任天堂の社員という立場で数々の名機開発に携わった横井さん。残念ながらご本人は不慮の事故でお亡くなりになってしまいましたが、その技術は脈々と受け継がれ、DSやWiiといったオリジナリティあふれる製品を生み出し続ける現在の任天堂の基盤となっている事は言うまでもありません。
ただ、ファミコン世代の熊野的には、「バーチャルボーイ」のインパクトが強烈すぎていまだ忘れられません(笑)巨大なゴーグル状のディスプレイをのぞき込んだ先に広がる驚愕の(!?)立体映像でゲームファンを震撼させた伝説のハード…だったんですが、いまの若い世代で知っている方はまずいないでしょうね……。当時中学生になったばかりの熊野は、プレイステーションやセガサターンが次世代勢力として台頭する中、王者・任天堂がまさかあれを世に送り出すとは、と逆に唖然呆然といった感じでした。実際バーチャルボーイはほとんど一般認知される事のないまま、わずか半年で姿を消してしまいましたが、3Dの分野においてはある意味「アバター」の15年先を行ってたんですよ。
早すぎた天才、バーチャルボーイ!!
そんなわけで、既存の技術に着目しそれらを活用する事で新しい価値観を生み出す横井さんの開発哲学「枯れた技術の水平思考」は、一方で斬新かつ意欲的な創造力を持ってこそ初めて実践されると感じます。『横井軍平ゲーム館』を読まずして横井さんの熱い情熱は感じ取れません!
投稿時刻: 午後 10:03
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2010年4月 6日 (火)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
いよいよ麗らかな春の訪れを実感する4月ですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。昔から「春眠暁を覚えず」なんて事もいいますが、本当にこの陽気は心地良い眠気を誘います。。(特に午後イチ…)
と同時に、春は誰にとっても新しいスタートとなる大切な季節です。
復刊ドットコムも新体制2年目を迎え、スタッフ一同気持ち新たにますます復刊活動にまい進していきたいと意気込んでいます。今日は、そんな素敵な季節にピッタリの話題をご紹介です!
復刊ドットコムで146票のリクエスト投票を集めていた『すべてのひとに石がひつよう』の復刊が決定しました! この本は、バード・ベイラー、ピーター・パーナルのコンビにより1974年にアメリカで刊行されました。日本では1994年に北山耕平さんの訳で河出書房新社から出版されましたが、その後、絶版。しかし、昨今のパワーストーンやスピリチュアルブームなどの影響で、名著といわれるこの本への復刊要望も高まっていました。
自分にぴったりの石とめぐり合うための方法を、「10のルール」という切り口からわかりやすく解説している点が特徴的ですが、“石”に興味を持つ事で自分自身と向き合い、あらためて生きる意味を考え直すきっかけにしてほしいという作者のメッセージが随所に込められていて、むしろその点が名著と呼ばれる所以なのかなと思います。この本の復刊がたくさんの人の思いに育まれて実現したことからも、やっぱり人は誰かとの繋がりの中で生かされているのだと強く感じました。
世界のどこかであなたの訪れを待っているまだ見ぬ“相棒”を探しに、あなたも石探しの旅に出かけませんか? もし旅に出るときは絶好のガイドブック『すべてのひとに石がひつよう』をお忘れなく!
投稿時刻: 午後 03:29
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2010年1月19日 (火)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
皆さんは一昨年復刊ドットコムをにぎわせた少女漫画『エリノア』を覚えていますか? もし初めて『エリノア』の名前を聞いた方でも、ブログ前任者ともお氏の記事を読んでもらえば、その異常事態ぶりの一端が垣間見えるのではないでしょうか。
『エリノア』は、今をさかのぼること約40年前、当時の少女漫画雑誌においてその人気を「マーガレット」と二分していた「少女フレンド」誌上に掲載された読み切り漫画です。当時の少女漫画の王道からは一線を画した衝撃的な内容と作者である谷口ひとみさんの早逝により、一部の漫画ファンに強烈なインパクトを残しました。彼らの間でのみ、長年「伝説の少女漫画」としてひっそりと語り継がれた『エリノア』に転機が訪れたのは、2008年秋。出版元のさわらび本工房さんの熱意と様々な奇跡が重なり、少女漫画史の片隅で眠り続けた『『エリノア』は突如目を覚ますことになります。
それまで復刊リクエストすら立っていなかった“無名の作品”がネットの各所で大きく取り上げられ、最終的には予想をはるかに上回る部数で刊行されるというなんとも不思議な瞬間に、実は熊野もちょっぴり立ち会っています。
あれから1年が過ぎ、『エリノア』が起こした奇跡を間近で見た者として、この作品の持つドラマ性をより多くの人に伝えたいと願う気持ちがふたたび彼女にも届いたのか、今日から重版へ向けての仮予約企画をスタートする運びになりました。あの時のドラマチックなライブ感を知るスタッフは他におらず、2度も『エリノア』の奇跡に立ち会えるかもしれない熊野は、本当に深い縁を感じずにはいられません。既にぞくぞくと反響が寄せられていますが、どうか無事仮予約を達成してほしいと願うばかりです。
■仮予約100部で重版決定!
幻の少女漫画『エリノア』

投稿時刻: 午後 09:26
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2009年12月 9日 (水)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
昨年のちょうど今ごろだったと記憶していますが、エリファス・レヴィが書いた魔術指南書『高等魔術の教理と祭儀』の復刊でオカルトファン、そして復刊ドットコムスタッフは異様なほどの盛り上がりをみせていました。
「祭儀篇」の帯に書かれていた「高等魔術! 王者の学問、支配者の修験道」という、なんとも興味をそそられる意味ありげなキャッチと怪しげな内容に、あの時はついつい食指が動いたなんて奇書マニアさんも多いのではないでしょうか。
そんなオカルト大好きなあなたに今日は朗報をお知らせします。
この『高等魔術の教理と祭儀』の流れを汲み、通称“レヴィ三部作”といわれる『魔術の歴史』と『大いなる神秘の鍵』の刊行が決定しました!
レヴィがこれらの原書を書いたのは実に19世紀にまでさかのぼるのですが、あまりにセンセーショナルな内容はきっといまと同様、多くの人々に衝撃をもって迎えられたでしょうし、現在でも愛読者があとを絶たないのは三部作を通してレヴィの思想がまったく揺らぐことなく一貫していたからだと感じます。
『高等魔術の教理と祭儀』における魔術の原理原則、実践的秘法を踏まえながら、レヴィの絶妙な語り口でまとめ上げた『魔術の歴史』を発露に、『魔術の歴史』で提示された「大神秘の鍵」の真相、オカルトの本質を綴った完結篇『『大いなる神秘の鍵』大いなる神秘の鍵』に繋がる流れも素晴らしいですし、魔術研究目的でなくても夢中になってしまうんじゃないかと思いますよ。
48票のリクエスト投票により復刊した『魔術の歴史』、そもそも邦訳版すらなかった幻の1冊『大いなる神秘の鍵』と、オカルトファンにはたまらない怒涛のラインナップでおくる今冬。まさにオカルトの冬、到来といった感じです!
■黒い聖典『魔術の歴史』(48票)奇跡の復刊!

『高等魔術が復刊したのだから「魔術の歴史」が読みたくなるのは必然、本書もまた復刊されることを強く望みます』(リクエストコメントより)
投稿時刻: 午後 07:49
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2009年11月 8日 (日)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
いよいよ情報解禁となった『ウルトラマン超闘士激伝』の復刊で興奮冷めやらぬといった感じですが、この年末にかけて復刊ドットコムでは他にも注目のレアタイトルが目白押しなので、今日はちょっとおさらいをしたいと思います。
まずは、過去にブログでも何度か仮予約受付のご案内をしていた『MOTHER 2』から。こちらは先週無事に300部の仮予約を達成し復刊が決定しました! 制作部数の関係から通常販売でご提供できる部数にはかな~り限りがございますので、いまから欲しいという方は、すぐに予約しちゃってください。
そして『MOTHER 2』同様、仮予約企画として10月下旬から受付を開始した『METHODS~押井守「パトレイバー2」演出ノート』ですが、こちらはついに仮予約数が100部を突破しました! 規定部数まではまだまだといった感じですけど、この調子ならそう遠くない時期に吉報を届けられるのではないでしょうか。
また、復刊ドットコムの企画ではないのですが、加藤直之さんや武部本一郎さんなどSF関連の画集で存在感を示す出版社ラピュータさんが大々的に展開している『新装改訂版 メカニック・ファンタジー 小松崎茂の世界(仮)』の予約出版企画にも数少ないネット書店のひとつとして参加させてもらってます。2,000部限定の制作に加え、規定の2,000部を場合下回った場合は、刊行中止になるかもなんていわれてますが、そこは“SFの復刊ドットコム”(自称)としてはやらないわけにはいきません! 予約出版という性質上、どの段階で刊行決定となるか未知数の部分も大きいですけど、熱心なSFファンの皆さんに積極的にPRを行っていただいてますし、なんとか期間中に規定部数まで届けばいいなって感じです。
それ以外でも、「魔術士オーフェン」で知られる秋田禎信さんのレア作品を集めた『秋田禎信BOX 完全限定生産版』、水木しげるさんの生誕88周年を祝ったメモリアル本『屁のような人生』、アキバ系アニメファン感涙! 「らき☆すた」「生徒会の一存」のフィギュア付き限定本(?)などなど、激燃え&萌えの豪華ラインナップで皆さんの物欲中枢を刺激しまくってます(笑)
正直、熊野も全部欲しいですからね~。出費の重なる年末を前に、全国で嬉しい悲鳴が巻き起こりそう。皆さんも大いに悩んでくださいね(笑)
■全部欲しい~なんてワガママ方は『レア本』特集までどうぞ♪
http://www.fukkan.com/fk/GroupList?gno=5190&tr=b
投稿時刻: 午後 02:23
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2009年10月30日 (金)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
最近、ニュースなどで著名な方たちの訃報を聞くたび、なんだか寂しい気持ちになってしまいます。子どもの頃から親しんできた、おなじみの名前の方がだんだんと増えてきたからでしょうか。熊野的には今年お亡くなりになった方で特に印象深いのは、忌野清志郎さんとマイケル・ジャクソンさんですかね。お二人とも音楽界で輝かしい功績を残した方ですし、やはり音楽好きとしてはリスペクトすべき方だなと実感します。
忌野さんの時もそうだったのですが、マイケルさん急逝の一報後、復刊ドットコムではマイケルさん関連のリクエストへの注目度が飛躍的に増し、一気に復刊の機運が高まっていました。そんな中、300票以上もの高得票タイトル『ムーンウォーク』が、河出書房新社さんから急転直下の緊急復刊が決定! 復刊ドットコムでも本日から予約受付を開始しています。
この『ムーンウォーク』は、マイケルさん自身の言葉だけを集めて1冊の本にした唯一の自伝という意味で、他の関連本とは一線を画す作品になっているのです。もちろんこの作品に賭けるファンの思いもものすごいです。ファンの方のリクエストコメントを読んで本書への熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。
思いがけず下期最大級の復刊タイトルが登場した事でにわかに沸き立つ復刊ドットコムですが、マイケルさん関連だと今後さらに他タイトルも復刊しそうな状況になっていますので、これからの動向は要注目といった感じです。また復刊情報が入りましたら随時ご紹介しますので、楽しみにしてくださいね!
■マイケルファン感涙の伝説の自伝!

『マイケル・ジャクソン自身の声を聞きたい。もちろん活字ではあるけれど、彼自身の言葉でもないけれど、彼のことを知りたい。捻じ曲げられた嘘でなく、本当のことを知りたい』 (リクエストコメントより)
投稿時刻: 午後 06:07
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2009年10月16日 (金)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
再復刊へ向けた『MOTHER 2』仮予約を開始してちょうど1ヶ月。毎日順調に仮予約部数を伸ばす中、ついに企画最大の山場を迎えています。
復刊までの明るい見通しが見えてきたせいか、ラスト100部を切った昨夜から、ますます勢いを増しているように感じます。仮にこのペースが続けば、来週あたりには皆さんに吉報をお届けできるかもしれません。
そして、もうひとつの仮予約企画『軍艦島実測調査資料集』も、再販売決定まで残り12部にせまってきているので、復刊への道のりも決してそう遠くはないように感じます。
ただし、こちらは皆さんからのさらなるお力が必要ですけどね。
実は来週には、秋の目玉となる大型仮予約を控えていたり、これまでにない新たな試みを試してみようといま必死に準備を進めている状況なので、ぜひ楽しみにお待ちください。ちなみに、前者は復刊ドットコム定番、後者は皆さんにオトクな企画となっております!
気づけば連休返上で突っ走ってきたこの1週間…なかなか業務から開放される時間はないのですが、それだけ復刊ドットコムと密接に関われている事、いつもながらとても幸せに感じてます。
復刊ドットコムと苦楽を分かち合いながら、熊野自身もさらに成長していく予定のこの半年。何が変わるのか、変えられるのかはわかりませんが、半年後、皆さんに笑顔で報告できるように、ますます努力していきます! これからもWebマスター、熊野古道をよろしくお願いします。
■おとなもこどもも、おねーさんも『MOTHER 2』!

投稿時刻: 午後 11:08
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2009年9月29日 (火)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
大人がハマル絵本作家として、いまにわかに注目を集めるのが、ブルーノ・ムナーリ(1907‐1998)です。
復刊ドットコムでは今年に入り、大人向け絵本の傑作『ムナーリの機械』復刊を皮切りに、代表作『闇の夜に』、そして、ついに復刊が決まった最多得票タイトル『きりのなかのサーカス』と、彼が手がけた作品を続々と紹介しています。
特にまもなく復刊となる『きりのなかのサーカス』は、霧に包まれた幻想的な景色をトレーシングペーパー(半透明な紙)の重なりで再現するというとても斬新な試みに加え、ページ単位ごとに構成から前後との関係までを綿密に計算し尽くした“デザインの魔術師”ムナーリのセンスがとにかく光る、文句なしの大傑作だと思いますよ。しかも「新訳」となる今回、翻訳を担当するのは、なんとあの“言葉の魔術師”谷川俊太郎さん! ふたりの天才魔術師の業と業が融合した事で、作品にさらなる深みが加わる事は間違いないですよね~。
没後10年を経て、ますますその魅力に磨きがかかるムナーリ作品。大人がハマル絵本作家の実力は伊達じゃない! ホント奥が深いです。
■仕掛け絵本の最高峰!『きりのなかのサーカス』(56票)
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68312753&tr=b
投稿時刻: 午後 09:08
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2009年9月17日 (木)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
メルマガ効果もあってか、『MOTHER 2』仮予約企画が順調な滑り出しをみせています。このままだと第一関門の100部到達は時間の問題ではないでしょうか。ただ、ここからがひと山(ふた山かも…)ではあるんですけど。
そんな大型企画の陰につい隠れがちなんですが、今週も復刊ドットコムにはオモシロイ本が続々と集結しています。今日はその中でもいま熊野がもっとも気になっている画集、『ヘッドフォン少女画報』をご紹介したいと思います。てか、これはハンパなくすごいですよ!
この『ヘッドフォン少女画報』、どこがそんなにすごいのかというと、人気絵師さん52人による可愛い女の子のイラスト、いわゆる“萌え”要素と、オーディオファンも納得の人気ヘッドフォン40機種の詳細レビューがバランスよく融合されている点がとにかく斬新だと感じます。ありそうでなかった、でも全然アリだと思える見事なコラボレートだと思いませんか?
まぁ本音を言ってしまえば、熊野個人は萌えよりレビューの方が断然気になりますけどね~。以前のメルマガで少し触れたんですが、iPodに付属している純正イヤフォンの音漏れと付け心地の悪さが嫌で、いろんなメーカーさんのカナルタイプイヤフォンを使いまくってたりするので、性能面は結構気になってしまうんですよ。そんだけ年中買い換えてるって事なんですけど(汗)
そんなわけで、“この頃はやりの女の子”が満載の『ヘッドフォン少女画報』の紹介でした!
■この美少女イラストが目印!

投稿時刻: 午前 01:14
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2009年9月11日 (金)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
いま巷では、歴史好きの女子、通称「歴女」が大ブームだそうです。なんでも昨今のゲームやアニメの影響で、戦国武将をより身近に感じる女性が増えた事に加え、近ごろの男性にはない彼らの無骨なカッコよさに思わず惚れてしまう方続出なんだとか。
そんな「歴女」ブームの余波が、実はこの復刊ドットコムにもジワジワと押し寄せています。先月、市立米沢図書館さんのご厚意で再販売させていただいたものの、すさまじい勢いで即完売してしまった、復刊ドットコム定番のレア本『前田慶次道中日記』。このマニアックな歴史書の驚異的な売れ行きにただならぬものを感じたのか、なんとあの日本経済新聞の記者さんから直々に取材申込みが舞い込んできたのです。しかも私、熊野、いつのまにやらその件で新聞にも載ってしまいました!! いやー、嬉しいやら恥ずかしいやらで、これも空前の「歴女」ブームの賜物ですかね。
残念ながら『前田慶次道中日記』は当面、再販売の予定はないのですが、復刊ドットコムではまだまだ歴史モノが熱いですよ! 熊野的にいま一番オススメしたいのが、東京大学出版会さんが誇る名歴史資料集『増上寺 徳川将軍墓とその遺品・遺体』です。今週のメルマガでも大きな反響を呼んだタイトルでもあるんですけど、やっぱり発行から40年を経ても類書は存在しないといわれるくらいまったく内容的に古くないところがすごいと思いますね。徳川将軍家墓地について書かれている本は本当に少ないので、歴史ファンの方は気になって仕方がないのでは!?
さてさて、「歴女」に「忍女(忍者好きの女子!?)」と、にわかに女性が活気づく復刊ドットコム。次に起こるのはいったい何ブームなのか。個人的にもとても楽しみです!
投稿時刻: 午後 11:08
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2009年8月25日 (火)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
実は昨日から風邪をひいてしまったみたいで、イマイチ体調が良くないんです。でも明日は週に1回のメルマガ配信日だし、そんな事も言ってられないですけどね!
明日のメルマガは、以前このブログでも紹介した「35ブックス」の復刊タイトルが満を持して登場します。中でも熊野イチオシなのは、“自然界の報道写真家”こと宮崎学さんが、伊那谷の自然を舞台に動物たちの「死」を生々しくも淡々と捉えた伝説の『写真集「死」』です。「生」と隣り合わせの存在でありながら、日ごろは敬遠されがちな「死」というテーマに臆することなく立ち向かう姿に熊野は感動すら覚えました。
このほか、いよいよフィナーレの時がせまる夏の特別企画『夏の復刊ドットコムはオモシロイ!』の最終章となる第4弾企画や、あの「エヴァンゲリオン」にも影響を与えたコードウェイナー・スミスの『ノーストリリア』ほか、久々のハヤカワSF特集など、復刊ドットコム定番の人気企画をたっぷりとご用意しています。
そして、今回栄えあるメインを飾るのは、押井守さんのライフワークともいえる“ケルベロス・サーガ”の代表作『犬狼伝説』の 20周年エディションBOXです。作画をあの藤原カムイ先生が手がけたことでもおなじみの超名作なんですが、今回はなんと大人気フィギュアシリーズ「リボルテック」の限定版が付いてくる3,000セット限定商品ということで、発表直後からファンを中心に大きな話題を呼んでいます。
こんな調子で話題の本ぞくぞくといった感じなんですが、何はともあれ明日のメルマガを楽しみにお待ちください!
投稿時刻: 午後 03:12
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2009年8月20日 (木)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
このブログでは、忘れた頃に繰り返し告知を行っている仮予約タイトル『軍艦島実測調査資料集 追補版』。
仮予約を開始して約1週間、皆さんからの熱いご支援のもと、なんとか折り返し地点が見えるところまではやってこれました。…ですが、やっぱり規定部数にはまだまだ届きません! 若干、献血のお願い風味ではありますが、この貴重な資料集の再販売の可能性を、皆さんのお力で広げていただけるととってもありがたいです。
と、まぁ皆さんへのお願いはこのぐらいにして、残りは熊野的にいまとても気になっている、最新奇書ベスト1『神道夢想流 杖道教範』のご紹介をしたいと思います! いきなり『神道夢想流 杖道教範』といわれても、イマイチ何がなんだかわからないと思いますが、これ、実は約400年もの歴史をもつ古武術「神道夢想流杖術」の教範本なんです。さらに、この「神道夢想流杖術」の歴史をひも解くと、流祖の夢想権之助勝吉という人物に行き当たるのですが、なんとこの方、あの剣豪・宮本武蔵と互角の戦いを繰り広げたというメチャメチャすごい人物だったりするんですよ! それを聞いただけでなんだかちょっぴり気になったりしないですか? 熊野はなぜかワクワクしました(笑)
そして、そんなものすごい方を流祖にもつ「神道夢想流杖術」の秘奥義の数々を、分解写真を駆使して解き明かしてしまおうという、これまたものすごい書物が『神道夢想流 杖道教範』なのです。正直、内容の方はどこまで詳細に解説されているのかわからないのですが、古武術の教範本というマニアックさと、流祖のエピソードだけですっかり虜になってしまいました。でも値段が……。熊野では買えません(泣)
Webマスターとしてサイト運営に直接深く関わるようになって、復刊ドットコムの良さってなんだろうとあらためて考える機会が増えたように感じます。その答えはまだぼんやりといった感じですが、ベストセラー作品ばかりが注目を集める現在の書籍業界にあって、日頃、なかなか陽の目をみないような奇妙な本、珍しい本におもいきってスポットライトを当てられるところが、ある意味復刊ドットコムの一番の強みなのではないかという気がします。そんな“世に出たがっている”奇書たちをすくい上げて皆さんにご紹介するのも、復刊ドットコムの大事な使命だと最近つくづく思います。
さて、次はどんな奇書が復刊ドットコムを賑わせてくれるのでしょうか。
投稿時刻: 午前 12:45
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2009年8月14日 (金)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
昨日はブログをお休みしてしまいました…スイマセン。
世の中お盆休み真っ盛りですが、実は復刊ドットコムも昨日からお盆休みに入っています。(詳しくはこちらから!)
久々の連休をもらった熊野なんですが、特に実家に帰省する予定はなく、すでに丸1日をボケ~と過ごしてしまいました(汗)そんな事ではいけないと今日は思いきって朝から気合いを入れ、ブログを更新しようとかなり意気込んでおります(笑)
そういえば、一昨日はペルセウス座流星群がピークという話題で盛り上がっていましたが、ふたを開けてみれば東京地方では曇り空過ぎて見えなかったという残念な結果に。個人的にはすごく楽しみだったんですけどね。同じ夜空に関するお話(かなり強引ですが)ということで、今日は「月」にまつわるお話をしちゃおうかと思います。
月は皆さんご存じのとおり、地球の周りを公転するただひとつの衛星です。それこそ太古の昔から地球の周りを回り続けている、人間にとっては実に身近な存在だったわけですが、一方でその神秘的な姿から東洋の文化では「陰の象徴」、また西洋では「狂気の象徴」とされ、さまざまな形で芸術や文学作品のモチーフになってきました。
熊野自身も月にまつわる物語や音楽が好きで、夜空を見上げては月の満ち欠けをチェックするという、ある意味、真性の“月マニア”だったりもします(笑)何があっても変わらずそこにいてくれるという妙な安心感と神秘性の両面から、月に対してはなんだか不思議な感慨を覚えるんですよね。
個人的にいまとても気になっているのが、つい最近復刊ドットコムでも販売をはじめた『ぬすまれた月』という絵本です。元々は1963年に岩崎書店さんから発表された和田誠さんの作品で、2006年に同じ岩崎書店さんによって復刊されました。月が大好きな男がある満月の夜、長いはしごを使って満月を盗み出す事からはじまるこの物語。夜空からこつ然と姿を消した、月をめぐる大騒動が実にユーモラスに描かれた傑作なんだそうです。
月の満ち欠け、月食などの科学的な要素を盛り込むながら、月に対してヒトがもつ特別な感情をストレートに表現してくれる作品が存在するということは、とても意義のあることなんじゃないかなと思いますね。
お月見の季節まであと1ヶ月。流星群のリベンジに、次こそは晴れた夜空の下、綺麗な“お月さん”が見たいもんです。
投稿時刻: 午前 10:37
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2009年8月 5日 (水)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
本日より、正式に“夏の復刊ドットコムはオモシロイ!”を合言葉とした、熱い夏の特別企画がはじまりました! はじめはブログ限定でひとり声高にさけんでいた“夏の復刊ドットコムはオモシロイ!”でしたが、やりたい企画が出そろったこのタイミングで半ば強引に(?)他のスタッフを説得するという力技で、なんと企画を立ち上げてしまったしまったのです。そういう意味で熊野にとってはある意味記念すべき企画なのですが、おかげさまで自信をもっておすすめできる形でメルマガに掲載することが出来ました。
昨日からご案内している『前田慶次道中日記』を筆頭に、スタッフひとりひとりが選んだ魅力ある本が皆さんの来訪を待っています。ぜひ遊びにきてください!
投稿時刻: 午後 09:51
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2009年7月24日 (金)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
眠い。
昔から「春眠、暁を覚えず」などと言いますが、眠くなるのに春も夏も関係ないですね。なぜだか昼間、とても眠いです……。しかも梅雨明け宣言後も続く、相変わらずのどんよりとした空模様で、さらにやる気を失う~。
まぁそんな話は置いといて、本日は自称・ブッキング広報部長の熊野から、この夏をさらに面白くする注目コミックス2作品のご案内です!
まず1点目は誕生から20年を迎え、ふたたび、ブーム再燃の兆しがみえる「エスパークス」から。
人気絶頂の94年に刊行された『エスパークス スーパーバトルコミック』は、「エスパークス」人気の一翼を担うものの、その後、長い間絶版状態に。今年3月には限定版という形でようやく復刊されましたが、当初の予想を超える反響の大きさでたちまち品切れとなり、手に入れられなかった方からは再販売を求める声をたくさんいただいておりました。
今回発売が決定した『エスパークス スタンダード・エディション』は、先に出た限定版と同じ収録内容(化粧箱、ブックレット、特典ポストカードは付きません…すいません)ながら、場所を選ばず気軽に読めるよう、新たに用紙選びからこだわった副編集長、二宮さんの自信作です!
もう1点の自信作は、こちらも90年代を席巻した「コミックボンボン」を代表する(?)エロギャグマンガのひとつ『元祖温泉ガッパドンバ』。
下品さ極まりない内容(ホメ言葉です!)ながら、強烈なアクの強さ(これもホメ言葉!)で男性読者を魅了した、伝説のギャグマンガです。こちらはわれらが編集長、こん身の力を込めてただいま鋭意制作しております!
……んっ!? ヤバイ。編集部ばかりが目立つ内容になってしまった(汗)
8月発売に向けて日夜がんばり続ける編集部に負けじと、Webサイトも夏のオモシロ企画をどんどん投入していきますよ!
“夏の復刊ドットコムはオモシロイ!”をテーマに、今年はWebマスター・熊野が、夏の復刊ドットコムを熱く盛り上げてまいります♪
あっ、どっかで見たことのあるコピーだなとお思いのあなた。細かい事は気にしないようにお願いします(笑)
投稿時刻: 午後 09:10
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2009年7月17日 (金)

復刊ドットコムWebマスター、熊野です。
一昨日、芥川賞・直木賞の受賞者が発表となり、それぞれ磯崎憲一郎さん、北村薫さんが受賞された事は皆さんご承知のとおりです。
磯崎さんの『終の住処』は、とある30男の視点から20余年にもおよぶ半生が描かれた作品で、さまざまな出来事を重ねながら生きていく、人間という因果な存在を端的に映し出した名作だそうです。一方、北村さんの『鷺と雪』は、人気ミステリ小説、通称“ベッキーさんシリーズ”の第3作目で、自身6度目の候補入りで念願の直木賞を受賞された記念碑的作品となりました。
北村さんには、かつて『おちゃめなパッティ 大学へ行く』の帯にコメントを寄せていただいたご縁もあり、今回の受賞はブッキング(復刊ドットコム)的にもとても喜ばしい出来事でした。受賞されたお二方、本当におめでとうございました!
投稿時刻: 午後 05:43
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2008年12月 6日 (土)

ディレクターの、ともおです。
復刊ドットコムでは、復刊、復刻にまつわる色々な本をセレクトしているのですが、これはかなり興味深いぞ、というあたりをまたひとつご紹介します。来年の一月下旬に発売される『不思議の国のアリス ~明治・大正・昭和初期邦訳本復刻集成(全4巻)』です。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』が本家イギリスで出版されたのは1865年(慶応元年)、ということで、ぎりぎり江戸時代だったのですね。その『不思議の国のアリス』は、どのように日本に流入され、普及したのか。これは、面白いテーマです。日本上陸はともかく、アリスが翻訳読み物としてデビューしたのは、明治も終わりに近い1910年(明治43年)、丸山英観訳の『愛ちやんの夢物語』でした。アリスが「愛ちゃん」と置きかえられているなどの変更点があったり、翻訳としての難点はあるらしいものの、完全訳出による本邦初のアリスの登場となるようです。その後も翻案されたり、「まりちゃん」になったり、色々あって、1927年(昭和2年)には、芥川龍之介が『アリス物語』として訳を手がけてもいるようです(芥川の死後、菊池寛がまとめたものだと、どこかで読みましたが)。このアリス翻訳史を山梨県立大学教授の千森幹子氏が編集・解説される『明治・大正期の翻訳文学や比較文学研究、そして児童文学や日本近代の出版史研究にも貴重な復刻文献集』なのです。是非、ご家庭に一セット、というのは、なかなか難しいお値段ですが、大学の研究室や、図書館には是非、必備を。
学生の時、シェイクスピアのハムレットの翻訳比較をレポートで書いた記憶があります。その時、参考文献にした一冊で、河村登志夫氏の『日本のハムレット』という本がありました。これもまた、明治時代初期に河竹黙阿弥が翻案したものから始まって、じゃあそれが、どのように舞台で演じられたか、ということも踏まえられるあたりが、戯曲であるハムレットの面白いところ。当初、ハムレットは「葉村麻呂」、オフェーリアは「折枝」だったりして、明快な仇討ち物語として流入されたものが、どのようにして形而上的命題を思案する苦悩の青年の運命を受容できるようになったかというあたりが興味深い。ちょうど、このレポートを書いていた時期に、蜷川幸雄氏演出で『ハムレット』が上演されていて、これが、明治期の坪内逍遥訳と、当時最新の小田島雄志訳を、両方役者に渡して、好きなように台詞を選ばせるという変わった試みの舞台で、そんなことも踏まえてレポートを書きました。外国文学が、どのように日本に入ってきたという歴史は面白いですね。原書と翻訳の狭間に「翻案」というものがあり、読者に受け入れやすいように、日本的工夫を凝らした加工もまた、当時の文化を知るものとしては面白いものです。そういえば学生の頃に森田思軒の名調子を探して読んだりして、グフグフ言っておりました(オレの学生時代は一体、なんだったんだと今更ながら思うわけですが)。
しかしながら、『不思議の国のアリス』って、やっぱり狂気の沙汰の物語だと思っています。というか、あのぐらいの狂気が平気で物語として容認されていたわけで、現代の物語として書かれたらどうであろうか、という気もします(『ハイドランド』という小説もありましたがな)。先日は、アリスをテニスンの挿絵の彩色愛蔵版でアリスを読んでいて、不気味さ倍増でした。復刊ドットコム的には、ラッカムのファンの方が多いかな。ところで、最近の日本のアリスは、こうなんだ、というのも、ひとつの文化的現状を表象していますね。いや、こういうのもちゃんと出版されるんだから、一概には言えないけれど。
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2008年12月 4日 (木)

ディレクターの、ともおです。
手塚治虫さん生誕80周年を記念して、イベントや記念復刊が相次いでいます。おそらく、来年の春に復刻される昭和22年の『新宝島』がメインイベントになるかとは思いますが、各社、こうした復刊企画が目白押しです。なぜか、今『まんが道』にハマった弊社メルマガ担当の富乃も「手塚先生は神さまだ!」と確信するという、良くわからない影響を受けているのですが、そうです。おそらく、神さまです。復刊ドットコムでも、1日に講談社さんの復刻版『リボンの騎士』をご案内したところ、あっという間に100部の受注をいただき、その人気の高さに、目を見張っているところでした。『この「講談社の漫画文庫」版の最終ページは、雑誌掲載版および現在入手できる手塚治虫全集版と異なっています』とのことですので『完全復刻版 リボンの騎士(少女クラブ版) スペシャルBOX』、是非、ご予約いただければ幸いです。こうした復刻版以外にも、例えば、ゴマブックスさんから刊行された『手塚治虫WORLD』は、手塚漫画の最終回を一挙掲載したもので、しかも、みなもと太郎先生による解説という企画本です。手塚漫画はどのように「描き直し」されているかについても、比較、言及しているというユニークな本です。そういえば、僕も先日、火の鳥の単行本を読んでいて、その昔、読んで記憶にあった場面がなく、逆に、こんな場面あったかな、部分が挿入されているのにビックリしたのですが、手塚漫画にはいくつかの修正ヴァージョンがあるのですね。このあたりを、詳しく研究されている方たちも多いよう。音楽の生演奏なら色々なテイクがあるのも当然かも知れませんが、こうした創作物にヴァージョンがあるのも興味深いところ。ただ、作者の意図としては、最新版が暫定決定版なのかも知れませんね。昨今はディレクターズカット版や私家版みたいなものがあとから出てくるのが当然みたいな状況になっているのですが、モンタージュの魅力というのは、切り捨てたものを一切見ることができないという前提の上になりたっているのではないかとも思います。キューブリックは、映画が出来たら一切の設定資料も棄ててしまい、映画そのもの以外は残らないようにしたとか。ファン心理としては、その裏側も、もっと知りたいと思ってしまうところですが、なんともいえないところですね。
さて、『リボンの騎士』と言えば、僕は、アニメの再放送で見た世代です。前半は非常に冗漫だなあと思っていたのですが、王女サファイアが「リボンの騎士」として活躍するあたりから、冒険モノとしての魅力が全開になってきてワクワクさせられるところ。女の子なのに、間違えて、男の子の魂を与えられてしまった、という、今だと「性同一性障害の人」のような設定なわけですが、ファンタジーに昇華されているのは、時代のおかげでしょうか。むしろイメージとしては、シェイクスピアの『十二夜』の双子かなあ。実際は宝塚歌劇団の影響を受けて描かれたとも聞いております。個人的に、あのアニメ版のテーマは手塚アニメベスト3ぐらいには入る好きな曲で(あとは『ふしぎなメルモ』と『ジャングル大帝レオ(レオのうた)』、次点は『ミクロイドS』と『マリンエクスプレス』)、音楽も含めて、手塚アニメ作品は総合的に楽しめるところが多いですね。あと、すっごくどうでもいい話なんですが、今、ふいにアニメ『リボンの騎士』のフランツ王子の声は、『いちにのさんすう』のタップくんと同じだよなあ、とか思ってネット検索で調べたら、やっぱりそうでした。声優の喜多道枝さん。こうやって、なんでもすぐに氷解してしまうので、「積年の疑問」が溜まらない時代なんですよね。
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2008年12月 2日 (火)

ディレクターの、ともおです。
復刊ドットコムの人気コーナーである「あの本のタイトルが知りたい」掲示板を見ていると、この本は面白そうだな、などと思い、読んでみたくなる本が沢山、あります。今年の七月に投稿されていた『25~30年くらい前の児童書で、女の子が自宅の電話から自宅の電話にかけると、違う世界の自分が出ておしゃべりをする』お話は何かという質問がありました。即座に、質問を解決してくださる方がいて、この作品が、初期の講談社青い鳥文庫の一冊である手島悠介さんの『わたしがふたりいた話』であることが判明しました。「かぎばあさん」で知られる手島悠介さんにこんな本があったのか、ということを知り、調べたところ、復刊ドットコムでもリクエストが集まっている入手不可能本でした。皆さんの声も熱いですね。興味を持ったので、図書館で借りて読んでみました。30年も前の本になってしまうと、図書館でも開架されておらず、「書庫」にしまわれています。書庫しまわれてしまった本を「どうやって知るのか」は、実は、なかなか難しいものはあって、これが語り継がれている定評のある作品ならまだしも、当時のスマッシュヒット程度だと、書誌DBには記録があっても、文献に名をとどめていないのですね。それでも、誰かの記憶には、こうして生きている。かなり変則的なブックガイドではありますが、他では知りようのない本を知ることができるのも、復刊ドットコムの魅力のひとつです。各リクエストページや、「あの本のタイトルが知りたい」掲示板には、是非、ご注目ください。
さて、この『わたしがふたりいた話』、とても良くできている児童文学作品です。自宅の電話から、自宅の電話番号に電話をかけるとどうなるか・・・。おそらく誰しもが、子ども時代に試したことではないのでしょうか。果たして、電話の向こうでつながったのは、もうひとつの世界に住んでいる自分だったので、小学生の、みどりは驚きます。やがて二人(一人)は、打ち解けていき、色々な相談をしたり、同じ経験をわかちあっていきます。微妙にズレがある世界を生きている二人は、どうにかして会いたいと思うのですが、この自宅の電話で、しかも特定のタイミングでしかつながらないホットラインは、途切れがちになっていくのです。ね、面白そうでしょう。この作品にかぎらず、電話を小道具につかい、思いも寄らないような相手と話をすることをモチーフにした作品は沢山あります。復刊ドットコムで人気を集めて復刊された『もしもしニコラ!』もそんな一冊。パリに住む女の子リーズが、ある眠れない夜、共働きの両親もおらず、怖くなって、思わず、メチャクチャな番号に電話をかけると、その電話に出たのは、はるか田舎に住んでいる同い年の少年、ニコラ。顔の知らない二人が、電話で友情を育んでいく、なかなか素敵なお話なのです。他にも、未来の自分と電話がつながる話や、話し相手が実は動物だったりするような、電話の向こうの顔の見えない相手だからこその、魅力的な物語は沢山ありますね。とはいえ、これも牧歌的な時代のお話ではあって、ネットやケータイ万能時代になって、こうした「見えない相手」とつながることの危険性が指摘されることの方が多いですよね。先日、父から電話がかかってきて、さっき僕からかかってきた電話がどうも変だった、などというのです。僕は電話をしていないので、詳しく聞いたところ、僕を名乗る何者かが、電話をかけていたらしい。なんと、僕もふたりいたのか。ではなく、振り込め詐欺のたぐいかと思います。けっこうあるんですね。ご自宅にいて、もし、ご自分から電話がかかってくるようなことがあったら、要注意ですね。
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2008年11月29日 (土)

ディレクターの、ともおです。
児童文学ファンにはおなじみの、ジョーン・エイキンのダイドーシリーズの一巻目にあたる『ウィロビー・チェースのオオカミ』が、こだまともこさんの新訳で復刊されました。シリーズの六巻目にあたる『ダイドーと父ちゃん』の訳者あとがきに既刊の五作品と、未訳の続編群も、冨山房さんから、こだまともこさんの訳で刊行される計画があると書かれていたので期待していましたが、ついに出た、という感じです。おおおお。ダイドーシリーズの一巻目とかいいながら、この作品には、あの勇敢でカッコよく、賢い少女であるダイドー・トワイトが出てこないのです。まだロンドンに出てくる前の、後にバタシー公爵となるサイモンが、賢いガチョウ売りの少年として登場するだけです。ということで、続いていく物語の前段のような感じなのですが、これはこれで独立した作品で、また、この作品があってこそのダイドーシリーズとして続いていくわけです。まだこの新訳版は読んでいないのですが、こだまともこさん、と言えば、翻訳児童文学の世界では知る人ぞ知る名訳者ですから、更に期待は高まります(僕など、こだまともこさんが訳している、ということを指標にして本を探しているぐらいなので)。ということで、遠からず読みますが、是非、皆さんにもお薦めしたい作品なのですよ。
本来の歴史とは違う架空の英国の19世紀前葉を舞台にした物語。この世界では、現実にはなかったことが歴史的事実になっていて、それでいてリアリティのあるバックボーンとして物語の背景を彩っています。この世界では英仏海峡トンネルが既にできあがっていて、そこを通ってオオカミの大群が、ぞくぞくとイギリスにわたってきています。舞台は、田舎のウィロビー高原。ここにも腹をすかせたオオカミがうろつきまわっていますが、オオカミよりももっと腹黒い人間たちが登場します。悪い家庭教師にお屋敷を乗っ取られ、孤児院に入れられてしまった少女たちが、ピンチを乗り越え、機転を利かせて、悪事をあばく。児童文学冒険小説の魅力たっぷりなこの古典作品は、果たして、どう現代に甦ったか。注目の復刊本です。(なんて久しぶりの児童文学語りでした。現在、児童文学ポータルサイトを製作準備中です)
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2008年11月25日 (火)

ディレクターの、ともおです。
文藝賞は、河出書房新社さんが設立された国内文芸の賞であり、その受賞作は、読書好きの方たちに好感を持って迎えられているものと思います。特に現代日本文芸好きを標榜される方たちは、文藝賞の受賞作にはもれなく目を通されているのではないでしょうか。実際、読書系のブログなどを拝見していても、マストで評されている作品群であるし、受賞後に人気作家として活躍される方の多い、登竜門的な賞となっているようですね。その長い歴史を遡って話をしていくとキリがないので割愛しますが(とはいえ、僕の敬愛する作家のひとりである山本昌代さんもこの賞の出身)、ここ二十年の受賞者を見ていても、長野まゆみ、飯嶋和一、比留間久夫、芦原すなお、伊藤たかみ、鈴木清剛(敬称略)など、続々とその後も安定して作品をし続けられる作家さんたちが散見されます。中村航 さん『リレキショ』(好き)や生田紗代さん『オアシス』(これも好き)など、清新で新感覚にあふれた新しさをもった作品には驚かされましたし、佐藤亜有子さんの『ボディ・レンタル』や、羽田圭介さんの『黒冷水』、伏見憲明さんの『魔女の息子』のような、良識を覆すぶっとんだ作品には大きな衝撃を与えられました。綿矢りささんの『インストール』、白岩玄さんの『野ブタ。をプロデュース』(TVドラマは木皿泉さんの作品として、別モノと考えてください)、三並夏さんの『平成マシンガンズ』など、低年齢層の受賞者の作品も、先見的に並べてくる振り幅も文藝賞の魅力のひとつでしょう。ここ一二年、僕は先端の本の読書をサボっていて、ちゃんと読めておらず、このところの文藝賞の受賞作にも目が通せていない状況です。そのうち追いつくつもりではおりますが、やはり、旬の作品は旬のうちに読みたいものですね(読者としてのパワーが不足している現在なのです)。
さて、こうした文藝賞受賞作中の異色作品のひとつが復刊されました。第30回 、1993年の佳作受賞作(この年、大賞受賞作はなし)、大石圭さんの『履き忘れたもう片方の靴』です。復刊ドットコムでもご紹介したところ、スマッシュヒット的に売れています。内容は、というと、『華やかな夜の街で、金持ちの男女に求められるまま、体を売るヒカル。彼の美しさに魅了されたヒムロは、自分の奴隷にならないかとヒカルを誘う。監禁、過酷な調教…やがて肉体に手を加えられ、ヒカルはどの女よりも美しい乳房とペニスを持った完璧な両性具有者になるのだが…全選考委員を震撼させ、第30回文藝賞佳作となった衝撃作』・・・かなり飛ばしている感じです。この作品、僕は、読み損ねていました。その存在も知らなかったものです。しかしまあ、なんという内容か。後に前述したような衝撃作が多々、登場している文藝賞なのですが、奇抜な内容が文芸的表現としてどのように完成されていたのか読んでみたいところです。しかし、この作品が最初に発行された15年前と現在とでは、衝撃が多少、緩和してしまったところもあるのかもしれません。このところのAV(アダルト)の世界では、ニューハーフの人たちが活躍する、擬似両性具有モノがもてはやされつつあるようです。そうしたものがマニアや特殊な嗜好の方たちのみならず、わりとカジュアルに受け入れられつつある現代という時代。作品としての旬が過ぎて、一周した段階で、復刊される時、その先進性は、どのように評価されるのか。そしてその衝撃は健在なのか。これは考えるところです。
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2008年11月20日 (木)

ディレクターの、ともおです。
このブログの原稿を書いているのは19日のお昼なのですが、昨日、18日の午後三時に予約受付開始の告知を始めた『エリノア』が、昨日一晩で100冊もの受注が入り、続々と受注が増えている驚くべき状態となっています。復刊リクエスト投票のない商品、という以前に、一度も単行本化されていない雑誌に掲載されただけの作品。しかし、その存在は一部のファンの間では伝説となっており、今回の単行本化は衝撃のニュースとして受け止められ、予想を上回る予約が殺到している現状です。『エリノア』は、当時、十七歳の高校生だった谷口ひろみさんの第四回講談社新人まんが賞入選作であり、1966年に「週刊少女フレンド」に掲載され、その後、1976年にフレンドの増刊に掲載された作品です。とても衝撃的な内容であるゆえに、雑誌掲載のみでありながら、一部のファンや研究者から根強く支持され続けてきた伝説の作品であり、また、作者の谷口ひろみさんが、寡作のまま夭逝されたことも影響してか、封印作品のように語られ続けていた作品でした。この本を記憶を頼りに探されている方たちも多く、ネット上でも情報交換がされ、語りつがれてきた作品ですが、ついに、さわらび本工房様の手によって、その封印が解かれ、初単行本化されることになりました。以下に、さわらび本工房様からコメントをいただきましたので、掲載させていただきます。
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『エリノア』に目をとめて下さった皆様へ
ブッキング様から「何か一言を」との御依頼ですが、本来ならばこういったコメントをするべき作家が既に故人ですので、一介の発行者の私から一言を述べさせて頂く無礼を御容赦下さい。
本作『エリノア』は今から42年前、雑誌「週刊少女フレンド」に掲載されました。作者の谷口ひとみさんはその後すぐに他界され、単行本になることもありませんでした。しかし、『エリノア』の際立った存在は当時の読者、一部の研究者の間で折に触れ話題となり、たった48ページの作品とその作家は決して消え去ることがありませんでした。この度、単体として本にまとめるにあたって、初めて語られたその経緯を巻末に付しました。
『エリノア』と谷口ひとみさんの真実はこれまでの発表とは全く異なります。衝撃的な内容ですが、その経緯があったが故に、『エリノア』は作品として、読者に死ぬことと生きることの意味を突きつけたのでしょう。
その先のなかった谷口さんを「未完の大器」だとか「天才」だとか言いたくありません。ただ、少女漫画史に『エリノア』の見当たらない現状は大きな「損失」で「過失」だったと言えると思います。42年後の現在にどれほどの評価が下されるのかはわかりませんが、一人の少女が命と引き換えに遺した、たった一つの奇跡がこの『エリノア』です。御興味がある方はこの機会にどうぞ一読下さるようお願い致します。
さわらび本工房
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十二月の発行を目指して、さわらび本工房さんが、現在、鋭意製作を進められていますが、かなり物議をかもすことになりそうな予感がいたします。是非、ご注目ください。果たして、『エリノア』の復活は、現在のコミック界にどのような衝撃を与えるのか、2008年最後の月を是非、心待ちにしていただければ、幸いです。
ところで、上記『エリノア』のネット上での情報交換は、該博なコミックの知識を持たれ、コミック関連著作も著されている「まんが通」鈴木めぐみさんのサイト『鈴木めぐみの情熱的マンガ生活』より、許可をいただきリンクさせていただきました。こちらのサイトで多角的に紹介されているコミックの世界は魅力的で、紹介者の鈴木さんが各作品の内容に通じているからこそできるものと思います。作品を列記する単純なデータベースではないのです。復刊ドットコムのユーザーの方たちにとっても、興味深いサイトと思います。復刊ドットコムにも、本のタイトルの公開捜査コーナー『あの本のタイトルが知りたい』がありますが、鈴木さんのサイトにも『教えて!この作品』があります。弊社のサイトが汎用書籍捜索なのに対して、鈴木さんのサイトはコミックに特化し、また、エキスパートである鈴木さんがサポートされていることでより深く強力なものとなっています。是非、こちらにも是非、お立ち寄りいただければ幸いです。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年11月 9日 (日)

ディレクターの、ともおです。
あまり趣味がないので、積極的にではないのですが、たまに展覧会や、演劇の舞台やイベント、お笑いなどを見に行くことがあります。こうしたサブカルチャーとはいえ、一応、文化系の催しとなると、必ず、アウェーになる自分を感じてしまいます。というのは、周りは女性ばかりで、自分のような中年男性はめったにきていないからですね。比較的、興味を持っている児童文学系の催しなども、やはり女性が主体です。つまり、そうした場所は中年男性の趣味としては似つかわしくない、ということで結論が出てしまうようです。ところで、先日、業務の関係もあって、宮武一貴さん×加藤直之さんのトークイベントに出席させていただきました。このイベント、周囲への自分の溶け込み率が凄く高いので驚きました。違和感がないオレを実感したのは、会場の95%以上が中年男性だからですね。しかも、運動部系ではない、文化部系男子の、陽にあたらずに育った感じ、というか。「パワードスーツ」に愛着を感じる方たちと自分はどのぐらい親和性があるのかはわからないところですが、まあ高校生の頃に初代マクロスが放送されていたのを横目で見ていた世代であるし、ハインラインの『宇宙の戦士』は持っていたし、SF系イラストへの関心から加藤直之さんのファンではあるので、そう遠くない、のかな。やはり男性中心のプロレス会場よりも、更に、こちらの方が馴染む感じです。自分は、どこにいっても居心地が悪く、安心して楽しめる場所というのが極めて少ないのですが、もう少し自分の興味に素直になれたら、どこでも、より良い居場所となるのかもな、と考えたりしていました。
ところで、小浜逸郎さんの『男はどこにいるのか』がポッド出版さんから復刊されていました。元は、草思社さんから1990年の発行です。90年代の小浜逸郎氏の評論活動はビシビシと響くところがあって、僕も何冊かの本を手にとった記憶があります(特に教育関係は興味深かったですね)。つい先日、ネットを見ていたら、あの伏見憲明氏が、復刊されたこの本に言及しており興味深く拝見しました。ジェンダーを考えるときにゲイの方からの視点は想像を越えたところにあります。90年代当初の時代の空気を実感として経験していても、立っているスタンスが違うと、随分と感じ方に差があったのだろうなと思うところです(無論、セクシャリティを抜きにして、伏見氏自身の個性的な視点や、思索の深さにも感心させられます)。わりとシームレスに時代とともに生きているので、あまり意識しなかったのですが、「男性としてあることの息苦しさ」は随分と変化しつつあるのかな。21世紀に入って、仕事柄、ネクタイをしない日々が続いているのですが、後ろめたさすらないんですね。20世紀末よりも、時代のムードとして、男性として肩肘を張らなくても良くなった、感はあります。場違い感は感じるものの、女性的なイベントに居てもあまり構わないかな、という気にもなっている。この本は約20年前の社会における「男的なあり方」を同時代に考察した本であり、そこに書かれていることは、既に過去のことではある(現代の視点で見れば、古い)。しかし、現在に「復刊されたこと」自体で、もうひとつの意味を獲得したかも知れません。ある年代の隔たりを経て、特定の本が「復刊」される時、「現代から過去へのまなざし」も付加した新刊となります。あるいは、時代を越える普遍性を持った、という看板も背負うことになるのか。「復刊本」は多層になった視点を孕んで現代に甦り、オリジナルとは少し違った存在意義を獲得するものだな、などと考えていました。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年11月 7日 (金)

ディレクターの、ともおです。
ひとつのモチーフが時代も場所も主人公も違う独立した物語の形で連なっていく作品群、というと、どんなシリーズが思い浮かびますか。例えば、代表的時代小説でもある白井喬二さんの『富士に立つ影』は、二つの一族の数代に渡る、それぞれ趣きの異なるドラマが、多彩で魅力的な登場人物を配されて展開していくスケールの大きな作品です(この物語は今読んでも面白いので、お若い方も、是非)。こうした「特定の一族」の各世代を主人公にした物語は、他にもいくつか思い浮かぶかと思います。また、ひとつの物語の中に、各年代の事件が含まれているものも、ままあります。冒頭に書いた、独立した作品として読めるが、連作として読むと大きな広がりを体感できる作品、と言えば、現在でもっとも膾炙しているのは手塚治虫さんの『火の鳥』でしょうね。しかし、それより以前に、日本には、こうした広がりを持った連作が存在していたのです。それが『新諸国物語』です。
まだ投票が始まったばかりで票数は少ないのですが、個人的にも注目しているリクエストとして『新諸国物語』があります。おそらく、『新諸国物語』のシリーズ名はご存知なくても、『笛吹童子』や『紅孔雀』のタイトルを知っているという方は多いのではないでしょうか。『新諸国物語』は、かつてNHKラジオで、昭和二十七年から放送されていたラジオドラマであり、その原作を北村寿夫さんが書かれていました。奈良時代を舞台にした第一作『白鳥の騎士』に始まり、次の『笛吹童子』は室町時代、といったように、独立した別の時代の物語が描かれていながら、共通のモチーフを持っている作品なのです。善と悪が時代を越えて闘っていく物語。僕は、子どもの頃にNHKの人形劇で『紅孔雀』を見ていた世代なのですが(あのカパッと顔が、ドクロ風に変わる場面が今も記憶にありますね)、あの作品が『新諸国物語』というシリーズの一作品なのだ、ということは知りませんでした。調べて見たところ、映画化などもされ、昭和史に名前を刻む冒険物語であったということに驚きました。復刊ドットコムでは、NHK人形劇として有名な『新八犬伝』のノベライズが多くの方たちに支持され復刊した経緯があります。『新八犬伝』は滝沢馬琴の南総里見八犬伝をリミックスした冒険物語。それよりも以前に、昭和のメディアを席巻していた胸躍る作品があったのですね。『新八犬伝』は支持層が四十代~五十代の皆さんだったのですが、それより過去の時間域にある『新諸国物語』は、果たして、という思いもあります。ただ、このあたり世代を超えて注目していただければ嬉しいです。忘れられた時間の中に、沢山の冒険の物語が眠っているのです。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年11月 5日 (水)

ディレクターの、ともおです。
名作コミックの復刻版を刊行し続ける小学館クリエイティブさんから、水木しげるさんの『火星年代記』が刊行されます。復刊ドットコムでも、その復刻活動を積極的にご紹介している出版社さんであり、手塚治虫さんの『新宝島』の復刻を発表したことで、一躍、名を上げられたことは記憶に新しいところです。それにしても、今回の水木しげるさんの『火星年代記』は、貸本時代のコミックですが、かなりの異色作のようです。そもそも妖怪漫画の大御所「水木しげる」作で、この表紙のサムライ少年のバックには「火星年代記」との文字が躍っている。これは一体、どんなストーリーなのかと期待するのも当然でしょう。ブラットベリの「火星年代記」と同じタイトルですが、実は関係がなく、異色のSF時代ロマンであるらしい。出版社さんの内容紹介によると『物語は幕末の江戸。「火星年代記」という書物に、日本の先住民族の更に以前、火星民が存在したと記されていました。この火星民の末裔が不可解な事件を引き起こし、独特な怪奇物語が展開する異色長編時代劇』だそう。これは、かなりぶっ飛んだ展開が期待できます。発売が楽しみですね。半村良さんの伝奇SF小説『妖星伝』の最初の方で、江戸時代の侍に宇宙人が憑依する展開があったと記憶しています。時間モノではなく、宇宙モノと時代モノが混交する時に生まれるハーモニーは「ちょっとしたバカバカしさ」を孕んでいる気がするのですが、かなり楽しい異色の展開を生んでくれそうです。物語を作るということにおいて「人間の発想は進化し続けているのだろうか」は常々疑問に思っているところなのですが、こうした半世紀近く前の作品の突き抜け方を見ていると、かなわないなあ、と思うこともあります。
ところで、ちょうどレイ・ブラットベリの『火星年代記』も重版ということで、復刊ドットコムでご案内したところでした。『火星年代記』も含めて、何冊かブラットベリを読んでいるのですが、わりと苦手、というのは僕の個人的な好みの問題ですね。どうして苦手か、というと理路整然とした物語ではなく、感覚的なイメージを楽しむタイプの作品だからでしょうか。要は自分の感受性不足か。SF的な似非論理性は好きなのですが、ブラットベリ作品はそうしたものとも違うし、かといって情景と心象を言葉で紡いでいくようなレトリカルな感覚でもない。むしろ絵画的なのかなあ。だから萩尾望都さんによって解釈された『ウは宇宙船のウ』のコミックなど、自分の足りない感性を埋めてもらえるので、ようやく感じとることができるのやも知れません。「地底人」が出てくる話でバカバカしくない作品はない、というのが僕の持論ですが、「火星人」については微妙なところを持て余している感じです。でも、緑色の小人とか、カンガルーなどの話を大真面目にするのも、それはそれで楽しいものかな。SF読みたいなあ(・・・と思う時は、だいたい疲れています)。
投稿時刻: 午後 03:33
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2008年10月24日 (金)

ディレクターの、ともおです。
「薔薇族」の伊藤文学編集長からお電話で、行方不明になった人を探しているので協力して欲しいとのご連絡をいただきました。伊藤文学編集長の書かれる文章は、非常に味わい深いものがあって僕自身も好きなのですが、沢山のファンがいて、そうしたファン中の一人が行方不明になっているとのことでした。僕のような仕事をしていると伊藤文学さんのファンを公言してもなんら問題はないわけですが、その方は、ファン熱が高じて小冊子を作り配布したことで、(非常に堅い仕事であったために)職場に居辛くなり、無断で職場放棄をして消えてしまわれたそうなのです。とても良くネットを覧になっている方だそうなので、T・Yさん、もし、こちらをご覧になっていたら、編集長が心配されていますので、ご連絡をしてあげてください。
生きていると色々あるなと思います。今日の標題はカーソン・マッカラーズのデビュー作にして、代表作の『心は孤独な狩人』をあげてみたのですが、復刊ドットコムでもちょうど150票に到達した人気作品です。本の形での復刊というわけではないのですが、グーテンベルグ21さんで電子図書として読むこともできますので、興味のある方は、是非、ご覧になっていただきたいところです。哀切に満ちた物語ですね。色々な障壁のために、職場なり、家庭なり、人生の色々な局面で「孤独」を持て余している方は多く、場合によっては、世の中から消えてしまわなければならなくなる。文学とは、およそ、そうした孤独な人間のための糧なような気がするのですが、果たして、読書に救いはあるのかな。それにしても、『心は孤独な狩人』は惹かれるタイトルだなと思います。『如何なる星の下に』とか『眠られぬ夜のために』とか、ちょっといいなと思うタイトルの本はおよそ想像と違った内容であったりするこがあるのですけれど。それにしても、心が「孤独な狩人」だというのが、絶妙な表現でいいですね。カジュアルに小洒落た飲食店などで「きまぐれシェフのたっぷり魚介サラダ」みたいなメニューがありますが、「孤独な狩人の謝肉祭のためのパスタ」とかあったら、ウットリしてしまいますね。ないか。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月23日 (木)

ディレクターの、ともおです。
得票は少ないのですが、このところPV(閲覧数)が急上昇して注目が集まっている本といえば『クララの明治日記』です。あらすじを抜書きすると『明治八年、商法講習所の教師として招かれた父親にしたがい、十四歳のクララは一家とともに来日する。のち勝海舟の三男・梅太郎と国際結婚、一男五女をもうけ、明治三十三年にアメリカへ帰国するまで、大小のノート十七冊に及ぶ日記を遺した。純粋な少女の目に映った当時の日本の風俗、勝海舟ら明治の礎を築いた人々の日常を生き生きと描写する』ということで、これは、かなり面白そうな本だなと思いました。急にPVが上昇するのは、例えばTVなどでその人物が紹介された場合なのですが、大河ドラマ『篤姫』の影響もあり、幕末関連に関心が集まっていることもあるから、歴史番組かお昼のワイドショーあたりで紹介されたのかも知れません。「勝海舟の嫁」というサブタイトルがついていますが、これは「勝海舟の息子の嫁」ということだったんですね。後にクララは勝梅太郎と離婚して、本国に帰るらしいのですが、子どもたちを連れており、おそらく今もアメリカには勝海舟の末裔がいらっしゃるのか、というのは、ちょっとした浪漫ですね。著名人だけではなく、色々な記録を残されている歴史の証人はいて、フラットな視線から眺められた世界に時代の実像を見ることもできるものかなと思います。
ところで、勝海舟と言えば、幕末を代表するリベラリスト、というようなイメージがありますね。幕臣側でありながらも、時代の趨勢を見て、平和裏に政権の交代を行わせた人物というのは史実の通り。歴史モノのドラマなどを見るに、勝海舟はべらんめえ調で外国通のさばけた人物というキャラクターで多く登場します。今年の大河ドラマ『篤姫』は北大路欣也氏でちょっと重厚な感じですが、『新撰組!』の時は、TVドラマには珍しく野田秀樹氏で、これはこれで面白いかなと思いました(羽場裕一さんとの競演場面などもあって、三谷氏の作為かと思ったぐらい)。幕末を舞台にしたSF的題材のタイムスリップ要素のある物語では、未来からやってきた人間が頼るべき人物として勝海舟が登場するものが多いような気がします。先進的気性を持った人物の代表格ということなのでしょうか。息子の嫁が外国人であっても、まったくノー問題だったろうなと思わせるのが勝海舟ですね。しかしながら、この本、読んでみたいなあ。
※ちなみに標題の「コレデオシマイ」は、勝海舟が最期に言い残した言葉だそうです。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月18日 (土)

ディレクターの、ともおです。
『塵劫記』の岩波文庫版が2008年11月後半に重刷されることになりました。日本数学事始めの一冊として記憶にある方もいらっしゃるかと思いますが、寛永四年(1627年)に初版が刊行されて以来、江戸時代の数学書のスタンダードとして読み継がれてきた本です(この文庫は寛永二十年版が底本として採用されています)。商業が発展し、築城などの建築も進んでいたことを考えれば、相応の「計算」が行われていた時代かと思いますが、この頃、「数学(和算)」という学問体系がどのように整理されていたのか、まとめられている本書は興味深い一冊ではないかと思います。現実には数え得なかったであろう巨大数や極小数などの「数の概念」を、江戸時代の人々がどのように捉えていたかなど、その思考を想像することでも楽しくなれます。盗人算、油算なども当時の生活感覚に根ざしたものであろうし、応用問題文も、「積み上げられた俵の数」の計算だったり、「百万騎の軍勢が特定の間隔で並んだ場合どのくらいの長さになるか」などと、時代感覚あふれる面白い例題があったりします。ということで、歴史的な一冊であることもさることながら、色々な意味で面白いので、未読の方は、今回の機会に是非、ご覧になっていただければと思います。
江戸時代の数学はその後どうなったか、ということも含めて、興味深い物語が『算法少女』です。「算法少女」は江戸時代に書かれた実際にあった本です。「数学を学ぶ少女」という本が江戸時代中期には町人の間で刊行されていたのです。この本のことを材にとって、遠藤寛子さんが、岩崎書店少年少女歴史小説の一冊として1973年に刊行された本が『算法少女』。安永四年(1775年)、江戸は神田銀町に住む町医者の娘、あき。父の桃三は世事に疎く、裕福でもないが、算法(数学)を趣味としていて、娘のあきにも算法の手ほどきをしています。浅草の観音さまのお祭りの日、遊びにきた、あきは、数学者たちが奉納した絵馬(算額)に間違いを見つけ出してしまいます。算額というのは、学問の技量向上の成果として、仏様に幾何の問題の証明を掲げるもの。結果として、年端のいかない少女にやり込められてしまった武家の数学者たちを怒らせることになります。とはいえ、そんな事件があったせいで、あきの数学の実力は世間に広まることになり、お城のお姫様の数学指南役として誘いを受けることになるのです。面白い物語は続きますが、当時、子どもたちは寺子屋でどんなことを勉強していたのか、また町人や武家の間でも趣味や教養として数学が修められていたことなども興味深く、大変、楽しめる一冊となっています。本書は絶版になっていましたが、06年に、ちくま学芸文庫から復刊されています。著者の新しいあとがきには復刊ドットコムで復刊運動が盛り上がっていたことも触れていただいておりますが、この本の価値と面白さを再び世に送り出してくださった出版社さんのご英断あっての一冊。『塵劫記』と併せて、こちらも是非、ご覧ください。余談ですが、岩崎書店さんの「少年少女歴史小説シリーズ」なかなか興味深いラインナップ。70年代の児童文学動向については更に詳しく調べてみたいなあと思うところです。
投稿時刻: 午後 08:01
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2008年10月17日 (金)

ディレクターの、ともおです。
ジュリー・アンドリュースは「十年遅かった女優である」という趣旨の文章を読んだ記憶があります。ジュリー・アンドリュースが映画女優として活躍したのは1960年代。1930年代のRKOを中心としたハリウッド・ミュージカル映画の歴史は、特定のスターの芸を見せる作品よりも、物語の中に歌や踊りを取り入れた大作ミュージカルが中心になっていた時代です。ジュリー・アンドリュースの代表作と言えば『メリーポピンズ』と『サウンドオブミュージック』が思い浮かぶかと思いますが、案外、『モダンミリー』のような楽しい小品の方が彼女の「芸」は生かされていたのではないかとも思っています。最近は動画サイトのおかげで、日本ではあまり放映されなかった「ジュリーアンドリュースアワー」なども見ることができるようになっていて、往年の芸に感心することしきりです。それにしても、あの「そうだ京都へ行こう」のCM曲である「私のお気に入り」のオリジナルを聞いたことがない人もいるようになってしまったのかな。大ミュージカル女優、ジュリー・アンドリュースの存在はあまりにも大きく、昭和後期に生まれ育った人には、その影響は少なからずあったのではないかと思います。最近だとディズニー映画『プリティ・プリンセス』で、主人公の祖母の女王役を演じられ女優としては活躍されていましたが、声帯の腫瘍摘出手術の失敗以降、以前のようには歌が歌えない状態であるとも聞き及んでおり、彼女の歌に耽溺してきた自分としては、やはり無念なことではあります。
女優・歌手として以外にも、ジュリー・アンドリュースには童話作家としての顔があります。つい先日、小学館さんより、『偉大なるワンドゥードル最後の一匹』が復刊されました。同書は、復刊ドットコムでも、557票もの大量得票を集めていた大人気作品です。新訳新装となりましたが、再び、ジュリーアンドリュースの作品が購入できる状態になったことは喜ばしいかぎりです。そして、続いて、彼女の作家デビュー作でもある『マンディ』も新訳新装復刊されるとの報が届きました。こちらも158票を集めている人気作品です。11月発売です。復刊ドットコムでも予約を開始いたしました。どうぞ、お楽しみに。
※ 最近リリースした新機能で、皆さんのコメント欄を単独ページとしてリンクが可能となりました。『マンディ』については、こんな声が集まっています・・・という感じで表示できますので、是非、ご活用ください。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年10月 3日 (金)

ディレクターの、ともおです。
このところ、復刊ドットコムでアーサー・ランサム全集が売れています。というか、売れてしまいました。現在、在庫切れとなっています。各巻ごとには個別に入手できるようなので、絶版・品切れではないのですが、復刊ドットコムとしての扱い分は終了した状況です。復刊ドットコム的には、アーサー・ラッカムではないのか、などと思っていたら、アーサー・ランサム人気もまた高く、かつて書店品切れだった際に集まったリクエストコメントにも、かなり熱いものがあります。『ツバメ号とアマゾン号』からはじまる全12巻の全集は、湖畔でのヨット操舵に興じる少年少女たちの伸びやかな物語。児童書文学関係の方には、ランサムファンを標榜する方たちが多く、インドアな読書好きな方たちのアウトドアへの憧憬もあるのかなあ、なんて感じていました。僕は、実は、もうひとつノレなかった口で、途中までしか読んでいないのですが、ランサム的なものもまた、良質な児童文学の代表格ですね。
アーサー・ランサム全集もそうなのですが、岩波書店さんの箱入りの大判読み物がズラっと並んでいるところは、かなり壮観だなあと思っています。ああした大型サイズの読み物って、ちょっといいですね。よほどの大型書店の児童書売場か、専門店でもないと遭遇できない光景ですが「なにか面白い物語がつまっている」本が並べられているのはワクワクするのです。ちょっとクラシックで「秘密めいた」蔵書があってこその書店。こないだ倉庫に「復刊ドットコム」の商品在庫を確認しに行ってきましたが、こんな棚のリアル書店があったら、ユニークで面白いのになあ、というぐらいの異色さでした。復刊、復刻本が多いので、集めると独特の雰囲気を醸してしまうのです。
投稿時刻: 午後 03:45
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2008年10月 2日 (木)

ディレクターの、ともおです。
このところ、急速にPV(閲覧数)が集まっているのが『真相 沖雅也』という本です。書かれたのは、俳優、沖雅也さんの養父であった日景忠男氏。日景氏主観による「沖雅也」伝だそうで、それはかなり内容に興味を惹かれる、魅力的な本であるなと思っていました。それにしても、どうしてこの本に急に注目が集まっているのか、と調べたところ、先日、日景氏が逮捕されたとのニュースがあったことを知りました。沖雅也さんが自殺された時の衝撃の会見や、その後、バラエティ番組などでも活躍されている姿を記憶しているわけですが、あの日景氏も既に70代になられていたんですね。「おやじ、涅槃でまっている」という遺書の言葉が、ちょっとしたブームになったのは1983年。この時、沖雅也さんは、まだ31歳だったのです。当時は、クールな役柄をこなす俳優さんになっていたため、落ち着いた印象があったのですが、そうか、まだ31歳だったんだ。もしご存命なら、56歳。どんな渋い俳優になられていたろうかと思います。で、今回、そうしたことを調べているうちに、沖雅也さんの遺書の公表されている全文を見たのですが(自宅に残されていたという分も含めて)、考えてみると、僕は、あの最期のフレーズのみしか記憶しておらず、いや、あれだけが遺書なのだと思っていました。実際は、かなり長いものだったのですね。この心境に至るまで、どのような心の軌跡があったのか気になります。そして、あの沖雅也さんが亡くなった時の、日景氏の「慟哭する姿」というのは、かなり深く印象に刻まれています。大切な人を失った時の悲しみの姿として、あれほど、取り乱し、泣き崩れる様が、会見という場所で報じられた記憶はあまりないのです。誰かを永久に失ってしまった悲しみの姿。今回、日景氏が起こした事件について詳しくは知りませんし、犯罪は犯罪として断罪されるべきなのですが、沖雅也さんが亡くなってからの四半世紀を、日景氏はどう生きたのだろう、と感慨深く思っていました。
投稿時刻: 午後 03:24
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2008年9月21日 (日)

ディレクターの、ともおです。
マルクス、エンゲルスによる『共産党宣言』の幸徳秋水・堺利彦訳版が復刊される模様です。例の小林多喜二の『蟹工船』のブームや、共産党への入党者が一万人増えたことを背景にして、さらに出版社さんの強い意気込みもあっての復刊のようです。刊行すること、それが売れること、そこに政治的な意味を読み取られてしまう一冊ではないのかと思いますが、この訳版の「復刊」にはさてどんな時代の要請があったのか。現在は、流通効率の中でジワリと存在が失われて絶版となるものが主ですが、本が禁書として焚書された時代や、讒謗律などの言論統制の時代には、政治的な出版弾圧が本の命を絶ってきました。本どころか、作家である小林多喜二氏もああした形(官憲による拷問)で命を落すことなったわけです。僕のような昭和四十年代生まれは、いたってノンポリに政治的なものに触れることが禁忌でもあるかのような感覚で、バブルな学生時代をすごしてきたものが一般的かと思います。『共産党宣言』も、岩波版を、それこそ「教養の一環」として読んだぐらいです。プロレタリア文学についても、『蟹工船』はともかく、葉山嘉樹の『セメント樽の中の手紙』なんて、ちょっとしたロマンスと思っていました。細井和喜蔵の『女工哀史』の「女工さん」たちへの愛情に溢れた視点などは、これは社会的なルポというよりも、私情あふれすぎで詩情すら感じたりもしていました。まあ、秀逸な作品というのは社会的メッセージを主としたものだとしても、同時に文芸性を保持しているものかも知れません。児童文学の世界でも、大正期にプロレタリア児童文学というのが勃興していますが、正直言って作品的にどうかと思うもので、現在に名作として遺されているものはありません。文芸的な作品性こそが時代を超える力だと思っていたのですが、どうもこのところは、力強いメッセージや意志こそが復活しつつあるというのも、昨今の時代の緊迫感なのかも知れませんね。
『共産党宣言』を訳した幸徳秋水と言えば、「大逆事件」で処刑された政治犯、というのが、歴史年表上での記憶です。彼の人物像は、関川夏央+谷口ジローの秀逸な文芸コミック「坊ちゃんの時代」の第四巻、『明治流星雨』に詳しく、僕の中では、あの飄々としたキャラクターが印象深いところです。「反戦」か「主戦」か、新聞社として戦争を支持するかどうかで、秋水や内村鑑三らが『万朝報』を退社したくだりも、あのコミックでは描かれていましたが、信じるところのものを貫く「言論」への想いと、それがまた命がけであった時代の過酷さを思います。復刊ドットコムでも、先日、『雪の下の炎』という、弾圧されたチベット僧の手記の復刊が成立いたしました。これは現在のチベット問題に関心を持たれている方たちによる復刊運動が契機になっています。趣味嗜好だけではなく、「祈り」や「願い」としての「復刊」というものもあるのだと考えさせられたところです。この復刊版『共産党宣言』は、刊行元出版社アルファベータ社長の中川氏の祖父が、かつて日本共産党の創立メンバーであり左翼系出版社を興されていたたことも重要なファクターとなっているようです。誰かの出版にいたる志を継ぎ、「復刊」をさせるという行為にもまた、漲る想いがあるのですね。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月19日 (金)

ディレクターの、ともおです。
各出版社さんが文庫復刊の様々なムーブを起こされていて、ブームになりつつある昨今ですが、角川書店さんは、そうした中で、角川文庫創刊60周年記念として、著名な作家さんを月別に編集長に迎え、復刊を中心としたフェアをなさっています。4月からはじまったこの企画は、森絵都さん、東野圭吾さん、京極夏彦さん、重松清さん、恩田陸さん、と続いていますが、それぞれの作家さんたちの提案で復刊された本のラインナップがなかなか興味深いものです。例えば、森絵都さんの6冊は、『遠い海から来たCOO』(景山民夫)、『愛』(井上靖)、『恋愛論』(吉行淳之介)、『お菓子と麦酒』(S・モーム)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万理)、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(エルネスト・チェ・ゲバラ)。森絵都さんらしい、かどうかはわからないところですが、作家に与えた読書の精神的影響というものが見えて面白いものですね。それぞれの作家さんたちのリンクも参照していただくと、かなり面白いものがあります。しかしながら、これが、岩波文庫や、新潮文庫ではなく「角川文庫」である、というところがポイントです。角川文庫から与えられた「影響」は、角川文庫というものの個性と大きく関わってくると思います。他の文芸系出版社にはない違ったカラーを文庫に取り入れてきた先駆的存在だからこその「影響」もまたありますね。
さて、発行点数は一万点を超え、近年は色々なレーベルにも細分化された角川文庫のイメージを、皆さんは、どう捉えられているでしょうか。初期の角川文庫にも文芸系のみならず、戦前の大衆小説作品などがけっこう入っていて(まだカバーがなく帯の時代です)、純文学ではないこうした通俗作品と古書店で遭遇することで、岩波、新潮にはない、それこそ春陽堂チックなトキメキを感じたものです。海外文芸関係の渋いところもあったり、角川マイディアなんてシリーズは家庭小説ファンにはたまらない選集でしたね。70年代以降は、あのメディアミックスされた「角川」の時代が到来しますので、また別の感慨があるのですが、昭和の文化史に与えた影響は実に大きいかと思います。復刊ドットコムにも、数多くの角川文庫作品への復刊リクエストが集まっています。まだ復刊されていないところで、ランキング上位をご紹介すると、『リーンの翼(全6巻)』(富野由悠季)、『わたしたちができるまで』(岩館真理子、小椋冬美、大島弓子)、『続お登勢』(船山馨)、『太陽の世界(全18巻)』(半村良)、『青い玉』(銀色夏生)、『冥界の門シリーズ』(マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン)、『碧の迷宮』(氷室冴子)、『だんだんわかった』(仲井戸麗市)、『星のカンタータ 』(三木卓)、となっております。ファンタジー、時代小説、ロック本、児童文学、とバラエティに富んでいるのが、角川文庫らしいところでしょうか。『太陽の世界』など、懐かしいですね(ちなみに『幻魔大戦』の角川文庫版も現在は流通していないんですね。うーむ)。一万点というのは、個人の人生では読みきれない点数です。ひとつの出版社の仕事として、その積み上げられたものに羨望の眼差しを送ってしまいます。
ちなみに、僕が角川文庫を6冊復刊をさせていただけるのなら(妄想)、完全に個人的趣味だけれど、『悦ちゃん』(獅子文六)、『棄児のフランソワ』(ジョルジュ・サンド)、『十五歳』(ポール・シンデル)、『脱走と追跡のサンバ』(筒井康隆)、『押絵の奇蹟』(夢野久作)、『愛と苦悩の手紙』(太宰治・亀井勝一郎)・・・となります。皆さん、文庫には、それぞれの想いがあるのだろうな。そんな想いを、是非、復刊ドットコムにぶつけていただければ幸いです。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月17日 (水)

ディレクターの、ともおです。
自分がリアルタイムで経験した「時代」は、年表上だけのものとは違って、多くの主観が入り込んだ上でイメージが作り上げられています。同じ江戸時代でも元禄と化政や、享保と寛永の気質の違いは、そういうものなんだ、と歴史書を読んで納得するぐらいですが、70年代と80年代や、90年代の違いは、実感を持って理解しているため、もう少し深く感じとっている気がします。ちょうど復刊ドットコムで、ジュネオンさんの『ウルトラマンレオ 1974』という商品をご案内したところですが、このシリーズ、単に一作品を紹介するにとどまらず、その放送された時代(この本の場合1974年)をも視野に入れてあり、『あの時代のムードを満載した画期的な一冊』だそうで、まあ硬く言って「時代という文脈の中で作品を読み解く」ことができるものなのかと期待しています。いや、なんというか、レオに対しては、複雑な感情があるので、解明して欲しいのですね。それまでのウルトラマンシリーズに感じていた手放しな礼賛ではないものが、自分の中に芽生えはじめた頃のヒーローなので。これは製作スタッフの「設定」や「表現」の問題なのか、それとも、あの「時代(1974年)」の作品であることに起因する違和感であったのか。もしくは、自分の年齢がひとつあがったことが大きいのかも知れません。例えば、60年代後半~70年代の児童文学作品には独特の「異質さ」があったと考えているのですが、それは単に作家の個性なのか。時代がそうした作家のパーソナリティーを容認したとするならば、そこにも功罪が問われるものです。さらに、そこに読者個人の心の成長史がクロスするところが「本の思い出」の複雑なところですね。皆さんが復刊ドットコムに寄せられる多様なコメントを見るたびに、思い出の本というものは、作品と時代と個人の思惑がクロスしたところに結ばれる像であり、そうした位相を踏まえて、現代に復刊させる意味が掛け算で加わるのではないか、と思ってしまうのです。
ところで、昨年の「電王」に引き続き、今年も仮面ライダーの新シリーズ「キバ」を見ているのですが、自分の感受性はほぼ成長停止していることを考えると、気になるのは脚本家さんの手腕とセンスです。それとも、この一年で「時代」は大きく動いたのか。リアルタイムだとシームレスすぎてモードの変遷が見えないですね。これもまた十年後ぐらいに俯瞰して、検証してみたいテーマではあります。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月14日 (日)

ディレクターの、ともおです。
花登筺を、サッと「はなとこばこ」と読めるのは、ある程度のご年齢の方だとは思います。多少なりとも、昭和という時代に生きたことがある方ではないと、なかなか難しいのではないかな。ご存知ない方は人名だとさえ思わないでしょうが、「花登筺」さんは、昭和時代に活躍された作家であり、脚本家です。復刊ドットコムでPV(ページ閲覧数)がずっと高めで安定しているリクエストとして花登筺さんの『ぬかるみの女』があります。どうしてこんなにPVが高いのだろうか、と調べたところ、順繰りに地方のTV局でドラマの再放送が行われているからなのですね。それで興味をもって検索されて、ここに辿りつかれる方が多いのか。『ぬかるみの女』は、1980年に製作された、花登筺夫人でもある星由里子さん主演のドラマです。最近もCMなどで「銭の花」というフレーズが使われていましたが、あの『銭の花は白い、けれど、その根は血のように赤い』で知られる有名なTVドラマ『細腕繁盛記』もまた花登筺作品。『あかんたれ』『どてらい男』などのドラマもそうです。「商売根性成長モノ」というか、色々な意地悪などに耐えながら、主人公が苦節の上に成功していく物語には、それなりのカタルシスもあって、現在でも充分、見ごたえのある作品ではないかなと思うところです。個人的に好きだったのは『氷山のごとく』。名古屋の商家を舞台にした丁稚モノですが、これはなかなかロマンに溢れている作品でした。腹黒い番頭夫妻に店を乗っ取られ、商家の二階に暮らしている病弱なお嬢様は店の本当の継承者。店で奉公する丁稚の少年は、「隠居」と呼ばれて幽閉同然の暮らしをしているお嬢様の存在を知ってしまい、やがて彼女に店をとりもどさせるため、商売の才覚を発揮していく、というお話(だったと思います。昔見たっきりの記憶なので)。復刊リクエストもあがっておりましたが、この作品が21世紀に入ってからもちゃんと復刊されていて、丁稚モノ健在、を嬉しく思っておりました。
意外な花登筺原作作品としては、アニメになった『アパッチ野球軍』があります。この作品、かなり見るのが辛い。『教師が不良生徒をまとめ上げ、野球を通して友情を深めていく』という作品説明は、最近ドラマ化された某野球マンガを思い出されるかも知れませんが、この生徒たちが、かなり強烈です。「不良」というよりも、ただただ「貧しい」んですね。貧しくて、愚かしいので、悲しくなってしまうんです。この高度成長期の過疎の村の貧しさのリアリティがたまらない。そして、今、放送するには、きっと「何かに抵触する」であろう予感が漲っています。「放送しちゃいけない感じ」にあふれています。ともかくインパクト大ですので、機会があったら、是非、アニメ
、原作ともに、ご覧ください。それにしても、これだけ得票数が高い人気作品が揃っているわけですが、花登筺さんの全集は刊行されなかったのかなあ(今のところ、確認できておらず)。
■『花登筐』 復刊特集ページ
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月12日 (金)

ディレクターの、ともおです。
ある出版社さんが作られた、これから刊行される作家さんの全集のカタログを拝見しています。この全集は、絶対、復刊ドットコムでご案内したい、と思っているものです。このカタログ自体の力の入り方が凄い。まず、この「著者」の作品を推奨している著名人たちの文章が多数、集められているのですが、そのメンバーが中井英夫、澁澤龍彦、実相寺昭雄、塚本邦雄、山田風太郎となると、一体、この著者は何者、という感じになるかと思います。鬼籍に入られた方たちのみならず、今回の全集のために新たに集められたコメントも橋本治、堀江敏幸、中野美代子というのも、ほほうという感じです。唯一若手で三浦しをんさんが入られているのが、ちょっと異色を加えているかなという程度で、「ある種の趣味」に貫かれています。優れた審美眼を持つ人たちによって薦められる本にはそれだけでもサムシングがありますね。ということで、もう少ししたら、この全集をご案内したいと思います。いましばらくお待ちください。さて、この著者とは一体、誰なのか。ヒントとしては、日本三大奇書の作家さんたちにニアリーですが、違う人です。
先日、高い見識を持たれている先達の児童書専門書店の方から、今、「本を薦めてくれる」人として、今、子どもたちに最も影響があるのは誰か、というお話を伺いました。それは学校の先生でも学校図書館の司書でもなく、学習塾だというのです。ちょっと虚を突かれた感じはあるのですが、面白い話だなと思いました。ちょっと亜流の場所にいる方が薦める方が効くんですね、というかそれだけ信望を集めているということでしょうか。その昔、小泉今日子さんがエンデの『モモ』を推奨されて、小ブームが巻き起こるということがありました。あれはラジオでの発信だったのかな。昨今、「兄貴的DJ」は存在するのかどうかわかりませんが、信じられるオピニオンリーダー的な人がいるというのは良いですね。われわれも復刊ドットコムが薦めている本だから面白いに違いない、なんて思ってもらえるぐらいに審美眼を磨かなければならないなと思っているところです。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月11日 (木)

ディレクターの、ともおです。
復刊ドットコムでは復刊のみならず、新刊のご案内もしております。事実上、復刊や重版であっても、復刊リクエストが入っていない商品をすべて「新刊」と呼んでいるのです。つまり、復刊ドットコムでリクエストの入っている四万点弱のタイトル以外は全部「新刊」となるわけです。関連がないといえばないわけですが、一応、復刊ドットコムユーザーの嗜好に合いそうなもののみセレクトしてご案内しています。これがまあ、かなり偏りのあるラインナップで、それがまた復刊ドットコムらしさ、ではないかとも思っています。このところご案内している中で、個人的に気になっている「新刊」をいくつかピックアップします。
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■『メアリー・スチュアート』――――――――――――――――――――――――――――――――――
【著者】アレクサンドル・デュマ/著 田房直子/訳
【発行】作品社
【定価】2,520円(税込み)
【発送時期】9月中旬
文豪大デュマの知られざる初期作品、本邦初訳!
三度の不幸な結婚とたび重なる政争、十九年に及ぶ監禁生活の果てに、エリザベス一世に処刑されたスコットランド女王メアリー。悲劇の運命とカトリックの教えに殉じた、孤高の生と死。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
大デュマの初期作品の初訳です。メアリースチュアートというと、同名の作家もおられますが、実在したスコットランドの「悲劇の女王」です。その波乱の人生がどのように小説化されているのかは興味深いですね。エリザベス1世との王位継承権争いから、謀反の疑いをかけられ、最期には断頭台で処刑された女王メアリー。児童文学ファンタジーの傑作『時の旅人』で、メアリーが有罪となったバビントン事件の背景が扱われており、興味を持っていました。歴史ドキュメントとしてその事実関係を追うだけでも充分興味深い事件なのですが、果たして『ダルタニャン物語』のデュマの筆は、どんなメアリーを見せてくれるのか、楽しみな一冊です。
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■『図書館 愛書家の楽園』――――――――――――――――――――――――――――――――――
【著者】 アルベルト・マングェル著/野中 邦子 訳
【発行】白水社
【定価】3,570円(税込み)
【発送時期】9月下旬
古代アレクサンドリア図書館、ネモ船長の図書室、ヒトラーの蔵書、ボルヘスの自宅の書棚など、古今東西の実在あるいは架空の図書館を通して、書物と人の物語を縦横無尽に語る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕は愛書家でもビブロマニアでもないのですが、「秘密めいた本」にまつわる物語にはとても惹かれるのです。また、図書館という舞台にも興味があります。開架された本棚ではなく、むしろ閉架書庫の中にはどんな本が眠っているのか。実は「開かれていない図書館」の方に魅力を感じてしまうのです。『薔薇の名前』であるとか、最近の本では『風の影』であるとか、書物をめぐるミステリーにはどきどきするものがありますね。アレクサンドリア図書館の女性司書について触れられていたSF作品があって、ちょっと興味も持っていました。おおよそ、妄想をふくらませているだけに過ぎないのですが、過去の「図書館」へのロマンは尽きないところです。
■『今週の新刊』へはこちらから。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月10日 (水)

ディレクターの、ともおです。
9月10日(水)は自民党総裁選の公示日です。ちょうど復刊ドットコムでは、『自民党総裁選』という本を皆さんにご紹介しようとしていたところでした。この本は、作家であり、ドキュメントライターでもあった小堺昭三氏によって、1986年に発行された同タイトルの文庫版を元に復刊されたドキュメント作品です。平成七年に亡くなられた小堺昭三氏の遺志を受け、ご子息の正記氏が編まれている小堺昭三全集の第二巻となります。昭和三十九年の佐藤栄作の第五代総裁選任に始まり、昭和五十九年の中曽根総裁再任をめぐっての攻防までを扱う、「三木おろし」「角福戦争」など昭和の政治史を飾ったキーワードが散りばめられた二十年の自民党総裁選の物語。非常に考えさせられる内容です。政治家というものの一局面を描いているものだとは思いますが、権力に執着した男たちの金権腐敗の政治的状況は愚かしくも嘆かわしい。とはいえ、こうしたパワーシフトを制してこその政治であり、その先に国策や立法があるのかも知れませんが、果たして政治的理想はどこに行ってしまったのかは、考えてしまうところです。
本書の解説で作家の北川晃二氏が『策謀、陰謀、暗闘、死闘が渦巻き、札束が乱れとぶ。あくまでも党内の選挙である総裁公選には「公職選挙法」は適用されないのだ。人間の嫌らしさ、虚しさが余すところなく露呈されるのである』と本書で描かれた自民党総裁選について書かれています。だからこそ、小堺氏は本書で政治の深層を描き、国民による監視を訴えているのだと。この本が書かれてから、二十年以上たった今、それはどのように変わったのでしょうね。過去へのまなざしが、現代の認識を深めます。これからはじまる自民党総裁選を見る目が変わる一冊です。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月 8日 (月)

ディレクターの、ともおです。
三島由紀夫をモデルにした『薔薇刑』や、土方巽をモデルにした『鎌鼬』などの作品で知られる写真家の細江英公氏。復刊ドットコムでも多大な人気を博している、日本写真界を代表するアーティストです。その細井英公氏の写真展、ならびにイベントが以下のように行われますので、お知らせします。
□『Eikoh Hosoe 細江英公人間写真展 「抱擁」と「薔薇刑」』
開催日: 2008年8月29日~10月26日
場 所: ギャラリー ホワイト ルーム トウキョウ
概要:
・銀塩プリントに人一倍のこだわりを持つ細江英公氏が、ピグメントプリントを使用して『抱擁』を大判作品にリメイク。
・『抱擁』のシリーズを新たに大判のピグメント作品に限りエディション化。細江作品がエディション化されたことはこれまでに無く、世界初。
・今回の展示会のために制作されるホワイトルームの写真集『細江英公 展覧会のための写真集「抱擁」と「薔薇刑」』の販売。
更に、スペシャル・トークイベントがあります。
□『写真家・細江英公氏と詩人・高橋睦郎氏を迎えて、ギャラリートーク』
開催日:2008年9月27日(土) 18:00 - 20:00 (17:30より受付開始)
会 場:ギャラリー ホワイト ルーム トウキョウ / フロントルーム
ということで、これはかなりのファン垂涎の企画ではないかと思います。写真展も無論、興味深いものではあるのですが、細江英公×高橋睦郎のトークイベントは凄いですね。以前(学生の頃だったので、随分と以前ですが)、高橋睦郎さんのワークショップを見に行ったことがあるのですが、朗読される声の実に素敵だったこと。写真やイベントを是非、間近でで目に耳にしていただきたいと思います。
そして、更に復刊ドットコムユーザーの皆さんに特別なお知らせです。
この写真展のために作られた図録が、復刊ドットコムで購入可能となりました。
■展覧会図録『細江英公 展覧会のための写真集「抱擁」と「薔薇刑」』
サ イ ズ: w 297mm x h 210mm 装丁: 上製本カバー付き
ページ数: 110ページ
価 格: ¥6,300(税込)
内 容:シリーズ「抱擁」とシリーズ「薔薇刑」の各作品からそれぞれ20作品をセレクトして収録。この写真集は、1971年に発表された『抱擁』
と、1963年に発表された『薔薇刑』
、それぞれのシリーズを初めて一冊の本にまとめたものであり、小説家 三島由紀夫氏の序文も原文のまま掲載されています。1000部限定。シリアルナンバーと直筆のサインが添付されます。
『抱擁』
と『薔薇刑』
のリンク先をご覧にいただくとわかるのですが、現在の古書価格の凄いこと、びっくりしてしまいます。抄録版ではありますが、どれほど今回の展覧会用の写真集が貴重な本かお分かりいただけるのではないかと思います。
ね、凄いでしょ。
■『細江英公』復刊特集ページ
投稿時刻: 午後 12:00
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2008年9月 6日 (土)

ディレクターの、ともおです。
メルマガ予告の日だったのですが、ちょっと予定を変更しまして、昨日、プレスリリース(報道関係へのリリース)した『雪の下の炎』の紹介文です。「復刊を応援」するという、いたって政治的にはフラットな立場で仕事をしているわけですが、先般に復刊させていただいた『収容所群島』しかり、民衆が虐げられる政治的状況については、やはり思うところがあります。「復刊リクエスト」は、単に絶版の本を復活させるということとのみならず、その本の持つ意義をメッセージとして社会に伝えたい、というリクエスト者たちの祈りがあるのだ、という文意にしたつもりだったのですが、多少なりとも伝わるところがあれば良いな、などと思っています。
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報道関係者 各位
◆『雪の下の炎』 復刊決定◆
□中国政府に三十年間拘束されたチベット僧侶の悲痛な叫び□
現代に甦るべき貴重な証言を記した本が復刊されます。チベット僧侶である著者バルデン・ギャツォ氏の想像を絶する苦難と忍耐の記録である本書『雪の下の炎』が、絶版になった書籍の復刊を応援するインターネットサイト・復刊ドットコムで、多くの読者の支持を受け、復刊されることが決定しました。
平和の祭典、北京オリンピックの饗宴の裏で、大きな火種を抱えたままくすぶっていた中国政府とチベット自治区の紛争が、また大きな騒乱を生み出したのは記憶に新しいところです。1950年の中国政府によるチベットへの侵攻以降、強化される支配に対して、統治下にあったチベット民衆は過激な抵抗を試み続けてきました。武力と暴力の衝突。繰り返される悲劇。そして激しくなる圧政下では、無実の人間にも不幸がもたらされました。1961年、まだ28歳だったチベット僧ギャツォ氏は、身に覚えのない容疑で中国政府に逮捕、投獄されます。強制労働や飢餓、そして残忍な拷問など、いつ終わるとも知れぬ苛酷な責め苦を受け続け、それでも強靭な精神力により決して屈することのなかった著者は、三十年以上の投獄生活を経て中国占領下のチベットを脱出し、国際舞台でチベットと世界平和のために力を尽くしていきます。著者バルデン・ギャツォ氏の苦闘の記録である、本書『雪の下の炎』は、1998年に新潮社より刊行され、その後、絶版となっていました。今、再び、時代の要請に応えて本書の復刊が行われます。
本書の復刊を求める声は、2008年4月に復刊ドットコムに登録され投票が始まり、同5月には100票を突破。得票数はその後も伸び続け、現在、171票を集めています。今春、世界中の耳目を集めた中国政府とチベット自治区の紛争の波紋が広がるにつれ、本書の存在が同問題に関心を持つ方たちの間でささやかれ、この貴重な記録の復活を求める声が盛り上がりました。中国政府から弾圧を受けたチベット人個人の証言が形となっている本は稀少であり、本書が、再び多くの人たちに読まれることで、世界平和を求めようとする人たちのブログやmixi等、ネットを通じた応援運動も始まりました。復刊ドットコムを運営する出版社ブッキングでは、同書の短期間での著しい復刊投票の伸びを鑑み、今、まさに時宜に適ったものとして、同書の復刊を計画し、このたび実現いたしました。
■書 名 : 『雪の下の炎』
■著 者 : パルデン・ギャツォ 著 檜垣嗣子 訳
■発 行 : ブッキング
■サ イ ズ : 四六判 222頁
■定 価 : 2,625円(税込)
■発売予定 : 2008年10月下旬
■ISBN : ISBN:978-4-8354-4398-0
■内 容 :
28歳のチベット僧はある日、身に覚えのない容疑で中国政府に逮捕、投獄される。それは、強制労働や飢餓そして残忍な拷問など、いつ終わるとも知れぬ、想像を絶したおぞましい日々の始まりであった……。30年以上もの長きにわたる苛酷な獄中生活にもかかわらず、強靭な精神力により決して屈することなく生き延びた著者の、苦難と忍耐の物語。
■著者略歴 :
1933年生まれ。28歳のときに中国政府により逮捕。1992年、じつに31年間にもおよぶ獄中生活の後に釈放。同年、中国占領下のチベットより脱出。チベット亡命政権のあるインド北部ダラムサラを拠点に各国を訪問。国連人権委員会で証言を行うなど、チベットと世界の平和のために精力的な活動を続けている。
復刊ドットコムは、さまざまな理由で書籍流通市場から消えてしまった本を、読者の声を集めることで復刊に結びつけるサイトとして2000年に始動いたしました。8年間の活動の中で、登録書籍は3万6千点に上り、5000点以上の作品が、本サイトでの投票を契機にして復刊されています。インターネットを通じて、同じ志向性を持つ読者のニーズが投票という形で集められ、復刊されることへの有形、無形のムーブを作りだしています。今回の『雪の下の炎』は、現在は社会的関心を集める事件を扱った本でありながら、発行後、数年を経て、当初の発行元では、ニーズが小さいため重版できる要件を満たさないまま流通市場から消えてしまっていたものです。復刊ドットコムは、こうした事例を救い上げ、あらためて復刊本として世に送り出すことで、社会に一石を投じようとしています。今回、ネットを通じて、復刊活動に参画された方たちの思いにもまた、こうした形で社会に向けてメッセージを発信したいという希望が託されていました。
■投票者コメントより
この本を絶版にすることは、チベットの方々が受けている虐殺を黙殺することと同じです。国籍や人種関係なく、命の大切さ、文化の素晴らしさは平等に尊重されるべきものです。それを伝えてくれる大切な本だと思うからです。
チベット問題について興味があり、少しでも多くのチベットに関する情報や知識を得、そして何よりチベットで何が起きているかを知りたいと思い、復刊を希望いたします。
どうかよろしくお願いいたします。
いま、チベットをめぐる政治情勢が厳しい局面を迎える中で、個々のチベット人がこれまでどのように行動してきたのかを具体的に知ることは、事態の理解と前向きな進展を図る上で、重要な意義を持つと信じます。一人でも多くの読者諸氏がこの本を手にできることを切に希望します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
只今、絶賛、予約受付中です。よろしくお願いいたします。
投稿時刻: 午前 11:42
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2008年8月26日 (火)

ディレクターの、ともおです。
リクエスト、PV(閲覧数)の上昇で、復刊ドットコムスタッフも注目していた『万川集海』ですが、ようやく概要がわかり、情報提供できる状態になりました。『万川集海』は、徳川四代将軍家綱の時代に、藤林保義によって書かれた忍術の諸流を集大成した書物です。藤林氏は、百地・服部両氏とならぶ伊賀忍者の名家であるわけですが、ただ藤林氏の住まいは甲賀境に近く、甲賀側では、藤林保義は甲賀であると主張されているそうです。つまり、この『万川集海』は両派共通の秘書なのだということのようです。こちらの写本は現代にも残され、その復刻版が刊行されています。この本、江戸時代に書かれたものですから文章は漢文です。カナ混じりで、読み下しやすいものなので、多少の漢文と古文の素養があれば読めるかも知れませんが、辞書首っ引きになる覚悟は必要です。さて、この本を、一般の人にもわかりやすく、現代語訳のポケット版にしたものが、1971年(昭和56年)に刊行されていました。当初の構想としては、以下の八巻で刊行され、『万川集海』の全容を伝える「予定」だったようです。
『現代語 万川集海』全8巻 監修 石田善人 B6版 並製本
第一巻 総論篇
第二巻 正心篇
第三巻 将知篇
第四巻 陽忍篇*
第五巻 陰忍篇*
第六巻 天時篇
第七巻 忍器篇*
第八巻 別巻軍用引
ところが、実際に刊行されたのは、四巻、五巻、七巻のみだったのです。つまり、このリクエストは絶版になった部分と、未刊行の部分とを合わせて「全八巻で刊行して欲しい」という希望だったのですね。今回、発行元の誠秀堂さんとコンタクトをとらせていただき、諸事情をお伺いいたしました。刊行途中で途切れてしまったものの、全巻として発行したいご意志はおありになるようなのですが、監修の石田善人さんも鬼籍に入られており、難しい状況のようです。復刊ドットコムでの人気が更に高まれば、ひとつのムーブとして山を動かせるのではないか、とも思うのですが(少なくとも既刊の絶版になっているものの復刻等には結びつけられるのではないかと)、忍者ファンの方たちの力が結集されることを期待しております。
さて、今回、このような形で、誠秀堂さんとお話をさせていただき、現在、在庫があるものを、復刊ドットコムの忍者ファンの皆さんに販売させていただく好機を得ました。甲賀の里、忍術村で販売されている、誠秀堂さんの『万川集海』関連本、及び、忍術に関する本を、ここで一挙にご紹介します。在庫に限りもございますので、お早めにどうぞ。
『万川集海』第四巻 陽忍篇
※現在、唯一入手可能な『現代語訳 万川集海』の一冊です。
監修:石田善人
訳 :柚木俊一郎
定価:1,029円(税込)。
ちなみに、古書相場は1万円近い現状です。




『萬川集海 原書復刻版』
萬川集海の残された写本のうち、保存状態の良い「大原勝井家」本を元に復刻された豪華限定本です。
外 函:B5判変形クロス張り
本文冊:B5判変形 和装本仕立10帖、和紙袋綴、解説書1冊(別巻、軍用引)
定価:89,250円(税込)
『甲賀の歳月』
著者:柚木踏草
内容:古い甲賀地方の記録や伝承民話を収集し年代順に記事を整理。壬申の乱、南北朝、戦国時代、を生き抜いた甲賀の歴史。甲賀武士が武術を練り、安土桃山時代に完成した甲賀流忍術。万川集海現代語訳の訳者、柚木俊一郎氏のご尊父、踏草氏が記す甲賀武術史です。
定価:4,200円(税込)
『老談集』
形 状:巻物(一巻)
内 容:『万川集海』を記した藤林保義の祖先である藤林保豊に忍術を伝授された、武田信玄の軍師として知られる山本勘介が伝えたとされる秘術書「老談集」。この巻物には幕末に集成された「老談集」から抜粋された忍具の図版が掲載されています。
定価:10,500円(税込)
ということで、お宝を一挙に大公開という感じです。発送は9月中旬を予定しておりますが、この機会に、貴重な忍術関連書をご入手いただければ幸いです。『現代語訳 万川集海(陽忍篇)』をお借りして、こちらでも拝見しているのですが、素人の僕が読んでみても、なかなか興味深い内容です。陽忍とは、謀策、計略の知恵と思慮をもって、その姿を顕しながら敵中へ入り込む術を言うそうです(陰忍とは姿を隠して忍び込む術です)。その中で用いられる妖術(変装術かな)では、化ける際には、形だけではなく、いかにその真相に近づくべきかというような記述があります。虚無僧に化ける時には『尺八を良く習い、禅話を学ぶべき』とか。時代劇では良く見ますが、本当に虚無僧に化けたのですね。親しき者同士でも忍者であることをけっして口にしていけないのは、乱世にあっては、いつ誰が敵となり味方となるかわかないからであるとか。常に名と芸を深く隠せ、など、老子や孫子なども引用して、その心構えが説かれています。まるで『葉隠』
や『風姿花伝』
を読むような感覚ですが、現代にも通じるところがあるかも知れない「忍者道」を習得できるかも知れませんね。いや、今回は、なかなか面白いものを紹介できました。これも、復刊ドットコムに皆さんが寄せてくださった反響のおかげなのです。
■ 『忍者』復刊特集ページ
投稿時刻: 午後 03:18
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2008年8月20日 (水)

ディレクターの、ともおです。
大島弓子さんの『グーグーだって猫である』が実写映画化されたとのことで、もうすぐ公開となります。しかし、これを純粋に楽しみにしている大島弓子さんのファンはどのくらいいるのだろうか、と、いきなりキラーなことを書き始めましたが、これまでにも何作か大島弓子作品の実写映像化はあり、果たして、原作以上にファンに支持された作品はあったか、というのは疑問として残るところです。無論、広い層向けに作られている映像作品ではあるので、原作とはまた違った趣もあり、原作ファンだけにおもねるところのものではないのだと、擁護したいわけですが、まあ、原作の作品世界が非常に繊細なものだけに、難しいですね。映画化作品だと『四月怪談』『毎日が夏休み』『金髪の草原』、TVドラマだと『秋日子かく語りき』などが、実写化されているわけですが、果たして、今度、公開される『グーグー~』はどんな出来なのでしょうか。物語作品ではなく、エッセイ漫画が原作ではあるので、大幅に手が加えられているのだろうし、大島弓子作品がいろいろと作中で登場する、らしいので、むしろ大島弓子作品ガイド的なニュアンスもあるのでしょう。ということで、今度、角川さんから、発行される、こちらの本をご紹介します。
『大島弓子セレクション セブンストーリーズ』
(8月末発売)
内容:(出版社HPより)
大島弓子原作の映画『グーグーだって猫である』(2008年)の劇中に登場する、『綿の国星1』『バナナブレッドのプディング』『8月に生まれる子供』など大島作品7本を完全収録。
代表作品を収録したアンソロジーですね。他に何が入っているんだろう。『秋日子かく語りき』
がドラマ化された時にも記念的に本が刊行されましたが(この本には『わたしたちができるまで』に収録されていた吉本ばななさんから大島さんへの一問一答インタビューが再録されています)、実写化があるとこうしたイベント的な刊行があって嬉しいですね。『CREA』の今月号が読書特集ですが、中に、『グーグー~』映画化で主役を演じる小泉今日子さんと共演の上野樹里さんが大島作品を語る、という対談がありました。小泉さんは、ヘビーな大島弓子ファンで、小さい頃から何度も大島作品を読み返してきて、自分なりの確固たる解釈があるので、もし普通の大島作品の実写化であるならこの仕事は引き受けなかっただろうと言われています。どうやら本を読むのが苦手らしい上野樹里さんに小泉さんが薦めたのは、以下の5作品。現在、絶版中のイラスト詩集『小幻想』、あとは入手可能な白泉社文庫の『ダリアの帯』
『つるばらつるばら』
『ロストハウス』
『ロングロングケーキ』
。少女マンガ度の強くない後期の作品をあえて選んだというチョイスですが、これは、男子の自分なども、すんなりと「読めた」、というか、かなり好きな作品のラインナップですね。たしか『ダリアの帯』は、よしもとばななさんもベストに選ばれていた作品です。大島弓子作品をなかなか手にとれない男子の方も、まずはとりあえず、読んでみるべしです。
復刊ドットコムでは、これまでにも青池保子さん、萩尾望都さん、山岸涼子さんなどの、現役にしてレジェンドの少女漫画家作品の復刊を実現してきました。同世代である大島弓子作品にも、ファンの皆さんが沢山、集まっています。是非、どんなリクエストが集まっているか、ご覧になってください。
■ 『大島弓子』復刊特集ページ
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月17日 (日)

ディレクターの、ともおです。
民話昔話を採集、整理し、本のかたちで出版された学者や文学者たちの偉業が数多くあります。口頭で伝わってきた「お話」を人から聞き出す、「採集」という作業の大変さは想像に難くないところです。まさにフィールドワークのたまものですね。中国映画『黄色い大地』は農民たちが謡いついできた「民歌」を採集するよう命じられた青年のお話でしたが、なかなか彼に心を開かない農村の老人から、最後に歌を教えてもらえるようになるまでのプロセスが感動的で、また、その娘との交流が静かに描かれた傑作でした。イエイツも柳田国男もそんな苦労を沢山したのかしらんと考えてしまうところです。復刊ドットコムでリクエストを集め、復刊されることになった『世界の民話館』(全10巻)はルース・マニング・サンダーズ氏によるものですし、シャルル・ペローやジェイコブズ、それこそ代表格のグリム兄弟などの童話集も思い出されます。更に採集された民話を、編纂して紹介される文学者たちの努力があって、スタンダードな「昔話よみもの」が形成されていったという過程は興味深いところですね。子どもの頃は、創作童話と収集童話の区別もついていなかったのですが、やはり語り継がれてきた本物の昔話のパワーには、より突き動かされるものがあります。民衆の共同幻想云々などと分析的なことを言い出す前に、まずは、そのネイティブなパワーに触れることをお薦めします。さて、本日は話題の『アンドルー・ラング童話集』について、現在、二社から刊行されており、その違いがとても「わかりにくい」というご意見が多々ありましたので、少し説明させていただきます。
英国の古典学者、民俗学者であるラング氏により、『あおいろの童話集』他、それぞれ色の名前が冠された『童話集』は、世界各地の伝承や作者が特定できる童話も含めて収集再話されて編纂されました。1889年、ヴィクトリア時代の英国で刊行がはじまったもので、1910年までに12冊の童話集が出版されています。日本では1958年に川端康成閲、野上彰訳で、東京創元社から全12巻で刊行され、その後、1963年にポプラ社から28話が追加されて全15巻で刊行されています。元の東京創元社版に準拠して、それを更に再編纂したものが、1977年に偕成社から偕成社文庫で刊行されています。復刊ドットコムでは、このポプラ社版と、偕成社文庫版に復刊のリクエストをいただいておりました。
2008年1月より、東京創元社から、新たに『アンドルー・ラング世界童話』(全12巻)の刊行が始まりました。気鋭の若手翻訳者たちによる訳と、『魔法使いハウルと火の悪魔』などの翻訳でも知られる西村醇子さんの監修で、新訳・新装丁での作品となりました。復刊ドットコムでは、この本の刊行時に新装復刊として上記のポプラ社版、偕成社版の投票者の皆さんにご案内をさしあげています。一方で、2008年5月から、偕成社文庫から、アンドルー・ラング童話集の「改訂版」での刊行が始まりました。ただし、内容はもともと刊行されていた川端康成・野上彰版です。復刊ドットコムでは、こちらの作品については、混乱を避けるため、これまでご案内をさしあげておりませんでした。整理すると以下のようになります。
■東京創元社版
翻訳:西村醇子監修、田中亜希子、宮坂宏美他、十三名の翻訳者。
挿絵:英国での最初の刊行時のものを収録(ヘンリー・J・フォード他)
編集:原書タイトル(色)の中の収録作品から選択し、同タイトルの日本語版とする全12巻。
刊行順:
①あおいろの童話集(刊行中)The Blue Fairy Book
②あかいろの童話集 (刊行中)The Red Fairy Book
③みどりいろの童話集 (刊行中)The Green Fairy Book
④きいろの童話集 (刊行中)The Yellow Fairy Book
⑤ももいろの童話集(刊行間際) The Pink Fairy Book
⑥はいいろの童話集 (2008年9月刊行予定)The Grey Fairy Book
⑦むらさきいろの童話集 (2008年11月刊行予定)The Violet Fairy Book
⑧べにいろの童話集 (2009年1月刊行予定)The Crimson Fairy Book
⑨ちゃいろの童話集 (2009年3月刊行予定)The Brown Fairy Book
⑩だいだいいろの童話集 (2009年5月刊行予定)The Orange Fairy Book
⑪くさいろの童話集 (2009年7月刊行予定)The Olive Fairy Book
⑫ふじいろの童話集(2009年9月刊行予定)The Lilac Fairy Book
■偕成社文庫版(改訂版)
翻訳:川端康成監修、野上彰翻訳。
挿絵:佐竹美保、西村香英ら日本人イラストレーターによる新規描きおろし。
編集:日本独自の編集による全12巻(原書とは違うランダムな構成)。
刊行順:
①みどりいろの童話集 (刊行中)
②ばらいろの童話集 (刊行中)
③そらいろの童話集
④きいろの童話集
⑤くさいろの童話集
⑥ちゃいろの童話集
⑦ねずみいろの童話集
⑧あかいろの童話集
⑨みずいろの童話集
⑩むらさきいろの童話集
⑪さくらいろの童話集
⑫くじゃくいろの童話集
同じ『みどりいろの童話集』のタイトルを冠している両社の本が既に刊行されていますが、収録内容はまったく違っています(東京創元社版の方が、原書の『みどりいろの童話集』に沿っているものと思われます)。そういった構成なので、どちらかのシリーズで読むことで、ダブリがなく読むことができるわけです。逆に、原書から、互いの版にない作品を収録しているものもあるので、両方読むことで補完しあえるものもあるようです。後、復刊ドットコムでは両作品をご案内していくことになるものと思いますが、両者はこのように違っている、ということをご了承いただければ幸いです。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月15日 (金)

ディレクターの、ともおです。
このところまた注目が集まっているようなので、復刊ドットコムから甦った二大作家の「トラウマ作品」のご紹介をしたいと思っております。トラウマ作品と言っても「心の傷」というよりは、幼い頃に読み、少なからずインパクトを受けて、その後の成長に影響を及ぼしたものというものの総称という感じです。条理を超えた「わけのわからない」作品であったために、未消化のまま心に残り、大人になっても、あの不気味な作品はなんだったのか?夢で読んだ本だったのか?と記憶の中でくすぶっている。そのモヤモヤした感じを確かめたくて、もう一度、あの本を手にしたい、という多くのリクエストが復刊ドットコムには寄せられていました。1960年代後半から70年代前半、昭和で言うと40年代というのは、児童文学読み物の「魔の領域」ではないかと個人的には思っています。1960年代、山中恒さんの作品に代表される「戦後児童文学」や、佐藤さとるさんの和製ファンタジー、そして斉藤隆介さん、松谷みよ子さんの創作民話などが登場し、やがて古田足日さんを経て、灰谷健次郎さんが登場する70年代に受け継がれる「児童文学正史」がある一方で、爛熟しはじめた児童文学出版は、かなりきわだった異色の作品を許容する土壌を持つようにもなっていました。こうした児童文学のアナザーサイドは、その後、時代に淘汰されてしまったために、二十一世紀まで残されることはなかったわけですが、当時、そうした作品を読んだ子どもたちには、しっかりと、あの異色作品の記憶が刷り込まれていたのです。
その代表格が大海赫(おおうみあかし)さんです。独特の世界観をもつ物語と、版画や点描画などの技法を駆使した強烈なイラストで、人気を博していた児童文学作家、大海赫。多くの作品を発表し、1970年代には多数の単行本が発行されていましたが、その後、長らく品切れ、絶版状態が続いていました。復刊ドットコムには、かつて大海作品に衝撃を受けた人々が集まり、『ビビを見た!』の復刊が実現。ファン代表として吉本ばななさんの応援もあって、『ビビを見た!』は好調な再デビューを果たし、その後、新刊を含む十作品が刊行され、児童文学作家、大海赫は完全に復活を果たしたのです。
『ビビを見た!』
著 者:大海赫
出版社:ブッキング
サイズ :A5変形判 上製
定価 :1,890円(税込)
詳しい物語はこちらから
もう一人が、佐野美津男さん。戦災孤児としての経験や、子どもに対しての独自の視線と表現力を持つことで知られる児童文学作家です。「子ども学」に代表される評論にも定評があります。復刊ドットコムから甦った『ピカピカのぎろちょん』は、佐野美津男作品の中でも、特に異色度が高く、ひとつの伝説として語られていた作品でした。当時の社会情勢が孕んでいた空気が児童文学作品に持ち込まれ、不条理な雰囲気に満ちあふれています。現代の視点であらためて読み直されるべき快作であり、怪作です。他にも、復刊ドットコムからは、国土社さんの『創作子どもSF全集』の中で『だけどぼくは海を見た』 『犬の学校』が復刊しています。個人的には『にいちゃん根性』みたいな、ちょっと山中恒風作品も好みだったりしますが、あれも破調と言えば破調で、考えて見ると破調以外の作品を読んだことがない、そんな作家さんです。
『ピカピカのぎろちょん』
著 者:佐野美津男
出版社:ブッキング
サイズ : A5変形判 上製
定価 :1,890円(税込)
詳しい物語はこちらから
先日、ご紹介しました『光車よ、まわれ!』もそうですが、異色児童文学作品の復刊を復刊ドットコムは実現して参りました。さあ、次は、岩本敏男さんか、金重剛二さんか、なんて思ったら、リクエストすら入っていないなあ、という現状だったりして。アナザーサイド児童文学の世界はまだまだ深く濃いところにあるようです。僕も自分で立てたリクエストはあるのですが、なかなか票が集まらなかったりして、切ない思いをしております。皆さんも、是非、記憶に眠る一冊を呼び起こしてみましょう。
■ 『大海赫』復刊特集ページ
(大海先生と吉本ばななさんの対談も掲載されています)
■ 『佐野美津男』復刊特集ページ
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月13日 (水)

ディレクターの、ともおです。
『トランクの中の日本』という本に再度、注目が集まっています。去年の8月9日に亡くなられたアメリカ人カメラマンのジョー・オダネル氏の記録である本書は、小学館さんから1995年に刊行されたものの、しばらく絶版状態で品切れを続け、復刊ドットコムではリクエストも投じられていました。現在は重版され、入手が可能となっています。ここ数日、この本へのPVが軒並み増えているのは、8月6日にNHKのBSの『原爆の夏 遠い日の少年~元米軍カメラマンが心奪われた一瞬の出会い~』や、8月7日のNHKスペシャル『解かれた封印~米軍カメラマンが見たNAGASAKI~』で、オダネル氏のドキュメントが放送されたことによる影響のようです。戦後、占領軍として原爆投下後の長崎に入り、その惨状を目にしたカメラマンのオダネル氏は、軍には内密に、私的なカメラで、その惨状を伝える「非公式」写真を撮り、自宅のトランクの中に43年間封印していました。しかし、思いの募るところがあって、やがて周囲の批判も省みず、アメリカ人として原爆の悲劇を告発していかれたそうなのです。『原爆の夏~』は、まだオダネル氏が生前に作られたドキュメント作品の再放送で、氏が再度、現代の長崎を訪問されて、当時、写真をとった子どもたちと再会する、という企画で、テレビ放送の各賞を受賞された秀逸なドキュメントだったそうです。復刊ドットコムにも、以前にこの番組をご覧になって、当時、品切れ状態だったこの本への一票を投じられた方もいらっしゃいました。復刊ドットコムには、レビュー機能はないのですが、リクエストコメントはずっと残っておりますので、こうした機会にその本への想いが寄せられた言葉が読まれ、そして、その本が手にとられる契機になればと思っています。実に、興味深い内容ですね。
戦争について考える夏、を迎えて、先週のメルマガでも、戦争関連の特集やリクエストをご紹介しています。その中でも触れましたが、ちょうど手元に、資料でお借りしてきた、ほるぷ出版の『ほるぷ平和漫画シリーズ』があります。豪華執筆陣による第二次世界大戦下の日本人を描いた作品(里中満智子さんの巻には、ベトナム戦争下のアメリカ人の話もあります)。このシリーズを読んでいると、まあ、おおいに気持ちが凹みます。いや、ここで凹む感受性を持っていないとならない、と思います。すべての戦争を描いた作品は、平和を訴えたものである、というわけでもないのですが、平和とは何かを考える契機が、ここそこに見られる八月ですね。
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月10日 (日)

ディレクターの、ともおです。
あの空前の超大河長編小説、栗本薫さんの『グイン・サーガ』のテレビ・アニメ化が決定したそうです。2009年春公開。コミック化はされていたし、OVAもあったので、そう遠くない話だなと思っていたのですが、ついに来たか、という感じです。しかしながら、30年にも渡る長期の執筆で、原作は既に120巻を越えている現状で、果たして、連続アニメ化するにしても、終わりようがあるのかなあ、とも思います(更に外伝もあったりするのです)。冒頭から最初の5巻だけでもいいような気もしますが・・・。そもそも個人的には、あの80巻あたりで物語自体が終わっても良かったのではないかと思っているのですね。まあ、それでも新刊が出るたびに、楽しみに読み続けているのです。ご存知ない方たちに簡単にお話を説明します(本当にごくごく簡単に)。『グイン・サーガ』は、「中原」と呼ばれる世界が舞台となっています。ここはヨーロッパの中世ぐらいの文化レベルで、まだ機械や科学文明は発達していないのですが、一方で「魔道」と呼ばれる超科学を修めた「魔道師」たちも暗躍しています。まあ、剣と魔法が幅を利かせるファンタジーワールドなのです。中原の国同士が互いに牽制しあい保たれていた政治的均衡は、ある時、新興のモンゴール公国が、文化大国パロに侵攻を行うことによって崩されます。国王は惨殺されましたが、パロの双子の王子と王女は、パロに伝わる「古代機械」によって「転送」され、九死に一生を得ます。ただし、二人が「転送」された場所は、奇怪な怪物たちが跋扈するルードの森。モンゴールの追っ手にも追われる二人を救ったのは、どこからか現れた、豹頭の仮面を被った巨漢、グイン。しかしグインはそれまでの記憶を失ったまま、この森に突然あられたのです。何故、自分が豹の頭をしているのかも知らない・・・ということで、このグインを巡る壮大な物語が始まりまして、色々あって120巻以上、続くのです。この世界の根源にある「何か」がだんだんとハッキリしてくるしてくるあたり確実に面白いく、ファンタジーとSFの入れ子構造が、実にユニークな構成になっています。まずは最初の5巻だけでも読んでいただけると、この世界にどっぷりハマってしまうのではないかなと思いますよ。何よりもこのグインという大人物が魅力的です。一体何者なのだ、グイン。それはグイン自身、知らないこと。剣に長け、屈強で知略に富み、包容力があって、なにかとすぐに人望を集めてしまう豹頭の男。個人的にはアニメ化よりも、実写化して欲しいですね。キャスト希望としては、グイン=中村吉右衛門(鬼平というより弁慶のイメージですね)、イシュトバーン=中村獅童(外見はともかくキャラ的に)、あるいは、今だと小栗旬君かな。ナリス様=堺雅人、は文句なし。いや、異論はあるでしょうが。ヴァレリウス=鈴木拓(ドランクドラゴンの)・・・というのも、えーと。
復刊ドットコム的には、グインの世界を彩るイラストレーター陣の人気が高いので、そのあたりのリクエストがあるので、関連商品を紹介させていただいたりしています。グイン歴代の装画・挿絵画家は、加藤直之、天野喜孝、末弥純、丹野忍という、堂々の黄金メンバーです。日本の「SF画」のアートワークって、世界に誇れるよなあ、とつくづく思ってしまうのでした。
■ 『グイン・サーガ』復刊特集ページ
投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月 7日 (木)

ディレクターの、ともおです。
昨日、書いておいたブログがいつの間にか消えていました。保存を忘れていたのかと思うんですが、結構、ショックですね。ということで(どういうことで?)、以下に、昨日、作成しましたプレスリリース(マスコミ向けの告知)をダイジェストで掲載させていただきます。標記にもありますが『あなたの子どもを加害者にしないために』という、鮮烈なタイトルの本の復刊が決定しました。昨日から予約を開始しているのですが、この時点で135冊ぐらい予約が入っています。好調です。復刊の経緯と内容につきましては、以下をご覧くださいませ。
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◆時代の要請に応え、『あなたの子どもを加害者にしないために』復刊決定◆
あの秋葉原の無差別大量殺傷事件の衝撃が、この本の復活を求める時代の声を集めました。絶版になった書籍の復刊を応援するインターネットサイト復刊ドットコムは、この度、中尾英司氏の『あなたの子どもを加害者にしないために』の復刊いたします。
同書は、2005年7月に生活情報センターより刊行されましたが、同センターの解散に伴い絶版。本書は、2007年6月に復刊ドットコムに登録され投票が始まり、2008年6月8日の秋葉原無差別大量殺傷事件以降、急速に票が伸び、同17日には100票を突破。得票数はその後も伸び続け、8月5日現在、286票を集めています。秋葉原の事件以降、事件を模倣した子どもによる犯罪予告が相次ぎ、また十代の事件もニュースをにぎわし続けています。本書の内容の時事性と重要性は口コミで広がり、本書を必要としている読者の要望の高まりは、復刊運動を結実させました。
もとの発行元が解散していたため、復刊ドットコムでは、同サイトの運営会社である出版社ブッキングの発行により、少部数受注生産のオンデマンド方式(協力:株式会社オーピーエス)で本書の復刊を行うことといたしました。同社の、原書をスキャニングし再生する同方式を用いることで、早期に本の制作、印刷、発行を行い、読者のニーズに応えることが可能となりました。
当初は300部の発行を行い、今後は読者の要望に応じ、随時、受注発行を行う予定です。販売は当面、復刊ドットコムでの読者直販のみとし、8月6日より予約を開始いたします。
復刊ドットコムは、さまざまな理由で書籍流通市場から消えてしまった本を、読者の声を集めることで復刊に結びつけるサイトとして2000年に始動いたしました。8年間の活動の中で、登録書籍は3万6千点に上り、5000点以上の作品が、本サイトでの投票を契機にして復刊されています。インターネットを通じて、同じ趣向を持つ読者のニーズが投票という形で集められ、復刊されることへの有形、無形のムーブを作りだしています。今回、『あなたの子どもを加害者にしないために』には、秋葉原事件に触発された子どもを持つ親たちの関心が著しく(投票者は30代、40代の女性が全体の80%以上を占めています)、多くの熱意あるコメントが寄せられています。こうした真摯なコメントがさらに読者の関心を集め、得票数の増加に結びつきました。
今後も復刊ドットコムでは、このように読者ニーズがありながらも、流通事情により埋もれてしまった作品の復刊を応援して参ります。発行元の各出版社様に対して、読者の復刊ニーズについての情報提供と販売協力を行い、失われた良書が、再び、欲しい読者の手に渡るよう、日本の出版文化普及の一翼を担って参ります。
■書 名 : 『あなたの子どもを加害者にしないために』―思いやりと共感力を育てる17の法則―
■著 者 : 中尾英司
■発 行 : ブッキング
■サ イ ズ : 四六判 224頁
■定 価 : 2,100円(税込)
■予約開始 : 2008年8月6日(復刊ドットコムのみ専売)
■発 売 日 : 2008年9月中旬
■内 容:
ごく普通の家庭で育ったかのように見える子ども達が起こす、残虐な事件。その背景には子どものSOSに気づかず、無意識にわが子の人生を奪ってしまう親の姿があった―。
親が子どもを追いつめる「信念の罠」、共感力に乏しい親が陥る「心理的ネグレクト」、子どもを操り人形にする「ダブルバインド」、子どもを成長させない「家族カプセル」、良かれと思いつつも子どもの生きる力を奪ってしまう「お膳立て症候群」……。本書では少年Aが起こした“神戸連続児童殺傷事件”をひも解きながら、親がわが子を育てる上で外してはならない「子育ての法則」を提示する。
復刊投票コメントより抜粋(一部)
●『私も子どもを持つ母親です。子どもを育てながら、たくさんのことを考えさせられ、また、世の中を騒がす事件は、他人事ではないと思っています。報道では事件の一部始終を争うように伝えてもその事件が起きた本当の原因についてはほとんど触れず、むしろ見当違いだったり・・・事件を起こす加害者も家庭の中で育ってきている。事件の責任は加害者だけでなく、私たち大人、社会全体の責任なのではないでしょうか?』
●『日本がなんとなくおかしくなっている。毎日のように起こる殺人事件。特に子供達や若い青年の犯罪はとても哀しい。何故防げなかったのかと事件が起こる度に考え込んでしまう。この本の著者はその原因のひとつ「家族関係」にスポットをあて、今の日本がおかしくなった原因を的確に分析している。子供がいる親の立場として非常に読みたい一冊です。いや「読みたい」ではない「読まねばならない」と思う。ぜひ復刊していただきたい。』
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というような感じでお届けしてみました。ただ今、絶賛、予約中です。
投稿時刻: 午後 12:56
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