2008年10月 4日 (土)


D坂のこと

ディレクターの、ともおです。

街歩きのテレビ番組を見ていたら、団子坂が出てきました。江戸川乱歩ファンの方なら、あの「D坂」のモデルになったところとして記憶されている場所かと思います。以前に、乱歩自身が住み、古書店を開いていた場所でもあったそう。この作品が、探偵、明智小五郎登場の第一作となります。僕の明智小五郎体験は、世代感あふれることに『BD7』で、少年探偵団の後見役として、怪人二十面相と闘う、落ち着いた渋い男性という感じでした。その後、天智茂さん演じる、ナイスミドル明智探偵シリーズをTVで見てイメージを抱いていたものですから、「D坂」に登場した明智青年のイメージにかなりギャップを覚えたものです。書生姿でボサボサの髪、なんて、これは、金田一探偵じゃないのかと。少年向けではない乱歩に出会った時の、そのなんというか、ちょっと猥雑でさえある、あのキワのところの魅力にはかなりびっくりしたものです。「新青年」の傑作選などで、大正、昭和初期の探偵小説を読むと、時代の空気が更に理解できるところですが、ミステリーならぬ「探偵小説」の、あの時代の通俗性は、ちょっといけない読書感覚にあふれていますね。面白いです。TVだと『人間椅子』だって、明智探偵モノにしてしたしなあ、色々と演出されてしまうのですね(一方で、本格モノ再評価以前には、あえて「探偵抜き」で探偵ものがドラマ化されていたこともあったらしいのですが、これはまた別の話。時代のモードの変遷というのは、面白いものです)。先入観を持たず、原典にあたることで発見できるものもあるところです。そういえば、今度、金城武さん主演で二十面相を主役とした映画ができるそう。映画館で予告編だけ見ましたが、時代感覚あふれるセットなどけっこう興味深い感じでした。

ところで、復刊ドットコムでは、今度、沖積舎さんから刊行される『江戸川乱歩全集』のご案内をしているところです。「昭和36〜38年発行の桃源社版全集全18巻を、外函と外カバーを付して復刻」したもの。乱歩未体験の方にも、是非、興味を持っていただきたいところですが、これは、やはりマニア向けではあるところでしょうか。僕ら世代にはポプラ社さんの少年探偵江戸川乱歩全集が懐かしいところです。かつての劇画調の表紙と、黄金仮面マークにはドキドキしてしまうところですが、現在は装丁が変わってしまっているのですね。ああ、どうでもいい話ですが、僕は、高校生の時、乱歩の『芋虫』を、『ジョニーは戦場に行った』と一緒に「反戦小説」として教えられました。先生、間違ってます。

投稿時刻: 午後 10:17
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2008年9月18日 (木)


指、痛い

ディクレターの、ともおです。

包丁で指先を切ってしまい(爪もざっくり割りまして)、キーボードがとても打ちにくい状況です。ケガをした左手の人差し指を使わないようにしようと思うと、普段、その指がカバーしている六つのキーを別の指で打たなければならないわけで、これはかなりストレスが溜まります。タッチメソッドで打っているので、普段は指の動きをあまり考えずにいたのですが、こうなると、いやでも意識させられます。そういえば、特定の指が使えないことが「謎解き」につながるミステリーがあったような記憶があります。タイプライターの特定のキーが打てないとか、楽器の特定の音が出せないとか。指を失くしたピアニストが弾く音の欠けたピアノ曲の悲しみ、みたいなものもまた物語的題材ですね。ミステリーではないのだけれど、薄井ゆうじさんの『星の感触』という作品も、そうした「指使い」のエピソードがお話のキーになっていた記憶があります。ワープロの特定の文字を打てなくなることが、何か物語の主題につながるんじゃなかったかな。懐かしくなって調べたら、復刊リクエスト投票が始まっていました。品切れ状態なんですね。好きな作品だったので、ちょっと惜しい気がします。

薄井ゆうじさん、から思い出したところですが、以前は積極的に活躍されていたので良く読んでいたけれど、このところ、どうされているのだろうか、と思う作家さんたちがいます。以前ほど頻繁に新刊を刊行されていないため、近況を知りたいと思う方たちもいます。完全な純文学でもなくミステリーでもない男性作家の場合、そうした薄れがちな印象の中に何人かいて、薄井ゆうじさん、新井千裕さん、上野歩さん、伊井直行さん、村上政彦さん・・・芦原すなおさんも、そのイメージでしょうか。このところの新作を知らないだけかも知れないのですが(などと書くと、ファンの方に、オマエは勉強不足だと怒られてしまうわけですが)、なかなか近況を追えていません。浅田次郎さん、重松清さん、荻原浩さんあたりがこのジャンルのトップランナーで、活躍されていることを思うと複雑です。復刊ドットコム、という場所は、流通上から消えてしまった本のうち、まだ人の記憶の中で熱く生きている本が支持される場所なのですが、ファンとしては、ここで再会できることを喜んでいいのやら、どうなのやらとも思います。ところで、森雅裕さんの2作品が、熱狂的なファンのリクエストによって復刊ドットコムから甦っています。「東野圭吾さんと乱歩賞を同時受賞」されたという経歴から、明暗が分かれたような印象を受けがちですが、濃いファンが何をもって作家を評価するか、流通上での融通とは一致しないものです。知られていないとファンが増えない、という悪循環もあるので現役感は必要かも知れませんが。是非、復刊ドットコムで、あまり、現在の書店にはならんでいない作家さんを見つけ出して、新しいファンになっていただけたらな、とも思います。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年9月16日 (火)


ちくわとかまぼこ、ちょうだいな

ディレクターの、ともおです。

中島らもさんの『啓蒙かまぼこ新聞』が復刊されました、と書こうとしてよく調べてみたら、もとの単行本版も未だ健在で流通していて、今回、新潮文庫から刊行されたのは、「文庫化」されました、というトピックなのでした。とはいえ、懐かしい本があらためて再デビューしたことには変わらず、新しい読者の方が、この本を手にとられることになる機会が増えたことはうれしく思います。単行本版に比べるとあのマンガも小さくなってしまい、かつて80年代後半に「ぴあ」などの1ページ広告で見かけた「かまぼこ新聞」とは多少、イメージが異なります。とはいえ、中島らも、という稀代のアーティストの名前を世に知らしめた原点を是非、ご覧になっていただきたいところです。カネテツフーズの広告であったはずの「かまぼこ新聞」は、「かまぼこ」の広告をはるかに超えた「読み物」となり、二十年以上経過した現在にも膾炙していることは感慨深いですね。朝日新聞に掲載されていた『明るい悩み相談室』も、旧来の「悩み相談」の常識を超えた内容に驚かされた記憶がありますが、今にして思えば、あの中島らもという才能の爆発前夜、という気がします。80年代、90年代を駆け抜けた才気を、今さらながら、偲びたいところです。

復刊ドットコムと中島らもさんは、必ず親和性があるはず、と思って調べたところ、意外にも、「復刊リクエスト」があがっていないのです。それはつまり「絶版になっている本が少ない」ということなんですね。主要作品が現役ということでは、椎名誠さんもそうですが、糸井重里さん、いとうせいこうさんなどの同時期のサブカルチャー系の奇才たちよりも、より「時代を跳躍する」力があった、ということかと思います。たしかデビューエッセイだったはずの『頭の中がカユいんだ』も集英社文庫から今年、再発されていますが、エッセイ集として秀逸な『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』や、また、どれも面白い長編小説、『今夜、すべてのバーで 』『ガダラの豚』『永遠も半ばも過ぎて』などすべてが健在。あの非常に恐ろしいホラー系の短編集なども揃っていますね。あらためてラインナップを拝見していて、自分も主要な作品は読んでいるものの、まだ読み逃している作品が多数あり、こうした作品が、まだ文庫で手に入ることをありがたく思いました。中島らもさんが亡くなられて、すでに4年が経過しました。あの最盛期の中島らもさんの創作における輝くばかりの才気と、エッセイ集に見る、あまりにも凡庸で親近感を持ってしまうナイーブさ。夭逝されたことはとても残念ですが、最期まで「中島らも」らしさを失わなかった姿勢に、複雑な感慨を抱いたりしています。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月24日 (日)


あの寺山修司のサンダルが!

ディレクターの、ともおです。

今年は寺山修司没後二十五周年です。もう二十五年も経ってしまったのかと驚くとともに、四半世紀という時間が、人を伝説に変えてしまうのだなあとしみじみ思ったりもしています。森茉莉さんも、田中小実昌さんも、林家三平師匠だって、70年代に活躍したトリックスターたちは、生前のイメージと死後の評価がかなり異なっているような気がするんですが、経年というフィルターを通して濾過されたものが、実は実相だったりするのかな。人が死して遺すものとはなんなのか。まあ、そんなふうなことを考えるこの頃です。

というようなわけで、アニバーサリーでもあるので、このところ寺山作品の復刊が続いていますね。戯曲『毛皮のマリー』や『あゝ荒野』が再版されるなどの報も届いています。僕が小劇場演劇を見はじめたのは高校生の頃で、世代的には小劇場演劇第三世代隆盛の、第一世代ギリギリの時期でした(それこそ唐十郎氏が追悼寺山修司的に書かれた『ジャガーの眼』が状況劇場の初見だったりするぐらいなので)。結局、未見のままに終わった寺山氏の劇団「天井桟敷」の名前には、レジェンドとしてかなりの憧憬を抱いていました。ご多分に漏れず、十代後半に活字の上で寺山修司にどっぷりと浸り、大いに影響を与えられた口ですが、八十年代というのは逆に寺山本が入手しずらい時期でもあり、現在の方が手に取りやすいのではないかと思ってしまうぐらいです。それはつまり、ずっと評価され続けているということなんですね。いや「寺山修司とは何か」というのは、ここで語るべきテーマとしては大きすぎて、手にあまるところですので、また機会がありましたら。角川文庫の寺山選集も、いつの間にか林静一さんの装画ではなく、あの噂の文学少女、華惠さんになっているのでした。これも時代ですね。うーむ。

■ 『寺山修司』復刊特集ページ

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月22日 (金)


新井素子さんを囲むお茶会の叫び

えっと、ディレクターの、ともおです。

高校生SF作家としてデビューした新井素子さんも40代の坂道を下りつつあるこの頃。1970年代後半から80年代に精力的に活躍された新井先生ですが、今年、作家生活30周年を迎えられ、ここ数年は復刊や再刊が続き、現在の若い読者にも手にとりやすい状況にあるのではないかと思っています。一部に「ライトノベルの祖」として語られることも多い新井先生ですが、ライトな文体とSF的世界観を融合させた作風の系譜は、岬兄悟さんや、菅浩江さんをすっとばして、現在、人気の有川浩さんに受け継がれている気がします(有川作品を読んでいると新井素子テイストを感じますね。最近、新井素子さんが、有川作品の解説も書かれていたようです)。さらに新井素子さんには、なんだろう、読書的教養や、不思議な趣向性など、ご本人のパーソナリティーが作品と混ざり合っていて、そうした床しさが、新井素子という宇宙を、構成していたような気もするのです。なので、熱狂的な固定ファンは多い。実は復刊ドットコムの中でも、ユーザー支持率、第11位の作家さんであり(ちなみに12位が谷山浩子さんというも親和性のある話で)、復刊リクエストが結実して、ブッキングで『季節のお話』を復刊(あとがきには、なんと新規書き下ろしを収録)させていただいた経緯もあり、復刊ドットコム、イチオシの作家さんなのです。

そんな新井素子さんが、SFの夏を彩る日本SF大会で、イベントを行われますので、応援告知をします。

47回日本SF大会「DAICON7」にて、
・ 新井素子さん&眉村卓さん によるトーク企画『モトコの碁』が開催されます。
日時:2008年8月24日 午前10時~
※ 同日、新井素子さんを囲む「ちいさなお茶会」もあるとか。

そして、復刊の方では、ついに、あの『『ひでおと素子の愛の交換日記』が改版で登場します。新井さんが、まだ大学生だった頃、あの懐かしい、バラエティ(角川書店)という雑誌に連載されていた、吾妻ひでおさんとのコラボ日記です。結構、時代感覚あふれる内容だったので、今読むとどうなのかな。さて、復刊ドットコムの現在の新井素子作品のリクエスト状況ですが、未復刊でトップを飾っているのは『ぬいぐるみ殺人事件』(600票)です。これもまた懐かしい「漫画の手帖」に掲載されたリレー漫画を単行本化したもの。冒頭を、新井素子さんが書かれています(イラストは、ふくやまけいこさんでしたね。この単行本、ふくやまさんの描き下ろし表紙がとても良いのです。リレー漫画ならでは無茶苦茶なストーリー展開でしたが)。あのマニアックな漫画家メンバーに混じっても違和感がないところが、新井素子さんならではですね。つづいて『星へ行く船』の続編である『星から来た船』(142票)です。コバルト文庫時代の作品もアニバーサリーで復刊してもらえると嬉しいのだけれど。個人的にお薦めとしては、一風変わったビルディングロマンですが『二分割幽霊奇譚』か、「新井素子」のインナースペースを描く『・・・絶句!』ですね。ちょっと懐かしすぎるかな。ファンの皆さんは、是非、投票状況もご覧になってください。

■『新井素子』復刊特集ページ

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年8月18日 (月)


文学と少女と

ディレクターの、ともおです。

8月13日は、作家、福永武彦さんのご命日でした。かつては文学少女が耽溺して、マストで押えている作家さん、というイメージでしたが、昨今はBL上級生たちが『草の花』『夢見る少年の昼と夜』あたりをレジェンドとしてチェックしている感じでしょうか。「文学少女」と「少女文学」の社会史、という題で長めの論文も書けそうですが、忙しい会社員としては退職後の愉しみにとっておきます(ところで、この頃はケータイ小説論が沢山出版されていて盛んですね。作品論というよりは文化論になっているみたいですが)。さて、同じ8月13日にSDP文庫の創刊イベントがあり、ニュースになっていたのでその存在を知りました。大手芸能事務所であるスターダストプロモーションの関連会社、スターダストピクチャーズは話題作(「フラガール」「タイヨウのうた」「嫌われ松子の一生」「子ぎつねヘレン」、そして「デトロイト・メタル・シティ」など)を続々製作されている会社として有名ですが、SDP出版として、出版活動も行われています。そのSDP出版が創刊された文庫は、トラッドな「文学」だったのです。ポイントは人気の美少女タレントによって表紙と巻頭グラビアが飾られたものであること。出版社HPによると『文学作品とイメージショットを融合させた、文庫の新しいかたちです。 文学への親しみ、文学を理解する楽しさを伝えることで、読者に文学への興味を持ってもらうことをテーマに創刊』されたものだそうです。著者が没して50年以上たった著作権保護期間が切れた作品を各社が趣向を凝らして発行されることはままあります。同じ『伊豆の踊り子』でも、集英社版はこうだし、新潮社版はこうとか、話題の『蟹工船』も、新潮社版はこうで、今度刊行される角川版はこうです。多くの出版社から刊行されている『注文の多い料理店』に参入するSDP文庫はこうなんですね。モデルは、テレビでも良く見かける夏帆さん。細かい収録作品までは不明なので、果たしてイメージにあっているかどうかわからないのですが(賢治作品は少年のイメージですよね?)、少なくともタイトルの『注文の多い料理店』には距離がありますね。SDP文庫の四作品で『たけくらべ』だけは、女の子が表紙でも違和感はないのですが他は難しいかな。それとも、こうした「文学少女」が読むイメージを小説に付加している感じでしょうかね。これしかない、のではなく、こういうものもある、というバリエーションが増えたわけなので、本を手にとってもらう機会が増えるのは良いかなと思っています。

大正期、昭和初期の少女雑誌では、美少女画+抒情詩というのは、お決まりのコンテンツで、詩画集なども多く作られ、竹下夢二や中原淳一などの抒情画家がスターだった時代もあります。そうした意味での「少女趣味」的なるもの復権、とは、これは完全に別次元なんだろうけれども、なにか新しいハーモニーが生まれたら良いなと思いますね。ところで、福永武彦さんについて経歴を確認していたら、長男の池澤夏樹さんの娘さん、つまりお孫さんの池澤春菜さんは声優として活躍中なのだとか。漫画家のしまおまほさんが、島尾敏雄さんの孫、というのもビックリしましたが、色々とありますね。

■ 『福永武彦』特集ページ

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年7月31日 (木)


ノーライフキング、再び

ディレクターの、ともおです。

今週の復刊の中に、いとうせいこうさんの『ノーライフキング』が入っています。1980年代以降、多彩な表現活動をされていた、いとうせいこうさんの「小説」では一番有名な作品かと思います(『ワールズ・エンド・ガーデン』も評価が高かった記憶がありますが)。この本が書かれた80年代後半というと、ファミコンの登場で、家庭用TVゲームが小学生の間でブームになりはじめた頃です。とくに「ドラゴンクエスト」などのRPGが与えた影響は大きかったかと思います。この物語に登場する人気のゲームソフト「ライフキング」には、別ヴァージョン「ノーライフキング」があると噂され、そのソフトは、いったんはじめたら、クリアしなければ呪われるという、まことしやかな「都市伝説」が小学生の間で流布されていました。やがて現実に「ゲームの中のような呪われた事件」が起き、小学生たちを震撼させていきます。さすがに、当時読んだきりで、全部は覚えていないのですが、三島賞の候補になった高い文学性を持ち、また市川準監督によって映画化された作品もクールな仕上がりで、「ノーライフキング」という作品は、当時の風俗を写したものであるという以上に、不思議な作品世界観を持ったイメージが記憶に残っています。その後、よく見かけることとなる、ゲーム的仮想空間とリアルの相克、というテーマの先駆けでしたね。ゲームの中で主人公が死ぬと、「好きだったもの」が、墓標として残される、という場面が印象的です。ゲームが、子どもたちの生活にもっと密着してしまった現代には、より響くところがあるかな。

■ 『いとうせいこう』復刊特集ページ

最近もまた「都市伝説」がブームです。マスコミや大人が面白がる前に、小学生の間で、ひそかにジワジワと蔓延していく感覚にこそ妙があるわけですが、あれはリアルタイム小学生じゃないと味わえない感覚ですね。逆に、会社員だけにささやかれる「伝説」はないものでしょうか(サラリーマンNEOっぽいですが)。そういえば、伊井直行さんに『さして重要じゃない一日』という作品がありました。会社員が、コピー機付近で紛失した書類を追っているうちに、社内に存在する、もうひとつの「社内便」の存在を知ってしまうというお話。大きな会社に勤められている方には、言ってはいけないことになっている伝説の「地下部署」の存在などリアルに感じられるかも知れません(絶版みたいですが、リクエストはなかったです)。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年7月24日 (木)


かーっぱ、かっぱ、かっぱ

ディレクターの、ともおです。

今日は「河童忌」です。このところ、話題が後手にまわっていたのですが、やっと追いつきました。数日前にニュースで芥川龍之介の遺書が発見される、との報道もあり、時節的に、今日は話題の日となるのではないのかと思います。遺書の発見は、焼失されたと思っていた原文が出てきたということで(ただ全集などに納められているものとは一部記載が違っている部分もあるらしいのですが)、それほど新しい発見があったわけではないのが残念なような、ちょっと安心したような不思議な気持ちです。もし「将来に対する唯ぼんやりとした不安」ではない、具体的な理由が書かれた遺書が発見されでもしたのなら、芥川龍之介という作家の解釈は変わってしまうのではないか、そんな不安も多少ありました。芥川龍之介が自殺した1927年(大正十五年)、今から81年前の今日は、どんな日だったのでしょう。雨が降っていたそうなので、少しは、暑さも穏やかだったのでしょうね。

好きとか嫌いとか、そうした感情を抱いていないのが芥川作品で、ある程度の数は読んでいるものの、関心のある作品をあげようとしても、『藪の中』ぐらいしか思い浮かびません。およそ近現代の作家に抱くような好悪の感情がないのが不思議です。個人的な思い出話ですが、大学の時の授業(国語科教育法だったかな)で、文体模倣の課題を出されたことがあります。和田誠さんの『倫敦巴里』に収録されていた、色々な作家の文体で『雪国』を書くというパロディをお手本にして、芥川龍之介の『羅生門』を他の作家が書いたらどうなるか、という試みをしました(何の目的かは忘れましたが)。僕は、中勘助などで書いてみたのですが、文体というより、作風が完全に変わってしまうのが面白いところでした。中世の説話集に材をとっていた芥川龍之介の「らしさ」とは何だったのかと考えてしまうもので、逆に中勘助的な「個人的体験」を芥川流に書くことの相容れなさ思うところでもあります。自死した作家の思惟への興味、関心はとても強いのですが、若い頃ほどではないなあ、というのが、最近の僕の心もちです。ところで、件の集英社文庫の新カバー『地獄変』はデスノの小畑氏の絵で、何故か芥川の胸像なのですが、むしろ、こちらこそジョジョの荒木氏の超絶的な地獄絵図を冠した方が良かったのではないかと思うこと多少。

投稿時刻: 午前 09:00
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2008年7月21日 (月)


時をかける『時をかける少女』

ディレクターの、ともおです。

先週の土曜日にフジテレビ系で、二年前に製作された『時をかける少女』のアニメ版がオンエアされていました。ロードショーの時には、今更「時かけ」?と思ったものでしたが、同時期に上映されていた、鳴り物入りの『ゲド戦記』をはるかにしのぐ評価を得て、スマッシュヒットとなったことは記憶に新しいところです。復刊ドットコムでもこの作品の背景画集の販売をさせていただきましたが、大変、好評でした。第一線のスタッフたちよるリメイクは、懐かしい作品にあらたな息吹を吹き込み、新しい世界が創造されたのです。というか、今回のリメイクは原作の名残を探すほうが難しい。むしろ高畑京一郎さんの『タイムリープ』を想起してしまったぐらいです。つまり、SFジュブナイルというよりはラノベ感覚、ということでしょうか。ただし「実験室」は健在でした。これは「時をかける少女」には欠かせないマストアイテムですね。

筒井康隆さん作による『時をかける少女』は、1965年に書かれた、シニカルなエスプリにあふれた筒井作品としてはむしろ異色のジュブナイルです。ふとしたきっかけで時間跳躍をする能力をもってしまった少女が不思議な体験をする物語。事件を経て、ちゃんと「ふりだしに戻る」物語性が秀逸なタイムファンタジーです。最初の映像化は72年のNHK少年ドラマシリーズ、『タイムトラベラー』(なつかしのケンソゴルですよ)。もっとも有名なのは、83年の大林宣彦監督版、原田知世さん主演の映画版ですね。抒情的な仕上がりの作品で、原作にプラスされたものや、その後の『時をかける少女』へ与えた影響は大きかったのではないかと思います。その後、中川勝彦さん(翔子さんのお父さん)が出演されていたものや、内田有紀さん主演のドラマもありましたね。原作が書かれてから40年以上、数々の解釈が加えられながら、今回のアニメ化作品にいたるのですが、果たして、『伊豆の踊り子』の映像化とどっちが多いのか、と思わせるところです。しかも新解釈の振り幅が広い。まあ、スタンダードな文芸作品になったということですね。

復刊ドットコムでは、NHK少年ドラマシリーズの『タイムトラベラー』を書かれた石山透さんの脚本集や、その続編であり、原作を離れ石山さんが創作された『続タイムトラベラー』に得票が集まっています。石山透さんは、人気の人形劇『新八犬伝』の脚本家でもあり(このノベライズも高得票を集め、ブッキングから昨年、全三巻で復刊されました)、当時のNHKの夕方の時間帯で数多く活躍されていたんですね。第一世代から、アニメ版の背景画集までをカバーする復刊ドットコムのファン層の広さに、驚かされるところです。

投稿時刻: 午前 10:00
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2008年7月18日 (金)


君も行くなら僕も行く

ディレクターの、ともおです。

このところの復刊のニュースでうれしかったのは檀一雄さんの『夕日と拳銃』が復活することです。角川書店さんから七月末の発売予定。代表作ではあるけれど『火宅の人』のような純文学私小説作家としてしか想起されない檀一雄、のイメジを覆す怒涛のエンタメ作品なのですよ。面白いんだ、これが。主人公、伊達麟之助は、名家の血を継ぐといわれる青年なんだけれど、破天荒で豪放磊落な快男児。日本を飛び出し、日中戦争直下の中国大陸で馬賊の頭目として活躍するという壮大な大陸ロマン。実在の人物をモデルにした虚実皮膜の近現代歴史小説ですが、麟之助の猛々しくも、どこかノンキなキャラクターが魅力的な作品です。二十年ぐらい前に、当時、古書店を探して購入し読んだ(この時は角川版でした。その後、河出文庫に出たのかな)気がするのですが、いまだに記憶の中で輝いている「面白い小説」のひとつです。是非、お手にとっていただければ嬉しいです。

それにしても「馬賊」。パイレーツ某はもちろんのこと、「海賊」ならば、国内作品でも『ONE PIECE』しかり『少女海賊ユーリ』しかり、いまだに物語文化に根づいていますね。自分もビッケ世代だったりするので、そのあたり郷愁すらあるというもの。ところが「馬賊」というと、これがかなり時代感覚にあふれたものになってしまうのです。というか、なんなんだ馬賊って、という感じです。僕が、年少の頃の最初の「馬賊」との出会いは(無論、本物ではなく、物語の世界でですが)、『はいからさんが通る』で、行方不明になった少尉を探しに大陸にわたった紅緒と、今は馬族になった少尉の部下の鬼島が出会うという、えーと、ご存知ない方には全然興味のないディテールからです。その後、大正~昭和初期の少年小説に興味を持つようになりました。当時の少年たちが、山中峯太郎が描く、海の向こうの亜細亜の曙の下、馬賊や大陸浪人や極東の快男児たちが跋扈する姿に胸躍らせたことや、華宵らの抒情画のちょっと妖しくも感傷的な少年趣味に浸ったであろうことを想像して、そんな「大陸ロマン」にサムシングを感じていたわけです。これが「侵略戦争」や「国策」と非常にニアリーなところにあるので、純粋に楽しんでいいのかというと微妙ですが。ともかく、そうした少年たちの心震わせる「馬賊」的なものがかつてあった、という近現代文化史の仇花がちょっと甦るような復刊に、少しときめいていたのです。

投稿時刻: 午後 01:06
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2008年7月16日 (水)


初夏の舞姫

ディレクターの、ともおです。

「桜桃忌」を忘れていたと思ったら、「鴎外忌」も忘れていました。7月9日でしたね。一週間も過ぎていました。主要な文学忌はカバーして、何か企画を試みようと思っていたのですが、うっかりが多いです。文学忌には、名前(号)+忌、となる場合と、作品名+忌となる場合があるんですね。「舞姫忌」でもいいのではないかとも思ったのですが、高踏派の文豪の忌日としてはいささかリリックすぎでしょうか。他に鴎外の著名なタイトルで、バランス良く二文字と言えば「青年」ですが、「青年忌」もまた鴎外らしくないかも知れません。

ところで、鴎外作品の復刊ドットコムでのリクエストは、というと、意外にないんですね。研究書だけで、鴎外自身の作品はほぼない。というのは、著作権の保護期間を過ぎた作品であるため、色々な出版社から作品は発行されていますし、青空文庫でも大体の作品は読めるからではないでしょうか。明治期の大文豪の作品は「復刊ドットコム」的ではないのかも知れません。森鴎外の作品、僕が一番好きなのは、意外にも『寒山拾得』のオマケ的な『寒山拾得縁起』だったりします。この作品で鴎外は、子どもに対して自分のことを「パパア」と称しているのですね。このお子さんが、森茉莉さんなのかな、などと思うと想像が膨らみます。最近、『孤独のグルメ』も復刊された谷口ジローさんが、関川夏生さんとコンビで描かれた『「坊ちゃん」の時代』シリーズに、鴎外が子ども時代の茉莉さんと連れ立って出てくる場面がありました。この時、茉莉さんは「パパア」と呼ばれていたか、「パッパ」と呼ばれていたか。たまに読み返したくなるんですね、このシリーズ。

鴎外は、あまり復刊ドットコム的ではありませんが、森茉莉さんは、かなり復刊ドットコム的です。それほどリクエストが多いわけではありませんが尾崎翠さんとか、武田百合子さんとか、もうすこしカルト的な感じになると、鈴木いずみさん、小泉喜美子さん、そして、無事復刊を果たした佐々木丸美さんが、そうしたイメージでした。非常に熱心な一部のファンに支えられた作家さん、という共通項はあるかな。メインストリームの文学であるかどうかよりも、ファンの思いいれは、書籍流通的に逆境であるからこそ燃え上がることもあります。復刊ドットコムは、そんな熱意に支えられて、本日も営業中です。

投稿時刻: 午前 10:00
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2008年7月 7日 (月)


『一千一秒物語』の物語

ディレクターの、ともおです。

作家の小川洋子さんがパーソナリティーをつとめられているFM番組「パナソニック メロディアス ライブラリー」の7月6日(日)の放送で、稲垣足穂の『一千一秒物語』が紹介されていました。小川洋子さんが稲垣足穂をどう読むか。作家の感受性と、その視線が捉えるものもまた興味があるものです。稲垣足穂(イナガキタルホ)。大正時代にあって、寓話性こそ少ないものの、後の時代の宮澤賢治よりも、より蟲惑的な幻想と淫靡さを持った「童話的」な作品を残した作家です。僕もご多分に漏れず、およそ通過儀礼的に、十代後半にはハマッていました。『一千一秒物語』は当時も新潮文庫で健在でしたが、『少年愛の美学』などの、もうひとつの足穂ワールドは、あの当時よりも現在の方が、流通上入手しやすくなっているのが不思議です。当時は古書店を探したものですから。どちらかと言うと、投げっぱなしの幻想譚である『一千一秒物語』よりも、文庫に併録されている『彼等』のような心理的に繊細な作品の方が好きだったのですが、たむらしげるさんが絵を描かれた『一千一秒物語』を見て、自分の感性に足りないイメージを補給してもらい、楽しめた気もします。

稲垣足穂+たむらしげる、の『一千一秒物語』は復刊ドットコムで多くの得票を集め、ブッキングから復刊されました。こちらのページに、復刊にあたってのたむら先生のメッセージが寄せられていますので、是非、ご覧になってください。この本は、少し前にsmapの稲垣吾郎さんが絵本を朗読される番組『忘文(わすれぶみ)』でもとりあげられ、紹介していただいたこともありました。繰り返し、マスメディアでとりあげられていくことで、新しいファンも増えていくものかも知れません。「復刊」することよりも「絶版」にならない文化の残し方もあるのではないかと思うところです。

■  稲垣足穂特集
■ たむらしげる特集

ところで、小川洋子さんと言えば、作品ももちろんですが、クラフト・エヴィング商會の『じつは、わたくしこういうものです』の「冷水塔守」役など、小川さんご自身も素敵な方で、シンプルなお名前ながら「小川洋子さん」と聞くと、そのまとわれたイメージも含めて想起されるものがあります。そうした小川洋子さんを表している作品と言えば、やっぱり『ミーナの行進』がお薦めできるところですね。これも素敵な造りの本ですよ。

投稿時刻: 午前 11:49
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2008年7月 6日 (日)


桜桃忌、終わっていました、いつの間に

ディレクターの、ともおです。

先日、某誌に取材を受けました。昨今の「復刊本」のブームを復刊ドットコムとしてどう考えるか、というようなテーマ。取材の方は、営業のkyoに対応してもらったので、僕は横で聞いていただけなのですが、やはり昨年の『人間失格』の小畑表紙絵版のヒットから、今年の『蟹工船』ブーム、そして、あの『伊豆の踊り子』にいたる世の中の流れについては、考察されるべき現象のようです。厳密に言えば、これらは絶版になっていた本ではないので、復刊というよりは、名作再評価ということなんですが、詳しいことは、某誌が発行されましたら、またこちらでもお話したいと思います。なんというか、復刊ドットコムの立ち位置、みたいなものを改めて考えさせられる契機にはなりました。ところで、『人間失格』。うっかりしていましたが、6月19日が桜桃忌だったんですね。書店では今更、ということか目立ったフェアはあまり見かけませんでしたが、近所の図書館では企画展示で本が紹介されていました。復刊ドットコムにも太宰治特集はあるので、ちゃんと紹介できれば良かったなと思います。僕が持っているもので『もっと太宰治がわかる本』という、1989年に発行された本があります。堅い研究書ではなく、当時の「謎本ブーム」の影響を受けたカジュアルな、太宰治ちょっといい話、的な本です。この本、凄いことに、一冊全部、ナンシー関がイラスト(版画)を担当しているんですね。ナンシーの太宰作品は秀逸なものが多くて、それこそ「銀座ルパンの太宰治」の、あの有名なポーズを彫り上げているぐらい太宰の同郷者としての愛憎も感じられるところですが、この本は、まだ荒削りな感じが出ていて、初期のナンシーを体感できる本です。いつの間にかナンシーの話になっていましたね。「丁稚のチャーリー」の頃からのファンなので、つい。最近、こういう本も出ましたよ。

■ 太宰治特集
■ ナンシー関特集

おまけブログでヤングアダルト作品の紹介をしていたのですが、児童書フィールドに限らず、YA的な資質をもった一般文芸作品もとりあげていました。いつか太宰治を、と思っていて、そうなると『女生徒』『俗天使』か、『パンドラの匣』か、あるいは『惜別』あたりかなと思っていたのですが、一旦、あちらをお休みして、こちらに注力しているので、まだ少し先の話になりそうです。『ろまん燈籠』の兄弟姉妹にスポットを当てても面白かろうな。要するに、今のYA世代にも読んでもらいたい作品が沢山あるんですね、太宰治。自分が「読みたい」と同時に、人にも「読んでもらいたい」という心情が発動されるのが復刊ドットコムです。そういえば、件の取材の中で、所謂「工作員」と、「熱心なファン」はどこが違うのか、という話題が出ていました。この作家のためなら、非営利でも「工作員」にもなれる、という思いもまた純粋なファンの情熱だと思うのですけれど。とまれ、昨年、多くの若い世代が太宰治を手にとるきっかけがあったことは、とても嬉しく思った次第なのです。

投稿時刻: 午前 10:00
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2008年6月25日 (水)


復刊!「虚構の殺人者」

虚構の殺人者」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

角川春樹事務所より復刊いたしました!
プレハブで建てられているような規模的には小さい署・・・そこで活躍する安積警部補のお話!

投稿時刻: 午後 03:20
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復刊!「白昼堂々」

白昼堂々」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

光文社文庫より復刊いたしました!
雑草の逞しさで生きる泥棒集団の活躍を温かく軽妙に描いた、会心の悪漢小説!

投稿時刻: 午後 03:15
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2008年5月 7日 (水)


復刊!「心的現象論序説」

心的現象論序説」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

序説とあらたに未刊行であった本論とを合本して、愛蔵版にて2008年6月中に刊行!
本論のみも、普及版にて2008年6月中旬に刊行されます。

くわしくはこちらをご覧ください。

投稿時刻: 午後 01:32
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復刊!「日本史の真髄 頼山陽の『日本楽府』を読む 全三巻」

日本史の真髄 頼山陽の『日本楽府』を読む 全三巻」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

PHP研究所より改題して発売中です。
戦後の歴史教育によって片隅に追いやられた、日本人のための歴史が今、甦る!

投稿時刻: 午前 11:07
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2008年4月15日 (火)


復刊!「ひとめあなたに…」

ひとめあなたに…」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

角川書店より復刊されております!

逞しくもひた向きな女性、圭子
その道中様々な最期の1週間を過ごす人々と出会う・・・。

投稿時刻: 午前 09:42
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2008年4月11日 (金)


〈佐々木丸美コレクション〉完結記念 佐々木丸美展

2006年12月より刊行中の〈佐々木丸美コレクション〉全18巻ですが、
いよいよ2008年4月末に完結いたします。


このコレクション完結に合わせて、紀伊國屋書店・札幌本店にて
「〈佐々木丸美コレクション〉完結記念 佐々木丸美展」
を開催することが決定いたしました!

開催概要は以下のとおりです。


【〈佐々木丸美コレクション〉完結記念 佐々木丸美展】

日程:2008年5月9日(金)~15日(木)
10:00~19:00(最終日は18:00まで)

★展示内容
・佐々木丸美の直筆原稿&ノート
・味戸ケイコのカバーイラスト原画17点
・佐々木丸美関連のニュース記事スクラップ
……など。

開催場所:紀伊國屋書店 札幌本店 2Fギャラリー
TEL:011-231-2131
札幌市中央区北5条西5-7
※JR「札幌」駅南口、地下鉄「札幌」駅より徒歩1分


5月9日(土)と5月10(日)には、北海道文学館の学芸員によ
トークイベント、札幌市内の高校生による作品朗読会も開催予定です。

北海道にお住まいの方も、そうでない方も、ぜひぜひお越しください♪

トークイベントと朗読会の詳細な時間が決定しましたら、本ブログと_s
佐々木丸美コレクション公式ブログにてお知らせいたします。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿時刻: 午後 03:36
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2008年4月 2日 (水)


復刊!「パリ燃ゆ」

パリ燃ゆ」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

朝日新聞社より新装版、全3巻で発売中。

「鞍馬天狗」のドラマ化などで、改めて脚光を浴びつつある作家・大佛次郎。
その代表的作品を新装版で復刻です!

投稿時刻: 午後 03:32
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2008年3月25日 (火)


復刊!「雙」

」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

森雅裕 Member's Websiteにてご購入いただけます!

江戸前期の刀鍛冶・越前守助広を主人公に
伊達騒動、明暦の大火、由比正雪事件をからませた時代小説です!

投稿時刻: 午後 01:08
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2008年3月12日 (水)


復刊!「お嬢さまと青バラの君」

お嬢さまシリーズ全10巻」にリクエストをくださった皆さまにお知らせです。

学研レモン文庫より『お嬢さまシリーズ第3弾』が復刊いたしました!

奇人変人入り乱れる学園を舞台に正真正銘正統派いぢわる(本人希望)お嬢さまの少女小説です。 

投稿時刻: 午後 05:11
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2007年10月26日 (金)


『活字倶楽部(2007年秋号)』(雑草社)にて『私説三国志 天の華・地の風』の江森先生インタビューが掲載されてます!

副編集長Bです。
10月25日発売の『活字倶楽部(2007年秋号)』(雑草社)に、『私説三国志 天の華・地の風』の江森先生インタビューが掲載されています!


活字倶楽部さんのご好意で、その一部を抜粋してご紹介いたします。


■質問1


■質問3


■質問4


私説三国志 天の華・地の風』が更に面白くなる興味深いインタビューですので、ファンのみなさま、続きは『活字倶楽部』本誌でぜひどうぞ!

投稿時刻: 午後 01:55
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2007年8月27日 (月)


一行紹介:恋愛今昔物語・新恋愛今昔物語

副編集長Bです。
8月最後の日曜日が終わると、気分的には一気に秋という感じがしてきます。
実際は今朝も朝からうだるような暑さなのですが。


さて、今日は弊社刊行書籍を一行で紹介します。


恋愛今昔物語新恋愛今昔物語

一行紹介:笠地蔵、聞き耳頭巾、座敷わらしなどの日本の昔話をモチーフにした恋愛短編。


笠地蔵がベースの恋愛譚ですよ! すごく気にななりませんか?
ハイミスOLのもとへいきなり天狗が来たりもします。

投稿時刻: 午前 11:04
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2007年7月24日 (火)


一行紹介:橡家の伝説・榛家の伝説

副編集長Bです。
先週、親会社の物流センターで大きなトラブルがあったのですが、私がそのことを知ったのは、新文化オンラインの記事ででした。


さて、今日は弊社刊行書籍を一行で紹介します。


橡家の伝説榛家の伝説

一行紹介:『この文庫がすごい!2007年版』第5位の『崖の館』の姉妹編です。


ちなみに橡家は「つるばみけ」、榛家は「はしばみけ」と読みまして、覚え方は「つるはし」です。

投稿時刻: 午後 04:57
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2007年5月22日 (火)


一行紹介:新撰組 山南敬助

副編集長Bです。
商売柄、古書店や古本市によく行くのですが、たまに、ものすごく切ないものに遭遇することがあります。
それは、どう見ても新品状態の自社刊行書籍です。


一応申し上げておきますが、間違ってもゾッキ本じゃございませんので。


さて、今日は復刊ドットコム取り扱い商品を一行で紹介します。


■『新撰組 山南敬助』(学陽書房)


一行紹介:堺雅人が演じた人です。


マチャアキではありません。

投稿時刻: 午後 05:16
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2007年5月 7日 (月)


もうすぐ100票:オヨヨ大統領シリーズ全8巻

副編集長Bです。
商売柄、絵本や児童書のイベントへは積極的に行くようにしています。
5/3(木)も、上野で行われた「上野の森 親子フェスタ」へ行ってきました。
動物園はもちろん、ダ・ヴィンチ展もあり、当日の上野駅周辺はものすごい賑わいでした。そして、親子フェスタの各ブースも人の山で、3日間のイベントなのに、初日の午前中で売行き良好書は品切続出だったようです。

5/4(金)は吉祥寺のトムズボックスで開催中の「スズキコージの御伽草子展」を鑑賞してきました。コージさんの絵は、信号の無い山道をオートバイで猛スピードで駆け抜けるような疾走感がありました。
オートバイには乗ったことがありませんが。


さて、今日は復刊ドットコムの「100票間近リクエスト」中から一点を、「グっときたコメント」付きで紹介します。


オヨヨ大統領シリーズ全8巻』(角川書店)

グっときたコメント:2006.08.25    ちこさん
「大学時代に読みました。ぜひぜひまた読みたいです。それと、その時読んだ本は、元彼が置いていった本で、今は、度重なる引越しで行方不明になってしまいました。彼は、今、本を作る仕事をしています。彼の原点と言って良いほどの本かもしれません。もしかしたら、彼独自の方法でまた入手しているかもしれませんが、なんとしても彼に私から返してあげたいのです」


ユーミンの歌詞のような、乙女なコメントだと思いました。

投稿時刻: 午後 02:19
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2007年4月16日 (月)


恐縮ですが、書店さんへのお願い:佐々木丸美応援ペーパーについてのお願い

副編集長Bです。
先週末は出版業界コンサルタントの青田恵一さんを囲む飲み会に参加してきました。

青田さんはリアル書店を色鮮やかに評論される方でもあります。
一度でいいので、TVのグルメレポーターのように、映像による青田さんの書店評論を見てみたいものだと思いました。

そして、この日はいささか飲みすぎたようで、帰路、荻窪から池袋へ向かったはずなのですが、気付けば渋谷におりました。


さて、今日は「恐縮ですが、書店さんへのお願い」です。


■恐縮ですが、書店さんへのお願い
復刊ドットコムを運営するブッキングと東京創元社と共同で、「佐々木丸美応援ペーパー」を作成いたしました。

ぜひ、書店店頭に置いていただければと思いますので、ご希望の書店さんがいらっしゃいましたら、書店名と送り先を info@fukkan.com 宛てにメールでご連絡くださいませ。

※または、ファックス(03-3235-5337)でお知らせいただいても構いませんので。


恐縮ですが、ご検討よろしくお願い申し上げます。

投稿時刻: 午後 06:31
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2007年3月 4日 (日)


佐々木丸美の応援団

同じ佐々木丸美氏の作品復刊に取り組んでいる東京創元社さんの発案で、共同キャンペーン企画として「佐々木丸美応援ペーパー」ができあがりました。内容はといえば、佐々木丸美先生を応援する著者の方や、書店員の方々から復刊作品に送る応援メッセージの数々をリーフレット化しようというものです。これまでも親会社の広報誌である「新刊展望」で三村美衣氏桜庭一樹氏が対談したりの試みを行ってきました。今回はその桜庭一樹氏が「雪国ゴシックロマン」と、ミステリー作家津原泰水氏が「燃えさかる情熱」と、佐々木丸美に応援メッセージを送っています。そして、それ以上に多いのが書店の最前線にいて、佐々木丸美作品を応援する書店員さんです。北海道と首都圏の8名の方々が、佐々木丸美先生をピュアに応援して下さっているのです。「佐々木丸美応援ペーパー」に応援者が次々と現れて、第二号、第三号が刊行され続けることを願います。われこそは!という作家の方、書店員の方は、是非名乗りをあげて下さい。ちなみに3月1日は、朝日新聞文化面に佐々木丸美復刊が「雪の断章」書影入りで報道されました。詳しくは「佐々木丸美コレクション」編集担当の二宮女史が立ち上げた「佐々木丸美コレクション公式ブログ」をご覧下さい。

投稿時刻: 午前 01:00
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2007年2月15日 (木)


いよいよ全国区

佐々木丸美復刊の取材が相次いでいます。先ずは22日予定の毎日新聞社「人・模・様」に続いて、朝日新聞社文化部の記者さんが来訪されました。かなりマニアック系な趣味人の方で、復刊ドットコムのヘビーユーザーだそうです。講談社BETH誌からも取材依頼がありました。この雑誌で連載されている津原泰水先生が応援して下さった結果です。親会社の日販の「新刊展望」もいいですよ! いよいよ佐々木丸美先生、北海道ブレイクからようやく全国区扱いに抜け出して来ました。

《掲載内容》特集 佐々木丸美の世界がよみがえる
・エッセイ 津原泰水 「その意志と美貌」
・エッセイ 千野帽子 「少女趣味の暗黒面――佐々木丸美『雪の断章』」
・ロングインタビュー 桜庭一樹×三村美衣「佐々木丸美 永遠なる少女の
 宝もの」
・Editor's Guide  《佐々木丸美コレクション》全18巻/創元推理文庫
 〈館〉三部作
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 この「新刊展望」は書店さんのレジ脇などに置いてあるので、ご覧になっ
 たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
 無償配布されているものですので、すぐになくなってしまう書店さんも多
 いとのこと。また、取り扱いのない書店さんも多いので、確実に入手した
 い場合は以下の手段にてお取り寄せください。

 ●「新刊展望」の定期購読、バックナンバー販売のお知らせ
 1部228円、年間購読料は2,730円(共に送料・税込)です。
 購入ご希望の方は、住所、氏名、TEL、備考欄に年間購読であれば何月
 号から、バックナンバーにおいては希望月号を明記の上、郵便振替にてご
 注文ください。
 ●振替番号  00130-1-88770 加入者名「日販出版宣伝課」
 ●お問い合わせは、
 日販 出版宣伝課 「新刊展望」編集部 E-mail:senden@nippan.co.jpまで

投稿時刻: 午前 01:00
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2007年2月12日 (月)


人・模・様

毎日新聞社から取材を受けました。「佐々木丸美」復刊についてですが、記者さんご本人も大ファンとのことで、佐々木丸美は全巻お持ちだそうです。特に「忘れな草」がお好きとのことでした。彼女からこの日得た情報で講談社文庫で乾くるみ「塔の断章」という、まるで「雪の断章」みたいなタイトルの本があるそうです。本の装丁や、登場人物の名前に佐々木丸美本を意識されて、著作やブックデザインに関わったそうです。こちらも皆さん、是非復刊投票してみて下さい。お互い好きな作家のファンどうしは話も弾みます。あっという間の一時間でした。水・木の夕刊「人・模・様」で、2月下旬に掲載予定です。

投稿時刻: 午前 01:00
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2007年1月26日 (金)


「忘れな草」表紙イラスト

復刊ドットコムのサイトにアップされた佐々木丸美コレクション第二弾「忘れな草」の表紙イラストを、もうご覧頂けましたでしょうか? もちろん、味戸ケイコ先生の描き下ろしのイラストです。「雪の断章」では正面からうつむきかげんの少女を描きましたが、今回は少女の後姿を可憐にとらえています。私の周囲の人々からは、非常に評判の良いイラストです。今回、味戸先生は、このイラストの製作について、もの凄く気合が入っています、絶版前の原本時代に果たせなかった思いを、今回の復刊で実現しようと張り切って下さっています。さて、この次の「花嫁人形」「風花の里」のイラストも、どのようにあがってくるか、愉しみであります。

投稿時刻: 午前 01:00
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2007年1月22日 (月)


「雪の断章」重版へ

佐々木丸美コレクション売行好調につき、「雪の断章」が在庫僅少となりました。そして重版が決定となりました。既に全18巻セット予約は大好評で600セットに迫る勢いです。ネット受注のみならず、書店からの注文、マスコミでの取材(特に北海道での)など、日本全体が佐々木丸美復刊に熱く反応していることを、現場で肌に実感しています。1月下旬刊行予定のシリーズ第二巻「忘れな草」の発売と同時に、重版配本予定です。

投稿時刻: 午前 01:00
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2007年1月 8日 (月)


一周忌

早いものです。復刊ドットコムにゆかりの深い佐々木丸美先生がご他界なされて一年が経ちました。お亡くなりになってすぐ、ご焼香にお伺いいたしましたが、あれからはや一年です。北海道の石狩当別ご出身の佐々木丸美先生の故郷は、先生がお書きになられた小説と同様に、とても雪深い街です。今年は温暖なので氷結していない大河、石狩川を渡って、札幌から一時間に一本しかない電車に乗って小一時間の場所にあります。私はこれが四回目の訪札になりますが、今回はご焼香に、晴れて復活した「雪の断章」を仏前に添えることができました。刊行を、そして佐々木丸美先生の文壇復帰を祝って、ご遺族の方々と祝杯をあげることができました。「佐々木丸美コレクション」は、これから2008年2月まで続きます。佐々木先生の人生と同じく始めも雪なら、締め括りも雪の季節です。とことん雪の似合う、儚くも心強き作家です。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年12月25日 (月)


私説三国志

格調高きBL大河小説「私説三国志 天の華、地の風」の復刊が決まりました。著者である江森備(そなえ)先生が復刊をご許諾下さったのです。初めてお会いした先生と、緊張のご対面でした。喫茶店での打ち合わせの隣には、マツケンサンバ振り付けの真島先生によく似た外国語で喋るおじさんたち、喫煙席しか空いていなかったのでバカバカ煙草吸っているおばさんたちに挟まれての、劣悪な環境での打ち合わせとなりました。しかし江森先生は、そんな逆境にもめげず、自著の復刊をとてもお喜びになって下さいました。復刊計画の中には、外伝を複数収録する計画もございますので、お楽しみに!

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年12月15日 (金)


三村美衣氏の解説

いよいよ佐々木丸美コレクションがシリーズをスタートいたします。お陰さまで好調な受注状況です。その刊行に寄せて書評家の三村美衣氏から「雪あかりの道で―コレクション発刊に寄せて」と題した特別寄稿を頂いております。こちらは『雪の断章』のあとがきと、この全集に挟み込まれるチラシでお読みいただけるもので、佐々木丸美作品への個人的な懐古も含めた作品分析を中心とした内容です。中でも三村氏自身が少女時代に、自らが孤児でないことを嘆いたという下りには、思わず微笑んでしまいました。そして佐々木丸美先生が作家として辿った波乱の人生へのコメント。復刊交渉で長く著者と向かい合った頃を思い出し、過ぎ去った日々が身体の中に風となって通り抜けてゆくような、切ない気持ちで満たされました。文章のいずれも、ゲラを読んでいて思わず「うん、うん」と頷かされる説得力があり、心動かされるのでした。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年12月12日 (火)


MOMENT&錦繍

復刊的には閑話休題。仕事上で知り合った方から薦められた、本多孝好の「MOMENT」、宮本輝「錦繍」は、なかなか素敵な作品でした。先ずは「MOMENT」、主人公は、病院のアルバイトにして、死を間際にした末期患者たちの願いを聞く仕事人。小粋な会話と、死を前にした人々の切ない気持ちが、読んでいて胸に沁み入ります。後者の「錦繍」では、ある事件で心がすれ違ってしまった夫婦が、後に当時の秘密を打ち明け合います。失ってしまった愛への惜別、その後の人生で得た労わり合い、それでも個々の未来は別々であること。泣きました。ところで蛇足ですが、今日は私の48回目の誕生日であります。今年が年男だったのであります。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年12月 9日 (土)


「佐々木丸美コレクション」取次見本

12月8日、「雪の断章」の販売用見本が届きました。見本と言っても、本番の単行本そのままです。出版社は書店配本用に、取次店の仕入窓口に見本を出さねばなりません。そのために発売日の一週間前に、印刷会社から出版社に出来立てのほやほやの本が届くことになっています。味戸ケイコ先生の描いた、吹雪吹くモスグリーンの薄闇の中を歩む、うつむきかげんの少女の図。これが生まれ変わった倉折飛鳥の姿です。佐々木丸美さんの本、本当に出せたんだ・・・。本を掲げて、顔に押し当てると、佐々木先生ご本人との電話、訪れた雪深い北海道、何度も行き交った先生とマルミストたちの手紙、出版に至るまでの様々な障害。いろんなことが、一度に思い出されて、感無量にして、思わず目頭が熱くなりました。若干ネタばれになってしまいますが、この「雪の断章」の終盤には、佐々木丸美全作品中、もっとも私が好きな科白が登場し、そのシーンに再び出会うことができました。飛鳥曰く「だから口がきけません」。今、私も同じ心境です。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年11月24日 (金)


超鋼女セーラ

超鋼女セーラ」は、「番長学園」の寺田とものり先生初のライトノベルです。私はライノベは、あまり読んだことがないので、他の作品と比べてどうこうということはあまり言えないのですが、読んでいて、充分軽快に楽しめました。タイトルが名作童話をもじったものであるらしきことは、本をしばらく読んでいて、ようやく気がつきました。活躍する主人公はヒロインでこそ、様になります。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年11月16日 (木)


佐々木丸美コレクションの特典

佐々木丸美コレクションが10月2日から受注をスタートしています。ご案内したように、刊行は12月から1月までは各1巻ずつ、以後の2月からの刊行は隔月2巻で、約1年半かけて完結の予定です。今回は久々に全18巻を一斉予約という方式を採用いたしました。初日以来連日多くの方々にご予約を申し込んで頂ける大商いが続いています。私たちも勝負をかけた大型企画、そして何より復刊ドットコムにおける象徴的な顔である佐々木丸美氏の全集です。どうしても力こぶが入ります。そのためにもネット予約特典を練りに練ってきました。予定されている特典冊子には、初版時の表紙イラストの数々、味戸先生からのメッセージ、そしてマルミストたちが腕によりをかけた「佐々木丸美史」、佐々木先生の自筆原稿などが満載の予定です。何よりうれしいのは著者ご自身がファイリングされていた、生前の佐々木先生のご活躍を報道した当時の新聞記事たちに再会できることです。お楽しみに!

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年10月11日 (水)


算法少女

遠藤寛子「算法少女」、こういうの大好きです。お江戸の主流である算法は関流ですが、千葉桃三、あき親子は上方流。関流の小生意気な武家の息子が掲げた算額の間違いを指摘したことから、大藩久留米有馬藩のお殿様から才能を認められた少女あき。身分や性別を、才気とやる気で乗り越えて行く清々しさ。江戸時代だから本当はもっと窮屈な世の中だったのだろうけれど、世の中、人はかくあれという心意気に満ちた一冊です。何よりちくま学芸文庫に収録ってのが、いいっすね。ちなみにこの素晴らしい作品が復活した背景には、わが復刊ドットコムも大いに寄与したようです。復刊ドットコムの投票をもとに、多くの数学者の方々が復刊に立ち上がったようです。著者からあとがきに感謝の一筆が寄せられています。世の中、巷の目に見えないあちこちに、復刊ドットコムの粒子が浸透していることが判ります。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年9月29日 (金)


モーツァルト生誕250年

プレジデント誌10/16号の特集記事は「就職力・年収力・昇進力」大学・学部別全データという、まことに世俗的なテーマでありました。うむうむ、わが母校は何位くらいかな?などという興味で読んでみます。そんな中に一服の清涼剤「モーツァルト生誕250年」を記念してか、モーツァルト本3冊の書評紹介がありました。そんな中に森雅裕「モーツァルトは子守唄を歌わない」が取り上げられています。その他の本がれんが書房新社「モーツァルトの世界」、音楽之友社「サリエリ-モーツァルトに消された宮廷楽長」というノンフィクション物だっただけに、「モーツァルトは子守唄を歌わない」は異彩を放っておりました。書評子曰く「後世の人びとがモーツァルトのミステリアスなイメージをふくらませてゆく、その想像力の広がりに身をゆだねる楽しさも味あわせてくれる」

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年9月16日 (土)


佐々木丸美コレクション

復刊ドットコムにおける最高の熱望を集めている故佐々木丸美氏の絶版作品の全18作品が年末から復刊されます。トップバッターはデビュー作「雪の断章」です。孤児シリーズ、館シリーズ、そしてわたなべまさこ先生とのコラボ漫画「恋愛風土記」も全てやります!。おまけに、表紙カバーの絵は、全て味戸ケイコ先生渾身の描き下ろしになります。ちなみに同じ時期から東京創元推理文庫から「館シリーズ」が文庫で発売になるそうです。もうこれができたから、僕は死んでもいい。

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2006年9月 8日 (金)


新八犬伝

懐かしい顔と原作本で再会できます。かつてNHKで放映されていた人形劇ドラマ・新八犬伝のストーリーを小説化した本書は全3巻の構成です。原作とは少し違ったストーリーですが、よりわかりやすく面白い内容となっています。昭和31年(1956年)「チロリン村とくるみの木」から始まったNHK連続人形劇シリーズの5作目にあたる「新八犬伝」、滝沢(曲亭)馬琴の「南総里見八犬伝」をベースに、同じ馬琴の作品「椿説弓張月」や 「月氷奇縁」など、また中世の語り物「小栗判官伝説」をはじめとして各地に伝わる史実や伝説、古今東西の文学、演芸、時事ネタまでもを含んだ、様々なストーリーが盛り込まれたシリーズ初の時代劇です。放映はNHK総合テレビで、昭和48年(1973年)4月2日~昭和50年(1975年)3月28日の月曜~金曜日の18:30~18:45と、全464話も続いたのでした。

投稿時刻: 午前 01:00
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2006年8月 9日 (水)


佐々木丸美先生の本当の気持ち

8月明けに発表した佐々木丸美コレクションの復刊に関して、読者の皆さんにちょっと気になる反応があります。それは生前の佐々木先生が復刊をご許諾なさらなかったのに、その没後に復刊が実現したということについて、復刊はうれしいものの、複雑な気持ちがするといったご意見です。それはもちろん、私たちにとっても気持ちは同じです。佐々木先生のご存命のうちに復刊が実現されていたら、どんなにか良かっただろうとかと思います。しかし、私は佐々木先生から生前に数本の手紙を頂いていたのです。そこには、復刊はしたいけれど、そのことで再び出版業界と繋がることに不安な気持ちを訴えられていらっしゃいました。どんな仕事でもそうですが、人間関係は誤解や行き違いなどを多々生みます。佐々木先生のように、一世を風靡して、もてはやされた女流作家となれば、なおさらのこと。さぞかし辛い体験の数々がおありになったことかと思います。そんな佐々木先生の心の葛藤を知る一人として、あえて佐々木先生が人間関係に悩むことなき三界の人となった今、復刊が成就すべき時期であると思うのです。

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2006年8月 2日 (水)


佐々木丸美復活!

復刊ドットコム奮戦記」でも紹介したように、交渉結果が「残念」となった書籍の代表格であったのが佐々木丸美氏の全18点の作品群の復刊が逆転復活で実現することとなりました。ご本人が出版業界との接触を断ってしまったことから、再版の機会を得ることがなかった美しく、儚い物語の数々でした。しかしながら、ご本人がお亡くなりになったことで、数奇なことに、復刊への道が開けました。このたび、佐々木先生の故郷を訪問してお会いした、ご遺族の方々が復刊をご許諾下さったのです。できることなら著者ご本人がご存命のうちに、復刊を成就したかった。。。生前、佐々木丸美氏と数少ないですが、ことばを交わせる機会がありましたが、ご本人は自身の作品がいまだに多くの読者の方々に支持されていることを、喜んでいらっしゃいました。天国の佐々木丸美さんも、きっとこの復刊を喜んで下さっていると信じています。12月から「佐々木丸美コレクション」として、投票された全18点をデビュー作「雪の断章」を皮切りに、全巻を順次復刊いたします。名づけて佐々木丸美コレクション」、マルミストの皆さま、お楽しみに。

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2006年5月19日 (金)


あとがき

書籍の最後の頁には「奥付」が表記されています。書名、著者、著作権、発行年月日、印刷会社、刷数などさまざまな情報がコンパクトに盛り込まれた、言わば本の住民票といったところでしょうか。この表記の中に発行者という欄もあり、その書籍の発行責任者の名前も入っております。ブッキングの復刊書籍の場合は、私の氏名を入れています。機械的に入るのですが、何だか眺めていると面映い気持ちです。そして必ずあるとは限りませんが、著者の意向によっては文末に「あとがき」が入ります。この中で、私と編集者の名前が挙げられて、感謝の念が伝えられることもしばしばあります。この日は「デジタルデビルストーリー②③」の西谷史先生の書かれたあとがき(なかなか作品へのラブのこもった名文でした)に、私と編集部員Fへの謝辞を発見。社交辞令と判っていても、心にぽっと灯がともります。

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2006年5月18日 (木)


深山木薬店説話集

講談社で復刊が決まった「深山木薬店説話集」の著者、高里椎奈先生からコメントを頂きました。1999年『銀の檻を溶かして』で第11回メフィスト賞を受賞された、ファンタジー味のサスペンス料理が高里椎奈先生の持ち味です。今回復刊された作品は同人誌時代の作品であったため(復刊投票にはこのパターンが多い!)、先生が手を入れて商業出版物として、味を調え直して皆さまにお出ししたものです。6月6日、講談社ノベルスで新書版としてリリースいたします。復刊ドットコムでも予約受付いたしますので、よろしくお願いいたします。以下、高里椎奈先生から頂いたコメントです。

復刊ドットコム様、投票して下さった皆様、沢山のお声を有難うございました。元気と推進力を頂いて、説話集、復刊(自称グレードアップ)してお届け出来る事になりました。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。  高里椎奈

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2006年4月23日 (日)


シャドウ本屋大賞

「サウスバウンド」、これこそ本屋大賞に選ばれても良かった作品だと思います。でも投票は2位だったので、とりあえずシャドウ本屋大賞に勝手に選ばせて頂きます。これは奥田英朗氏の最高傑作です。読みながら、腹がよじれるほど爆笑した次の瞬間には涙ぐみ、そのまたすぐ後に清々しい心持ちになれる、心の妙薬です。これまでの奥田氏の作品には人間の業という毒が仕込んでありましたが、ここではその毒が見事に浄化されています。子供の成長する世界から見た世界の理想像を、見事に描ききっています。半径50mの世界でない日本文学で、久々に素晴らしい、海外にも誇れる娯楽文学(ちょっど言いすぎ?)の誕生です。

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2006年4月 3日 (月)


ナラタージュ

島本理生「ナラタージュ」は、主人公の女性が高校時代の学校教師との忘れられない恋に苦しむお話しです。文体も装丁も、霧に包まれた森が朝を迎えたように美しい本です。この物語中盤に稲垣足穂「一千一秒物語」が登場します。ヒロイン泉がドイツに転勤となった両親を訪ねて行った部屋で見つけるシーンがあります。小説という舞台の中では、村上春樹の料理のように、作品全体を引き立てるスパイスの役割を果たす小道具があります。「ナラタージュ」でも「一千一秒物語」は、泉の両親が教養深い文化人であることを、とても自然に示唆しています。たむらしげる先生が絵を描かれた「一千一秒物語」ではないことが、ちょっと残念ではありますが。

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2006年3月27日 (月)


「逃亡」完成

戦犯としての父の半生を描いた小林弘忠「逃亡~油山事件戦犯告白録」が終に毎日新聞社から出版されました。ハードカバーの、シブい装丁でまとめられた重厚な本です。出版されたとたんに、何人かの方に「見たよ!」との電話を受けました。私が渡した父から受け継いだ資料をもとに、そして父が戦犯として逃亡していた多治見での現地取材、神戸在住の妹(私にとっては叔母に当たります)へのインタビューを敢行してのノンフィクション完成となりました。BC級戦犯裁判である横浜裁判の日本での最終結審となった父と遺された家族の逃亡時代の辛苦、巣鴨プリズン拘留の詳細な記録、そして何より実際の捕虜斬首に至る経緯の法廷供述など昭和の実際が、この一冊にこめられています。油山事件は、終戦間近に頻繁に起こった米軍捕虜の処刑をめぐる国際法上の訴追事件のひとつです。上官の命令と、自身の良心の狭間に悩む人の心の苦しみは、時代を超えて伝わってくるのです。著者は息子である自分以上に、父の人間像を深く捉えて下さいました。そのことに感謝。

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2006年3月 7日 (火)


ときをわたるキャラバン

「空をとぶじゅうたん」の新藤悦子先生が初めて書かれた長編小説です。しかし、この楽しい作品も「入手不可」です。なんか、日本の出版業界もなぁ。。。

画廊に展示されていたトルコのアンチーク絨毯から自分だけが感じることのできる匂い。その匂いに魅惑されてトルコに旅した友香は、市場で競り落とした同じタイプの絨毯を、金髪の美女に盗まれてしまう。絨毯を取り戻すために彼女を追った友香とトルコの青年アリジャンは、洞窟の聖なる泉から13世紀のビザンチン帝国に渡ってしまう。スルタンの国で出会う友香の冒険と恋のロマン飛行が始まる。といったストーリーですが、十字軍やビザンチン帝国といった世界史だけで出会った国々の風物や民族がリアルに登場するのがとっても新鮮です。教科書の中で無表情に名前だけを羅列していた遠くの人々が、愛し合い、憎み合い、孤独を感じ、美味しい食事をたいらげ、沐浴する中で「世界は一つ」を実感いたします。毎年ここを訪れ、自ら絨毯を織り続ける著者だからこそ書ける作品なのでしょう。

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2006年3月 3日 (金)


カント・アンジェリコ

「架空の王国」が新たな書き下ろし外伝作品とともに復刊される、鬼才、高野史緒先生が描く、カストリートたちと零落した王女による電話ネットワークの乗っ取りの物語です。「カント・アンジェリコ」は、現代にはいなくなってしまった去勢された少年たちの栄華と悲しみをメインモチーフに、欧州の電話網が大混乱に陥ったハッカーたちの跳梁跋扈を描きます。しかし事件の解明というミステリー的要素よりも、何よりもカストリートという爛熟したオペラ文化が生んだ天上のごとき畸形美と、彼らが一生抱える性的に完全でない存在としての疎外感の描写こそが本作品の最大の魅力です。

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2006年2月17日 (金)


香山滋の世界

香山滋をご存知でしょうか。知らない方も「怪獣ゴジラ」の作者と言えば「あぁー!」と思うことでしょう(ゴジラといえば、音楽担当の伊福部昭氏が他界されましたが、ブッキングにもオンデマンド書籍で彼の本「伊福部昭・時代を超えた音楽」が発売されています)。誤解を恐れず申し上げれば、香山ワールドの作品群は、日本文学の中でも外道と言えましょう。いわゆる化け物文学ですが、登場人物(?)たちは、南方の類人猿、畸形の人間と両生類の混血など、その荒唐無稽と偏見に満ち満ちた世界は、読む人を惹きつけて止まないのです。私の持っている「香山滋復刻版名選」(さすがの国書刊行会!~全7巻)には「木乃伊の恋」、「剥製師M」、「蜥蜴夫人」、「悪霊島」、「恐怖島」、「怪異馬霊教」、「怪龍島」など、いかにも妖しいタイトルが並んでいます。かつて社会思想社の現代教養文庫からも久生十蘭などと並んで、ガンガン刊行されていましたね。あー、今まで「復刊してみたい」と思った作品をずいぶん実現してまいりましたが、是非この作品群も復刊してみたいものです。http://www.fukkan.com/vote.php3?no=11100

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2006年2月14日 (火)


新しい「架空の王国」

3月下旬に復刊予定の高野史緒先生の「架空の王国」は「架空の王国」にして「架空の王国」ではありません。つまりこれはもう復刊とは言えないということなのです。今回の新装復刊に当たっては、何と本編「架空の王国」に外伝が約100頁もプラスされたのです。先日、そのゲラを読ませて頂きました。ルキウスと、ボーヴァル伯アンリ、そして皇帝の庶子とされるフロリアンの織り成すサスペンスミステリーは、インフルエンザあがりの私を一気に読書の世界に引き込む力強さに溢れていました。もう担当編集のF君は「ルキウスですよ、専務!」と大興奮でありました。そして何と本書復刊に当たっては「PLUS ULTRA」や「アクアマリン」の青池保子先生が推薦の弁を述べる(予定)のです。実はこのお二人、高野先生が青池先生の「エロイカより愛をこめて」の解説文をお書きになった仲なのです。さぁ、復刊を超える復刊として、皆さまネオ架空の王国の出現をお楽しみに。

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2006年2月 1日 (水)


北からの訃報

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氷結した石狩川
映画化もされた「雪の断章」など多くの名作文学を産んだ佐々木丸美先生の訃報が伝わってまいりました。遥か雪深い北海道の地で、先生は昨年末にお亡くなりになられたそうです。ご家族で密葬になさったそうですが、人知れずひっそりと、この世を立ち去った先生は、まだ56歳とお若いのに、おいたわしいことです。復刊交渉の投票者の方々や、元編集担当の方と、以前に北海道まで雪をかき分けてご一緒しただけに、そのご逝去に感無量であります。再び立った北海道の地は、交渉時の3年前と同じ一面の銀世界でした。佐々木先生のご自宅は、動かない時間を共有するように、変わらぬ沈黙を保って、深く堆積した雪の壁の中に佇んでいました。そのご近所の親族のお宅にご焼香に伺うと戒名を記されたお位牌が、ひっそりと安置されていました。故人の生前を思い起こしながら、心の中で手を合わせました。佐々木丸美先生のご冥福を心より、お祈り申し上げます。

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2006年1月31日 (火)


本屋大賞第一次選考

今年も本屋大賞の第一次選考作品がノミネートされました。私が投票した書籍も選出されました。今回で3回目を迎える本イベントですが、選考基準が日本の国内小説なため「半径50mの文学」などと攻撃的な文章を書いていた自分としては投票するつもりはありませんが、締め切り間際に、超感激な一冊と出会ってしまったため、思わず一票を投じてしまいました。その本の名はリリー・フランキー「東京タワー~おかんとボクと、ときどきオトン」。大笑いました、泣きました。この本の放つエネルギーは凄いです。本屋大賞初の男性受賞となって欲しいものです。

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2006年1月16日 (月)


功名が辻

今年のNHK大河ドラマは「功名が辻」です。司馬遼太郎原作の山内一豊とその妻お千代の出世物語です。この山内一豊の二代目が山内忠義公です。土佐24万石の基礎を固めた、この名君には土木事業に秀でた名補佐がおりました。それが執政である野中兼山です。しかし、そのあまりに清廉にして過酷な政治は、結果的に多くの人の反感を招きました。清き水に魚住まずの諺を体現してしまったのです。「功名が辻」イヤーの今年、その時代の系譜をくむ物語「野中兼山」の峻烈な生き様も、是非ご一読下さい。

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2005年12月16日 (金)


半径50mの文学

このところ本の雑誌、本屋大賞など優れた小説を紹介する媒体や機会が増えています。しかしながら、私はどこか違和感を感じるのです。これらの媒体で賞賛される、恩田陸「夜のピクニック」、絲山秋子「海の仙人」、野中ともそ「カチューシャ」、瀬尾まい子「幸福な食卓」などなど。いずれも高学歴社会に生まれた主婦転じて女性作家たちが、次々とある一定の傾向の作品群を紡ぎ出してゆきます。どれもみんな優れた文学です。私もこれらの作品に感動し、落涙を禁じえません。しかし、どの作品も半径50mの身近な世界を心優しく描いているのです。今の出版シーンには、あまりにこの手の「泣かせ上手」が多すぎます。日本の優れた女流作家が優れた作品を生み出すことははもちろん、大歓迎です。しかし、世の中は砂糖菓子だけでできているわけではありません。装丁、用紙、売り方、文章の傾向、これらが全て計算し尽くされて、世の中に確信犯的に出版社が送り出し、埋め尽くしてゆくことに、私は若干の反発を感じます。復刊ドットコムで「鏡の影」の佐藤亜紀氏や、「ムジカ・マキーナ」の高野史緒氏など骨太な文学作品が高い評価を得ていることに、そういう意味で私は誇りを感じます。

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2005年12月13日 (火)


高野史緒先生

ムジカ・マキーナ」「架空の王国」の高野史緒先生が瀬川ビルに足を運んでくれました。編集担当の福原くんが「ぼく、知り合いです」と言うので、僕のほうは「本当?、本当?、それは凄い!」ということで実現いたしました。わずか2mほどの至近距離でお会いした高野先生は、本当にちっちゃくて、かわいらしい女性でした。「私の作品は売れませんから」と謙遜する先生ですが、何をおっしゃいます、あの素晴らしい作品世界を理解しようとしない日本の読書界がいけないのです!。2年前に結婚されたご主人とロシアに行くのだと語っていた高野先生は、編集者である旦那様から「いつも締め切りが迫ってきたことをチェックされます」と笑っていらっしゃいました。その素晴らしいタッグで、また魅惑の骨太な歴史ファンタジー・サスペンスを生み出して下さい。

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2005年11月20日 (日)


ムジカ・マキーナ

はー、法悦の読後です。これぞ、大人の文学。どうしてこの作品がファンタジーノベル大賞取らなかったんでしょう。息詰まる政治の駆け引き、見てはいけないのに見てしまう背徳の魅惑、おどろおどろしい禁断の犯罪、そして何よりも機能的に構築された究極の音楽。1870年のヨーロッパを舞台とする連作の著者デビュー作です。 「魔笛」という名の麻薬が引き起こす数々の怪事件。ベルンシュタイン公爵は事件を解明するべく現地に向かう。辿り着いた先はロンドンのクラブには、ムジカ・マキーナなる機械の音楽が大都市の夜を席捲していた!。素晴らしい想像力と描写力、日本の文壇は作者により大きな評価を、読者にはせっせせっせと購入を望みたい。ちなみに、あとがきにも著者がお書きになって下さっているように、この本は復刊ドットコムのリクエストから甦った傑作です。

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2005年11月16日 (水)


架空の王国

高野文緒「架空の王国」の読書は、久々の知的興奮でありました。「ダ・ヴィンチ・コード」の面白さ、そして佐藤亜紀「鏡の影」の重厚さを併せ持つ読み応えでありました。物語の出だし、そして重厚な展開に身を置くことは、とても贅沢な時間であります。蒼穹の伽藍に配置される書棚の中を、悠久の時の中に過ごしてみたいと思うのは本好きなら誰しもが思う願いでしょう。まだ読後の余韻が覚めやりません。

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2005年10月 6日 (木)


いじわるな天使

前々からアスペクト社とは「復刊で何か一緒にやりたいですね」と話し合っていました。そして、そんなお互いの気持ちが遂に通じて、素敵な復刊「いじわるな天使」が実現いたしました。穂村弘氏の素敵な文章、安西水丸氏の優しい絵。癒され気分に浸って下さい。 今回、作者である穂村氏は、投票者の皆さまからのリクエストによる復刊を、大変喜んで下さったそうです。結果、先着100名さまに著者サイン本のプレゼントとなりました。投票された方々は、このチャンスを逃すことなきよう、お早めにゲットして下さい。

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2005年8月22日 (月)


北海道の同志

かつて佐々木丸美氏の復刊交渉で行動をともにした、マルミストの女性二人組のうち、お一人からメールを頂きました。最初お名前を見た際は、どなたか判らなかったのですが、旧姓を見て「あー、なるほど」と思いました。そのメールは「復刊ドットコム奮戦記」の出版を祝って下さる内容でした。彼女は拙著の中で、再び佐々木丸美氏が露出することを、とても喜んで下さいました。当時の仲良し二人組も、結婚以来、なかなか会う機会もないとのこと。「これを機会にまた会います」と、彼女がおっしゃったことで、縁がまた縁を繋ぐ楽しさであります。

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